仮想通貨は、2017年に価格が大きく上昇し、2018年には少し落ち着きを見せましたが、今後も大きな値動きをする可能性が十分にあります。
ビットコインはここ1、2年間で、なんと約20倍もの値動きがありました。
今回の記事を読んでいる方の中には、仮想通貨の値上がりによって、大きな利益を得た人がいるかもしれません。
そんな人々は必ず気になる「仮想通貨の税金」について今回は徹底的に解説していきます。
もうすでに利益を上げた人だけでなく、これから仮想通貨を始めたい人や少し興味のある人もぜひ最後までチェックしていってください!
目次
仮想通貨にかかる税金とは?
結論を先に述べると、仮想通貨の利益に対しては、所得税がかかります。
ただ、利益が20万円を超えなければ確定申告をする必要はありません。
それ以上の場合は確定申告をする必要があります。
仮想通貨の税金について話す前に所得や所得税について少し解説していきます。
所得税は給与による給与所得や、株式の売買による利益の譲渡所得、退職金は退職所得など様々な種類の所得にかかります。
以下に所得の種類をまとめてみました。
所得の種類 | 内容 | |
1 | 事業所得 | 農業や、漁業などの事業から生ずる所得 |
2 | 不動産所得 | 土地や建物を貸して得た所得 |
3 | 給与所得 | 勤務先から受け取る給与などの所得 |
4 | 退職所得 | 退職金などの所得 |
5 | 配当所得 | 株式投資の配当金のような所得 |
6 | 利子所得 | 預貯金の利子などの所得 |
7 | 山林所得 | 山林を譲渡したりして受け取る所得 |
8 | 譲渡所得 | 土地や建物を譲渡して得る所得 |
9 | 一時所得 | 競馬の払戻金や生命保険の満期返戻金などの所得 |
10 | 雑所得 | 公的年金などの所得 |
この中でも仮想通貨の売買などによる利益は赤くなっている雑所得に分類されます。
雑所得とは?
雑所得とは、上の表の9までの所得のいずれにも当てはまらない所得の事を言います。具体的には公的年金や、作家以外の人が受ける原稿料や印税などが当てはまります。
所得税の計算方法
所得税は、原則的に総合課税になります。
総合課税とは、ほかの所得と合算して税金を計算する制度です。
総合課税に当てはまる所得税は以下の8つです。
- 利子所得(源泉分離課税に該当しないもの)
- 配当所得(源泉分離課税に該当しないもの)
- 事業所得
- 給与所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
上の8つに当てはまる所得をすべて合算した金額に対して以下の表の税金がかかります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
引用:所得税の税率(国税庁)
具体的に考えていきましょう!
例えば課税所得額が300万の会社員がいたとします。
この会社員が給与所得しかない場合、上から二段目の195~330万に当てはまるので税率は10%という事になります。
計算式としては、まず所得の300万円から控除額である97,500円を引いて、290万2500円に対して、税金が課税されます。
ではありません。ここは勘違いしやすいポイントなので注意が必要です。
10%の税金がかかるのは、195万円以上の金額に対してです。
その為、
税率5%→1,950,000(円)×0.05=97,500(円)
税率10%→952,500(円)×0.1=95,250(円)
この二つを足すと、192,750円
これが300万円の所得金額に対してかかる税金になります。
この会社員が仮想通貨の取引を始めて、200万円の利益を出した場合、
雑所得は総合課税になり、給与所得等そのほかの所得と併せて計算をするので、
300+200=500万円となり330万円以上の部分に対して20%の税金がかかります。
蛇足ですが、このように所得が高くなればなるほど高い税率が適応される方法を累進課税と言います。
仮想通貨による所得が課税されるポイント
ここから本題の仮想通貨の税金について解説していきます。
まず、大前提として仮想通貨を持っているだけでは税金はかかりません。
課税されるタイミングは以下の3点です。
- 仮想通貨を売却したとき
- 仮想通貨で商品を購入したとき
- 仮想通貨同士の交換をしたとき
一つずつ確認していきましょう!
仮想通貨を売却したとき
上の図のように50万円で1ビットコインを購入し、ビットコインが100万円まで値上がりした為、売却し日本円に換金した場合を考えていきます。
このような時、売却金額(100万円)と仮想通貨の取得価額(50万円)の差額が所得金額となります。
(売却時の価格-取得価額)×コイン数
(100-50)×1BTC=50
今回の事例の所得金額は50万円になります。
仮想通貨で商品を購入したとき
保有する仮想通貨を商品購入の決済に使用した場合、その使用時点での商品価格と仮想通貨の取得価格との差額が所得金額となります。
上の図の場合、使用時点でのビットコインの価格は、1BTC=60万円であるのに対し、取得した時の価格は1BTC=50万円となっています。
(60-50)×1BTC=10
所得金額は10万円となります。
仮想通貨と仮想通貨を交換したとき
この場合も分かり易く言うと、商品購入と同じです。
イーサリアムを購入した際のビットコインの金額から、ビットコインの取得価格を引いた部分が所得金額となります。
(60-50)×1BTC=10
10万円が所得金額になります。
移動平均法と総平均法
まずは、分かり易く課税のタイミングを説明しました。
実際には一度の取引ではなく、複数回の売買をしている人がほとんどではないでしょうか?
