今回は、仮想通貨を用いたマネーロンダリングを紹介していきたいと思います!
おそらくみなさんは、一般的なマネーロンダリングに関してはある程度理解をされていると思いますが、もう一度確認したいようであれば、ほかの記事でも一般的なマネーロンダリングを詳しくご紹介しているので、一度目を通してみてください!
最近よく聞く、資金洗浄(マネーロンダリング)とは?世界に与える影響や対策を紹介!
目次
仮想通貨(デジタル)マネーロンダリングの特徴
一般的に、薬物取引(不正行為)から得た「汚れた金」を暗号化し、それをまたより小額に分割したり複数の仮想通貨に分けることで、マネーロンダリングが行われています。
仮想通貨(デジタル)マネーロンダリングの実例
今年の3月にとあるイギリス人が、犯罪者(不正行為で利益を求める集団)から1100万ユーロ(約14億円)相当のマネーロンダリングを目的とした「ビットコイン」(≒汚れたビットコイン)を受け取りました。その後、犯罪者からもらったビットコインを自分の銀行口座を通して現金化に成功しました。
その後、彼はマネーロンダリングで得た現金の一定金額を除き、再び犯罪者たちへ送金したことが発覚され、オランダにて刑務所行きの処罰を受けることになりました。
このように、結果的に処罰を受けている人もいますが、さらに高等な手段を用いるプロのロンダリングは、より洗練された方法によって行われており、捜査を回避するために、古い方法と新しい方法を混ぜているようです。
欧州刑事警察機構(ユーロポール)は、最近、ヨーロッパの犯罪組織のボスがコロンビアの麻薬取引者へコカイン代を支払うためにどのように仮想通貨を使用したことを公表しました。彼は、現金のユーロを仮想通貨へ交換するために取引所を用いたようです。
そこで得た仮想通貨はコロンビアで登録されたデジタルウォレットに送られ、オンライン取引所を通してペソに交換されました。交換されたペソは現金として引き出されましたが、規制当局からの監視を避けるため、小額ずつ数十箇所の銀行口座に分散して管理しました。
これについて、Surrey大学のMichael McGuire氏は次のように述べています。
「一万ポンドの金額を、パンツの下に隠して海外に飛んでいくのは、今でも行われているマネーロンダリング普遍的であり簡単な方法です。」
しかし、彼は続けてこのようにも警告しています。「規制当局は現金による従来のマネーロンダリングの防止・監視のみならず、ネット上で行われるサイバー・ロンダリングに対しても今後対策を整える必要がある。」
仮想通貨(デジタル)マネーロンダリングへの対策
各国の金融当局、仮想通貨の「疑似匿名性」に懸念を示す
現在、各国の金融規制当局が留意している仮想通貨の主なリスクの一つとして「疑似匿名性」を挙げられます。当局はこの電子コインいわゆるデジタルトークンの送金手段について、報告義務に関する規制が厳しくないということから、既存のマネーロンダリング対策の適用が極めて難しいと判断しております。
しかし、仮想通貨の基盤となるブロックチェーン技術の特性は、マネーロンダリング対策をサポートし、さらに優れた対策を行うことができるようです。
今までの一般的なマネーロンダリング対策は、中央集権型の金融システムを当てに定められています。そのため、今のままでは匿名性を基盤とする仮想通貨の仕組みには対応できないと判断されております。現行の対策は、主に金融機関への報告を義務付けいる「顧客確認(KYC: Know Your Customer)」プロセスの監視・監督へ依存しているため、限界が生じるということです。
現行のマネーロンダリング対策では、全ての取引の法的主体を特定できます。
そして、その特定するために必要な、法定不換紙幣(政府や中央銀行が発行したお金)の追跡データは大きく2つに分かれます。一つは、銀行口座の開設するために提供しなければならない個人情報のデータ。二つ目は、送金や銀行間の国際決済ネットワークを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT: Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)コードを利用した送金など、金融システム内での取引歴です。
これに対して、仮想通貨のマネーロンダリング対策はどういったものがあるのか続いてみてきましょう。
仮想通貨における取引情報の変更は不可能
ブロックチェーン技術がマネーロンダリング対策の効果的な実施にもたらす利点は多くあります。
ブロックチェーンは基本的に誰でもオンライン上でサーバーへ参加できることで、それらの全ての活動つまり取引は監視され履歴としてオンラインサーバーへ記録されます。そして、この情報基本的に第三者が変更することなどはできない仕組みなっております。
これによって、従来の一般的なマネーロンダリング対策と同様に、追跡データの特定は仮想通貨でも可能となっております。
ブロックチェーン技術がより効果的なマネーロンダリング対策を実現?
