今回は日本国内にある証券取引所の特徴や違いについて書いていきます。
現在日本の証券取引所は4つあります。一番有名な「東京証券取引所」以外にも名古屋証券取引所や札幌証券取引所、福岡証券取引所というものがあるのです。
なぜ4つもあるのでしょうか?以下で徹底解説していきます!
目次
株に関する用語を整理しよう
ところで、証券取引所とは何のことでしょうか?株式に関する用語はややこしいものが多いですよね。
証券取引所や証券会社、市場、株式市場、、各々の言葉が何を指しているのかはっきりわかっていない方も多いのではないでしょうか?
という方のために、今回はまず初めに株でよく聞かれる言葉を整理してみます。
「株式市場」というのは抽象的な概念で、世界各国に存在します。日本株式市場や香港市場市場、といったように。
「証券取引所」というのは、様々な株式の売買を<実際に>行っているところのことを指します。冒頭で取り上げたように、日本には4つの証券取引所が存在しています。
「証券会社」というのは、「証券取引所」で扱われる様々な株式を<一般人>にむけて販売している会社のことです。
投資家を含め、一般人は株式を取り扱う資格を有していないので「証券会社」を媒介して株式を買っています。
「市場」というのは、各「証券会社」が上場企業をレベル別に分けたものをいいます。
分けた1つ1つのレベルに名前をつけて「~市場」や「東証一部」というように呼んでいるのです。
証券取引所って何?
株に関する用語を整理はできたでしょうか。
先程「証券取引所」のことを<様々な株式の売買を<実際に>行っているところ>と説明しましたが、ここではもう少し詳しく解説します。
証券取引所での株の取引時間は決まっており、午前9時~11時半、午後12時半~15時までとなっています。
この午前の部(9:00~11:30)のことを「前場(ぜんば)」と呼び、午後の部(12:30~15:00)のことを「後場(ごば)」と呼びます。
ちなみに取引開始時間を「寄り(または寄付)」といい、取引最中を「ザラ場」、取引終了時を「引け」と呼びます。
また証券取引所が開いているのは平日のみで、土日祝日はお休みです。
蛇足ですが、一年で最後の取引日である12月30日を「大納会」、始まりである1月4日を「大発会」といいます。
日本国内にある証券取引所
冒頭でもお伝えした通り、日本国内には4つの取引所がありますが、大別すると「日本二大証券取引所」と「地方証券取引所」というように分けることができます。
「日本二大証券取引所」とは、東京証券取引所と名古屋証券取引所のことを指します。
昔は「大阪証券取引所」というものも存在していたようですが、2013年に合併し東京証券取引所となったようです。
一方で「地方証券取引所」は福岡証券取引所と札幌証券取引所のことです。
一体、何が違うのでしょうか?以下で日本国内にある4つの証券取引所について細かく見ていくことにします。
東京証券取引所
日本で一番有名な証券取引所と言えば、「東京証券取引所」ですね。通称「東証」。
日本のいわゆる大手企業は東証に上場しています。東証には4つの「東証一部」「東証二部」「マザーズ」*「ジャスダック」という市場があります。
この4つには、ごく簡単に言ってしまえば、上場するための審査基準の違いが存在します。
「東証二部」に上場するよりも「東証一部」に上場する法が難しいということですね。
*ジャスダックのなかにも、ジャスダックスタンダードとジャスダックグロースという2つの市場があります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください→東京証券取引所における市場の種類を徹底解説!
また、よくニュースで耳にする「日経平均株価」というのは東京証券取引所の東証一部に属しているうちの上位225社の平均株価のことを指しています。
日経平均株価の詳しい解説はこちらから→TOPIXとは?日経平均株価と何が違うの?わかりやすく徹底解説します!
