勤労学生控除で親の負担を軽減できる!確定申告の書き方。




突然ですが、皆さんは節税を意識していますか?私は退職し、お金についての記事を書くようになって、やっとお金の流れや公的な制度について関心が向くようになりました笑。すると、様々な所得控除をうまく活用すれば、節税対策につながるということを知ることができました。

そこで今回は、アルバイトをしているお子さんをお持ちの方なら聞いたことがあるかもしれない「勤労学生控除」に着目し、今更聞けない勤労学生控除について、詳しくご紹介していきます。

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勤労学生控除について

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様々な所得控除の中でも、あまり馴染みのある控除ではないのではないでしょうか。ただその名称からも分かる通り、アルバイトなどでお金を稼いでいる学生が家族にいる方なら、ぜひ活用してほしい控除です。また控除の内容を理解すれば、「今まで税金払いすぎてたかも・・・」という事態を避けることもできます。

勤労学生控除とは

「勤労学生」という名称の通り、働いている学生に対して生じる税額控除のことです。1年間の給与所得が一定額以下であることが条件となります。この控除を受けると、主婦やパートの方を悩ませたことでおなじみの「103万円の壁※」を避けることができます。

※扶養に入っている方で、パートやアルバイトの年収が103万円以下であれば、給与所得控除(65万円)と基礎控除(38万円)を合わせた額”103万円”より、所得税が全額控除となるため、自分で所得税を支払う必要がなくなります。ただし年収が103万円を超えれば、所得税の支払い義務が生じるため、「生活のことを考えると、働くことを控えるべきではないか・・・」と頭を悩ませる人もいたようです。

学生としての条件は以下の通りで、

  1. 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
  2. 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校または各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
  3. 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

となっています。学校へ通っている自分自身または家族が、勤労学生控除における”学生”の条件を満たしているかどうか確認したい場合には、学校の窓口等に問い合わせることをおすすめします。

控除を受ける条件は?

上記で紹介した条件は”学生”の条件です。勤労学生控除を受けるための条件には、以下の3つが全て当てはまることが条件となります。

  1. 特定の学校の学生、生徒であること
  2. 合計所得金額が65万円以下で、しかも3.に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
  3. 勤労所得が学生である納税者本人の勤労による所得であること

一番最初に挙げられている条件は、先に紹介した”学生”としての条件です。二番目の条件は、金額だけ見ると「ん?」と思うかもしれませんが、「給与」と「所得」の存在が分かりにくさの原因かもしれません。

要するに、1年間の給与が130万円だった場合、給与所得控除として65万円がまず引かれます。そこで残ったのが、合計所得金額である65万円です。この始めに引かれる給与所得控除分で余った額が65万円以下であれば、勤労学生控除は受けることができます。

そして所得以外の所得というのは、株取引で得られた所得や、アフィリエイトなどの広告収入のことを指します。所得が”自分の行いそのもの”の対価ではないもの、と思えば理解しやすいのではないでしょうか。もちろん、これらの所得を得るために、自分から働きかけはしていると思いますが。

控除額はいくら?

先にも紹介した「103万円の壁」ですが、年間の給与所得が103万円以上の場合、所得税が発生します。ただし、あなた自身やあなたの家族に「勤労学生控除」が適用されると、給与所得控除(65万円)と基礎控除(38万円)を合わせた”103万円”の控除に加えて、27万円の控除を受けることができます。

足し算すると、合計130万円の控除を受けることができる、ということです。年収が130万円だった場合、所得税として13,500円が徴収されます。もし勤労学生控除が適用されれば、この分がお得なんです!

扶養控除の適用に注意

ただし、「扶養控除」の適用からはずれないようにする必要はあるかもしれません。例えば子供がアルバイトをしている、勤労学生控除の条件に値するとします。片方の親は働いていて、もう片方の親とその子供が扶養家族となっている場合を確認しましょう。

「扶養控除」の対象は、配偶者や子供の合計所得が38万円以下である必要があります。親の「扶養控除」の適用からはずれないためには、アルバイト代を103万円以下にする必要が生じるのです。

もしアルバイト代が130万円の場合、「勤労学生控除」は適用されるので、アルバイトしている本人の所得税は0です。しかし「扶養控除」の適用から外れることで、親が支払う税金は増加してしまいます。

そのため「扶養控除」「勤労学生控除」共に適用対象となるためには、アルバイト代を103万円以下に抑えた方がお得なのです。

参考文献:勤労学生控除 国税庁

参考文献:勤労学生控除はアルバイト代にどう影響するのか?

