収入保障保険とは?特徴や種類、所得保障保険との違いをご紹介

保険というと、「病気やケガで入院した時」や、「万が一の時に受け取れる」というイメージが強いですが、保険商品の種類はたくさんあって、様々な状況に対応するための保険商品がいろいろな保険会社から販売されています。

今回は、そんなたくさんの保険商品の中から「収入保障保険」について詳しくお話ししていきたいと思います。毎月どれだけの掛け金で、実際にどれだけの金額をどれだけの期間受け取れるのかなど、収入保障保険について徹底的に調べてみました。

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収入保障保険とは

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収入保障保険は生命保険商品の1つです。ただし、病気やケガで入院した時の治療費をカバーしたり、重い病気や先進医療などに備えるような保険とは異なります。

メディアなどでもよく見聞きするようになった収入保障保険は、通常の医療保険などと比べると若い世代の方にも評価されているようです。

万が一に備える

万が一のために備える死亡保険は、被保険者が亡くなった時や高度障害に該当した際に保険金が受け取れるというものですね。その保険金は、給付金の手続きをすれば契約時に設定した金額が数日以内に振込まれ、その時点で契約そのものが消滅するという流れになります。

しかし、収入保障保険の場合は通常の死亡保険金とは異なり受け取り方が分割または一括となります。保険会社(商品)によっていろいろですが、保険金を一括で受け取る、年金方式で毎年1回決まった金額を分割で受け取る、また毎月1回受け取るという事ができるです。

この、死亡保険金を分割で受け取れるというところが通常の死亡保険との大きな違いとなります。世帯主(大黒柱)に万が一の事があった時に、まとまった金額を一括でもらう終身保険や定期保険。亡くなった後、残された家族が生活に困らないように分割で毎年(毎月)受け取れるのが収入保障保険となります。

万が一の時に備えるというくくりで見ると同じですが、ここでもう一つ「所得保障保険」というものもあります。収入保障保険と所得保障保険、どちらも同じような印象を受けますね。

所得保障保険との違い

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「収入保障保険」と「所得保障保険」の違いはどこにあるのかをお話しします。収入保障保険については上記で軽く触れましたので、所得保障保険について見てみたいと思います。

死亡保険ではない

所得保障保険というのは、もし被保険者が重い病気やケガなどで働けなくなってしまった場合の所得を保障してくれるというものです。金額は保険会社にもよりますが、税込み年収の60%前後というのが多いようです。

例えば、大黒柱であるご主人が事故に遭ってしまって、入院後も自宅療養が必要となったとすると、その間は出勤できなくなりますので、収入がなくなってしまいますね。貯蓄もなく奥様が専業主婦だったと仮定すると、ご主人が働けない期間の生活費はゼロということになります。

子供たちは食べ盛り、支払いもありますし日々の生活には色々とお金がかかるのに収入がゼロでは困ってしまいます。そこで準備しておくのが所得保障保険なのです。

2つの保障期間

所得保障保険には短期保障タイプと長期保障タイプの2つあります。短期タイプは免責期間が短いもので、保険金給付の対象となる期間も1年から2年と短期になっています。

対して長期タイプは、免責期間が60日から365日と長く、保険金給付の対象となる期間は〇〇年間という設定ではなく60歳や65歳までという決め方になってい、長期にわたって備えることができるようになっています。

所得保障保険が必要な方

所得保障保険の特性から、有給休暇もなく国民健康保険の加入しかできない自営業の方などにはオススメの保険と言えます。その理由は、死亡保険ではなく無収入になってしまった場合の保障だからです。

どういう事かというと、会社勤めをしていれば長期入院などで働けなくなっても傷病手当金というものが支給されます。これは、就労不能と医師が認めた期間のお給料(※)が保障されるというようなもので、所得保障保険とよく似ています。

※お給料の1日分(日給)ではなく標準報酬月額に基づいて算出される金額となります。

国民健康保険にしか加入できない自営業の方には傷病手当金のようなものはありませんので、もしも長期入院などになった場合は即無収入となってしまいます。医療保険などに加入していたとしても、それはあくまでも治療費をカバーするもので収入の保障はありませんから自営業の方にはとてもありがたい保険と言えるのです。

就業不能保険

同じような保障内容の保険で「就業不能保険」というものもあります。所得保障保険や収入保障保険よりも知っている方は少ないかもしれませんが、こちらも長期で働けなくなった際にはとてもありがたい保険で、文字からも推測できますが、就業不能な状態になった時のために備える保険です。

場合によっては、亡くなってしまった後の生活費よりも長期で無収入になる方が家計に深刻なダメージが生じるのです。自分だけでなく、家族全員が路頭に迷う事にもなり兼ねないので、こちらも所得保障保険と同様で会社勤めの方よりも自営業の方などにオススメしたい保険です。

