個人年金保険は必要? 注意したいデメリットや保険の種類を解説!

老後は安心して豊かな生活を送りたい、そう考える方がほとんどです。しかし、日本の現状に目を向けてみると、老後の生活が危ぶまれることは明らかです。今後も少子高齢化が進み、公的な年金制度は全くと言って良いほど頼りにすることはできません。

そこで大切なのは、個人が自分の身を守るということです。公的な年金とは別に個人年金保険を利用し、老後資金を貯蓄する方法はその1つの手段となります。

今回は、個人の力で老後を支えて行くための個人年金保険について、その種類やタイプ、メリット・デメリットや代表的な保険会社の商品についてご紹介します。

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個人年金保険とは?

引用元:photoAC

老後の資金を着実に貯蓄する1つの手段として、個人年金保険は非常に効率の良い貯蓄方法として注目されています。公的な年金が信頼を失っている中、このように着実に老後資金を受け取ることのできる個人年金保険については是非知っておきたいところです。

そこで、この項目では個人年金保険の基礎について確認してみましょう。まずは公的な年金制度との違いを見てみましょう。

個人年金保険とは? 公的年金との違いから見る!

日本国民全員が支払う公的年金と民間の保険会社が扱う個人年金は、どのように異なるのでしょうか。最も大きな違いは「年金を支払う人と年金を受け取る人が同じであるか否か」という点です

公的年金の場合、年金を納めるのは現役で働いている若い世代ですが、年金を受け取るのは現在の高齢者です。現在は少子高齢化が問題となっているので、将来的には少ない人数で多くの高齢者を支える必要が生じ、公的な年金制度がうまく回らないことが懸念されています。

その一方で、個人年金保険であれば、保険料を支払う人と、支払った分の年金を受け取る人は同一です。つまり、自分で支払った分だけ自分に返ってくる保険だと言えるのです。

したがって、将来公的な年金制度で受け取ることのできる年金が減ってしまうことを念頭に入れ、個人年金保険に加入しておくことで、老後の生活の不安を少しでもなくすことができます。

また、公的な年金への加入は国民全員が加入する義務を持ちますが。個人年金保険の場合は任意で加入する保険であるため、必ずしも加入する必要はありません。

個人年金保険の種類

個人年金保険には3つの種類があり、それぞれ「円建て個人年金保険」「外貨建て個人年金保険」「変額個人年金保険」となっています。それぞれの特徴は次のようになります。

円建て個人年金保険

円建ては最も一般的な個人年金保険です。多くの方がこのタイプの個人年金保険に加入しているのではないでしょうか。「円建て」という名前の通り、保険料は円でおさめ、受け取る年金も円で受け取ります。

リスクは少なく、確実に貯蓄を進めることができるので、地道に老後資金を貯めたい方に適した個人年金保険だと言えるでしょう。

外貨建て個人年金保険

外貨建てのメリットは海外の高い利率で運用を行うために、円安になれば為替の変動によって大きな利益を期待することができる点です。外貨建てという名前のとおり、外貨で運用される個人年金保険ですが、保険料は日本円で支払うことが可能です。

ただし、外貨建てには大きなリスクが伴い、円高になった場合には受け取ることのできる年金額が減ってしまうことも考えられます。また、外貨建てであるので、円から外貨に換えたり、反対に外貨から円に換えたりする場合には、手数料もかかることに注意したいところです。

変額個人年金保険

この種類の個人年金保険は運用次第で、多額の年金の受け取りを期待できるものです。加入者が支払った保険料を保険会社が運用し、その実績次第で受け取る年金額が決定します。

順調に運用することができればリターンは大きい反面、リスクも非常に高いため、元本割れ(年金の受取総額が保険料の支払総額を下回ること)が起ってしまう可能性があるのです。

つまり、変額個人年金保険は″保険会社に投資する保険″と呼ぶことのできる保険でもあり、加入者は金融商品ついてある程度の知識を持つ必要があるのです。したがって、その知識が不足している場合にはあまりおすすめできない種類の保険であるとも言えます。

個人年金保険のタイプ

個人年金保険には3つのタイプがあります。そのタイプとはそれぞれ「終身年金」「有期年金」「確定年金」となっています。1つ1つどのような特徴があるのか、確認してみますね。

「終身年金」

終身年金とは名前の通り、一生涯の間年金を受け取ることのできるタイプの年金のです。加入者が亡くなるまで一生涯安心して年金を受給できる点がメリットですが、その代わりに保険料は比較的高くなるというデメリットも持っています。

