最近よく聞く、資金洗浄(マネーロンダリング)とは?世界に与える影響や対策を紹介!

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シン
こんにちは、fincle専属ライターのシンです!

みなさんは、資金洗浄(マネーロンダリング)という言葉をお聞きしたことがありますか?難しそうに見えるこのマネーロンダリング、実はみなさんにとって意外と親しみのある言葉かもしれません。

映画などでもよくマネーロンダリングのシーンはよく見かけられますね!

今回の投稿では資金洗浄、英語ではマネーロンダリング(Meony Laundering)という用語に関して詳しく語って行きたいと思います!

資金洗浄(マネーロンダリング)とは?

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資金洗浄(マネーロンダリング)の概念

簡単に説明すると、マネーロンダリングは不正な手段で得た巨額の資金(脱税・麻薬取引・テロ組織活動等)、いわゆる’汚れたお金’を正当な手段で得た資金と見せかけ、身元がばれず市場で使えるようにする行為です。

資金洗浄(マネーロンダリング)はなぜ違法なのか?

一般的にマネーロンダリングは不正行為として見なされ、法律上禁じられているのですが、そもそもなぜ不正行為として分類されるのでしょうか?

当たり前のように思われますが、マネーロンダリングがなぜ違法なのか疑問に思いませんでしたか?

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それはなぜかと言うと、マネーロンダリングの目的自体が犯罪行為を通して不正収益金を得るからであります。つまり、通常の経済活動で得た利益ではないので、不正行為として判断されることです。

また、マネーロンダリングに関わる個人・団体の犯罪者たちは、自分たちの利益のために犯罪行為の手助けをすると言うことからも規制の対象として見なされております。

マネーロンダリング自体が犯罪なのですが、それとともに犯罪を後ろからサポートしている現状がより肝心なポイントです。

資金洗浄(マネーロンダリング)はどのように行われるの?

実際にマネーロンダリングはどのようなプロセスで行われるのでしょうか?

マネーロンダリングのプロセスは大きく分けて配置、階層化、統合という3段構成となります。

第1ステップの「配置」は、何らかの方法で金融システムに「汚れたお金」を導入する行為を示します。2番目の「階層化」の段階では、一連の複雑な取引や簿記の手段により、その資金源を隠すことです。最終段階の「統合」では、意図的に作り上げた合法的な手段でその資金を取得する行為を指します。

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身近なところでもマネーロンダリングを行える?

Amazonのギフト券でもマネーロンダリングが?

マネーロンダリングは意外と身近な商品利用してできることもあるようです。例えば、普段からよく使われている Amazonのギフト券などの電子マネーを購入し、そのあとそれらをオークションの形として販売することによりマネーロンダリングができると言うことです。

なぜ、Amazonのギフト券を購入し、それをオークション型で販売する行為がマネーロンダリングになるのでしょうか?

なぜならば、ギフト券を購入し、それらを販売する場合、その人の意図を把握することが難しいためです。そもそも、その人が持っていた資金が不正行為で得たものなのか見極めることが簡単ではないため、悪用される余地があるということです。つまり、ギフト券を購入し、使いどころがなくなり友人へ販売したということを明確に証明できれば特に大きな問題はないと思いますが、意図的に電子マネーを購入し、それを売り新たに現金を得ること自体が犯罪になるということです。あとで事例で紹介するHSBCの件なのですが、そこでも同銀行のマネーロンダリング対策に対する態度の問題でより多くの罰金が課されたということもありました。

ちなみに電子マネー以外にも、金券類や郵便切手などでもマネーロンダリングを行われていましたがが、比較的足がつきやすいという特徴があるため電子マネーが注目を受けています。 マネーロンダリングというのはこのように意外と私たちの身近な商品で行うことができるのです。

周りの人から何気なく勧誘されることもしばしばあるらしいので警戒して対応してください!

資金洗浄(マネーロンダリング)が社会へ与える影響は?

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マネーロンダリングが市場へ大きな悪影響を及ぼす

2016年 に行われたPwCの調査によると、世界のマネーロンダリング取引額は、グローバルGDPの約2%から5%を示しておりまたは約1兆〜2兆ドル規模(約100~200兆円)であることが明らかになりました。

世の中のGDPの2~5%に至る資金がマネーロンダリングとの関わりがあるなんてかなりの金額ですね。

マネーロンダリング自体は、犠牲者のないホワイトカラー型犯罪と名付けられるのですが、時には重大かつ深刻な犯罪行為との関わりがある場合もあります。マネーロンダリング行為を防ぐことができれば、それが犯罪者個人および国際組織の資金の流れをつかむことができるということです。

また、マネーロンダリングは市場価値よりも低い価格で商品やサービスを提供することが比較的多いです。そのため、通常のビジネスが市場で正当な競争ができる環境を悪化させ、正当なビジネスの運用へ影響を与えることになります。

