黄金株(拒否権付種類株式)って?デメリットや発行方法を徹底解説します!

マナ
こんにちは!Fincle専属ライターのマナです。

皆さんは『黄金株』という株式が存在してることを知っていますか?

マナ
初めて聞きました!なんかとても高価そうな…

名前だけ聞くとそうですよね!実のところ、株式の値段は変わらないのですが、通常の株式よりも絶大な権力を持った株式なのです!

マナ
いったいどのような株なんでしょうか?

気になりますよね?今日は株式用語の一つである『黄金株』についてわかりやすく解説していきたいと思います。

種類株式とは?

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まず、『黄金株』について理解するには種類株式について知っていなければいけません。

マナ
種類株式とはいったいどのような株式なのでしょうか?

種類株式とは、株主の権利内容について、会社が義務付けた特別な条件を持った株式のことです。

通常会社が株式を発行する際、一般的な普通株式は、株主平等の原則に則り、株主の権利内容などを限定しません。

しかしながら種類株式は一定の事項について、普通株式よりも優遇されることもありますし、反対に後回しの扱いを受けることもあります。

種類株式の1つとして分類されるのが今日解説する『黄金株』になります!

黄金株(拒否権付種類株式)とは?

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さて、種類株式について理解できたところで早速黄金株について見ていきたいと思います。

上述した通り種類株式の中には、「黄金株」と呼ばれる「拒否権付種類株式」があります。

名前通り「拒否権が付いている株式」となります。

そのため1株でも黄金株を持っていれば、株主総会の議案について拒否権を発動することが可能になります!

マナ
絶大な権利が黄金株にはあるんですね!私も欲しいです(笑)

そうですね!

種類株式を発行している会社では、通常の株主総会以外に種類株主で構成する種類株主総会を開催することが多いです。

通常の株主総会の全ての決議事項について、たとえ通常の株主総会で可決された事項であっても、種類株主総会において否決となれば決議事項は振り出しに戻ります。

また、全ての決議事項ではなく例えば定款の変更や取締役選任など、一部の決議事項についてだけ種類株主総会の決議を必要とすると定めることも可能です。

マナ
黄金株は1株であっても強い権限があるため、どれだけ普通株式を保有していたとしても、たった1株の黄金株には敵わず、実質的に普通株式の価値が黄金株よりも下であるというような印象を与えます。

黄金株はそのあまりの強さから、東京証券取引所では、拒否権付種類株式の発行について、一定の条件で上場廃止となる基準を定めています。

現在、上場企業で黄金株を保有しているのは1社のみであり、黄金株を採用する会社はほとんどありません。外国においては、発行そのものを禁止している国もあります。

発行内容によっては、無用な乱用を生む可能性もあるため、専門家によっては黄金株は発行すべきでないという意見もあります。

また発行する際にも、細かな手続きが必要になります。下記で詳しく説明しますが、拒否権付種類株式を発行するには、定款で種類株式を発行することを定める必要があります。

まず、株主総会を開催して、定款の変更の決議を行います。その際に「各種類の株式の内容」「各種類株式ごとの発行可能株式総数」を定めます。その後、法務局へ変更登記の申請を行います。

マナ
結構、ややこしい手続きが必要なんですね!

拒否権という絶大な権利を与える決まりなので、当然のことと言えば当然でしょう!

黄金株の役割

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黄金株の役割は大きく分けて2つあり、➀「事業承継」②「買収防衛策」になります。

では早速それぞれの役割について確認していきましょう!

①事業承継

事業承継は株式を後継者に取得させることで経営権を譲渡することを言います。しかしながら引退する経営者にとって、後継者に会社の経営権をすべて譲渡することは大きな不安が残ることが少なくないでしょう。

知識やノウハウ、経験値が未熟な後継者が会社の全権を得ている場合、舵取りをあやまり経営が傾いたとしても妥当な判断を下すことは難しいはずです。

前任の経営者とは言え、株式を全て後継者に取得させてしまった場合だと権限はなくなってしまいます。

またいくつかの株式を保有していたとしても、後継者がより多くの株式を持っていれば後継者の決定を覆すことはできないのです。

マナ
そんな時に役立つのが黄金株なんですね!

