平均年間休日は105日?就職や転職前に知っておきたい考え方とチェックポイント

あなたは自分が勤めている会社の年間休日をご存知でしょうか。会社勤めをしている方にはいろいろな名目の休日がありますが、今回は求人募集などでも見かける年間休日のお話しです。

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年間休日とは

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年間休日というのは、文字通りその会社ごとに予め決まっている1年間の休日のことです。業種によってお休みの日数は様々でカレンダー通りだったり変則だったりしますね。このお休みの日の合計が年間休日となります。

年間休日は決まっていない

1年のうちでカレンダーの赤い日、つまり日曜日と祝日というのが一般的に言われる休日です。ただし、お勤めをしている方の場合は、その業種によってカレンダー通りに休むことが出来ない職種もあるのです。サービス業、接客業、飲食業などはその代表ですね。

ハローワークの求人募集を見てみると、その会社の所在地やお仕事内容などと合わせて年間休日が記載されています。いろいろな業種を見てみると年間休日の日数にはかなりの開き(差)があることに気づくと思います。

何かしらの事情でもない限り休日の多い少ないでお仕事を選ぶ方はいないと思いますが、「この会社は休みが少ないな」という印象を持った方は多いのではないでしょうか。

私は仕事の関係でこれまで色々な業種の方とお会いしてお話しする機会がありました。その会話の中でも年間休日の話しは幾度となく話題になったものです。

労働基準法の休日

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働く人のために様々な決まりが作られているのはご存知ですよね。これを労働基準法というのですが、働き過ぎと言われている日本人、仕事のために休日も返上したりしてクタクタです。過労で倒れてしまわないように年間休日も労働基準法で定められているのでしょうか。

決められているのは休日のみ

実は、労働基準法では「年間休日を○○日取らないといけない」といったような定めはありません。では、従業員に対する休日としてどのような記述になっているかというと、「週に最低1日もしくは4週間に4日以上の休日を与えなさい」というにとどまっているのです。

その通りに週に1日だけの休日だったとすると、1年間で休みはたった53日間ということになります。倍以上お休みがある会社もあれば、誰が見ても本当に少ないと思ってしまう日数の会社もあります。

ただ、「年間休日」として労働基準法での決まりはないわけですから、会社によって80日だったり120日だったりとバラバラなのは当然のことです。ではどのように年間休日を決めているのでしょうか。

年間休日の平均

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年間休日の平均は何日ぐらいなのでしょうか。平均が分かれば自分が勤めている会社やこれから就職する予定の会社で提示している年間休日が多いのか少ないのかの判断材料になりますね。

その差は1週間

厚生労働省が統計を取った結果、年間休日の企業平均は105日だそうです。労働者の平均はというと112日ということで、その差は7日間(1週間)もあるのです。

インターネットで年間休日を検索すると、105日というのがやたらと目につきますが、実際の平均日数が105日という事でしょうか。それとも、年間休日を105日としている企業が多いのでしょうか。

一般的な日数

実はこの105日は、平均というのではなく一般的な計算で導き出された日数のようです。1年は365日でので、105日を引いてみると稼働は260日ということになりますね。

一般的な労働時間は8時間ですので、8時間×260日で2080時間となります。次に、1年は52週ありますので、2080時間で割ってみますと、2080÷52=40と出ます。

この40という数字にピンとくる方も少なくないのでは?上記で労働基準法に触れましたが、1日の労働時間は8時間、そして週に40時間を超えてはならないという決まりがあるのです。

という事はつまり、計算で出てきた40という数字は労働基準法で決められている8時間労働を週に5日したと仮定した場合の年間休日日数だったのです。

年間休日の決め方

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労働基準法で定められていない年間休日、ではどうやって決まっているのでしょうか。従業員が話し合って決める?重役会議?それとも社長の独断で「これぐらいでいいか!」って適当に決めちゃう?

