

バイトなどでは必ず「扶養控除」「源泉徴収」「確定申告」などという言葉を耳にしますよね。
皆さんはこの意味や仕組みをしっかり理解しているでしょうか?

ということで今回は源泉徴収と確定申告について詳しく解説していきます。

*この記事は学生バイト向けです。
目次
源泉徴収の概要
そもそも源泉徴収とは、<所得税の申告を個人に変わって行う>納税制度のことをいいます。
税金の計算をして個人で納税しなければいけなかったとしたらどうでしょうか?

そうですよね。<納税の計算><申告書の作成>と聞いただけで頭が痛くなりますよね。「なんだか煩雑そう、、、」と。
そこで源泉徴収という納税制度ができました。冒頭でも申し上げた通り、源泉徴収とは<所得税の納税を代わりにやってくれる>制度なのですね。
ちなみに住民税や社会保険料が差し引かれる「特別徴収」というのも似たような制度ですよ♪
さてここでもう一つ重要となってくるのが「扶養控除申告書」です。こちらも皆さんがバイトを始めるときや年始に提出するものです。
では一体「扶養控除申告書」とはなんでしょうか?
扶養控除とは?
「扶養控除」というのは扶養家族が何人いるか、つまり養わなければならない家族が何人いるかということです。
私のような学生の皆さんは大抵0人ですね。
また「扶養控除」に該当者には「年間の給与額が103万円以下の者」という項目があります。
これは大抵の学生に当てはまりますね。これらを確認するために「扶養控除申告書」というものを提出する必要があるのです。
これを提出した学生バイトは「扶養控除」を受けることができ、すなわち源泉徴収で取られすぎていた税金が戻ってくる可能性があるのです。

源泉徴収はいつひかれてるの?
源泉徴収は一か月に8万8000円以上稼ぐと、給料から自動的にひかれています。
しかし、先ほど見たように給与が年間103万円以下の場合、源泉徴収は戻ってきます。

年末に一気に天引きしてしまうと負担が多大になってしまいますし、貯金をしっかりしていない人の中には払えない人もでてくるかもしれません。
また年始には一年でどれくらい稼ぐか、はわかりません。

なので一か月ごとに8万8000円以上稼いでいる人からは源泉徴収を行うのです。

その場合には2つのタイプにわけられます。以下で詳しく見ていきます。
103万円以上130万円以下の場合
103万円以上稼いでいる場合、家族の扶養から外れてしまいます。これは今まで親が払ってくれていた自分にかけられている社会保険料を支払わなければならない、ということを意味します。
この社会保険料というのが厄介で、年間30万円くらいかかってしまうのです。

しかし、勤労学生の場合(*大学などに通っている学生の場合)は勤労学生控除の非課税枠が27万円なので130万円以下であれば所得税の課税は免れることができます。
この際には
- 扶養控除申告書に勤労学生控除に関する事項を記入する
- 確定申告の際に、勤労学生控除に関する事項を記載する
必要がありますので、お忘れなく。
*この学生には以下に所属する人が該当します。
(3) 特定の学校の学生、生徒であること
この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。
イ 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
ロ 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
ハ 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認してください。
(国税庁ホームページ No.1175 勤労学生控除 から抜粋)
130万円以上の場合
では130万円を超えてしまった場合はというと、もちろん家族の扶養から外れ、かつ勤労学生控除からも外れてしまします。
そうなってしまうと先述した通り、社会保険料約30万円を支払わなくてはなりません。

「源泉徴収」と「確定申告」の違いとは?
ここまでで「源泉徴収」や「扶養控除」の概要がわかっていただけたかと思います。しかしここで「じゃあ確定申告って何?」という疑問が頭をもたげてきた方もいらっしゃることでしょう。

ということでここで「源泉徴収」と「確定申告」の違いについて見ておきましょう。
源泉徴収≒年末調整
上記で説明してきた「源泉徴収」というのは、ざっくり言ってしまえば「年末調整」で返ってくることのあるお金のことです。
「年末調整」というのは年末に納税の調整を行うことを言います。具体的には、多く払いすぎてしまった分の税金を回収したり、または不足分を払ったりします。
この「年末調整」は会社などを通して行われるので会社がやってくれる)、皆さん自身が直接税務署に赴くことはありません。
確定申告とは?
一方で「確定申告」というのはさまざまな所得について自分で<個人で>申告・納税することをいいます。
これに該当するのは、バイトを掛け持ちしている人や(=2か所以上から収入がある人)不動産や株に投資して儲けている人などです。
一か所からしか給与をもらっておらず、また扶養控除申告書を提出している人には関係のないもの、ということになりますね♪