勤労学生控除の申請方法

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では実際に、勤労学生控除を申請するための方法をご紹介していきます。手続きには「扶養控除等(異動)申告書」に記載する必要があります。手続きの流れと、書く内容についてご紹介していきます。

控除を受けるための手続き

まず先にも紹介しましたが、給与を受け取っている場合には「扶養控除等(異動)申告書」にある”勤労学生控除に関する事項”を書き込み、勤務している所へ提出しましょう。

働いている場所の数を要チェック

アルバイト先、働いている場所が1カ所の場合には、勤務先に年末調整をしてもらうことで、控除を受けることができます。先に紹介した申告書を提出し、必要事項を書いて提出します。

もしもアルバイト先等が2カ所以上、すなわち給与を得る場所が2カ所以上ある場合には、確定申告をする必要が生じるので、確定申告書に”勤労学生控除に関する事項”を書いて提出します。通っている学校によっては、証明書の添付が必要になる場合もあるので、必要に応じて、学校の窓口へ依頼しましょう。

申告書の書き方

まず申告書に記載されている「給与の支払者の名称(氏名)」と「給与の支払者の所在地(住所)」にはアルバイト先の情報を記入しましょう。「あなたの氏名」「あなたの個人番号」「あなたの住所又は居所」「あなたの生年月日」は申告書を記入するあなた自身の情報を記入します。個人番号はマイナンバーのことで、住民票のある住所に届いているはずです。住所は、一人暮らししている場合には、その住所で構いません。

 

「世帯主の氏名」ですが、これは実家に住んでいるのであればお父さんの場合が多いと思いますが、念のため家族に聞いておきましょう、一人暮らしの場合には、自身の名前を記入します。「あなたとの続柄」は世帯主があなたであれば「本人」ですし、お父さんであれば「父」、お母さんであれば「母」です。「配偶者の有無」は結婚していれば「有」していなければ「無」です。

申告書には”勤労学生”の欄がありますから、条件に当てはまっているのであれば、勤労学生に○を付け、内容欄へ必要事項を記入します。

まず「学校名」には通っている学校の名称を、「入学年月日」はそのままの意味ですね。「所得の種類」は「給与所得」と記入しましょう。「所得の見込み額」ですが、記入する時期が11月などの場合には、年末である12月の給料は当たり前ですが、まだ受け取ってないですよね。そこで12月にもらう予定の給料を”見込んで”記入する必要があります。

ただし”受け取る給料の額”と”申告する所得の額”は違うものです。WEB上には、見込みの給料を入力すると、簡単に給与所得の金額を計算してくれるサイトがあるので、そちらを利用して「所得の見込み額」を出してみるといいでしょう。

添付書類について

通っている学校が、一般的な大学などであれば、添付書類は必要ありませんが、対象となる専門学校や職業訓練学校へ通っている場合には、「在学証明書」の添付や提示が必要になることがあるので、その場合は学校の窓口で証明書を受け取りましょう。

参考文献:学生必見!年末調整、勤労学生控除の書き方と記入例。添付書類も確認!

勤労学生控除の注意点

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勤労学生控除は、アルバイトをしながら学ぶ学生にとっては、とてもお得な制度だと思います。しかし注意点もありますから、抜かりなく確認しておきましょう。

確定申告は必要?

先にも紹介しましたが、給料を受け取る場所が2カ所以上ある場合には、確定申告をして、自分で所得税の申告をする必要があります。ただ確定申告書にも、勤労学生控除に関する事項を記載する欄がありますから、2カ所以上あるから控除が受けにくい・・・という訳ではありません。

ただ必要な手続きは、抜かりなく行いましょう。

家族単位で考える時の注意点

最初でも述べましたが、場合によっては「扶養控除」の条件から外れてしまい、納める税金が増えてしまう場合があります。家族単位で考える場合には、注意しなければなりません。

例えば親の年収が500万円だったとします。支払うべき社会保険料が年間65万円だった場合、働いている学生が扶養者であった場合、その年収が103万円以下であれば、所得税は90,000円、住民税は198,000円で済みますが、年収103万円を超えると所得税は145,500円、住民税は250,500円となってしまいます!比べれば一目瞭然ですが、およそ10万円も、親が支払う税金が増えてしまうのです。

よく相談すること

勤労学生控除は、家族の納税額にも影響する制度ということが分かります。そのため、家族に「学校へ通いながらアルバイトをしてお金を貯めたい」という人がいた場合には、家族でよく話し合ってから、控除を利用して節税に取り組むのがベターです。加えて、所得税の金額は年収によっても上下する、ということを忘れないでくださいね。

参考文献:学生必見!学生のための税額控除「勤労学生控除」とは?