その場合、所得金額を計算して1年分の合計を総所得額として申告する必要があります。
同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合のつがい仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です。(ただし、継続して適用する事を要件に、総平均法を用いても差し支えありません。)
以上のように継続的適用という条件がありますが、二つの方法があります。
移動平均法
これは仮想通貨を購入するたびに取得金額を算出する方法です。
メリット:正確な取引の損益額を求めることが出来る。
デメリット:取引ごとに計算する必要があるので、手間がかかる。
総平均法
これは、基準期間全体の購入金額を購入数量合計で割って算出する方法です。
メリット:期間平均で計算するので簡単にできる。
デメリット:正確性に欠ける。期間の途中で所得金額が把握できない。
具体的に計算して考えていきましょう。
問題
ビットコインを①~④の順番で購入、売却をした。
①時価100円/BTCで1BTCを購入
②時価200円/BTCで1BTCを購入
③時価250円/BTCで1BTCを売却
④時価300円/BTCで1BTCを購入
移動平均法での具体的な計算方法
この場合、移動平均法では以下のような計算になります。
時価 | 購入/売却 | 数量 | 金額合計 | 単価 | |
①購入 | 100 | +1 | 1 | 100 | 100 |
②購入 | 200 | +1 | 2 | 300 | 200 |
③売却 | 250 | -1 | 1 | 200 | 200 |
④購入 | 300 | +1 | 2 | 500 | 250 |
移動平均法では、仮想通貨の取得価格は仮想通貨の購入の度に計算をします。②の単価は(100+300)÷2=200となります。
③で売却した際、250-200{売却時の価格-取得価額(単価)}×1BTC=50
この50円が所得金額となります。
総平均法での具体的な計算方法
時価 | 購入/売却 | 数量 | 金額合計 | 単価 | |
①購入 | 100 | +1 | 1 | 100 | 200 |
②購入 | 200 | +1 | 2 | 300 | 200 |
③売却 | 250 | -1 | 1 | 200 | 200 |
④購入 | 300 | +1 | 2 | 500 | 200 |
600 | 3 | 200 |
総平均法では、基準期間の全体の購入金額から単価を計算します。
この問題では、基準期間(①~④の全期間)に購入した金額合計(600)を、
基準期間に購入した仮想通貨の数量合計(3)で除して、基準期間全体で一律の単価を利用します。
ここで利用する単価は600÷3=200円/BTCになります。
その為、(250-200)×1BTC=50
所得金額は50円という計算になります。
移動平均法と総平均法の違い
移動均法と総平均法の一番大きな違いは、購入した仮想通貨の取得価額を計算するタイミングです。
先ほどの例のように、移動平均法は購入の度に取得価額を計算しますが、総平均法では基準期間の最後にまとめて取得価額を計算します。
今回の問題ではどちらも同じ所得金額になりましたが、実際単年度では計算後の取得金額に違いが出ることがあります。
例えば今回の問題で、④の購入の際に価格が100万円に高騰したとします。この時に総平均法を用いていた場合、③の売却時には利益が出ているにもかかわらず、取得価額(単価)が大幅に上昇することで、所得計算上は所得がマイナスになってしまうことがあります。
このように実際と異なる数字が出てきてしまう事があります。
また、総平均法では基準期間中のすべての仮想通貨の購入を集計する必要があり、基準期間が終わるまでは単価が把握できません。その為、見積りや納税資金の準備をしたりするのには不利な方法と言えます。
比較すると、移動平均法の方が経済的な実態に即しているため優れています。
要点チェック!
- 仮想通貨の利益には所得税がかかる
- 雑所得における利益20万円以下の場合は確定申告をしなくてよい
- 複数の取引における所得金額を求める際には「移動平均法」・「総平均法」の二つがある
- 「総平均法」の方が簡単だが、「移動平均法」の方が正確
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は仮想通貨における利益に対して、税金がどのようにかかるのかについて解説していきました。
仮想通貨で多くの利益を上げた場合、必ず確定申告をする必要があります。
仮に怠った場合、無申告税や延滞税などさらなる余分な税金を払わなければいけなくなります。
確定申告の方法についてはこちらの別の記事で紹介していますので、併せて確認して下さい!