市場を紛らわしくする機能を果たしているので、犠牲者のないホワイトカラー型犯罪とは言い切れないですね

金融機関や事業会社が政府により規制されている状況下で、マネーロンダリング事件が起きたりや合理的なアンチ・ロンダリング・ポリシーがうまく機能されてい場合、ビジネス許可や政府関連のライセンスの取消し命令を受ける可能性があります。

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マネーロンダリングと関わりのあるビジネスには罰金が課される(国や金融機関)

DB、ING、RBS、Barclays、Lloyds Banking Groupの金融期間は、イラン、リビア、スーダン、ロシアなどにおけるマネーロンダリング行為に関連する取引に関与したことで罰金を課されました。

話題となったマネーロンダリングの実例としてHSBCは、適切なマネーロンダリング対策を実施しなかったことで罰金を課されました。

米国連邦政府によると、HSBCは、複数の薬の売人へマネーロンダリングサービスを提供していたメキシコのある団体に対して消極的及びほぼ何の行動も起こしていなかったことから罪があるということが明らかになりました。また、その集団は、HSBCメキシコからアメリカへ大量の不正行為で得た資金を送金していたことも判明されました。

政府は、HSBCがアンチ・マネーロンダリング措置の一部として適切に記録を残す作業が行われていなかったと述べました。これには未監査のままである大量の残務とHSBCによる不審な活動に対する報告の欠如も含まれていました。

1年間の調査の結果、連邦政府はHSBCが米国の銀行法を遵守せず、米国にメキシコで得た麻薬取引資金、不審な旅行者小切手、および日本では1991年4月に廃止された無記名株を発行した企業との関連性があると指摘しました。 2012年に同銀行は、米国当局に対し19億2000万ドル(約1536億円)の罰金を支払うことへ合意しました。

国際金融機関ではありつつも、社会的責任は負うべきですね。

資金洗浄(マネーロンダリング)との戦い

他国の事例

政府はアンチ・マネーロンダリング規制を通じ、マネーロンダリング対策に長年取り組んでいる。これらの規制により、金融機関は、疑わしいマネーロンダリング活動を検出し報告するためのシステムを設置する必要があります。

G7は1989年に国際規模でのマネーロンダリング対策のために、金融行動対策部(FATF: The Financial Action Task Force)という国際委員会を結成しました。 2000年代頭には、テロ組織の資金調達に対抗するために同委員会権限が拡大されました。

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アメリカの対応

米国は1970年に金融保証法を可決しました。不審活動報告書(SAR: Suspicious Activity Report)に基づき、金融機関は1万ドル以上の現金取引や疑わしいと思われる取引などを財務省に報告するよう義務付けました。

これらの法律は金融取引を通じた犯罪行為の追跡に役立ちましたが、マネーロンダリング規制法の試用期間として1986年まで米国でのマネーロンダリング行為は違法ではありませんでした。この法律は、連邦政府にマネーロンダリング行為をより活発に規制するため、起訴に必要な条件を削除したのが特徴です。

米国のパトリオット法は、9/11のテロ事件直後に、テロリストの調査のために集団犯罪及び麻薬密売行為の捜査ツールの使用を許可することでマネーロンダリング規制レベルを強化しました。

「2001年の国際マネーロンダリング防止と金融反テロリズム法」と呼ばれるパトリオット法の第III章は、テロ行為、テロリストへの資金調達、マネーロンダリング行為の疑いのある当事者による米国の金融システムを悪用することを防ぐことを目指しています。

財務省は、2つの金融機関が十分なアンチ・マネーロンダリング手続を適用していないということは発覚された場合、両金融機関の合併を中止できる権利を持っています。

アメリカはやはり9/11事件をきっかけにテロ対策へ多くの力を入れているんですね。

日本政府の対策は?

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日本では2007年1月4日を基準に、悪質なマネーロンダリングへの対策を強化するため、本人確認法(金融機関等による顧客の本人確認及び預金口座等の不正利用の防止に関する法律)が一部改正されました。それによって、現金でのATM振込み限度額が10万円にまで引き下げられました。

10万円を超える金額の振込みを行う際には、窓口にて本人確認書類を提示することが義務付けられました。これは近年話題になった「振り込め詐欺」防止対策のひとつとしても成り立っております。

なるほど!だからATMで10万円を超える金額を送金することがができなかったのですね。

まとめ

今回の記事でもやや硬いお話を紹介しましたけど、どうでしたか?

マネーロンダリング自体はある意味簡単に捜査でき処罰を与えることができるようには見えますが、意外と金融機関及び国家機関の協力なしでは適時に監視することができない場合もよくあるということがわかりました。

不正な手段ではなく、健全な経済活動を行うことによりお互いwin-winの環境作りへ貢献できるのはないかと思います。