また、万が一保険加入者が亡くなってしまった場合、元本割れしてしまう可能性があり、本来受け取れる年金を受け取ることができないという損失を被ってしまう恐れもあります。

「有期年金」

有期年金は、一定の期間に限って年金を受け取ることのできるタイプの保険です。年金を受け取る期間に制限がありますが、その代わり保険料は比較的安いのが特徴的です。

しかし、終身保険と同じように、年金の受給期間中に保険加入者が亡くなった場合、本来受け取るはずだった残りの個人年金を受け取ることができないので、元本割れとなってしまう可能性があります。

「確定年金」

確定年金においても、有期年金と同じく5年~15年にわたる一定の期間内に個人年金を受け取ることのできる年金です。

最大のメリットは、年金の受給期間中に加入者が亡くなってしまった場合、残された遺族が年金の受取を引き継ぐことができる点です。そのため、元本割れを回避することが可能となります。保険料も「終身年金」と「有期年金」の中間ほどなので、このタイプの個人年金保険に加入するケースが多いのが現状です。

個人年金保険の必要性は?

多くの方が公的な年金制度に疑問を抱いている中で、支払った分だけ確実に年金を受け取ることのできる個人年金保険は非常に心強い保険です。しかし、実際のところ個人年金保険に加入する必要性はあるのでしょうか。

事実、高齢の夫婦が最低限必要とする生活費は月22万円となっていることが明らかです。しかし、実際に公的な年金で受け取ることのできる金額は会社員・公務員で毎月20万円前後となるため年金だけでは生活が苦しくなってしまいます。

さらに、自営業者である場合には受け取ることのできる年金は会社員・公務員よりもさらに少なく、毎月たったの5万円程度であるため、月々15万円以上生活費が不足してしまいます。

もちろん、貯金を切り崩して生活費に回す方法を講じることもできます。しかし、多額の不足を抱えてしまうことを考慮に入れると、老後にゆとりある生活を営むためにも個人年金保険の加入を検討する価値はあると判断できるでしょう。

どんな人に必要な保険?

個人年金保険は任意の保険であるので、必ずしも全ての国民が加入する必要はありません。しかし、公的な年金制度の在り方が危ぶまれている現代においては、将来の不安に備えて何らかの貯蓄対策を講じる必要があります。

ただ、個人年金保険が必要な場合とそうでない場合があるため、個人年金保険に加入する際にはご自身にとって本当に必要な保険であるか見極めなければなりません。

そこで、個人年金保険が必要なケースとして一番に挙げることができるのは、自由業・自営業の場合です。先ほど触れたように、自営業者が加入している国民年金では、老後月5万円程度の年金しか受け取ることができません。

会社員と比較して、受け取ることのできる年金が非常に限られているため、老後も働き続けない限り、年金だけで生活していくことは困難なのです。定年退職が無い分、老後も働くことができますが、仮に病気を患ってしまった場合には生活してゆくための資金が足りなくなってしまう恐れがあります。

したがって、このようなリスクの大きい自営業者にとって個人年金保険は非常に心強い制度であると言えるでしょう。

また、自営業者であるケース以外にも、貯蓄が苦手な場合も個人年金保険に加入することで、確実に老後資金を貯めることができます。個人年金保険は銀行よりも高い金利で貯金することができ、毎月確実に保険料を支払う義務が課されるため、貯金も計画的に、そして順調に進むのです。

また、途中で解約する場合には損をしてしまう可能性もあるので、簡単に解約することなく、慎重に老後資金を貯めることが可能です。

メリット

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個人年金保険は貯蓄性に優れており、老後資金を貯めるには最適の保険ですが、具体的にはどのようなメリットを持っているのでしょうか。ここでは個人年金保険の具体的なメリットについて確認してみましょう。

積立が上手く行く

貯蓄を行う方法として、預貯金を挙げることもできますが、預貯金は簡単にお金を下ろしたり、解約したりすることができるので、貯金も思うように貯まりません。

しかし、個人年金保険であれば、解約した場合、今までの総支払金額よりも受取総額が下回ってしまうため、簡単に解約しないよう慎重に貯蓄計画を立てることができます。堅実に手堅く貯蓄を行うのであれば、個人年金保険の利用が効果的なのです。

支払総額よりも受取総額が多くなる

個人年金保険においては、返戻率が設定されるため、自分で支払った総額よりも多くの年金を受け取ることができます。現在の個人年金保険の返戻率はたいてい110%ほどですが、控除の分も考慮に入れると実質的には130%の返戻率になります。効率的に貯蓄したい場合には、非常に重宝する保険であると言えるでしょう。

