普通株式という株以外に種類株式があることを知っていますか?
実は株式の種類、2つや3つどころではなく、9つもあるのです。これを総称して種類株式と言います!
もちろんです!今日は株式用語の一つである『種類株式』についてわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
種類株式とは?
種類株式とは、株主の権利内容について、会社が義務付けた特別な条件を持った株式のことです。
会社が株式を発行する際、最も一般的な普通株式は、株主平等の原則に則り、株主の権利内容などを限定しません。
しかしながら種類株式は一定の事項について、普通株式よりも優遇されることもありますし、反対に後回しの扱いを受けることもあります
現在日本において種類株式は全部で9つあります。では9つの株の特徴やメリット・デメリットなどを簡単に紹介していきます。
それぞれの種類株式は以下の通りです。
剰余金の配当規定が定められた株式
剰余金の配当に関する優劣が定められている株式です。
優先株式は配当が有利な地位にあると認知されているものを指し、地位が一般的なものであれば普通株式、地位が劣っているものであれば劣後株式と呼称されます。
残余財産の分配規定が定められた株式
残余財産の分配に関する優劣が定められている株式です。
こちらも優先株式や劣後株式と呼称されるため、①と混同しないように注意しておきましょう。
議決権制限規定がある株式
名前の通り株主総会での議決権が制限されている株式です。
中には無議決権株式もあり、これを持っている株主は株主総会での発言権を持つことはできなくなります。
ただ、種類株主総会では議決権が行使されると解釈されることが多いです。
一般的には優先株式が買取されないように議決権制限規定を設けられていることが多いです。
議決権制限規定は株式公開会社であれば発行されている株式総数の2分の1以下に留めておかなければならないことになっていますが、株式非公開会社であればその制限はありません。
譲渡制限規定がある株式
譲渡制限規定は譲渡制限株式とも呼ばれるものであり、文字通り他者への譲渡が制限されているものです。
譲渡制限規定が付加されている株式は会社の承認を得なければ譲渡できなことになっています。
取得請求権規定がある株式
取得請求権付種類株式とは、株主がその所有している株式を会社に対して買い取るように請求することができる株式です。
会社は対価として、現金、普通株式、社債、新株予約権などの予め決められた財産を株主に交付します。
株主から取得請求があれば、会社は分配可能額の範囲で取得しなければならず、その請求を拒むことはできません。
同じような種類株式に「取得条項付種類株式」がありますが、こちらは株主ではなく会社側に買取りの請求権があるという点で、取得請求権付き種類株式とは全く異なる性質を持っています。
取得請求権付種類株式を発行する際には、予め定款で会社に対して株式を買取ることを請求できること、その対価、取得期間などを定めておかなければなりません。
取得条項規定がある株式
取得条項付株式とは、一定の事由が生じたことを条件として、株主の同意なしに会社が強制的に取得することができる条項が設けられている株式のことです。
一定の事由とは、株式の公開、新株の発行に加え「会社が定める日の到来」など、定款で幅広く定めることができます。この取得条項付株式は、事業承継のスムーズな推進に活用できます。
株式を強制的に取得する場合、その対価として金銭や社債、新株予約権、新株予約権付社債、ほかの種類株式など何を交付するか、あらかじめ定款で定めておくことが必要です。
このうち、ほかの種類株式を交付することを選択した場合、以下のようなパターンで、一定の事由が発生したときに、株主が保有する株式の種類を転換することが可能となります。
- 「議決権制限株式」を強制的に「普通株式」に転換する
- 「普通株式」を強制的に「議決権制限株式」に転換する
「議決権制限株式」とは、株主総会において議決権を行使できない株式である「無議決権株式」や、決議事項の一部に限り議決権を行使できる「議決権一部制限株式」などのことです。
会社の立場から考えると、1.にすると一定の事由が発生した場合に、特定の株主の議決権を行使できるようにすることができますし、2.の場合、一定の事由が発生した場合に、特定の株主の議決権を行使させないようにすることができます。
全部取得条項規定がある株式
全部取得条項付株式とは、会社の株主が持っている株式を株主総会の特別決議によって、その全部を買い取ることができる種類株式です。
株主総会の「特別決議」では、「議決権の過半数を持つ株主が株主総会に出席して、その3分の2以上の賛成」が必要です。
株主は持株全てを会社に渡すことになりますので、株主としての地位を失います。ですので、その対価として会社から金銭やその他の種類株式等を受け取ることができますが、取得対価を無償と設定することも可能です。
株主保護の法律により、買い取り価格が不当な場合は、裁判所に対して公正な価格を決定するように申立てを行うことができます。
全部取得条項付株式は株主全員の同意がなくても、株主総会の特別決議のみで実行されますので、少数の株式を所有している株主を排除するための手段として活用されています。
拒否権規定がある株式
株主総会の決議に対し拒否権が規定されている株式です。
黄金株はこれに該当します。
※Fincleでは黄金株についてもまとめています!気になった方は是非チェックしてみてください!
黄金株(拒否権付種類株式)って?デメリットや発行方法を徹底解説します!
役員選任権規定がある株式
種類株主総会において、取締役か監査役を選任できる株式です。
ただし、委員会を設置している、あるいは株式公開をしている会社は発行することができません。
おわりに
今回は種類株式についてまとめてみました!株式にこんなにも種類があるなんて知らなかった方も多いのではないでしょうか?
上場企業では種類株式を発行している会社は少ないですが、今後株式を購入する際は、その会社が種類株式を発行しているのかいないのか?ということも確認してみてくださいね!
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。