目次
初めに
*今回の記事ではわかりやすくするために大きく2分割したら先進国/発展途上国のどちらに属するか、という点で主観的に国々を分けています。
今回は日本・中国・韓国・香港・シンガポール・イギリス・フランス・ドイツ・スイス・リヒテンシュタイン・エストニア・マルタ・ロシア・カナダ・アメリカについて簡単にまとめていきます。
では以下で各々の国について見ていきましょう。
アジア圏
日本
ビットコインの取引量が世界一位とも言われる日本。ただ実感としては仮想通貨が普及してるという感じはないのが現状ですが。(学生だからでしょうか?)
仮想通貨が普及していくための要ともいえるものが法規制ですよね。そこで日本の仮想通貨に対する法規制を見ていきましょう。
調べていくと日本は仮想通貨に対する法規制がすごく厳しい国ではないようです。
仮想通貨に関する細かな規制はたくさんあるようですが、大きなものとしてはご存知の方も多いはずの「改正資金決済法」があげられます。
これは2017年4月1日に既存の「資金決済に関する法律」が改正されたものです。通称、「仮想通貨法」とも呼ばれているものですね。
この法律ではいままで定義のあいまいだった「仮想通貨」という概念に対しての意味付けが行われました。
5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの (資金決済に関する法律より。リンク・詳細は以下)
とのこと。
他にも不正を取り締まるための規制ができ、取引所に関する明確なルールもでき、仮想通貨が一つの決済方法として認められるようになりました。
このような法律ができたことにより、日本では仮想通貨の消費税が非課税となっています。(支払い手段として認められたため)
金融庁が国内にある信頼のおける仮想通貨取引所をリストアップし、その取引所の名前をサイト上に公開しています。また同様に日本で認めれらている仮想通貨も「ホワイトリスト」に書かれています。
改正資金決済法については、平成29年4月1日に施行された資金決済に関する法律第二条(定義)5より引用。リンクは右から→資金決済に関する法律
ちなみに、仮想通貨を使ったクラウドファンディングのような新たな資金調達であるICO(inicial coin offering)に関してはまだ規制がないようです。
ちなみにicoについての詳しい記事はこちらから→【初心者向け】ICOとは?概要からメリット・デメリットまで徹底解説!
中国
では次は中国の仮想通貨事情を見ていきましょう。
周知のとおり、中国政府はチャイナマネーの流出を嫌って、仮想通貨に対する規制が厳しいものとなっています。
では以下では具体的にどんな規制があるのか見ていきましょう。
2017年9月に中国当局はICOの全面禁止を発表しました。詐欺まがいのことである、と。
禁止の前までに獲得したICOの資金については全額返却すること。できなかった場合には罰するというお触書がでました。
さらに2018年1月にはビットコインのマイニング抑制があり、現在では中国国内での仮想通貨投資は個人間取引に限定されているようです。
ということで中国国内での仮想通貨投資はほぼ禁止されるに至りました。
国内というところに注目して、巨大マイニングプールなどは海外に拠点を移してマイニングを続けていくようです。
また、以前の私の記事でも少し触れましたがTetherというコインに注目して中国の富豪たちの一部は規制を回避しています。
「なぜTether?」と感じた方も多いのではないでしょうか。それはTetherというコインは法定通貨(円とかドルとか)と同等の価値を持つからです。簡単にいえば、1USDT=1円のようなこと。
*USDTはTetherの単位。
「???」という方はこちらの記事をご覧ください↓
Tether(テザー)って何?テザー疑惑・オムニ(omni)などを簡単に解説!