病気を患っていても加入することができる場合もある

個人年金保険に加入する際には、病気を患っていると加入することのできない保険商品もあります。

しかし、これはすべての保険商品に当てはまることではありません。保険商品によっては健康状態を告知したり、医師の診査を行なったりする必要のない商品もあります。したがって、個人年金保険は健康状態が芳しくない方でも比較的加入しやすいのです。

個人年金保険料の所得控除を受けられる

個人年金保険に加入しているのであれば、個人年金保険料税制適格特約を付けた場合に、個人年金保険料の所得控除を受けることができます。生命保険料控除とは別に受けることが可能となります。

生命保険と医療保険の加入で最大5万円の控除を受けることができ、個人年金保険の加入も最高5万円の控除を受けることができます。生命保険・医療保険そして個人保険の両方に加入している場合には最高10万円の控除を受けることができるのです。

デメリット

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個人年金保険は着実に老後資金を貯めるためには必要な保険ですが、それなりのデメリットも併せ持っている保険です。加入を検討する際には、デメリットについてもしっかりと把握しておきたいものです。そのためにも、ここではしっかりと保険のデメリットについて確認してみましょう。

本来の受取額よりも減ってしまう場合もある

確定型の個人年金保険に加入している場合、将来受け取る額は契約する時点で決まります。したがって、インフレが起こってしまうと貨幣の価値が変わってしまい、契約当時に決めた年金額よりも少ない額の年金を受け取ることになってしまうリスクもあるのです。

途中での解約による元本割れの恐れ

個人年金保険においては、途中で解約を行う場合、今まで支払った分の保険料に見合った解約返戻金を受け取れない恐れがあります、特に、変額個人年金・外貨建て個人年金の場合には価格が変動する可能性が大きいため、無理な保険料を設定してしまうと損をする可能性が大きくなってしまうのです。

提供している会社は?

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個人年金保険に加入する際には、どの会社の保険商品が自分に合っているのかしっかりと把握する必要があります。個人年金保険に限らず、保険商品は非常に多いので、いざ選ぶとなると、どの保険が良いのか迷ってしまいます。

そこでこの項目では、個人年金保険を選ぶ際のポイントと個人年金保険で代表的な保険会社の商品についてご紹介します。

個人年金保険の選び方ポイント

どの保険が自分に合った保険であるか見極めるためには、保険の選び方をおさえておく必要があります。どのような点に注意して保険を選べば良いのか、この項目で確認してまいりましょう。

加入年齢を考える

一番先に考えておきたいことは、「どのタイミングで保険に加入するべきなのか」という点です。実は個人年金保険では年齢が上がるにつれて保険料が高くなります。そのため、若いうちに個人年金保険に加入しておく方が毎月納める保険料は安く済みます。

しかし、インフレのリスクなどを考慮に入れた場合、3~40年にわたる長期契約が損を招いてしまう可能性も否めません。つまり、若いうちに加入すると保険料は安くなる代わりにインフレリスクを被る可能性も大きくなるのです。このようなメリットとリスクのバランスを考慮して個人年金保険に加入する必要があるのです。

保険料の支払い方法

個人年金保険の保険料の支払い方法は大きく分けて3つ存在します。この3つの支払い方法とは、「月払い」「年払い」「一時払い」です。通常、個人保険の加入者の多くは月払いで支払うことが多くなっています。

しかし、年払い・一時払いではまとまった額の保険料を納める必要がある代わりに、月払いで支払った時よりも総支払額を安く抑えられるので、お得に保険料を納めることができます。資金に余裕のある方は、年払い・一時払いについて検討してみると良いでしょう。

ご自身の家計の状況を踏まえ、どの支払方法が見合っているのか吟味することが大切です。

個人年金のタイプ

「個人年金とは?」の項目でもご紹介したように、個人年金のタイプには「終身年金」「確定年金」「有期年金」の3つのタイプがあります。この中でも最も良心的なプランは「確定年金」です。実際に、個人年金保険に加入している多くの方が「確定年金」を選んでいます。

「終身年金」や「有期年金」の場合、年金の受取期間中に加入者本人が亡くなってしまった時には残りの年金を受け取ることができず、年金の受取総額が今まで納めた保険料を下回ってしまいます。

しかし、「確定年金」であれば、たとえ年金の受取期間中に保険加入者が亡くなってしまっても、遺族が残りの年金を受け取ることができます。支払った分を確実に受け取りたいのであれば、「確定年金」が最も適した個人年金保険であると言えるでしょう。

ただ、「一生涯安心して保険を受け取りたい」「受取期間中に死亡する可能性は少ないから、保険料だけは抑えたい」と希望する場合には「終身年金」や「確定年金」を選ぶ必要があるでしょう。

