現在では1000種類以上あるといわれている仮想通貨は、それぞれのもつ目的にあった特徴をもっています。
例えば、ダッシュコイン(DASH) は取引速度が早いという特徴をもっていたり、イーサリアム(Ethereum)であればスマートコントラクトという特徴をもっています。
今回は、Bitcoin(ビットコイン)とジークラシック(Zclassic)からハードフォークしてできた『Bitcoin Private(ビットコインプライベート)』について詳しくご紹介していきたいと思います。
目次
仮想通貨Bitcoin Private:BTCP(ビットコインプライベート)とは?
Bitcoin Private(ビットコインプライベート)の特筆すべき点は、冒頭でも述べた通り2018年2月28日にBitcoin(ビットコイン)とジークラシック(Zclassic)からハードフォークして誕生した仮想通貨ということが挙げられます。
プライバシーの向上、非中央集権的運営、早い送金を目指し、ビットコインとジークラシックのいいとこ取りをしてできました。
BitcoinPrivateはテキサス州出身(アメリカ)のRhett Creightonという人物によって開発されました。現在は、“ZCL Blue” チームという外部の有志で集まってできたチームが運営をサポートしている状態です。(Bitcoin Privateの公式運営チームは3月31日をもって活動を終了しています。)
詳細は下記の通りです。
仮想通貨 | BitcoinPrivate(ビットコインプライベート) |
通貨名 | BTCP |
最大発行枚数 | 2100万枚 |
公開日 | 2017年8月1日 |
時価総額 | 約180億円(2018年7月現在) |
ホワイトペーパー | https://btcprivate.org/whitepaper_ja.pdf?lang=ja |
公式サイト | https://btcprivate.org/?lang=ja |
Bitcoin Privateの特徴としては以下の5点が挙げられます。
❶ 開発者報酬やプレマインの付与がない
❷ 匿名性が高い
❸ ブロックサイズが大きい
❹ 最大発行枚数が決まっている
❺ 取引時間の短縮
Bitcoin(ビットコイン)の主な特徴
bitcoinの主な特徴は以下の3点です。
➀ P2Pの使用 ➁ 最大発行枚数が決まっている ➂取引可能範囲が広い
➀簡単にそれぞれ見ていくと、ビットコインの軸であるブロックチェーンにおいて重要な役割を果たしているのが“P2P”です。“P2P”はPeer-to-peerの略で、極端にいうとクライアント(パソコンやスマートフォン)とクライアントが直接つながることができるシステムです。
一般的なインターネットはサーバーといわれるすごく性能の良いコンピュータ(極端にいうと…)を通して通信が行われています。そのためサーバーが停止して、システム全体が停止してしまうことも珍しくはありません。
一方で、ブロックチェーンにこのP2Pシステムを利用することで、万が一あるクライアントが停止してしまってもクライアントが分散しているので全体のシステムがダウンすることを防ぐことができるのです。
➁ 円やドルなどの中央銀行が発行する通貨のように誰かかが発行量を決める仕組みとは異なり、Bitcoin(ビットコイン)は最大発行枚数が2100万枚と決まっています。そして、4年毎に供給量は半減し、2040年頃に最大発行枚数の2100万枚に達するといわれています。誰かが好きな時に通貨の供給量をコントロールすることができないので、原理上インフレは起こらないということになっています。
➂ 最初の仮想通貨であり、現在でも世界中で一番人気を誇る通貨です。そのため、ビットコインは取引可能コインの種類がとても多いです。イーサリアムやビットコインキャッシュなどメジャーな仮想通貨はもちろん、時価総額が0円くらいのまだまだ知られていない、いわゆる草コインとも交換することができるのです。
Zclassic(ジークラシック)の主な特徴
Zcash(ジーキャッシュ)からのハードフォークで生まれたZclassic(ジークラシック)は基本的にZcash(ジーキャッシュ)と同様の機能を備え、Zerocashプロトコルを実装しています。
そのためジークラシックの特筆べき点は、なんといっても『ゼロ知識証明』という暗号技術を用いた優れた匿名性が挙げられます。
通常は、仮想通貨の取引(トランザクション)の際には➀送金者のアドレス➁送金金額➂受金者のアドレスがブロックチェーンに記録され、他の人も見ることができる仕組みになっています。しかし、『ゼロ知識証明』という暗号技術を使用することで、トランザクションの情報を隠すことが可能になり、完全なプライバシーの保護が実現されているのです。
また、親元であるZcashでは、今後のZcashの開発を行うためにマイニング報酬の20%がマイナーへの報酬から引かれていますが、Zclassicにはこのような差し引きがないため、マイニング報酬はマイナーに全額付与されます。
❶開発者報酬やプレマインの付与がない
そもそもプレマインとはプレマイニング(premining)の略で、新しい仮想通貨のマイニングが一般公開される前に、その仮想通貨の開発者自身や特定の人が新しい仮想通貨を受け取ることができる仕組みをいいます。
しかし、このBitcoinPrivateにはプレマイニングがないため、開発者などが先に通貨を保有することができるということはなく、完全に一般公開されてからのスタートとなります。そのため、マイナー間の公平性が高い通貨といえるのではないでしょうか。
❷匿名性が高い
先ほども述べたように匿名性に優れたZclassicの特徴をこのBitcoinPrivateは受け継いでいます。
『zk-SNARKS(Zero Knowledge – Succinct Non-interactive ARgument of Knowledge)』というのは「相手に情報の内容を公開することなく、情報自体は知っていることを証明する技術」、すなわちZclassicの特徴で説明したようにゼロ知識証明という暗号技術のことをさします。
