退職時にもらう雇用保険被保険者証は再発行できる?




現代社会において雇用問題についてのニュースや報道が目に入ることが多くなったように思います。実際に自分が会社を退職し、フリーランスとして働くようになったことも要因だとは思いますが、雇用における話題は生活やお金にも関わる問題なので、関心を強く抱いていても損はないでしょう。

そんな雇用における話題の中で「雇用保険被保険者証」という言葉を耳にしました。聞き慣れない言葉ではありますが、会社を退職し、失業している間に重要な存在となります。今回は雇用保険被保険者証とは何か、その発行方法や発行場所についてご紹介していきます。

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雇用保険被保険者証について

雇用保険被保険者証について知るために、まず雇用保険について理解を深めておきましょう。雇用保険の制度を復習することで、雇用保険被保険者証の存在意義をより分かりやすく理解することができます。

そもそも雇用保険とは

雇用保険の目的は、働いている人の雇用の継続が難しくなったときや、労働している人が失業してしまった時の生活や雇用の安定のために必要な金額を給付することにあります。失業や再就職の支援を行うための保険だということはよく知られていますが、育児や介護が理由で休業を余儀なくされる場合もありますよね。そのような場合の休業でもこの社会保険の制度、支援を受けることはできます。

この雇用保険は失業・休業だけでなく、高齢化社会の現代において、定年後の再雇用で賃金が減った場合にも、継続して働くことができるよう給付を受けることのできる制度でもあります。

雇用保険の管理は厚生労働省が行っていますが、雇用保険に関わる事務仕事や給付の手続きはハローワークで行われています。雇用保険の財源となるのは加入事業主が納める保険料ですが、管理運営を行っている国からも一定数金額が負担されています。

保険料のしくみ

雇用保険の保険料は主に労働者を雇っている事業主が、労災保険と呼ばれる保険と共に納めています。ただ労災保険と違うところは、労災保険の場合はその保険料の全額を事業主が負担することとなりますが、雇用保険量は事業主だけでなく雇われている側も定められた分を負担します。

被保険者の範囲について

雇用保険は、基本的には働いている人の意思とは関係なしに被保険者となります。そのためわざわざ雇用保険に入るための手続きなどを個人的に踏む必要はありません。会社勤めをしている人であれば、雇用保険に加入していることになります。もちろん雇用形態や働いている人の年齢によって分類はあります。

例えば一般的な被保険者は65歳未満の労働者となりますが、「高年齢継続被保険者」と呼ばれる人は、65歳以上の主に定年後の再雇用などの場合に値します。ただしこの被保険者は、65歳から新たに雇用されたという場合には対象となりません。

「日雇労働被保険者」はその名の通り日雇い労働者、30日以内という定められた期間の中で雇用される人が対象となります。パートタイマーやアルバイト等の雇用形態の場合、1週間の労働時間が20時間以上、31日以上継続して雇用される見込みがある場合には雇用保険の被保険者となります。他にも「短期雇用特例被保険者」と呼ばれる先に紹介したものに該当しない、他の条件で被保険者となる対象があります。

参考文献:雇用保険制度 厚生労働省

雇用保険被保険者証

雇用保険の概要について説明したところで、本題の「雇用保険被保険者証」に入ります。これは雇用保険への加入を証明する書類となっています。雇用保険に加入すると発行されます。確認する場合には給与明細を見てみましょう。給与から天引きされている名目に「雇用保険」「雇用保険料」と書かれたものがあれば、加入されていることになります。

この証明書は在職中には目にする機会はほとんどないと言っていいでしょう。勤務先の会社が保管している場合が多いため、退職時に初めて手渡されることが一般的です。また他の会社に雇用される形で再就職する際には、手渡されたこの証明書を提出する場合があります。その場合には、恐らく手渡された証明書の上半分に「雇用保険被保険者 資格取得等 確認通知書」が付いていると思いますので、その部分は切り離して提出しましょう。切り離さず提出しても問題はありませんが、再就職先が必要としているのは被保険者番号だけです。

いずれにせよ会社を退職した場合には、どのような職に就くかは人それぞれとは言え、大切に保管しておくようにしましょう。

どういうときに発行されるの?

先にも紹介した通り、雇用保険に加入した際に発行されます。ハローワーク、すなわち公共職業安定所と呼ばれる場所から会社に交付される書類です。それ以降の発行は基本的には行われません。働いている人が退職するまでは会社が預かり、その人が退職する際に渡すのが一般的です。

ただ再発行自体がNGというわけではありません。ハローワークで「雇用保険被保険者証再交付申請書」を受け取り、必要事項を記載した後で、所長に提出すれば再発行・再交付はできます。ただなるべくは再交付するのではなく、退職した会社から受け取っていないのであれば、郵送で送付してもらえるよう依頼をかけるのがベターです。

どういうときに必要なの?

