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そこで今回は知っているようで知らない「株主総会」について徹底解説します!
目次
株主総会とは?―株主総会の概要
株主総会とは、「株式を所有している人=株主」が参加する大きな会議のことです。
株主には「共益権」があるので参加できるのですね。
会社の経営にかかわること全般の取り決めや、事業内容の報告等を行います。
株主の権利ー自益権・共益権とは?
株主には2つの権利が与えられています。
自益権とは?
1つ目は自益権です。自益権とは、自分が所有している株式を発行している株式会社から<経済的な利益を受けること>を指します。
簡単に言ってしまうと、「配当金」を受け取ることなどがこれに当たります。「配当金」を受け取る権利のことを「余剰金配当請求権」といいますが、これが自益権に含まれます。
他にも、*投資先の会社が増株した場合(今は簡単に”新たな株式を発行した”と考えておきましょう)、株式保有数に応じて新株を受け取ることができる「新株引受権」や、会社が倒産した際の余剰金を受け取ることができる「残余財産分配請求権」があります。
こちらの権利は以下で説明する「共益権」と異なり、一株でも持っていれば使える「単独株主権」でもあります。
*投資先の会社が増株した場合とは?
「株式会社にしたい」と考えている会社は、まず企業する際に株の数を決定します。
この時点で1株1000円だとしましょう。
そしてこの会社が人気になるにつれて、株を欲しい人が増えてきたとします。そうすると、株の値段が上がっていきますね。
ただこの会社が「もう少し資金調達したいな」と思えば、株を増やすこと=増株することができます。
文字面だけ見ると、増株なので株を増やすことだと思ってしまいがちですが、実は最初に発行した株式を細分化しているだけなのです。
なのでこの会社は自社の株を細分化し、より多くの人の手に渡るようにすることができます。
これで一株の値段もあげてしまえば(たとえば1株=3000円とか)かなりの額を収集することができます。
共益権とは?
共益権とは<株式会社の重要な決定に参加する権利、株式会社の経営に口出しができる権利>のことを指します。会社経営に参画することができる権利ということですね。
具体的には株主総会における投票権(議決権)などが含まれます。株主総会で自分の意見を反映した方針に投票できる権利といったところです。
他にも、「閲覧等請求権」や取締役会の招集請求などが含まれます。
株主総会とは?―株主総会の詳細
以上の権利を踏まえて、株主総会について解説していきたいと思います。
株主総会には2種類あります。1つ目は、「定時株主総会」で2つ目は「臨時株主総会」です。
国会の通常国会(常会)や特別国会(特別会)のような感じですね。
定時株主総会とは?
定時株主総会とは、一般的にはその年の決算(決算期は3月)が終わって落ち着いたころの5,6月に行われます。定時株主総会は開催(招集)が義務付けられているので毎年行われます。
招集は株主総会の2週間前までに通達しなければならないので、総会の2週間前程度に招集通知が届きます。(会社ごとに決める単元株に達していれば招待される)
この招集通知は参加票にもなるようですね。
臨時株主総会とは?
臨時株主総会は、読んで字のごとく臨時に開かれる総会のことを指します。会社が不祥事を起こしたときなどに開かれるものですね。
株主総会の内容
では具体的に株主総会では何を行っているのでしょうか。
内容は以下の3つです。
①会社の根本に関わること(合併やルールの変更など)
②役員人事に関すること(取締役の決定など)
③株主に直接関係のあること(配当金の額など)
会社の根本に関わること
会社のルール(定款)の変更や、事業譲渡、合併などの組織再編行為、解散などがこれに当たります。
会社が大きく変わる可能性があるものを決定する際には株主に伝えておくことが必要なので、もし変更があればこれについて話し合います。
役員人事に関すること
ここでいう役員とは、重要な役つまり取締役や監査役のことを指します。
さてここで思い出していただきたいのが、株式会社の仕組みです。株式会社は株式を発行し、投資家に買ってもらうことで資金を調達しています。
ということは株式を買ってもらえなければ、会社を成り立たせることは不可能だということがわかります。つまり、実質的に会社を所有しているのは”株主”ということです。
なので人事を決める権利(人事権)も株主が所有しています。株主は選任だけでなく、解任することもできます。
最近(でもないですが)話題になったのは、大塚家具の株主総会ですね。
あの時は、経営権が父(大塚勝久氏)から娘(大塚久美子氏)へと渡りましたが、この決定を下したのは株主でしたね。
株主に直接関係のあること
これは配当金や役員の報酬(給料)です。
そうです。役員の報酬を株主が決めないということは、役員が決定するということを意味します。つまり役員自身が自分の給料を決めるということになります。
役員が不当に高い報酬を受け取ること(お手盛りと言います)も考えられますので、株主総会で決めておくことが妥当ですね。
資本多数決って何?