一般的な決め方

会社の年間休日は、ほとんどの場合その会社を設立する際に決めるのが一般的なようです。そして、その決め方はというと、もちろん上記のように適当な決め方なんてしていません。

その会社の業種によって働き方もそれぞれ異なりますので、カレンダー通り土日祝がお休みになる一般的な企業と、接客などで365日稼働しているようなサービス業を例にして見てみましょう。分かりやすいように1年を365日とした場合で統一します。

【一般的な企業の場合】※週休2日制で土日祝がお休みの場合

365日-平日の日数=年間休日、と単純計算できます。例えばその年の平日が248日だったとします。そうすると365日-248日=117日ということになりますね。

しかし、このままだと平日すべて出勤という計算になってしまいます。一般的なお休みとして忘れてはいけないお盆休みや年末年始を加算する必要があります。このお休みも企業によって異なりますが、お盆休みを8月13~15日の3日間、お正月休みを12月30日~1月3日の5日間として考えてみます。

単純計算で出た休日117日+お盆休みの3日間+お正月休み5日間=125日ということになります。ただし、この125日がそのまま年間休日としている企業は多くないようです。だいたいの場合、お盆休みやお正月休みの数日間に有給休暇を当てているという事実があります。

また、土日祝いずれか(年に数回)をイレギュラーの出勤日として設ける会社もあったりしますので、例として計算した上記のような企業の場合ですと求人広告などに掲載する年間休日は数日の差を加味して120日前後で記載するといった感じで調整しているようです。

【サービス業・接客業の場合】※365日年中無休で24時間営業と仮定します

このような業種は、パートタイム勤務の方やアルバイトの方を除いてはカレンダー通りにお休みする事はできませんね。その場合は労働時間まで考慮した計算が必要となります。「1日8時間、週に40時間」と決められている法定労働時間というものがあることはお話ししましたね。

この法定労働時間に違反のない働き方をさせるためには、「最低でも○○日以上は休ませないといけない」という日数が出ます。こういった業種の場合は年間休日の下限を下回ることはできません。

これも単純計算をするなら、週に40時間という事は結局のところ週休2日制ということになります。ただし、祝日や盆正月を加味しませんので、上記で出ている平日の日数117日から祝日の日数が16日と仮定して引きます。そうすると年間休日は101日ということになりますね。

公務員の年間休日

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一般的な企業ではなく、公務員の年間休日は一体どのように決められているのでしょうか。公務員というだけでお休みが多いイメージが強いようですが、実際はどうなのか調べてみました。

まず、公務員として私たちに馴染みのある役所の職員さん(地方公務員)についてですが、地方公務員法で土日祝は年間119日、年末年始は6日間で、合計125日とされているようです。その他に、自己啓発休暇、配偶者同行休業、大学院修学休業など、あまり聞いたことのないようなお休みが取れるそうです。

そして、国家公務員の自衛官について調べてみたところ年間休日は120日以上との記載がありました。この中には年末年始のお休みも夏季休暇ももちろん含まれています。

調べてみて意外だったのは警察官です。通常勤務の場合は完全週休2日制で4週間に8日間のお休みだそうです。という事は、一般的な企業と同じという事になりますね。ただし、所属する課や部署によっては3交代勤務などもありますので全員に当てはまるものではありません。

年間休日が極端に少ない場合

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ここまで見てきて、どうもおかしな点があったのですが「あれ?」と思った方はいらっしゃいますか?気づいた方はもちろん、何とも思わなかった方も、ここから大事なお話しをしますので良く考えながらご覧ください。

求人票に記載の年間休日

下の図はハローワークのインターネットサービスで検索をしていて実際に見つけた求人票の1つです。「年間休日96日」と記載されています。

もう1社も見てください。こちらは「年間休日79日」です。

 

先ほどお話ししたように、最低の計算方法で出た(休む必要のある)日数が101日です。なのに100日を下回る年間休日は明らかに違法ではないのでしょうか。96日ならまだしも、79日は少なすぎる感じがしませんか?お盆休みとお正月休みを除いたカレンダー通りの土日祝だけでも117日あるわけです。

という事は、お盆休みやお正月休みはもちろん日祝日だって場合によっては休み無しということになる可能性があります。このように、年間休日が100日を下回る場合は大きく分けて2つ考えられることがあります。

1.勤務時間などで調整している

上の図のようなお仕事の場合は、勤務時間の調整をしているのがほとんどで実は違法性はないのです。これを「変形労働時間制」といって、サービス業などの場合に多く用いられているものです。

例えば、1日の労働時間を6時間~6時間40分にして週に6日の勤務(1日のお休み)しても週に40時間は超えません。そのように時間で調整してシフトを組むという勤務体系になっているのです。

簡単に言うと、短い周期ではなく1年単位の長いスパンで考えて「平均すれば週に40時間を超えないように調整」しているという事です。簡単に説明しましたが、変形労働時間制については、下記サイトで詳しく知ることができます。