その通りです!黄金株は株主総会の決定を覆せるだけの強力な拒否権が付加されているため、例えほとんどの株式を後継者に渡していたとしても、引退する経営者が黄金株を持っていれば、もし後継者が誤ったかじ取りをした際でも黄金株の拒否権を行使することでブレーキをかけることができます。

②買収防衛策

黄金株は買収防衛策でも活用できます。

買収防衛策は主に敵対的買収を仕掛けられた際に行使する手段を指します。

敵対的買収とは読んで字のごとく経営陣の合意を得ないまま行われる買収を指し、過去には村上ファンドやライブドアなどが行っていました。

※Fincleではライブドアについてもわかりやすく解説しています!気になった方は、下記のリンクよりチェックしてみてください!

ライブドア事件をわかりやすく解説!真相はいかに?

敵対的買収とは株式をどんどん買収していくことで達成されるものです。相手が高い資金力を持っている会社であれば一気に経営権を掌握されてしまう可能性が大いにあります。

そういった事態に対して黄金株は効力を発揮します。さきほどもお伝えしたように黄金株は株主総会の決議を成立させない強力な拒否権を持っています。

そのため万が一敵対的買収によって相手が経営権を掌握するだけの株式を取得したとしても、黄金株さえ守り抜けば相手の会社が経営陣に取って代わるという株主総会の決定を拒否することが可能となります。

とはいえ、敵対的買収はそもそも日本のM&A、とりわけ中小企業でのM&Aではあまり発生しないものです。事業承継と比べて買収防衛策として黄金株を使うケースは少ないかもしれません。

黄金株のメリット

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役割のところですでに説明していますが、望ましくない決議事項が可決されてしまうことを防げることがなんと言っても最大のメリットであるといえます。

例えば後継者に株式を贈与して自分は第一線から退いたとしても「黄金株」を1株でも持っていれば、株主総会で決議された事項について拒否権を持っていることになりますので、実質的には発言権を保持しつづけることができます。

社長を引退したいけれども、後継者である息子の経営経験が浅くしばらくは安心して任せることができない場合などあるかもしれません。

ここで黄金株が役立ちます。黄金株を1つでも持つことで会社にとって重要な事項に関しては決定権を持つことが可能になります。

例え株主総会で望ましくない決議に至ったとしても、その決議を拒否することが出来ます。

また、企業によっては後継者へ円滑な事業承継をしたいが株式の保有比率が少なくてできない!という状況が生まれるかもしれません。

株の保有比率をあげるには株価が高すぎて買い取る金額もないなんてことも起こりうります。そういった時に黄金株を発行することで、一株であっても強力な権限を譲渡することが可能になります。

黄金株のデメリット

3dman_eu / Pixabay

➀黄金株の意図しない継承

株式は相続の対象となりますので、もしこの黄金株が相続の対象になった場合、会社の意図していない相続人に相続される可能性もあります。

そうなると、これまで行ってきた事業承継対策が無意味なものになってしまう恐れがあります!留意しておきましょう!

マナ
拒否権付種類株式を導入することによって意図しない結果を招くこともあるんですね!

それだけではありません。意図しない結果を招くことで、これまで会社を支えてきてくれた他の株主の利益を害する形となり、トラブルに発展する恐れもあります。

②黄金株の乱用

その一方で多くの株主が賛成する案件であっても、黄金株を持っている株主1人の恣意的判断で決議が覆されるなど、「株主平等の原則」や「1株1議決権の原則」を害する側面があります。

拒否権付種類株式の発行は、必要に応じて専門家などの意見も取り入れつつ、慎重に行う必要があるでしょう!

