fincleでは経済や金融に関するさまざまなトピックを取り上げていますが、今回は株式投資をする上で確実に理解しておきたいIPO(新規公開株式)について解説していきます。
IPOとはInitial Public Offeringの略称で、上記した通り日本語で新規公開株式という意味です。
具体的には、企業が証券取引所に登録し、投資家に対して株を売り取引を行うことができるようにすることをIPOといいます。
株式投資をするにあたり、企業・投資家共にIPOに関する理解は必要不可欠といえるでしょう。
そこで今回は、IPOがいったいどのようなモノなのか詳しく解説していきます!
目次
IPO(新規公開株式)とは?
IPOとは先ほども説明したとおり企業が証券取引所に登録し、投資家に対して株を売り取引を行うことができるようにすることをいいます。
株式上場の際には新たに株式の公募や、株主が保有している株式が売り出されるようになります。
企業側のメリット
企業がIPOを行うメリットは大きく二つあります。
- 金融市場から直接資金調達をできるようになる
- 上場することで知名度が向上し社会的な信用を高めることができる
企業を大きくするにあたり、必ずしも上場がマストだとはいえません。
しかし、新興企業が世間へ浸透していくために上場できるかどうかは一つの鍵となるのは間違いないでしょう。
投資家側のメリット
では次に投資家側のメリットを確認していきましょう。
投資家がIPOに参加する理由はシンプルに言ってしまえば利益出しやすいためです。
では、いったいどのような理由で利益を出しやすいのでしょうか。
- 上場後の株価が飛躍する可能性が高い
- 長期保有で高い利益を狙える可能性
- 売り時が分かりやすい
それぞれ詳しく解説していきます。
上場後の株価が飛躍する可能性が高い
人気のあるIPOというのは、多くは話題になっている新規注目企業による案件です。
例えば2018年に上場した企業を例にあげるとすると、メルカリなどが当てはまります。
注目企業のIPO案件というのは、公募価格と比べ初値の際には飛躍することが殆どです。
例えばメルカリの場合、公開価格は3,000円だったのに対し初値は5,000円を記録しました。
ちなみに2018年(10月現在)のIPOでもっとも公開価格と比べ高い初値を付けたのが、人工知能に関するベンチャー企業HEROZ社です。
公開価格が4,500円だったのに対し、初値はなんと49,000円を記録!
長期保有で高い利益を狙える可能性
IPOは初値の段階で売るという方法が確実性もあり人気ですが、長期保有でより高い利益を狙うという投資方法もあります。
日本でもっとも大化けしたといっていいのが、Yahoo!JAPANでお馴染みのヤフー社です。
ヤフーは1997年に公開価格70万円でIPOを実施し、初値の段階で200万円を記録しました。
この段階で売却しても130万円の利益を記録したわけですが、ITバブルの波に乗りヤフーはここからさらに時価総額を伸ばしていきます。
株価の上昇に伴いヤフーは1株を2株にする株式分割を計13回実施、2013年には1株を100株に株式分割しました。
IPO時に1株購入していた場合、分割により1株はなんと81万9200株にまで増加したことになります。
記事執筆時のヤフーの終値は383円だったため、当時から1株を持ち続けた場合価格は3億1375万3600円にまで増加した計算に!
売り時が分かりやすい
先ほど説明したとおり、注目企業のIPOというのは公開価格と比べ初値は高い価格が付くことが殆どです。
そのため、一般的な株式投資とは違い売り時が分かりやすいというのも大きな特徴の一つといえるでしょう。
株式投資には損切りが付きものですが、IPO当初の段階では損をする可能性は低くなります。
このような点も、投資家にとってのIPOのメリットの一つといえますね!
投資家側のデメリット
ここまでの説明でメリットが多いように見えるIPOですが、当然デメリットも存在します。
損をせずに投資するためにも、ここでIPOのデメリットを学んでいきましょう。
- 購入価格より初値が低くなることがある
- 抽選の当選が難しい
- 値動きが激しい
購入価格より初値が低くなることがある
多くのIPOは公開価格より高くなりますが、必ずしも高くなるとは限りません。
人気のないIPO株には投資家からの売りが殺到し、初値が下回る可能性も十分ありえます。
また、株式市場自体の取引が少ない(地合いが悪い)と株価に影響を及ぼす可能性があります。
興味のあるIPO株が世間的に人気があるのか、株式市場の様子を確認するなどの必要があるでしょう。
抽選の当選が難しい
人気のあるIPO案件というのは、当然それだけ希望者が殺到します。
例えばメルカリが上場した際のIPO倍率は35倍を記録したとされています。
IPOの実施も年間で50~100社程度に収まることがほとんどなので、その中から期待値の高い案件となると当選が難しいのは容易に想像できます。
株価の変動が激しい
株式投資は仮想通貨投資と違い取引価格も安定していることが殆どですが、IPOに関しては市場での評価も定まっていないため値動きが激しくなる傾向にあります。
初値で売らずに、結果的に終値で損をするという可能性も否定できません。
長期朋友に関しては先ほど紹介したヤフーのような例もありますが、多くの投資家は初値で売ることを目的にIPO案件を購入します。
戦略は人それぞれですが、IPOは一般的に値動きが激しいということを留意する必要があるでしょう。
IPO抽選の申込み方法
IPOの仕組みやメリット・デメリットが理解できたところで、どのように抽選に申し込むのか確認していきましょう!
抽選までの流れとしては大きく分けて三つあります。
- 口座を開設
- ブックビルディングへの申込み
- 購入手続き
それぞれ詳しく解説していきます!
口座を開設
IPOに参加するには、まずIPOを主幹事・幹事として取り扱っている証券会社で口座を開設する必要があります。
一般的にIPOには証券会社での口座を通して参加するという形になります。
ブックビルディングへの申込み
口座開設が完了したら、次にブックビルディングへ申込みをする必要があります。
ブックビルディングとは、企業がIPOで価格を決定する際に行う需要予測のことをいいます。
この際に、公開価格以上の資金を口座に入金している状態でないと抽選には参加できません。
また、入金を完了すると抽選の当落が判明するまで資金は拘束され出入金ができなくなるので注意が必要です。
購入手続き
ブックビルディングを完了すると、次に購入手続きへ移ります。
公開価格が決定したところで、誰が株式を購入できるのか抽選を行います。
当選しただけでは購入したことにならないので、改めて購入手続きをするように注意しましょう。
おわりに
今回はIPOに関して詳しく解説していきました。
IPOは初値で売れば儲けとなる可能性が高い、投資初心者にとっても難易度の低い投資方法です。
また、IPOによってはその後日本を代表する企業に投資をすることができ間接的な社会貢献にも繋がります。
当選するのが難しいなど、デメリットもあるものの挑戦してみる価値はあるでしょう。
今回の記事はIPOを理解する上でお役にたてば幸いです!