年齢制限はあるのか?

年齢制限はありません。勤労学生の条件に当てはまれば、控除を受けることができます。ただ社会人学生などの場合には、所得条件を超えてしまう場合もあるので、自分の立場を事前に確認しておくことは必要です。

勤労学生控除に当てはまるかどうか確認したい場合には、自分の通っている学校の窓口を頼るのが、一番信頼できると思います。

参考文献:勤労学生控除とは?職業訓練学校もOKです

知っておくべき所得控除とは

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今回着目した「勤労学生控除」も所得控除のひとつですが、所得控除はこれだけではありません。所得控除について復習すると、税を支払う人の事情を考慮して所得を減らし、税金を安くする制度のことです。所得の合計金額から様々な控除の合計金額を差し引いて計算されるものですが、もちろん一定の要件を満たす必要はあります。

ただ条件を満たせば、控除を受けることで、同じ所得金額でも一人一人の事情に応じた税額で納めることができますし、また「基礎控除」と呼ばれる全ての人に適用される控除では、所得から38万円を差し引くことができます。

所得控除の種類を知ることで、税金の払い過ぎを避け、生活費の圧迫から逃れることができるかもしれません!

他にどんな控除があるの?

所得控除の種類は様々ですが、今回着目した「勤労学生控除」と「基礎控除」を除いた控除を表にしました。左側が控除の種類、右側がその内容となっています。

雑損控除災害、盗難、横領などにより住宅や家財等に損害を受けた時、受けることができる
医療費控除医療費が一定額以上あった時
社会保険料控除国民健康保険や国民年金保険料を支払った、健康保険料や厚生年金保険料が給料から天引きされた時
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済や個人型確定拠出年金の掛金を支払った時
生命保険料控除生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った時
地震保険料控除地震保険料を支払った時
寄付金控除国や地方公共団体など公益的な寄付をした時
寡婦・寡夫控除配偶者が亡くなった、配偶者と離婚した時
障害者控除自分や家族が障害者である時
配偶者控除配偶者の給料が103万円以下
配偶者特別控除自分の所得が1,000万円以下で、配偶者の給料が141万円未満
扶養控除給料が103万円以下で生計を一にする扶養親族がいる時

参考文献:所得金額から差し引かれる金額(所得控除) 国税庁

注目すべき控除とは

注目すべき控除は「配偶者控除」や「扶養控除」、「医療費控除」や各種保険にまつわる控除だと考えています。個人的な話にはなりますが、私は学生時代に”がん”を経験しています。その際、私の家族は「医療費控除」のお世話になりました。このおかげで、治療や入院でかかる費用が多少軽くなったことを覚えています。

配偶者控除と扶養控除

結婚している人に生じる控除に「配偶者控除」「配偶者特別控除」があります。「103万円の壁」は、給与所得控除の最低額65万円を差し引いた金額38万円を超えると、この控除が受けられなくなることから話題に挙がる話です。

扶養家族であれば「扶養控除」もありますね。これは配偶者以外に当てはまる”16歳以上の6親等内の血族および3親等内の姻族”が対象となっています。扶養控除を受ける場合には、扶養親族の合計所得が38万円以下である必要があります。

配偶者控除が改正される

ただ2018年から、「女性の社会進出」が基盤になっているのだと思いますが、「配偶者控除」で適用される年収の額が103万円から150万円に増額されるとのことです。控除の対象となる人が増えることにもつながりますから、アルバイトやパートの収入が103万円を超えていた人にとっては嬉しいニュースではないでしょうか。

この改正をポジティブに捉えられる人には、例えば自営業を営んでいる配偶者が挙げられます。むしろ社会保険に入れた方が嬉しいと考える人が多いであろう立場ですから、この改正によって減税につながります。また年金受給者の方も、公的年金控除後の所得が60万円までは使えるようになるだろうと見込まれています。

ただし、配偶者を扶養している人の年収が1120万円を超えていて、配偶者が専業主婦(夫)の場合や共働きの場合、実質的に増税となるので、あまり喜ばしくないかもしれませんね。

参考文献:配偶者控除拡大 妻が「○万円の壁」超えて働く利点は

医療費控除

1年間に自分や配偶者、子供が支払った通院費や薬代は、「医療費控除」として申告することができるって知っていましたか?もちろん条件額はありますが、改めて確認してみると、案外「控除を受けられる額、支払っていた」なんてこともあるかもしれません。