雇用保険被保険者証の存在意義は分かりましたが、どのような時に必要になるか詳しく見ていきましょう。本来であれば在職している間には会社側で保管されているこの証明書ですが、退職のタイミングで退職者本人に手渡されることが一般的です。

最も活用できる場面としては、雇用保険の失業手当をもらう場合に必要な書類の1つとなります。後ほどのトラブル対処法でもお伝えしますが、万が一雇用保険被保険者証を失くしてしまった場合、再発行せずそのままにしていると、失業手当をもらう場面において手当の支給を受けられない可能性が出てきます。必ず大事に扱うようにしましょう。

ちなみにこの証明書に記載されている被保険者番号というのは、当人専用の番号となっているため、転職や再就職の際にも番号は変更せず、同じものを利用します。ただ雇用保険の加入の手続きは、それでも当人が行う必要はありません。転職や再就職の際には、年金手帳とともに会社へ提出しましょう。年金と雇用保険の手続きは会社が行ってくれます。

雇用保険と社会保険の違いについて

引用元:photoAC

雇用保険について調べていくうちに、国や企業における保険制度が頭の中でごっちゃになってしまいました。例えば社会保険という言葉もよく聞きますが、これは雇用保険とは別物なのでしょうか。それとも社会保険の一部が雇用保険なのでしょうか。ごっちゃになってしまった保険制度を整理してみましょう。

社会保険とは

雇用保険と社会保険の違いと題しましたが、正式には雇用保険は社会保険の一つです。ただ社会保険には雇用保険以外にも様々なものがありますから、それぞれの特徴を知っておくとより理解しやすくなるでしょう。

社会保険そのものの概要を説明すると、国民が老後安心して生活するために用意されている社会保障制度を指します。強制的に加入するものではありますが、規定の金額を支払う義務を守れば、医療費や老後の生活費の一部を国に補償してもらうことができます。

雇用保険の他には「年金保険」「健康保険」「介護保険」「労災保険」が挙げられます。特に「年金・健康・介護」は全ての国民に義務づけられている社会保険です。

受給する際の手続きについて

例えば年金に関しては、受給開始年齢が65歳以上と定められています。年金受給のためには、その年金の種類を問わず年金事務所での手続きが必要になります。年金には国民年金と厚生年金があり、会社勤めをしている人が支払う厚生年金は国民年金よりも高い保険料が必要になるものの、国民年金保険よりも受給金額があがる特徴があります。

また身近な人もいるかもしれませんが、病院で処方された薬はもちろん、通院・入院、治療費など医療費は保険証の提示により2〜3割負担となっています。私は過去に病気を抱えたため、定期的に病院へ通わなければならないのですが、健康保険の恩恵をありありと感じています。

加えてその過去の病気のおかげで、ありがたく感じた制度として医療費控除が挙げられます。年間10万円以上の高額医療費を支払った場合、確定申告を行うことで医療費の控除を受けることができます。治療中は本当に驚くほどお金がかかっていたのですが、保険制度に入っていたからこそ受けられた控除でもあります。

雇用保険は働く人への制度

加入義務が強制的だということに変わりはありませんが、雇用保険は働く人のための保険です。雇っている側は雇用保険に入れないというのも特徴的だと言えるでしょう。

社会保険料の負担についても、話題によく挙がっている通り、負担額は少しずつ大きくなっているのが現状です。ただその事実をそのまま受け入れるのではなく、根本的な仕組みを理解した上で加入している社会保険への関心を深めていくことをおすすめします。

紛失トラブル時の再発行方法

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万が一雇用保険被保険者証を失くしてしまった時にはどうしたら良いでしょうか。雇用保険被保険者証は仕事に就く際、そして失業した際には重要な証明書のため、失くさないことが最も大事ですが、過ぎてしまったことは元には戻せません。失くしてしまった場合には、迅速に以下の対応を取ってください。

最寄りのハローワークへ

雇用保険被保険者証を失くしてしまった、失業手当や教育訓練給付金の支給を受けるために必要なのに見当たらない、転職先に提出する必要があるのにどこかにやってしまった、などのトラブルにはどのように対処したら良いでしょうか。