参考サイト:1年単位の変形労働時間制

2.実際に違法性がある可能性

サービス業や接客業の他にも、多くの企業で取り入れられている変形労働時間制ですが、求人票の年間休日の日数だけでは判断が難しいこともあります。もしかすると変形労働時間制を取り入れず、実際に違法性のある勤務をさせている企業も皆無ではないのです。

ハローワークなど国の機関であれば、求人票を提出する企業のことをきちんと把握していますが、インターネットの求人サイトなどの場合は応募の際に年間休日をきちんと聞いて、就職した後で後悔しないようにしましょう。

その他の休日について

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年間休日についてはだいぶ理解できたでしょうか。では、土日祝や盆正月休み以外のお休みは年間休日に含まれるのかどうかについてお話ししたいと思います。

例えば有給休暇ですが、1年に1度たっぷりと有給休暇をとって海外旅行を楽しんでいるという方もいらっしゃいます。たっぷり休んだ有給休暇が年間休日に含まれてしまうと、有給休暇を使わない方との不公平感が生まれてしまいますね。

年間休日は会社のお休み

年間休日というのは会社が決めているお休みのことで、土日祝に限らず会社が休業日だと決めている日で、全従業員が一律でお休みとなる日、年末年始やお盆休み、会社の創立記念日などが年間休日に含まれる休日です。

ですから、有給休暇はもちろん、冠婚葬祭でのお休み、生理休暇、特別休暇、永年勤続休暇など、個人的に与えられる休暇はどれも年間休日には含まれないのが一般的です。

休日出勤したらどうなる?

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月末月初に業務が集中して休日出勤する経理担当者や、お客様の都合に合わせて休日出勤をする営業職の方など、会社がお休みでも仕事をしている方はたくさんいらっしゃいます。

休日出勤も年間休日に含まれる?

この答えはYESです。そもそも年間休日というのは会社が予め決めているお休みの日ですよね。極端な例を挙げてみますが、年間100日の年間休日すべてを休日返上で働いたとしても、その日が年間休日であることに変わりはないのです。

そうなると違法では?という声が聞こえてきそうですが、全く違法性はありません。なぜなら休日出勤すれば必ず「振替休日」もしくは「代休」を取っていませんか?決まっているお休みの日(他の方はお休みしている日)に仕事をしたのなら、代わりに別の日を休めば年間休日の日数は同じです。

「振替休日」と「代休」という言葉が出てきましたね。実はこの2つを同じ意味で使っている人が私の周りにもたくさんいますので、ここで少し説明しておこうと思います。ぜひ覚えておいてください。

「振替休日」というのは、もともと決まっている会社の休日に仕事をすると予め決めていて、事前に「○○日はアポイントがありますので休日出勤します」と報告のうえ仕事をして、代わりに別の日(休日出勤した日以降)を休日として休むことです。

これに対して「代休」というのは、アポイントもなく仕事をする予定もなくお休みするはずだったのに、当日になって急に仕事をしなくてはならないという状況になってしまった場合で、「仕事をしました」と事後報告になった際、代わりのお休みを取る場合に使います。

 年間休日の多い・少ない業種

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ここからは、年間休日の日数が多い業種、逆に少ない業種をご覧頂いたいと思います。

年間休日の多い業種

  • 自動車メーカー、電子部品メーカー、半導体メーカー、医療機器メーカーなどの各種メーカー
  • 製品の開発、企画などのモノづくりエンジニア
  • 研究開発や情報通信業
  • 金融業や保険業
  • 教育や学習支援に関する業種
  • 医療や介護に関する業種

これらの年間休日の平均は125日前後となっています。その中の職種によっても変わってきますが、上記で挙げた業種の年間休日は一般的に多いとされているようです。

年間休日の少ない業種

  • 美容、ファッション業
  • サービス業、接客業、販売、販売業
  • ホテル、旅館業
  • 飲食業

などとなっています。年間休日が多い業種と少ない業種をこうして見てみると、それぞれ多い・少ない理由が何となく分かるような気がします。では、次は年間休日の多い・少ないを職業別にいくつか見てみたいと思います。

年間休日が多い職業

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どうせなら年間休日の日数が多い職業に就きたいですよね。それは仕事をしたくないという事ではなく、少ないよりは多い方がいいですし、家族との時間も大切にしたいという思いがあるからです。

年間休日が多い職業はこれ

【営業職】年間休日の平均133日

お客様に合わせて休日出勤の可能性はありますが、営業職は比較的お休みが多い職種です。私も営業職の経験者ですが、通常の有給休暇の他に小さな子供さんがいる人には参観日や遠足などの行事のためのキッズ休暇、親兄弟が病気になった時のための看護休暇までありました。