ニュースなどでよく見かけられる政府や規制当局と偽造通貨との戦争が今後なくなる可能性があります。
なぜならば、仮想通貨の場合、全ての情報がマイナーにより検証されるという特徴があることから、仮想通貨の偽造はほぼ不可能であることがわかります。
例えば、ウォレットを使うなど取引段階および通貨の情報に何か不審かつ不足なところがあれば、取引はその段階で自動的に禁じられます。
このように、ブロックチェーン技術の特徴からより優れたマネーロンダリング対策を行うことができます。さらにそれだけではなく、取り締まり機能を担う採掘者、つまりマイナーの役割もかなり重要なのです。
サーバー上で、マイナーは取引の管理監督をすることができ、一定数以上のマイナーが承認した後に、ブロックチェーン上のブロックへその取引が追加されます。
また、取引自体を本人確認が適切に取れているウォレットのみに限定する仕組みもできるようです。
このように、複数のマイナーが検証プロセスに関わることで、ウォレットの管理をすることができ、それらの情報が全てブロックに保存されるため、取引者らの情報にたどり着くことも簡単になります。
仮想通貨に身元確認情報を導入?
仮想通貨は取引を行う際、ID情報(本人確認情報)が求められないため既存のマネーロンダリングの監視や取り締まり能力へ悪影響を与えるという批判が多いです。
仮想通貨はウォレットという電子財布を通し取引上の最初と最後の利用者を特定できます。ここでトークンは銀行口座ではなく、ウォレットに保管されることになります。
また、ウォレットの持ち主は自分のウォレットのIDコードを取引相手に伝えトークンの取引を行います。ここで、コード自体が顧客識別情報であるため、特に別荘個人情報を提供する必要がないということです。
取引自体は匿名のようにも見えますが、多くの国ではウォレット自体を開設する際、個人情報が要求されるため、匿名ではないということです。
さらに、去年行われた仮想通貨のベンチマーキングに関する調査では、中央銀行から発行された通貨から仮想通貨に換金された全てのウォレットに対し、開設申請者の身元確認を行うべきであるという声が多かったということがわかりました。
これらが実施されることから、ウォレットを持っていることで、今後匿名性に関する懸念は不要であるということです。
仮想通貨市場の発展にはお互いの協力が必要
世界レベルでで本人確認をウォレット発行要件として定めることで、状況が改善できるのではないでしょうか。これにより、必須要件を満たさないウォレットへの送金を禁じることができます。
既存の取引システムとは異なり、仮想通貨の場合、「入口」と「出口」が1種類であることから取引者らの身元確認がよりスムーズにできるということです。
その一例として、新規はもちろん既存のウォレット所持者の身元確認を強化していることからわかるように、このような対応は必要不可欠であると考えられます。
今後の課題
仮想通貨の前進には、規制対策に必要な費用が発生
仮想通貨への注目が日々高まっていく上で実際に取引を行う人も増加してきたので、仮想通貨のマネーロンダリングにおける対策もかなり重要です。ブロックチェーン技術の利点を存分に活用することが今後肝心なポイントとなるではないでしょうか。
ブロックチェーン技術を通して問題に対処できるプラットフォームを暗号化システムの中枢に構築し、問題解決へ導くというロードマップが理想的ですよね。
確かに、このような動きが取引コストの上昇や、匿名性を損なうなどの代償や費用を伴うだろうと予想されます。しかし、これは仮想通貨をより前進させ、今後仮想通貨が社会へ定着できるようにするいわゆる投資としての機能を果たすのではないでしょうか。
まとめ
仮想通貨のマネーロンダリングまで紹介しましたが、いかがでしたか?
毎回新しい技術が導入されるたびに、規制や管理監督も伴います。規制と技術発展とのうまくバランスをとることが今後の課題になるでしょう。