あなたがまだ退職しておらず、この証明書を必要としているのであれば、まずは会社に問い合わせましょう。本来在職中は会社側が保管しているはずです。転職や退職している場合で、会社から受け取った記憶がない場合には「未返却」の可能性もあります。必ず最初は元いた会社に問い合わせしましょう。

それでも見当たらない場合には、最寄りのハローワークへ行き、手続きを行って再発行をしましょう。ただし雇用保険被保険者証は再発行が可能な書類ではありますが、とても重要な書類であることに変わりありません。日頃から失くさないように心がけてください。

具体的な手続き方法

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ここからは、主に雇用保険被保険者証を使う機会となるであろう転職や離退職における手続き方法をご紹介します。様々な理由でこれから今いる会社を退職するという方は一度読んでおくことをおすすめします。雇用されない期間の生活を安定させるため、制度を利用できるのであれば利用するべきです。ぜひご一読いただけると幸いです。

離職する際には

離職が決まっているのであれば、会社にいる間に雇用保険被保険者証の有無を確認しておきましょう。本来であれば在職中はしっかりと保存されているはずです。ただ万が一有無が確認できなかったり、離職に必要な書類(離職表など)が交付されないなど、離職の際に不都合が生じるような問題やトラブルが発生している場合には、ハローワークに相談しましょう。

給付を受給するまで

失業保険など、雇用保険加入により給付されるものは、まず受給資格があるかどうか判断されてから給付が決定します。そのためまずはハローワークに必要書類を提出する必要があります。離職表と雇用保険被保険者証、個人番号(マイナンバー)が確認できる書類、身元確認証や印鑑、預金通帳などが必要になります。詳しくは各地域のハローワークで確認してください。

受給資格の決定の際、離職理由も判定されます。この離職理由において、例えば事業主から退職を勧められた、クビになったにも関わらず離職理由が自己都合となった場合など、異義がある場合にはハローワークへ事前に相談しましょう。

雇用保険に関する説明会と受給について

雇用保険を受給する際、説明会への出席が求められます。これは雇用保険の受給について、制度や重要事項を説明する大切なものになるので、必ず出席するようにしてください。

この説明会で「失業認定開始日」が決定しますが、この認定日から大抵5営業日で、基本手当が振り込まれます。ただ旧祝日や年末年始には多少給付に遅れが生じますので、その点はご了承ください。再就職が決まるまでの間は、この基本手当が受給できる日数で「失業認定」と「受給」を繰り返しながら仕事を探すことができます。この受給できる日数は基本的に離職した翌日から1年間とされています。

失業認定について

当たり前ですが、この受給を不正に受け取ることは禁じられています。再就職するまでの生活を安定させるための給付金ですから、再就職が決定するまでの間しか受給はできませんし、受給するためには失業している状態であることを証明する必要があります。原則、4週間に1回「失業認定」が必要になります。

4週間に1回、指定された日にちに「失業認定申告書」を記入し、「雇用保険受給資格者証」と共にハローワークに提出する必要があります。失業の状態とは「就職する意思と就職できる能力があるけれど、職に就くことができず、積極的に求職活動をしている」ことを指します。ですから、4週間に1回の「失業認定申告書」ではその現状をしっかり伝える必要があります。

参考文献:ハローワークインターネットサービス

 

パートタイマーの雇用保険

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雇用保険の話題でよく話に挙がるのが「パートタイマーの雇用」についてです。非正規雇用の割合が増えたと言われる昨今ですが、パートタイマーの労働時間による雇用保険等の扱いが変わってきています。雇用保険に加入できれば、万が一離職することになった時に対処しやすくなりますから、被保険者になる条件を見直して働き方の参考になればと思います。

条件次第で被保険者に

パートタイムで働いている人も雇用保険適用の基準に当てはまれば、被保険者となります。もちろんその際個人的に手続きをする必要はなく、事業主が必ず「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出することになっています。

被保険者となる条件ですが、まず31日以上引き続き雇用が見込まれていることが挙げられます。雇用期間が31日以上である場合、また特に雇用期間が定められていない場合、31日未満で雇用が止められる明示がない場合などが挙げられます。加えて1週間の労働時間が20時間以上であることが条件です。

参考文献:雇用保険の加入手続きはきちんとなされていますか! 厚生労働省

パートタイマーの意義

そもそもパートタイムの異義とは何でしょうか。労働省が発表している定義をざっくりと説明すると、

「一日、一週間または一ヵ月の所定労働時間が当該事業場において、同種の業務に従事する通 常の労働者の所定労働時間に比し、相当程度短い労働者」

引用元:パートタイマー労働者とは 厚生労働省

とあります。ただ雇用や働き方の話題でメディアに取り上げられているように、現状パートタイマーの労働時間が正社員と変わらないものも多いため、定義が曖昧であることも事実です。