名古屋証券取引所
名古屋証券取引所は日本の二大証券所の1つですね。愛知県名古屋市に位置しています。通称「名証」。
名古屋証券取引所には、主に名古屋周辺に本社がある企業が上場しています。ただやはり東証には及ばないので、取引量は少ないようですね。
名証には「名証一部」「名証二部」「セントレックス」の3つの市場があります。
この3つの違いも東証と同様に、上場審査基準が異なっていおり、セントレックスは東証におけるマザーズの位置を担っているので<新興企業>を対象としています。
福岡証券取引所
地方証券取引所の1つで、九州に本社を置いている企業などが上場しています。
市場は「本則市場」と「Q-Board」の2つです。
「本則市場」というのは、当該の証券取引所でメインとなる市場のことを指し、「Q-Board」は東証のマザーズに当たり、九州周辺の新興企業を対象としています。
札幌証券取引所
こちらも地方証券取引所の1つで、北海道はとりわけ札幌周辺に本社のある企業が上場しています。
市場は「本則市場」と「アンビシャス」の2つで、(ご察しの通り)アンビシャスは北海道の新興企業を対象としています。
4つの取引所の違い
4つの特徴を理解したところで4つの違いについて見ていきましょう。違いは大きく分けて2つです。
①上場企業数の違い
②上場条件の違い
以下で詳しく見ていきます。
上場企業数の違い
まず何といってもこの4つの証券取引所では上場企業数が違います。日本の中心となる証券取引所は、東証(東京証券取引所)と名証(名古屋証券取引所)の2つですが、名証に上場している企業は少なくほとんどの会社が東証に上場しています。
現在(2018年11月6日時点)、東証に上場している会社は4つの市場を合わせると3640社にものぼります。その詳しい内訳をみると、東証一部が2112社・二部が502社・マザーズが269社・ジャスダックスタンダードが693社・ジャスダックグロース37社となっています。
一方、名証は市場一部194社、二部83社・セントレックス12社で3つの市場の合計が289社となっているようです。
また地方証券取引所である、福岡証券取引所と札幌証券取引所の上場数はそれぞれ、福岡証券取引所108社、札幌証券取引56社です。
上場条件の違い
次に大きく異なるのが、上場条件です。もちろん、大きい証券取引所のほうが条件は厳しいものとなっています。
東証は4つの市場を持っているので、その市場ごとに上場条件は異なりますが違いがわかりやすい東証二部を例にとってみてみましょう!
株主数(上場時見込み) | 800人以上 |
流通株式(上場時見込み) | ①流通株式数 4000単位以上 ②流通株式時価総額 10億円以上 ③流通株式数(比率) 上場株券等の30%以上 |
時価総額(上場時見込み) | 20億円以上 |
事業継続年数 | 3年以上 |
純資産(上場時見込み) | 10億円以上 |
利益の額または時価総額 | ①最近2年間の利益の総額が5億円以上 ②時価総額が500億円以上 |
*流通株式とは?
全発行株券のうち流動性があるもののことを指します。上場企業が保有している株や役員が保有している株などは、動きにくいことが想像にたやすいかと思いますが、そのような株ではないものを「流通株式」と呼びます。
極単純化すると、上の表のような条件があります。詳しい上場条件はこちらから。
名証はというと、以下のような条件になります。こちらも二部のものを見てみます。
株主数(上場時見込み) | 300人以上 |
流通株式(上場時見込み) | ①流通株式数 2000単位以上 ②上場株式数(比率)上場株券の25%以上 |
時価総額(上場時見込み) | 10億円以上 |
事業継続年数 | 3年以上 |
純資産(上場時見込み) | 3億円以上 |
利益の額または時価総額 | ①最近1年間の利益の総額が1億円以上 ②時価総額が500億円以上 |
詳しい条件はこちらから→名証
福岡証券取引所(本則市場)・札幌証券取引所(本則市場)は以下の通りです。
項目 | 福岡証券取引所 | 札幌証券取引所 |
株主数(上場時見込み) | 300人以上 | 300人以上 |
流通株式(上場時見込み) | ①流通株式数 2000単位以上 ②上場株式数(比率) 上場株券 25%以上 | ①流通株式数 2000単位以上 ②上場株式数(比率) 上場株券 25%以上 |
時価総額(上場時見込み) | 10億円以上 | 10億円以上 |
継続年数 | 3年以上 | 3年以上 |
純資産(上場時見込み) | 3億円以上 | 3億円以上 |
利益の額または時価総額 | 最近1年間の利益が5000万円以上 | 最近1年間の利益が5000万円以上 |
最後に
今回は日本国内にある証券取引所について紹介していきました。日本には4つの証券取引所がありましたが、ほとんどの企業が東証(東京証券取引所)に所属していることがわかりましたね。ではここで本日のまとめです。
- 証券取引所とは<様々な株式の売買を実際に行っているところ>
- 取引時間は平日午前9時から15時(途中1時間の休憩あり)
- 日本の証券取引所は「東京証券取引所(東証)」「名古屋証券取引所(名証)」、地方証券取引所の「福岡証券取引所」「札幌証券取引所」4つが存在する
- それぞれ上場企業数や上場条件が異なるが、日本の証券取引所の根幹を担っているのは東京証券取引所(東証)である。
以上の4点を押さえておきましょう♪