以下、簡単に「源泉徴収(年末調整)」と「確定申告」の違いをまとめておきます。

確定申告を行う時期は2月の中旬から3月中旬までですのでお気をつけください!
源泉徴収の計算の仕方
ではここからは具体的な計算の仕方を見ていきましょう。

一見難しそうに聞こえる源泉徴収の計算ですが、思ったより簡単なのでこの際に覚えてしまいましょう♪
STEPはたった2つだけです。まず「課税対象額」を計算し(引き算するだけ)、次に「源泉徴収額」を出すだけです。
「課税対象額」というものは一か月分の給与(または日給)から社会保険料を差し引いたもののことを言います。
なのでまず「課税対象額」=「一か月分の給与(または日給)」-「社会保険料」をします。

この「課税対象額」を国税庁が発表している表に当てはめて、所得税がいくらになるのかを確認します。
この「所得税」に「扶養家族数に応じた税額」を足したものが源泉徴収額となります。
「源泉徴収額」=「所得税」+「扶養家族数に応じた税額」ということですね♪
では具体的に計算してみましょう!
アヤネさんの10月のアルバイトによる給料は17万円でした。この金額は付加税ではなく、一旦税金をひかれてしまう額ですね。
またアヤネさんには扶養家族はいません。
以上のことを踏まえて該当箇所を*この表から探してみると3700+11700円になるので、源泉徴収額は15400円ということになります。
*下の図でいうと赤い線がの部分


源泉徴収の対象
あまり必要はないかもしれませんが、ついでに源泉徴収の対象を押さえておきましょう。
学生に関係があるほうだけを国税庁のホームページから以下に抜粋します。
(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(国税庁ホームページ No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは より引用改変)
大事なのは赤字に変更した部分と給与や賞与、利子、配当などが含まれるという点です。しっかり覚えておきましょう。
確定申告の方法
今度は確定申告の方法を見ていきましょう。
必要なもの
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 領収書
源泉徴収票がない場合は?
源泉徴収票をなくしてしまった、または捨ててしまったかたでもバイト先に依頼すれば再発行してもらうことができます。
辞めてしまっていても再発行を依頼することができるのでご安心ください♪
また万が一、再発行を拒否された場合には税務署に相談しましょう。
これは法律違反なので税務署から税務指導が入ります。そうなれば確実に再発行してもらえますね。
確定申告書の作成
実は現在では簡単に、インターネット上で作成することができるのです♪
作成方法は簡単でこちらの国税庁のサイトの指示に従って必要事項を入力していくだけです!

申請方法は「ネット完結」または「郵送による完結」の好きなほうを選択することができます。
ネットの場合はe-Taxを選択するのですが、この際に使っているパソコンがWindows7,8.1,10のいづれかであり、またブラウザがInternet Explorer11であること、そしてPDF閲覧ソフトがAdobe Acrobat Reader DCであるという条件を満たしていなければなりません。
また郵送の場合でも、OS(使っているパソコン)がWindows7,8.1,10のいづれかで、ブラウザがInternet Explorer 11、Microsoft Edge 41、Firefox 56、Google Chrome 62のどれかを使用し、PDF閲覧ソフトはAdobe Acrobat Reader DCであることに加えて
プリンターに接続されていること(またはプリントサービスを使用予定であること)が条件となりますのでご留意ください。
もしこのような環境が用意できない場合は、従来通り書類を作成して提出することも可能です。
この際使用する申告書はアルバイトであれば通常、A様式です。
あとは申告書に書かれている項目に実際の数字を記入するだけです。わからない場合などは直接国税庁に赴いて担当者に聞きながら記入するとよいでしょう!
記載例はこちら→http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei2017/pdf/shinkoku_a.pdf
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は源泉徴収など、少しややこしいですが学生に関係のある税金について書いていきました。以下でまとめをします。

- 源泉徴収とは<煩雑な所得税に関する納税を個人に変わって会社が行ってくれる制度>
- 年末調整とは、源泉徴収等に関係する税金の還元や追納に関するもの
- 確定申告とは、自分で行う納税
- 年間103万円以下であれば、年末調整の際、あるいは一か所以上からの収入がある場合は確定申告を自分で行う際に、払いすぎた分が返ってくる可能性がある。