返戻率、利率

個人年金保険を選ぶ際には、保険料の支払総額に対する返戻率が高い保険商品を選ぶことで、十分満足の行く額の年金を受け取ることができます。返戻率のみで個人年金保険の商品を選ぶ必要はありませんが、この点も保険選びの際には考慮に入れましょう。

おすすめの保険会社

個人年金保険を選ぶ際に見極めるべきポイントをおさえた上で、次は代表的な保険会社の保険商品について確認してみましょう。ここでは各社が提供する保険の特徴についてご紹介します。

住友生命

住友生命は「たのしみワンダフル」という個人年金保険を提供しています。この保険の一番の特徴は返戻率が非常に高いことです。返戻率は支払総額によって異なりますが、個人年金保険の平均的な返戻率110%を優に超える値を期待することができます。

年金支給開始年齢も40~85歳となっており、また確定年金の場合には年金給付期間が5年・10年・15年のいずれかを選ぶことができるので、自分のライフスタイルに合わせた自由な設定を行なえることが大きなメリットとなります。さらに、年金の受取回数も年1回・2回・4回・6回・12回から選ぶことができる柔軟な個人年金保険です。

公式ホームページ:住友生命

明治安田生命

明治安田生命では個人年金保険として「年金かけはし」が提供されています。この保険の特徴は、大手の個人年金保険商品の中でも利率が非常に高い点となっています。

据置期間を設定し、保険料の支払いを早期に終了させることで運用期間が長くなるため、返戻率や利率も上がる仕組みを取っています。また、10年確定年金タイプを選んだ場合には生命保険料控除の対象となります。

公式ホームページ:明治安田生命

マニュライフ生命

マニュライフ生命では「こだわり個人年金」という個人年金保険を提供しています。この保険の特徴は「外貨建て」であり、高い金利で運用することができるという点です。したがって、上手く行けば他の保険会社の商品よりもかなり多くの年金を受け取ることができる点が魅力です。その反面、デメリットもあり、外貨の金利が下がってしまう場合には損をしてしまう点が難点です。

また、他の個人年金保険と異なる点はインフレに対応することができるという点です。さらに、加入者にとって都合の良い受け取り方法を選択することができ、年金受取時に円高で損をしてしまう場合には振込期間を延ばすことで円安を待つことができます。

できるだけ損をしない方法で年金を受け取りたいのであれば、マニュライフ生命の個人年金保険が良いと言えるでしょう。

公式ホームページ:マニュライフ生命

三井住友海上あいおい生命

三井住友海上あいおい生命は「個人年金保険」を提供しています。確定年金の場合、受取期間は5年・10年のどちらかを選ぶことが可能です。

この保険の特徴は受取年金額を重視した設計になっているという点あり、年金開始日前の死亡保険をおさえることを通して、受取年金額を増やす仕組みが採られています。また、無選択タイプの保険であるため、健康状態の告知や医師による診査の必要性はありません。

公式ホームページ:三井住友海上あいおい生命

小規模企業共済

自営業者を対象とした個人年金保険を提供しているのが小規模企業共済です。自営業者が対象となっている保険であるため、会社員や公務員は加入することができません。

この保険の特徴としては、返戻率が非常に高いこと、そして独立行政法人中小基盤整備機構が運営している共済であるため、民間の保険会社とは異なり、破たんの可能性が低く、掛金の全額を所得控除することができる点が挙げられます。

しかし、大きなデメリットとしてはインフレに対応する力が弱いという点を挙げることができます。このようなデメリットを踏まえて、民間の個人年金保険と比較しながら検討する必要があります。

公式ホームページ:小規模企業共済

最後に

引用元:photoAC

今現在、将来年金を全く受け取れなくなる可能性はありませんが、十分な年金を受け取ることができないのは確実です。したがって、老後いくら生活費が必要になるのか、そのためにどのような方法で貯蓄を行なえば良いのかといった点について、私たち自身が抜け目なく考える必要があるのです。

今回ご紹介した個人年金保険は、老後対策を行う1つの手段であり、着実に資金を貯めることができます。老後資金を貯める方法は必ずしも個人年金保険でなくとも良いものですが、年金の受取額の少ない自由業・自営業者の方はしっかりと検討しておきたい保険です。ご自身の仕事の形態や資金面の状況などを今一度確認し、将来に備える準備を行ないましょう。

個人年金保険については、fincleが独自に行ったアンケート調査に基づき、分析した記事もあるので、より詳しく実情を知りたい方は以下をご参照ください。

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