ただつい最近、中国銀行が中国銀聯と提携してブロックチェーンの決済システムを開発していくというニュースが話題になりましたね。
中国銀行と中国銀聯、共同でブロックチェーンの決済システム開発へ
*記事はコインテレグラフさんから引用させていただきました。
韓国
お次は韓国について。
そんな韓国の仮想通貨に対する規制を見ていきましょう。
中国同様、2017年にはICOが禁止されたようです。
2018年1月には、韓国国内にある仮想通貨取引所の閉鎖を検討していると法務部長官が発表し、大変大きな話題となりました。
この発言は仮想通貨市場の暴落を惹起しました。
ただし、最近(2018年5月)は方向転換を開始したようで、仮想通貨に対して建設的な検討が行われているといった趣旨の発言が金融監督院長のユン・ソクホン氏よりありました。
また、韓国の済州島の知事は韓国をブロックチェーンのハブにしたいと語っているようです。
韓国・済州島「新たなクリプトバレー」目指す、ロジャー・バー氏にも協力依頼
香港
百万ドルの夜景で有名な香港。香港と言えば経済が発展している、高層ビルが立ち並ぶ国というイメージをお持ちではないでしょうか。
そんな香港の仮想通貨事情を見ていきましょう。
中国に反して仮想通貨規制はそんなに厳しいものではないようですが、仮想通貨取引やICOに対して牽制するような発言も証券先物委員会からは出ているようです。
ただこれは、仮想通貨すべてにたいして牽制しているというよりは詐欺まがいの仮想通貨取引やICOに対しての発言のようにも思えます。
また、香港とシンガポールはブロックチェーン連盟を設立しました。この二つの国がタッグを組むとすごそうですね。
シンガポール
では続いてはシンガポールの仮想通貨事情を見ていきましょう。
経済大国という名にふさわしく、仮想通貨に対する法規制は緩いものとなっています。
ただ2017年8月にはICO規制に乗り出し、11月にはICO規制に関する正式な書面も出しているようです。
さらに2018年5月には仮想通貨取引所に対する規制緩和策を提言しています。
またシンガポールに拠点を置く、ベンチャーキャピタル(アグレッシブに投資をする企業のこと)が仮想通貨とブロックチェーンを支援したり、LINEはシンガポールでの仮想通貨業務に参入を計画したりとさらに仮想通貨に期待が集まっています。
ヨーロッパ圏
以上ではアジアに関する仮想通貨の法規制について書いていきました。以下ではヨーロッパの例を見ていきましょう。
イギリス
まずはイギリスでの事情について。
仮想通貨が不正な取引(マネーロンダリング等)に使用されているという状況を踏まえ、規制を呼び掛けたこともあったイギリス。
これは世界各国に対した発言で、仮想通貨自体が悪いということではなく、仮想通貨の悪用に対する規制が必要だという趣旨の発言でした。
イギリスは仮想通貨に対して寛容な国ですね。
イギリスでは2018年5月にイギリス政府の仮想通貨専門チームにより過疎通貨やブロックチェーンに関するエトセトラについて侃侃諤諤と議論が交わされたようです。
またCBDC(central bank digital currency)やCBCC(central bank crypto currency)という、国の中央銀行が発行する仮想通貨に関しても建設的な議論が行われています。
以上からイギリスでは仮想通貨、ブロックチェーンを本格的に生活の一部として、というかシステムの一部として取り入れていくための準備がすすんでいるといえそうです。
フランス
ではフランスではどうでしょうか?
フランスは世界一(といったら言い過ぎかな?)仮想通貨に対して前向きな国です。
フランスがブロックチェーンの先駆国にある、といった主要人の発言があるほど。またフランスでは2018年4月26日に仮想通貨取引における累進課税を19%に引き下げました。今までは14%から45%の間で変動していた税金が固定されました。
ICOに関してはどうかというと、ICO業界はあまり発展しておらず、それの影響もあってか法規制は存在しません。
ただし、同国の規制当局にはブロックチェーンや仮想通貨の専門家のような(詳しい)人を配属しているので規制も行き過ぎたものになるのではなく、相当の規制が出来上がるのではないでしょうか。
ドイツ
ではサッカー大国ドイツはどうでしょうか。
今まで見てきてわかった方も多いとは思いますが、ヨーロッパは基本的に仮想通貨に対して寛大です。EUのほころびが大きくなってきた現在だからこそ、新たな経済の仕組みへの敷居が低いのでしょうか?
ドイツも御多分に漏れず、法規制は比較的緩く、ブロックチェーンなどの技術に対しても多少の懐疑と懸念はありますが仮想通貨に対して前向きな国です。
ドイツのVPE WertpapierhandelsBank AG(VPE Bank)という銀行は投資家向けに仮想通貨取引サービスを開始していますし、ドイツ連邦財務省は、仮想通貨(ビットコイン他アルトコイン)を法定通貨と同等のものとして扱うと発表しました。
さらには、ドイツはビットコイン、仮想通貨取引所の一部の取引(仮想通貨取引の仲介のみであれば)、マイニングは非課税としています。
スイス
ではドイツの近隣国、スイスについてを見ていきましょう。
スイスのツーク(都市名)は長らくブロックチェーンプロジェクトの中心地と言われてきました。それはイーサリアムの故郷であり、ほかのいくつかのコイン(Shapeshift、Xapo、Monetas等)の出身地でもあるからです。
さらにツークは税率が低く、仮想通貨・ブロックチェーンに関連する企業の誘致を想起の段階から積極的に行ってきました。それにより多くのICOプロジェクトの本拠地となりました。また仮想通貨での納税を可能にしてしまったほど仮想通貨にポジティブな考えを持っているからでしょう。