『ゼロ知識証明』というのは、相手に自分の持っている情報の内容については一切伝えることなく、相手に自分がその情報を持っていることを伝える技術のことです。
この技術をトランザクション(仮想通貨の取引)の際に応用することで、送金者はそのトランザクションの内容を公開することなく、このトランザクションは正当だということ証明することができるのです。
この仮想通貨の他にもDASH(ダッシュ)コインやMonero(モネロ)コインなどが匿名性に優れています。
❸ブロックサイズが大きい
ビットコインのデメリットの1つとしてよくとりあげられるのは、ブロックの容量がいっぱいになってしまうことで手数料の増加や送金の遅延などを引き起こしてしまう『スケーラビリティ問題』です。
そのような問題に対応するため、BitcoinPrivateではブロックのサイズ拡張がおこなわれ、ビットコインの容量の2倍である2MB分の取引の情報を1つのブロックに記録できるようになりました。ビットコインの1つのブロック(1MB)に記録できるのは約4,200件といわれているので、単純に約8,400件の情報を1つのブロックに記録できるようになったのです。
❹最大発行枚数が決まっている
Bitcoin Private(ビットコインプライベート)は、ビットコイン同様、2100万枚と最大発行枚数が決まっています。
そのため、先ほど述べたように、誰かが勝手に発行枚数を変えるなど、いじることはできないので原理上インフレが起きないと考えられています。
またビットコインプライベートはビットコインのデメリットが補われているので、ビットコインより高い機能を備えているといえ、ビットコインと同額、またはそれ以上の価格になる可能性を秘めているといえるでしょう。
❺取引時間が短い
みなさんは、ビットコインの取引時間をご存知でしょうか?
ここでいう取引時間とは、送金者がお金を送金し、マイナーがブロックに取引情報を記録し、受金者にお金が届くまでの一連の流れを指すのですが、ビットコインは取引完了するまでに約10分かかるのです。
想像してみてください、、例えばコンビニでパンを1つ買いたいとします。ビットコインをつかって支払いするには、10分もレジの前でまたなくてはならないのです。カップラーメンの3分でさえ、長く感じるのにパン1つで10分も待つなんてやってられないですよね…
しかし、ビットコインプライベートではビットコインの取引時間の1/4である2分30秒で取引を完了することができるようになりました。
仮想通貨Bitcoin Privateの価格変動
ビットコインプライベートの最新チャートはこちらのサイトで確認できます。https://coinmarketcap.com/ja/currencies/bitcoin-private/
Bitcoin Private(ビットコインプライベート)はハードフォーク後、1BTC=約3600円前後で取引が開始されました。
その後、3000円前後をキープしていましたが、徐々に価格は下がっていきました。2018年4月22日に価格が高騰しましたが、徐々に価格が下降していき、近頃は1BTCP=1000前後を推移しています。
現在の価格は、1BTCP=920JPY (2018年7月13日時点)で取引されており、時価総額は約180億で
時価総額ランキングは59位を記録しています。
現在は今までと比較すると1BTCPの価格は低いですが、匿名性などのビットコインよりも優れた特徴をもっているので将来的にはbitcoinと同等の価格で取引される日が来るかもしれません。
仮想通貨Bitcoin Privateの取り扱い取引所
…と思ったのですが、残念ながらビットコインプライベート を扱う国内取引所はなく、また海外の取引所でもほとんど取り扱われていないのが現状です。それどころか、このビットコインプライベート という仮想通貨の存在自体知らない人もまだまだ多いようです。
主に下記の海外取引所で取引されているようです。
➀HitBTC
UKを拠点としている仮想通貨取引所で、取り扱いアルトコイン数は『BITTREX(国内でも有名な海外取引所)』に負けないくらい多く取り扱っており、新規の取り扱いコインもどんどん増えています。
しかし、2018年6月2日にHitBTCは日本居住者に向けたサービス提供を一時停止するという発表がありました。そのため、現在は日本居住者はこの取引所での仮想通貨取引はできません。(これは近々日本で会社をたちあげ、日本の決済資金法に基づきサービスを再開する見通しがあるためといわれています。)
➁Exrates
インドネシアを拠点としている仮想通貨取引所でセキュリティ面がしっかりしています。
➂Trade Satoshi
この取引所は、100種類以上のアルトコインを取り扱う小規模取引所ながら、珍しいコイン・トークンを売買することができるため、一部の市場参加者からは良い評判を得ています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回は、Bitcoin Private(ビットコインプライベート )についてご紹介しました。
しかしながら先ほども述べたように、現在は有名な仮想通貨取引所で取り扱われておらず、手を出しにくしイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、言い換えれば今後有名な取引所、海外取引所でいえば“BITTREX(ビットトレックス)”や“Binance(バイナンス)”などに上場することができれば、一気に価格が高騰するかもしれません。一番有名な仮想通貨である“Bitcoin”という名前を引き継いでいることからも、一度上場してしまえば、市場参加者の目に止まることでしょう。
今後のビットコインプライベートの展開に注目が集まりそうですね。