この営業職というのは敬遠されがちですが、飛び込み営業や保険会社の営業だけではありません。ノルマなどのない営業だってたくさんありますし、1歩も外へ出ないテレアポ営業のようなものもあります。

【システムエンジニア】年間休日の平均127日

システムエンジニアというと、1日中パソコンに張り付いて深夜までカチャカチャやっているというイメージが強いようですが、実はお休みがたくさんある会社が多いんです。

確かにやる時はやります!的な感じはあって、定時なんて関係なく働いてるのも事実です。でも、そのハードな業務がいったん終了(または区切りの良いところまで)すれば、数日間の連休を取れたりするのです。家庭のある人などは、土日祝はきっちりお休みしているという方もたくさんいらっしゃいます。

【事務職】年間休日の平均125日

事務職も業種によって様々ですが、一般的な事務職の場合は年度末などに多少バタバタする程度で、あとは年間通して比較的安定しているといえるようです。

小さい会社の1人事務ともなれば話しは別ですが、通常は数名の事務員さんが勤務しています。その中の誰かが急にお休みしても誰かが補えるわけです。ですから、例え繁忙期で休日出勤しても振替休日はきちんと取ることができます。

【製造職員】年間休日の平均120日

何かを製造する会社の工員(製造職員)は、業種にもよりますが比較的お休みがたくさんある場合が多いようです。製造といっても色々ありますね。例えばライン管理されているところなら、業務時間中ずっと立ちっぱなしだったり逆にじっと座って流れてくる製品を見ているだけだったり。

それでも体のあちこちが疲れますので、定期的にお休みを取らないといけません。24時間休まず稼働している工事などでも、きちんとしたシフト管理で個々の体調に支障が出ないよう半ば強制的に休ませるところもあるようです。繁忙期などは多少の残業も発生しますが、その場合には休みを増やすなどして対応しているそうです。

年間休日が少ない職業

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では、逆に年間休日が少ないとされている職業を見てみたいと思います。

【コンビニエンスストア】

メディアなどで目にした事がある方もいらっしゃるかもしれませんが、コンビニエンスストアはほとんどがフランチャイズで、家族経営も多くなっています。どの店舗も24時間それぞれの時間帯でアルバイトを雇っているのですが、オーナーはシフト表に入っていない場合が多いようです。

オーナーがシフトに入ってしまうと、バイトの急なお休みなどに対応できなくなる可能性もあるので、オーナーはオールマイティー的な位置にいないと場合によっては大変な事になってしまうという理由があるのですね。

そのため、オーナーは基本的にお休みはあって無いようなものといえます。他の自営業の方も位置的には同じですが、コンビニエンスストアは24時間営業なので重要さの度合いが異なります。

【理・美容師】

美容院で働いている方は基本的に月曜日がお休み(店舗のお休みが月曜日)という場合が多いですね。お盆休みやお正月休みは店舗によって大きな差がありますが、その大型連休を別としても毎週月曜日はお休みが取れることになります。

ですが、お店がお休みだからと全員がお休みできるとは限らないというのが現状のようです。特に見習いや研修中の場合、営業時間中は雑用が主な仕事となるため、休日にお店でカットやシャンプー、パーマの練習などをするのです。

【小売り店】

コンビニエンスストアと同じで、アルバイトやパートさんを雇ったところで店主は決まったお休みを取ることは難しいですね。これが観光地にあるお土産物屋さんだったり、口コミで人気のお店だったりすれば尚更お休みを取ることは困難といえます。

【レジャー施設・アミューズメント施設】

土日祝はもちろん大型連休や盆正月のお休みこそ稼ぎ時で、かといってほとんどの施設は年中無休なので絶対に休める日などないのが一般的ですね。

施設の中でどんな仕事を担当するのかにもよりますが、こういった施設の場合は事務職以外どの部署のどんな業務だろうと動き回ることになると思われます。

以上のような職業の方は、その会社のシフト管理体勢がきちんと出来ていないと労働基準法で定められた労働時間を大幅に超過することもあり得ます。

まとめ

いかがだったでしょうか。私たちは生活のために働いていますが、その職業によってお休みできる年間休日には大きな開きがあります。休みが多い友達を羨ましいと思ったりもしますが、年間休日だけでその会社の良し悪しが決まるわけではありません。

もしも、これから就職活動をする予定のある方は、ぜひ面接を受けようとしている企業の年間休日もチェックポイントの1つとして判断材料に加えてみてはいかがですか。