ただ最近、この傾向にも暗雲が立ち込めることがありました。それは世界の流行に乗るようにICO規制を拡大したのです。
これに対して批判的な意見、具体的にはスイスが大きなビジネスチャンスを失ったというもの、を述べた富豪(Tim Draper氏)もいました。
これからのスイスの仮想通貨はどうなっていくのでしょうか。
ただ、スイスの大手証券取引所SIMが仮想通貨取引・決済等の計画を発表しました。
リヒテンシュタイン
リヒテンシュタインはヨーロッパ州に属し、スイスとオーストリアに囲まれた小国家です。この国家は小さいながらヨーロッパで一番豊かな国だといわれるほど資金が潤沢な国家のようです。
調べていくと仮想通貨ビジネスの先駆国になろうと奮闘している国のようです。
ただリヒテンシュタインは脱税がしやすいようで租税回避地(タックスヘイブン)となっているようです。
しかも面白いことにリヒテンシュタインでは銀行口座を持っていなくても一部の仮想通貨(ビットコインのような世界的にも有名である程度価値の認められているコイン)を資本金として企業ができてしまうとか。
またリヒテンシュタインにあるBank Frickは顧客が直接仮想通貨に投資できる銀行です。LGTリヒテンシュタイン銀行も顧客が直接投資を行えるようになる計画を立てています。
リヒテンシュタインも仮想通貨に対する法規制の整備を始めました。しかしこれはほかの国の法規制と違い、仮想通貨が危ない・取り締まりを強化する、といったものではなく、仮想通貨の法的な確実性を与えることにより更なる発展を助長するものであるようです。
バイナンスLCXもリヒテンシュタインに進出しました。
エストニア
まず国の概要を少しまとめておきますが、エストニアは北ヨーロッパのの共和制国家です。バルト三国(エストニア・ラドビア・リトアニア)の一つで、Skypeを生んだ国でもあります。IT産業が盛んで、アメリカ、イスラエルに続く第三のシリコンバレーと呼ばれています。
また世界で初めて総選挙にネット投票を取り入れた国であり、ITを行政に活用する電子政府(e-goverment)を構築。外国人もインターネットから居住権(e-Resident)を取得できます(=簡単に言うとエストニア国民になれる)
上記からもご想像できる通り、仮想通貨に対しても非常に好意的で、国家としてエストコインを発行しようと計画を進めています。
マルタ共和国
マルタ共和国は地中海に浮かぶ島で近年では観光名所として知られています。またマルタ共和国の歴史は支配の歴史です。この国は長らくローマ人やフランス人などの支配を受けてきました。その後遺症としての遺跡がたくさん残っており、それが観光名所となっているようです。
では仮想通貨に対してはどうでしょうか?
こちらも寛大な国で仮想通貨の発展を促すような法体制です。仮想通貨の取引を安全に行うために、ホワイトペーパーを提出すること、情報の誤謬によって投資家に損害が発生した場合の補償を行うといった内容のものです。
また2018年に入り、海外の大手取引所(バイナンス等)が進出をしたことにより更なる普及がうかがえます。
ロシア
ロシアについてみていきましょう。
ロシアでは仮想通貨の規制強化が行われているようです。
仮想通貨保有者やマイナーは税金を払わなければならなくなり、また不正マネーのデジタル化を恐れ、デジタルマネーに関する規範を法律に追加しました。
ただし、もともと仮想通貨に一定の理解を示していた国なのでICOを取り締まるような法律はなく、むしろICOの合法化が検討されているようです。
アメリカ大陸
ではここからはアメリカ大陸に目を向けていきましょう。まずはカナダです。
カナダ
カナダは仮想通貨に寛容な国で、政府からの厳しい規制はありません。ただ最近は疑わしいICOの規制には取り組んでいるようですが。
なんとカナダにはビットコインATMが存在するようです!またビットコインスタートアップも多数あるようですね。
2017年にImpak Coinというコインが国から認可を受けたことを受けて、コインの開発が活発になっています。
アメリカ
では最後にアメリカについてみていきましょう。
言わずと知れた経済大国アメリカ。トランプ大統領が就任して、アメリカだけでなく世界を大きな動揺の渦に巻き込みましたね。
周知のとおりアメリカは州ごとに雰囲気も違えば法律も違うという国ですので、仮想通貨に対する考え方も州によって異なります。
州によっては特に規制を課していないものもありますし、反対に仮想通貨を扱うためにはライセンスが必要であったりします。ちなみにニューヨークではライセンスの取得が必要です。
アメリカの仮想通貨事情を語る上で、SEC(証券取引委員会/U.S Securities and Exchange Commission)とIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁/International Revenue Service)は外せないでしょう。
ここでも簡単に見ておくことにします。
アメリカには現在、仮想通貨のみに適応できる規制がないため有価証券関連法が仮想通貨にも適応されていますが、古い法律なので多くの齟齬を生んでいます。また取引所はSECに登録することが義務付けられています。
IRSは脱税目的の換金を調査し、無認可取引についての調査を行う予定です。これは仮想通貨の危険性・犯罪面を強調する形となったため、アメリアのいくつかの銀行は仮想通貨取引に慎重になりクレジットカードを通して仮想通貨を購入・送金を禁止した模様です。
最後に
今回は各国の仮想通貨事情についてみていきました。世界的に規制が広がっていますが、新しいものの享受に関しては仕方がないことと言えそうですね。
仮想通貨はこれからさらに加速していくでしょう。50年後には仮想通貨が法定通貨の代わりとなっているのでしょうかね。楽しみですね。