株式投資を始めるにあたって、まずは証券会社へ口座開設を行う必要があります。口座には以下の種類があります。
・特定口座(源泉徴収あり)
・特定口座(源泉徴収なし)
・一般口座
申込みの際にそれぞれの口座について簡単な解説はありますが、初めて口座開設を行う人にとっては「どれが…何?」と思うのではないでしょうか?
選んだ口座によっては確定申告の手間を省く事が出来ますが、正しい知識がないと余計に税金を納めてしまう場合も…。そこで、今回は各口座のメリット・デメリットを解説します。
目次
株式投資で得られる利益と税金について
各口座の説明をするにあたって、株式投資で得られる利益と税金の関係について理解しておく必要があります。投資で得られる利益には次の2種類があります。
・売買で得る利益(譲渡所得)…安く買って、高く売った時に得られる利益
・配当金(配当所得)…企業が利益の一部を還元する事で得られる利益
基本的に利益が発生した場合は確定申告を行い、国に約20%(所得税15%、住民税5%)の税金を納める必要があります。
仮に株式で年間10万円の利益を出した場合、2万円を納める事になります。数字で見ると結構大きい額支払っている事が分かるかと思います。
会社員は納める税金を会社が計算し、納めてくれるため「確定申告」はあまり馴染みがないかもしれませんが、この確定申告、とても面倒なんです。
株式投資を行う場合は確定申告申請書類の他に「年間取引報告書」も自分で作成。それらを期日中に税務署へ提出しなければなりません。
参照元:国税庁 平成28年分株式等の譲渡所得等の申告の記載例(2017.4月時点、著者調べ)
参照元:SMBC日興証券 年間取引報告書の見方(2017.4月時点、著者調べ)
特定口座と一般口座の違い
特定口座では、先ほど説明した確定申告の際に提出する「年間取引報告書」を証券会社が作成してくれる口座です。1つの証券会社につき1口座作成することが出来ます。
一般口座では年間取引報告書を自身で作成しなければなりません。ここが一番の違いになります。
それぞれの口座ごとの特徴
それでは上記で説明した事を踏まえて、さらに各口座ごとの特徴を見ていきましょう。
特定口座(源泉徴収あり)
メリット:申請が省ける
源泉徴収ありの特定口座では、利益が出る都度に証券会社が税金分を徴収する為、確定申告をしなくても良いのが特徴です。もし年間の取引が損失で終わった場合、先に徴収しておいた税金分が還元されます。
確定申告に慣れていない会社員や、書類作成に手間を掛けたくない方には一番のメリットと言えるでしょう。
デメリット:無駄な税金を支払ってしまう場合がある
国の取り決めたルールにより、以下の条件に当てはまる場合は税金を支払わなくても良いケースがあります。
①1カ所のみから給与をもらっている
②年収が2,000万円以下
③給与や退職金以外の所得(配当所得・譲渡所得・雑所得など)が20万円以下
上記に該当する場合ですと本来は税金を納める必要がないのですが、源泉徴収ありの口座ですと証券会社が自動で税金を納めてしまいます。
少額での投資がメインの方、給与以外の所得が20万円を超えない場合には注意しましょう。
特定口座(源泉徴収なし)
メリット①:給与以外の所得が20万円なら確定申告の必要なし
源泉徴収ありで説明したデメリットに該当する場合、こちらの口座であれば余計に税金を納める必要がありません。少額での投資を検討している方であれば源泉徴収なしを選ぶと良いでしょう。
ですが、申告しなくても良いのは所得税のみです。給与以外の所得が20万円以下でも住民税(約5%)の納税は必要になりますので注意しましょう。
住民税のみの申請は、各自治体で行うことになります。
メリット②:積極的な運用が出来る
例えば、10万円で投資を始め、株式取引を10回行いました。利益を毎回10万円出したとしましょう。11回目の取引で利用できる金額は以下の通りになります。
・源泉徴収「あり」の場合
10万円+{(10万円-10万円×20%)×10回}=90万円
・源泉徴収「なし」の場合
10万円+(10万円×10回}=110万円
確定申告時に税金を納める事になるので、最終的に納める税金は同じです。しかし、源泉徴収なし口座の場合は納めるまでの間、運用資金として使用する事が出来ます。
リスクを踏まえた上で積極的な投資を行いたい方には一番のメリットになります。
デメリット①:確定申告が必要
給与以外の所得が20万円を超えた場合は確定申告をする必要があります。年間取引報告書は証券会社が作成してくれるので作成書類は減りますが、それでも手間がかかってしまいます。
デメリット②:自営業や主婦の方は注意
譲渡所得の額が多くなった場合、以下のような危険性があります。
・自営業の場合…国民健康保険料が上がる可能性がある
・主婦(夫)…配偶者の扶養に入っている場合、額によっては扶養から外れてしまう可能性がある
一般口座
メリット:なし
株式取引のみを検討している方にとっては、メリットと言えるものがありません。
しかし、日本国債や社債については特定口座では取り扱ってはおらず、一般口座での取引となります。こちらの取引を検討している方は合わせて口座開設を行うと良いでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?それぞれの口座の特徴を踏まえた上で、自身の運用方法に合った口座を選ぶべきです。
「源泉徴収ありで口座を開設したけど、源泉徴収なしの口座に変更したい」等、口座は開設後も変更する事が出来ます。しかし、各証券会社で変更方法が異なるので、一度確認してみてはいかがでしょうか?