黄金株(拒否権付種類株式)発行方法とその流れ

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黄金株の発行までより詳しく知りたいという方は、以下確認していきましょう!黄金株の意義だけを知りたいという方は読み飛ばしていただいても構いません。

種類株式を発行していない会社が種類株式である「黄金株」を発行する場合、株主総会において2つの手続きを行う必要があります。

➀種類株式を発行することを定めること

種類株式を発行するには、定款においてその旨を定め、株主総会の決議を行うことが必要です。

定款で定める事項は、下記の通りです。

  • 種類株式の内容
  • 種類株式の発行可能株式総数

「黄金株」はあくまで通称であって種類株式の一つです。

「黄金株を発行します」と定めるわけではなく、どのような内容の種類株式を発行するかを定めることになります。

例えば、「会社の代表取締役を選ぶ場合」や「会社の合併や会社分割を決定する場合」は、種類株式を持っている株主で構成する種類株主総会の決議を得ないといけない等、その具体的な内容を定款に定めます。

よく「甲種類株式」と名前が付けられていますが、これは普通株式や他の種類株式と区別するために付けられる名前であって、甲種類株式が全て同じ内容の株式というわけではないので注意です。

甲や乙はもちろん、A種類株式など、会社の任意で名称は設定できます!

そして、種類株式の「発行可能株式総数」を定めます。発行可能株式総数とは、発行できる種類株式の総数のことです。すでに普通株式の発行可能株式総数は定められ、登記されていますので、種類株式についても同じように発行可能株式総数が登記されます。

非公開会社においては発行可能株式総数の上限はありませんので、今後種類株式をどれだけ発行するかを考慮して決めると良いでしょう。

参考:株主総会議事録の書式 雛形(拒否権付種類株式・黄金株の発行)

これらは定款変更に該当しますので、株主総会において特別決議が必要となります。承認決議後、定款変更の効力発生日から2週間以内に法務局へ登記申請を行います。

②黄金株を発行すること

種類株式を発行する定款変更を行った後、実際に種類株式「黄金株」を発行する手続きを行います。

発行手続きは、普通株式の増資(募集株式の発行)手続きとほぼ変わりません。

(1)の種類株式を発行する定款変更の株主総会と同時に手続きを行っても構いません。

もしくは日を改めて株主総会を開催して単独で手続きを行うことも可能です。

通常の募集株式発行手続きと異なる点は、募集事項を決定する際に「募集株式の種類とその数(発行する株式数)」を定めることです。

マナ
因みに募集株式の発行とは、株式会社が株式を新規発行したり、保有している自己株式を処分する場合の引受人を募集し、その対価として金銭等の財産を受け入れることを言います。

例えば、黄金株の名称を「甲種類株式」としたのであれば、「甲種類株式 ○○株」と発行する種類株式とその数を決定します。もし、普通株式も同時に発行するのであれば、「普通株式 ○○株、甲種類株式 ○○株」と発行する株式とその数が分かるようにします。

参考:株主総会議事録の書式 雛形(種類株式の発行&増資を同時に決議)

種類株式の発行は、原則株主総会の「特別決議」が必要です。種類株式を発行した場合は、払込期日又は払込期間の末日から2週間以内に法務局へ登記申請を行います。

おわりに

今回は黄金株についてまとめていきました!

黄金株と呼ばれる「拒否権付株式」は、会社の重要事項の議決を拒否できる強力な権限がある株式でしたね!さてそんな黄金株の要点をもう一度振り返っておきましょう♪

  • 1株だけ発行しておけば足りる
  • どのような内容について拒否権を持たせるかを自由に設計できる
  • 定款で種類株式を発行することを定めなければならず、発行するにはハードルが高い
  • 黄金株に相続が発生した場合、会社にとって予期せぬ相続人が株主となる可能性がある
  • 株主と経営陣との間で対立があると問題のない議案に対しても、拒否権を発動する可能性がある

でしたね?

株式投資をする上でこの記事が皆さんのお役に立てれば幸いです!

マナ
以上、マナがお届けしました!

 

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