エクセルで理解する資産運用!ドル・コスト平均法のメリットは?

預貯金の金利がとても低い今、すこしでも有利なお金の運用先をと考えるのは当然ですね。「複数の卵を同じかごに入れるな」という言葉をお聞きになったことがありますか?金融商品を選択する際にリスクを分散する必要があるという意味で用いられます。金融商品のリスクについて考えながら、ドル・コスト平均法のメリットをエクセルで確認しましょう。

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金融商品のリスクとは

金融商品のリスクをまとめると、次のようになります。

価格変動リスク

市場の変動によって価格が変動するリスク(マーケットリスク)のことです。株や投資信託などは売却する時期によっては元本を下回って損失が確定することがあります。

為替変動リスク

外国為替相場の変動によって損が出る可能性がある外貨預金や外貨建て債券などを購入する場合に注意を要するリスクです。今回のテーマであるドル・コスト平均法は、為替変動リスクを分散させる効果があります。

信用リスク

預金先の銀行や社債・株式等の発行体である企業の経営環境が悪化したり破綻したりすることによって損をする可能性を言います。金融機関が破たんした場合の備えとして、預金保険制度があります。

預金保険制度とは、金融機関が預金保険料を預金保険機構に支払い、万が一、金融機関が破綻した場合に、一定額の預金等を保護するための保険制度です。

流動性リスク

お金が必要なときに換金しやすいかどうかのリスクです。株式や債券の中にも売却しやすい、すなわち流動性リスクが低いものもありますが、売却の時期が決まっている債権や買い手がつかない株式など流動性リスクの高いものに投資する場合は、長期間使用する目的のない資金をあてましょう。

リスク分散

さまざまなリスクに備える金融商品の選択方法がリスクの分散です。具体的には

  • 金融商品の分散
  • 金融機関の分散
  • 通貨(投資対象国)の分散
  • 時間の分散

などがあります。

ドル・コスト平均法

ドル・コスト平均法とは時間を分散することで価格変動のリスクを抑える目的の投資法で、定額購入法と呼ばれます。その名の通り、一定の金額でドルなどの為替変動リスクを持った商品を定期的に購入します。

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為替変動

例えばドルに対する円の相場の推移をグラフにしてみましょう。

筆者が作成
参照元:日本銀行時系列統計データ

2007年から2017年までの10年間のデータですが、円高の時は1ドル76円、円安の時は123円と、50円もの幅があります。もちろん円高の時にドルを購入して円安になった時点で円に換金すれば収益が出ることは分かっています。ただ、為替市場が円高になっている場合は「まだまだ円が高くなるのでは」と思ってドルを買う決断がつきません。逆に円安が進んでいる時は「まだ円が下がり続ける」と思って売りの決断がつきません。結果として、ドルを買ったり売ったりするタイミングを逃してしまうことになりかねません。

定期的に購入する

24時間、為替の動向を監視することのできない人にとって、定期的に一定額の外貨を購入するのはリスク分散になります。なぜなら、価格が低いときには買付ける外貨の量が増え、価格が高いときには買付ける外貨の量が減ることで、平均単価を下げる効果があるからです。具体的な表をエクセルで作成してみましょう。

筆者が作成

実際に積立購入する場合は毎月定期的に行うと思いますが、ここでは為替の変動がはっきりするように毎年1月に10万円ずつドルを購入したと仮定しています。最も円が安かった2007年1月は10万円で829.26ドルしか買えなかったドルですが、円高が進んだ2012年の1月には同じ10万円で1,299.71ドルを購入することができました。表のセルB4には

  • セルB4:=ROUND($B$1/B3,2)

という式が入っています。ROUND関数を用いて購入ドルの単位も小数点2位まで表しているのは、日銀の統計データに合わせたからです。さて、10年間でのドル購入の平均コストはどのくらいになったのでしょう?

  • 購入ドルの合計:11,118.68ドル
  • 総購入額(円):1,000,000円
  • 平均購入額(円):1,000,000円/11,118.68=89.94円

でした。最も円安だった2007年の120.59円とは30円、最も円高だった2012年とは13円の差はまずまずの成果と言えるのではないでしょうか?

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まとめ

為替の変動に一喜一憂することなく定額を外貨投資することができるドル・コスト平均法は、忙しい仕事を抱えている人にもできる投資法です。また、外貨をドルに限らず、ユーロ、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、 南アフリカランドなどに分けて積立すれば、時間分散とともに、投資対象の国を分散することができます。投資につきもののリスクを低減させるために必要な分散の意味を理解するためにも、簡単なエクセル表を自分で作って、ドル・コスト法のメリットを実感してみましょう。