今回は「聞いたことあるし、わかってる気になってるけど、実はよくわかっていない」ものの典型である”投資信託”について解説します。
目次
投資信託とは?
投資信託とは一言で言ってしまえば、「分散投資を専門家にやってもらう」ということです。自分のお金を投資の専門家に預けて適当に運用してもらう。そして儲けがでたら投資家に渡すという仕組みです。
投資信託の仕組み
ではここからもう少し詳しく見ていきましょう。
投資信託というのはファンドとも呼ばれますが、いわば”商品”です。投資信託とはシステムの名前ではなく商品名と考えておくのが正しいのです。
このように考えていくと投資家というのは顧客と考えることができますね。顧客はお金を販売会社(証券会社や銀行がこれに当たる)に預けて、そのお金で商品(株式や債権)を買ってもらう、というようにとらえるとわかりやすいでしょうか。
この投資信託という商品は一人一人のお金の合算です。言い方を変えると、個々の投資家から小口のお金を集めて大きな金額すること、とも言えますね。この巨額のお金(投資信託)を用いて商品(株式や債券)を買うのです。
これら一連の流れを”投資信託を買う”というように表します。投資信託という商品を分配して購入し、それを商品(株式や債券)に投資しているので、見方を変えると私たち顧客は投資信託を購入していることになりますよね。
投資信託(巨額のお金)は”信託銀行”で保管・管理されます。
そしてこのお金を”運用会社”という投資のプロたちが集まっている企業が利益がでるように運用します。
もう少しレベルをあげて専門用語を交えながらこの仕組みを見ていくことにしましょう。
まず投資家は販売会社に手数料(販売手数料という)を支払って投資信託を購入します。(投資信託購入金+手数料)
そしてそのお金(投資信託)を販売会社は信託銀行に預けます。この投資信託の運営方法を運営会社が決定し、信託銀行に決定事項を伝えます。
その伝達をうけた信託銀行は指示通りに投資信託を運用します。
この結果得られたお金(分配金)と運用期間を終えた元金(償還金)が投資家のもとに戻ってくる、というのが一連の仕組みです。
投資信託のメリット・デメリット(リスク)
投資信託の基礎がわかったところで投資信託のメリット・デメリット(リスク)を見ていきましょう。
投資信託のメリット
①預けておけばOK、細かい知識不要
②少額から投資可能
③分散投資
④透明性が高い
の4点があげられそうです。以下で詳しく見ていきましょう。
預けておけばOK、細かい知識不要
さきほどの仕組みを思い出してみましょう。顧客(投資家)が専門的な知識が必要な場面があったでしょうか?
お金の運用は専門家が行ってくれるので顧客である私たちは何もしなくていいのです。株式や債券を自分で買って、実際に運用するのは難しいですが投資信託では知識も必要なければ、株価を気にする必要もないのです。
これは銀行にお金を預けておく仕組みに少し似ていますね。私たちは当然のように銀行にお金を預けていますが、年に学生なら数千円程度の利子がついています。
これは銀行が、私たちから預かっているお金を個人や企業に利子付きで貸し付けているので、その利子の一部が私たちに還元されているためです。
翻って考えてみるとこの”預けておけばお金が増える”という仕組みは銀行のシステムと投資信託のシステムは似ていることに気づかされます。
少額から投資可能
株式や債権は1口から買うことができず100万円程度の資金力がないと買えない場合がありますが、投資信託の場合はものにもよりますが1000円や1万円程度から投資できるものがあります。
この点でも銀行のシステムと似ていますね。
分散投資
「リスクを回避するために分散投資したほうがよい」ということをよく耳にしますが、分散投資とはなんでしょうか。
分散投資とは、1つの投資先ではなく複数の投資先に投資することによって、ある1つの投資がうまくいかなくても大きな損害を被るリスクを軽減する方法です。
資産をいくつかに分けて投資しているので1つの投資先が倒産したとしても、ほかの投資先で利益を出すことができれば最終的にはプラスになるか、または損害が出たとしても少額で済みます。
一方で1か所にしか投資していない場合、その会社が倒産してしまった場合大きな痛手を負います。元金がすべてなくなってしまうなどのリスクを軽減するためにも分散投資が良いということですね。
でもこの分散投資、自分でやるとしたら大変です。いちいち投資先を調べて株式を買って、すべての株価をチェックして、、、と。
ですが、投資信託は勝手に分散投資されているので私たち顧客(投資家)には、分散投資という面ではなんの負担もありません。
透明性が高い
原則として毎日、基準価格が公表されているので値動きが非常にわかりやすくなっています。
基準価格とは投資信託の値段のことです。
投資信託はお金の寄せ集めでしたね。ですので基準価格は全体のお金のことと言いかえることができます。
基準価格は買っている株式や債券の時価評価(株式や債券の価値)を基軸とし毎日更新されます。
また基準価格(1口当たり)と書かれることも多いのですが、これは運用開始後に株を買うときまたは株を売るときに使われます。
株は1株、2株と数えるのではなく1口、2口というように数えます。株の単位ですね。覚えておきましょう。
1口あたりの基準価格を出すためには全体のお金÷口の数で出ますね。
一口当たりの値段が知りたいときには使いましょう。
