fincleでは経済や金融に関するさまざまなトピックを取り上げていますが、今回は株式投資をする上で確実に理解しておきたい経常利益について解説していきます。
よくニュースなどを見ていると、「○○社の営業利益が前年度と比べ○○%上昇…」や「○○社の経常利益が赤字に…」など、利益という言葉一つとってもさまざまなパターンの言葉を聞く機会はありませんか。
例に挙げた営業利益と経常利益は言葉が似ていますが、もちろんそれぞれ違った意味を持ちます。
そこで今回は、経常利益に注目し意味や他の利益との違いについて詳しく解説していきます!
経常利益と営業利益の違い
経常利益を説明するにあたり、まず一番基本となる言葉「営業利益」の意味から説明します。
営業利益とは、企業が売上から必要費や人件費を差し引いて最終的に残った利益のことです。
つまり、シンプルに言うと儲けということになります。
公式に表すと以下のとおりです。
営業利益=売上総利益ー販売費および一般管理費
では、経常利益と営業利益は何が違うのでしょうか。
経常利益は、企業が通常行っている業務において発生した利益のことを指します。
確かにこの説明だけだと、そう思ってしまうのも無理がありません。
先ほど、営業利益は総売上から人件費などを差し引き最終的に残った利益だと説明しました。
経常利益は、この営業利益にプラスして発生した売上(営業外収益)を含んだ利益となります。
例えば僕が、自分の所有する2階建てビルの1階でラーメン屋を経営したとしましょう。
ラーメン屋は1階のスペースだけで十分なので、他の人に2階の部屋を貸し出します(不動産業)。
このように、本業(ラーメン屋)とは別に行っている事業(不動産業)で発生した利益を営業外収益といいます。
経常利益には、営業利益にプラスしてこの営業外収益を足すことになります。
また、営業利益と同じく営業外収益の場合にも営業外収益で発生した人件費など費用は差し引きます。
経常利益=営業利益+営業外収益ー営業外費用
※一般的に営業外収益は有価証券の売却や貸出金の利息などが当てはまりますが、分かりやすくするため上記を例として紹介しました。
結論として、経常利益と営業利益の違いは営業利益に対し営業外収益を含めるかどうかということになります。
営業外収益に当てはまるもの
先ほどは営業外収益の例として不動産業を例に挙げましたが、実際には業種ではなく主に投資の際に発生する収益が営業外収益として当てはまります。
主に当てはまるものは以下のとおりです。
- 受取配当金:保有株式から発生する配当金
- 受取利息:貸付・預金から発生する利息
- 為替損益:為替レート変動の際に発生する外貨建て資産の利益
- 投資利益:持分法による投資の際に発生した利益
経常利益はあくまで”平常時”の利益
経常利益について理解するにあたり注意しておきたいのが、経常利益はあくまで平常時の利益ということです。
つまり、例えば通常時では起こりえない出来事が発生した際の利益は一切含みません。
通常時では起こりえない出来事、分かりやすい例でいうと災害が挙げられます。
例えば大きい地震が発生すると、多くの企業が被害を受けることになりますよね。
地震は予測不能な事態なので、そこで発生した損失は経常利益には含めないということになります。
なお、災害時など通常時では起こりえない出来事で発生した損失は特別損失といいます。
営業利益は赤字なのに経常利益は黒字・・・?
ここまでの説明で、営業利益と経常利益の違いが理解できたでしょうか。
実際に営業利益と経常利益がいかに違うのか、例を挙げて検討してみましょう。
例えば、営業利益が赤字でも経常利益は黒字というパターンは十分にありえます。
具体的には、以下のような場合には経常利益は黒字となります。
- 営業利益:▲100万円
- 営業外収益:400万円
- 営業外費用:100万円
- 経常利益:200万円(-100万円+400万円-100万円)
営業利益が赤字でも持ちこたえている企業の中には、経常利益によって破産をせずに済んでいる場合があるということです。
つまり、企業の状態を確認する時には営業利益だけではなく特に経常利益に注目したほうが良いと考えることができますね。
おわりに
今回は経常利益について詳しく解説しました。
経常利益と営業利益の違いについて理解できたでしょうか。
最後に、改めて経常利益と営業利益の違いを簡単におさらいしましょう。
- 営業利益=売上総利益ー販売費および一般管理費
- 経常利益=営業利益+営業外収益ー営業外費用
以上となります。
株式投資などで企業の状態を見たい場合には、営業利益だけでなく経常利益にも注目するようにしましょう。
今回の記事が、経常利益を理解するにあたり参考になれば幸いです!