企業側からすれば、パートタイマーの存在は雇用を調整するためや、人件費の削減という意味合いが強い、言い方は悪いですがコストのかからない労働力でした。ただ現状の人手不足から考えるとパートタイマーの役割は大きく変わっていくことでしょう。特に働く側からすれば、自分の時間を大切にしたいという意識からパートタイマーに就労する人もいると聞きます。

雇用保険加入のメリット

先で紹介したような条件で働いている人は、本人の意思と関係なく雇用保険へ加入する義務が生じます。その届け出は事業主の役割ではありますが、雇用保険に入れば正社員と同等の保証を受けることができます。パートタイムで働いている人は、一度自分の働いている時間と日数を確認し、雇用保険加入義務が生じているかどうか確認しておくと良いでしょう。

雇用保険に加入すると、失業してしまった際や職業訓練を行っている最中に失業手当を受けることができます。職がない状態でも生活を安定させるための支えにはなりますので、加入して損はないと言えます。

受給できる期間は雇用保険加入期間や退職理由によって決定されますが、基本的には勤めていた期間が長ければ長いほど受給できる期間も長くなります。また失業手当の本来の目的は再就職の支援ですから、その銃器感終了よりも早く再就職できればできるほど、「再就職手当」の割合が高くなります。

参考文献:パートタイマーの雇用保険、週20時間未満だとどうなるの?

雇用の今

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最後に雇用の今についてお話をしていきます。働く理由は人それぞれではありますが、今回紹介したような社会保険制度を受けるためには働いて義務として課されている金額を納める必要が生じています。保険制度として支払う金額と雇用の現状に差は生じていないのでしょうか。

非正規雇用が増えた今

非正規雇用が増えたという報道を聞いたことがある人は少なくないでしょう。就業形態が多様化している昨今、今回の記事でも着目したパートタイマーや派遣労働者などの割合が4割に達していることが知られています。ある一部の報道では、企業が生み出した粗利益が労働者にあまり分配されず、利益優先のために人件費が抑制されていることから、非正規雇用の増加が見られたのではないかという考えも述べられていました。
この人件費抑制の背景には、高齢化対策による従業員数の増加も上げられています。従業員が増えるのは労働力としては良いことのように思えますが、雇用を維持するためには正社員ではなく、非正規雇用の労働者を増やすことで人件費を抑制する流れとなっていったのです。
もちろん働き方の多様化で、自分の時間を大切にするために自分から非正規雇用を選ぶ人がいるのも事実です。ただ国としては労働力不足や生産性の低下、社会保険制度における額面での圧迫など様々な問題が山積みなわけですから、苦しい状況なのは一目瞭然と言えます。

社会保険加入で起きた弊害

今回パートタイマーの雇用保険加入の条件についてお話し、加入のメリットについてお話しましたが、もちろんデメリットも存在します。例えば社会保険料の支払いについてです。

ある人は、今まで自分で保険料を支払ってきましたが、パートタイマーの社会保険加入への法改正によって、雇用している企業側が保険料を負担するようになり、保険料が安くなって安心しています。厚生年金にも加入したため、老後も安心することができます。

一方で、今まで配偶者の扶養に入り保険料を負担してもらっていた人は、今回の法改正によって社会保険加入の条件に値したことで、自分で保険料を負担することになり、同じ時間で働いているにも関わらず収入が減ってしまうという事態に陥っています。

働き方を考えよう

このような話もあり、働くことにネガティブになってしまう人もいるかもしれませんが、働くことを辞めようという訴えをするつもりはありません。ただ私個人の意見にはなりますが、もしバリバリ働きたいのに保険料のせいで尻込みしているのであれば、バリバリ働いて保険料を上回るほど稼いでほしいなと思うし、自分の時間を大切にしたいからのんびり働きたいのであれば、それも素敵な考えだと思います。

一番は自分にとって最適な働き方を考えた上で働くことです。そのためには、必要最低限の社会保険の知識は頭に入れておくべきだと考えています。

まとめ

今回紹介した「雇用保険被保険者証」は雇用保険に加入していることを証明するための書類です。この書類は在職している最中は、あまりお目にかかることはありませんが、働いている人は必ず加入することになる保険ですから、もし今の会社を退職することになったらしっかり受け取り、失くさないようにしてください。

最後にお話した内容のように、働き方や働く理由は人それぞれですが、最低限国が用意している保険制度などの知識は頭に入れておきましょう。