株主総会の意思決定は、多数決で行われますが、その多数決の方法が「資本多数決」というものです。普通の多数決では1人1票ですが、「資本多数決」では保有株式の量に応じて投票権が与えられます。
原則的(単元株制度を除く)には、1株につき1議決権(投票権)が株主に与えられます。
つまり1株しか所有していない人は1議決権しか持ちませんが、100株所有している人は100議決権を持ちます。
株を多く所有していればしているほど、たくさんの議決権を持つことになるのでより自分の意見を通すことができます。
単元株制度とは?
単元株制度とは、いくつかの株をまとめて1単元と考える制度のことです。100株=1単元のような感じです。
もしこの単元株制度を当該株式会社が採用していた場合、1単元に満たない株主はたとえ株式を所有していたとしても株主総会に出席することができません。
代理人投票・電子投票制度
また株主がなんらかの理由により株主総会に出席できない場合、代理人による投票や書面や電子機器を用いて投票することができます。
代理人投票
株主は代理人を株主総会に出席させることで、議決権を行使することができますが、現在は代理人投票を認めていない会社が多いとのこと。
定款に「代理人は株主に限る」と書かれていることが多いようです。
書面投票・電子投票
書面投票は、はがきを郵送することで議決権を行使できるもの。電子投票はインターネット上で投票するものをいいます。
インターネット上で会社の詳細な状況や株主総会で話す内容等の資料を公開している企業も多いので、インターネットだけで完結できるのは簡単でよいですね。
また、1000人以上の株主がいる場合は書面投票制度が義務付けられています。
普通決議・特別決議
株主総会の議決方法は2種類あります。1つ目が普通決議、2つ目は特別決議です。審議内容の重要性により決議の仕方が変わってきます。
普通決議
株主総会では基本的に普通決議を採用します。
議決権の過半数が集まることで提案採用です。(書面・電子投票も含む)
株主に直接関係のあること(配当金に関することなど)や役員人事に関すること(取締役の選任など)はこの方法を使用します。
特別決議
一方、普通決議で決められないような重要な問題は特別決議を採用します。
会社の根本にかかわること(定款の変更や合併など)は重要なのでこちらの方法を用います。
特別決議では議決権の3分の2以上の賛成が必要なのでより慎重な決議を下すことができます。
株主総会の流れ
ここからは株主総会の一般的な流れを見ていきましょう。
<株主総会2週間前まで>
取締役会で株主招集の議決→株主への招集通知発送
会社の役員(実際に会社を経営している人。株主は”会社の経営権の一部”を保有しているので”会社の所有者”という立ち位置になりますね)が株主総会の詳しい日程を取り決めます。
そしてそれに伴って株主に対して招集通知を発送します。
<株主総会前日まで>
→株主議決権行使書の集計・想定問答集の作成→会場設営
「株主議決権行使書」は先程少し触れた、株主が1000人を超える企業が集計するものです。株主総会の前に書面による投票を行い、その結果(賛否)を集計します。
また当日予想される質問内容を想定し、想定問答集を作成します。
<株主総会当日>
株主受付→議長の就任・開会宣言→出席株主数と株主数の報告→監査報告読みあげ→事業内容の報告→議案上程→議案の審議→質疑応答→閉会宣言
議案上程とは簡単に言ってしまえば、話し合う内容を決めるということです。話し合うべき内容がある方はそれを議案としてもちより、株主総会で話し合います。
そして議案上程で出された問題の審議・採決を行います。
その後、質疑応答を行い総会は終了です。
<株主総会終了後>
議事録の作成→株主総会決議通知の発送
議事録を作成し、議長や出席した取締役が署名・捺印します。
「株主総会議決通知」とは株主総会での決定事項を欠席した株主に知らせ、配当金の支払通知書とともに発送します。
最後に
今回は知っているようで知らない株主総会について見ていきました。
今回のポイントは①原則的には1株でも所有していれば株主総会に参加できる②株主総会では「資本多数決」を採用している③最近ではインターネットでも議決権を行使できる、という3点です。
新しい言葉がたくさん出てきたので、疲れたと思いますが上記の3点だけでも知っておきましょう!
実際の株主総会はドラマで見るように堅苦しいものではにないことが多く、ラフな格好で参加できるものだということです。