引用:ぱたくそ
わが国では、どのくらいの人が大学に進学しているのでしょう。
平成27年の大学進学率は54.6%、すなわち現役学生の半数以上が短大以上の大学に進学しているのです。
親世代の所得は伸び悩む中、教育資金を祖父母に頼る家庭も多いのではないでしょうか?
税金の心配をせずに子や孫へ教育資金を渡したいという高齢者も少なくありません。
そこで今回は、教育資金の贈与について考えてみました。
参考元:文部科学省
目次
贈与税の仕組み
贈与税とは、個人から財産を受けとった時にかかる税金のことです。
保険料を払っていなかったのに生命保険金を受け取った時、その保険金は贈与財産とみなされます。
では、贈与税はどのように計算されるのでしょうか?
贈与税の基礎控除額
贈与税の計算にあたって、贈与された財産全額が課税されるわけではありません。
1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産のうち、110万円は基礎控除額として認められています。
1年の間に複数の人から贈与を受けたとしても、総額が110万円以下なら課税されませんので、申告する必要もありません。
贈与税の税率
平成27年1月1日以降に個人が受け取った財産は
- 一般贈与財産
- 特例贈与財産
に区分され、それぞれの財産にかかる贈与税の税率が異なっています。
一般贈与財産の税率
一般贈与財産とは、特例贈与にあてはまらない贈与財産のことです。
具体的には、兄弟、姉妹の間で、夫妻間で、あるいは祖父母から未成年者へ贈与される財産です。
一般贈与財産には、一般税率が適用されます。
特例贈与財産の税率
贈与を受ける年の1月1日に20歳以上の子・孫に、両親・祖父母などから贈与される財産を特例贈与財産と呼び、特例税率が適用されます。
特例贈与財産には、特例税率が適用されます。
一般贈与より特例贈与の方が税率がゆるく設定されていますので、例えば贈与財産から非課税の110万円を引いた額が3,000万円以下の場合、
- 一般財産の贈与税額:贈与財産×55%-400万円
- 特例財産の贈与税額:贈与財産×45%-265万円
になります。
注意が必要なのは、あくまでも直系尊属から子・孫への贈与に適用されるということです。
例えば、贈与を受ける人が20歳以上で結婚している女性の場合、夫の祖父母からこの女性へ財産を贈与する場合には特例とはみなされず、一般贈与となってしまいます。
引用元:国税庁
教育資金を贈与する方法
さて、祖父母などから教育資金を非課税で受けとるにはどのような方法があるのでしょうか。
暦年贈与
財産を贈与する場合、年間110万円の基礎控除額が非課税になることを利用して、毎年110万円以下の金額を子・孫へ移転する方法があります。
これは、「暦年贈与」と呼ばれる制度を利用した、教育資金のための贈与です。
ただし、あらかじめ毎年決まった金額(110万円以下)を贈与するという契約をした場合には、暦年贈与が認めらず、課税されてしまうこともあるので、専門家に確認が必要です。
必要な時の贈与
大学ほど多額ではないものの、幼稚園から高校まで、教育にかかるお金は、その都度、家計から支出されてきました。
祖父母からのお祝いもあったでしょう。
でも、贈与税の申告をしたりしませんね。
なぜなら、子や孫にかかるお金を必要な時に必要なだけ支出することは、贈与とはみなされていないからです。
現行制度では,扶養義務者間(親子間等)で必要の都度支払われる教育資金は贈与税非課税
である。引用:国税庁
ここで、扶養義務者は親子間となっていますが、祖父母が応援することを禁じてはいません。
教育資金の一括贈与に係る非課税制度
多額の教育費を準備することが難しい子育て世代に対して、わが国の高齢世代は資産を多く保有しています。
そんな世代間の格差を埋めるべく、資産を移転する目的で作られた制度が「教育資金の一括贈与非課税制度」です。
相続税の基礎控除額が縮小されたこともあり、早いうちにまとまったお金を子・孫に移しておきたいという高齢世代のニーズもあり、利用者は増加しています。
この制度の概要は以下の通りです。
1.平成 31 年3月 31 日までの措置です
2.贈与する人(祖父母など)は子・孫名義の金融機関の口座等に、教育資金を一括して 拠出することができます。
3.子・孫が口座から資金を引き出すには、金融機関に領収書を提出して教育資金と確認されることが必要です。
4.拠出金のうち学校等に使われる資金は1,500万円まで非課税です。
(学校等以外は500万円まで)
5.子・孫等が3歳になった時点で口座は終了します。
まとめ
子や孫に教育資金を渡すことは、日本の将来に投資することにほかなりません。
また、自分が元気なうちに子や孫の喜ぶ顔を見たいという高齢者の本音もあり、教育資金の一括贈与制度は利用者が増加しています。
一方、高齢者の老後破たんも社会問題化しています。
自分の老後に経済的な不安がある場合には、背伸びをしない贈与を心がけましょう。