話を少し戻すと、基準価格が明示されているだけではなく決算期ごとに監査を受けているようなので透明性が比較的高いといえるでしょう。
投資信託のデメリット(リスク)
①元金保証がない
②手数料・運用費がかかる
③なかなか利益を手にすることができない
以下で詳細に見ていきます。
元金保証がない
投資信託には元金保証がありません。元金とは投資信託購入時に払ったお金のことで、元金保証とは元手(最初に投資したお金)には損害を加えることなく戻ってくるという保証です。
万が一倒産(デフォルト)してしまったりその事業がうまくいかなかった時にも元金は戻ってきますよ、という保証がないのです。
ここで先程のように銀行の預金システムと比較してみましょう。預金システムでは預けた額だけ必ず引き出せます。このようなものを元金保証があるといいます。
これができないのが投資信託です。元金保証がないので、投資信託の購入価格よりも売却価格が低くなってしまうリスクがあります。
手数料・運用費がかかる
もちろん、プロに運営してもらうのでその分の手数料や運営費を支払う必要があります。
この手数料というのがややこしく、まず投資信託を購入するために「購入時手数料」を支払う必要があります。
また運用期間中は「信託報酬」というものが信託財産(投資信託の購入金があてられる)から差し引かれます。運用にまつわるエトセトラ分の手数料といったところです。
加えて、信託財産からは「監査報酬」(投資信託が公正に執り行われているかを確かめることに対する報酬)や「売買委託手数料」(購入手数料とは別途にとられる、販売会社に支払うお金)がひかれます。
このほかにも販売会社によっては「信託財産保留額」という運用途中に換金した場合にとられるお金もあるようです。
なかなか利益を手にすることができない
受渡日という投資信託を現金化する日があります。投資信託ではこの受渡日までが長く、投資信託の売却依頼をしたあとすぐに現金を手にすることができません。
運用途中でも現金が必要になった時に現金化できるのはメリットですが、売却依頼後1,2週間は手続きなどのせいで引き出せません。
投資信託の種類①
以下では投資信託協会のサイトを参照しています。
投資信託にはいくつか種類があります。
大別してみると煩雑なものではなくなります。
まずは契約型なのか会社型なのかと大別します。
契約型とは私たちのような投資家が顧客となっている投資信託のことを指します。運用会社と信託銀行が契約を結ぶことによって形成される組織のことです。
会社型とは投資を目的とする会社を設立することで組織される投資信託のことを指します。
後者のほうは日本ではほとんど見られないようなので今回は細かい解説は割愛します。
契約型の中にもたくさんの種類があります。その種類は以下の4つの選択の組み合わせで決まります。ということは32種類の投資信託が存在するということですね。
公募は、機関投資家(個人投資家の投資額を合算して大きな投資をする会社)などの一部の投資家を対象とした投資信託です。私募は私たちのような有象無象の投資家を対象としたものです。
単位型は運用開始前にしか購入できないもの。追加型は、運用期間中いつでも購入できるもの。
オープンエンド型は運用期間中に払い戻し可能なもの。クローズエンド型は運用期間中は払い戻し不可なもの。
株式投資信託は契約書に株式に投資可能と書かれているもの。公社債投資信託は、契約書に株式には投資しないと明記されているもの。
投資信託の種類②
上記の32通りに加えて投資先による違いもあります。
利益の源泉が国内か海外かはたまた内外(利益が国内外の資産を源泉とするもの)か。
投資対象が、株式か債権か不動産投信(リート)かコモディティか、その他の資産か資産複合か。
では以下で詳しく見ていきますね。
投資対象が何か
投資対象は株式、債券、不動産投信(リート)、コモディティ、その他の資産と資産複合という6個の投資先が存在します。
株式や債券の詳しい説明はこちらの記事をご参考にしていただくとして今回は説明を割愛します。
不動産投信(リート)というのはその名のとおり不動産に投資することです。
コモディティというのはcommonという英単語から想像できるように”よくある、普遍的”といった意味です。
一般的には、当該商品の商品価値が同じような商品の中で普遍化することを指し、具体的には金や原油などを言います。
その他の資産とは上記の資産ではない、先物取引等に投資することを指し、資産複合とは上記のものを複数組み合わせたものに投資することをいいます。分散投資ということです。
実は上記のほかにもMMFやMRF,EFTと呼ばれる独自の区分を持つものもあります。
MMFというのはmoney management fundの略称で、MRFはmoney reserve fundの略称です。どちらも公社債投資の一種です。
前者のMMFは、自分で申請してほしいものを買うのですが、後者のMRFは証券口座を開設し入金すると自動的に買われるものです。
最後に
今回はわかりそうでわからない”投資信託”の概要や仕組み、利点等について解説していきました。
新しい単語が多く、すこし煩雑であったかもしれませんがよく咀嚼して覚えていただけると幸いです。
今回の記事で重要なポイントは2つ!
①投資信託とは元金保証はないが、専門的な知識がなくても、少額から手軽に分散投資を行えるものである。
②投資の方法(制度)や投資先によってさまざまなタイプが存在する
ということです♪