医療費の合計が10万円を超えていれば、申告の目安となります。ただ病気やケガでの入院で、保険会社から療養費を受け取った場合には、その金額は除いてくださいね。控除額は最高200万円までと決められていますが、10万円を超えているのであれば「医療費控除」を使わない手はありません。

ただ注意しなければならないには、支払った時の領収書が必要になるということです。どのような目的でそれを購入したのか、支払ったのかが証明できなければなりません。

この控除を受けることができる医療費として認められているものは、病気やケガのための支出のみです。少々複雑に思えるかもしれませんが、一般的な眼鏡(視力矯正のための眼鏡)の購入費や美顔整形は対象外です。予防接種も対象外です。これは恐らく病気やケガのため、ではなく、病気やケガの予防、という観点から対象外なのでしょう。薬局で買った薬や疲労回復ドリンク剤、サプリメントも対象外です。

ただ条件に見合った医療費が10万円以上かかるのであれば、税務署や国税庁のサイトで「医療費の明細書」を入手することができるので、それを活用して医療費をまとめ、控除の申請に備えておきましょう。

各種保険にまつわる控除

保険料にも控除があります。例えば社会保険料(国民健康保険、介護保険、国民年金保険など)は1年間に払った全額が控除されます。

また生命保険や介護医療保険、個人年金保険などに関しては「生命保険料控除」を受けることができます。控除額は新契約したものかどうかが基準となり、人によって異なります。新契約の場合、最高12万円の控除を受けることができます。「地震保険料」の控除では、最高5万円控除が受けられると言います。

年金の「学生納付特例制度」にも注目

勤労学生控除は、もちろん自身が”勤労学生”の対象であっても受けることのできる控除ではありますが、お子さんがバイトをする関係で「勤労学生控除」の存在を知ったという人も少なくないのではと思います。そこで、もしお子さんがまだ扶養に入っていて、20歳を超えているのであれば、「学生納付特例制度」も注目しましょう。

所得控除の話しとは少々ずれてしまいますが、「バイトをして稼ごう」と考えているお子さんに、お金の勉強をさせるには良い機会ですから、一緒に注目することをおすすめします。

年金は20歳になると納付義務が生じます。ただし、本人の前年所得が118万円以下であれば「学年納付特例制度」を利用することができます。これは在学している最中の保険料の納付の猶予を受けることのできる制度で、申請することで可能になります。これは家族の方の所得の多寡は問われません。

この申請は、市区役所や町村役場の国民年金窓口や、年金事務所、学生納付特例の代行事務を行う認可を受けているのであれば、在学中の学校で行うことができます。国民年金手帳と学生等であること、学生等であったことを証明する書類があれば申請可能です。

参考文献:学生納付特例制度 日本年金機構

お金の勉強を一緒にしよう

これは持論になりますが、「勤労学生控除」という制度を理解できたら、アルバイトをしているお子さんのいるご家庭では、ぜひ親子ともにお金の勉強をする機会を設けてほしいと考えています。

お金の勉強は「算数・数学」などに関連する勉強だけではなく、公的制度にはどのようなものがあるかといった「社会」の勉強も必要と言えるでしょう。私は正直「社会」の授業に興味関心が薄かったことが、仇となったな、という経験が多々あります。

アルバイトを始めた時も、母親から「働き過ぎるとお金がかかる」という話は受けていましたが、本質まで理解できたのは、今自分がお金に興味関心があるからこその話です。

お金を稼いでいるのに、納税額が上がり、支出が高くなっては意味がないですよね。そのためお子さんが「アルバイトを始めたい」と思っている場合には、家族のお金のことも話し合う必要があると考えます。もし制度のことを知らないまま、頑張って稼ぎすぎてしまうと、知らない間に税負担がかさむ場合も生じます。親子間での金銭トラブルは避けたいですよね。

まとめ

「勤労学生控除」は、”勤労学生”の条件を満たしている場合に受けることのできる所得控除のひとつです。うまく活用すれば、103万円に加えて27万円の控除を受け取ることができます。申請方法も、給与を受けている場所で提出する申告書、または確定申告で提出する申告書の”勤労学生に関する事項”を記載するだけですから、複雑ではありません。

ただし「扶養控除」など、他の所得控除と合わせて、お得に節税を考える場合には、働き方に少々工夫が必要になってしまいますので、「勤労学生控除」の条件に当てはまっている場合には、まず家族と相談の上、働き方や今受けている控除の条件を見直すことが必要と言えます。