収入保障保険の特徴

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所得保障保険や就業不能保険との違いが分かったところで、収入保障保険の話しに戻りたいと思います。収入保障保険にもいろいろな種類があります。一般的には上記でお話しした通りですが、ここからは内容をもっと細かくお話しします。

三角の保険

上の図をご覧ください。収入保障保険は「三角の保険」とも言われているもので、加入してから年数の経過とともに支払う保険料も受け取る保険金額も少なくなっていくというものです。※これと逆の三角になっているのは貯蓄商品です。

加入時には子供も小さく、この先進学などを控えているので保障は大きい方が良いのですが、年齢が進むにつれて子供たちも一人づつ独立していきますので、徐々に保障金額を下げて保険料をその分安く抑えることができるというわけです。

特約も付加できる

収入保障保険は、万が一の時に残された家族が生活に困らないために備える保険だというお話しをしましたが、実はいろいろと特約を付けることで、万が一の時だけでなく生きている間に受け取る事も可能なものもあります。

【三大疾病保障特約】

ガンや心疾患、脳疾患などを患ってしまった時に月々〇〇万円といった形で支払ってもらえるというものです。該当する疾病で治療を受けたことにより一命を取りとめても、すぐに仕事復帰をするのは困難ですので、そういった場合に備えて付加する方が多いようです。

ただし、この特約を付加することで保険料がいきなり高くなってしまうのは事実です。ですから医療保険やガン保険などに加入している場合は、あえてこれらの特約を付加する必要はないと考えるのが一般的です。

各社の収入保障保険商品

ここで、様々な保険会社が販売している収入保障保険をいくつか見てみたいと思います。

【損保ジャパン日本興亜ひまわり生命】

商品名家族のお守り
保険金範囲5万円から
契約可能年齢20歳~70歳
保険期間任意
保険料払込期間保険期間と同一
最低保証期間2年または5年
特徴
  • 一時金か年金かを選択でき、5年ごとに保険料が5%ずつ減っていくオプション「だんだん減り」もあり
  • 非喫煙者は保険料が割引きになったり、他にも健康状態による割引きあり
  • 三大疾病特約の付加あり
  • 保険料払込期間を通して保険料が変わらない「平準払込方式」あり

※ポイント※

家族のお守りは、毎月受け取る金額と期間を自由に設定できるという特徴があります。小さなお子様がいるご家庭であれば、将来子供にかかる教育費や期間などに応じて保障内容を決めることができるため、最初から子供の成長に合わせて減っていく必要保障額にしておけば、将来の見直し回数を減らすことができます。

参考サイト:損保ジャパン日本興亜ひまわり生命

【三井住友海上あいおい生命】

商品名新収入保障保険
保険金範囲5万円から
契約可能年齢18歳~70歳
保険期間15年、20年、25年、30年満了、50歳~80歳満了
保険料払込期間保険期間と同一
最低保証期間2年または5年
特徴
  • 就業不能状態・要介護状態などになったときも保障
  • 非喫煙者は保険料が割引きになる他、ゴールド免許所持者も保険料の割引あり
  • その他の付帯サービスあり
  • 「&LIFE 新収入保障」と「&LIFE 新総合収入保障」
  • 特定の疾病で保険料の払込みが免除される

※ポイント※

死亡や高度障害になってしまった時だけでなく、その一歩手前の「要介護状態」になった時にも保険金が支払われるという利点もあり人気です。要介護や特定障害状態まで保障してくれる収入保障保険は2017年5月現在、こちらの商品と後でご紹介するソニー生命の家族収入保障保険だけとなっています。

参考サイト:三井住友海上あいおい生命

オリックス生命

商品名家族をささえる保険Keep
保険金範囲10万円から
契約可能年齢15歳~70歳
保険期間5歳刻みで55歳~80歳、1年刻みで10年~35年
保険料払込期間保険期間と同一
支払保証期間1年または5年
特徴
  • 一時金か年金かを選択可能
  • 非喫煙者や健康状態による保険料の割引はなし
  • 保険料が他社と比較して割安
  • 病気またはケガにより約款所定の高度障害状態に該当した時も給付対象
  • 余命6か月以内と判断されたときのリビングニーズ特約あり

※ポイント※

非喫煙者割引がないので、健康体の人にとっては大きなメリットはありませんが、逆に喫煙者にとっては非常に安い保険料で加入できる収入保障保険となっています。

参考サイト:オリックス生命

ソニー生命

商品名家族収入保障保険
保険金範囲10万円から
契約可能年齢15歳~59歳
保険期間10年、15年、20年、25年、30年満了、55歳~70歳、80歳満了
保険料払込期間保険期間と同一
最低保証期間2年または5年
特徴
  • 一時金、年金、の他に据え置きもあり
  • 所定の身体障害の状態になった時の払込み免除あり
  • 非喫煙者や健康状態による保険料の割引あり

※ポイント※

前述のように、要介護や特定障害状態まで保障してくれる収入保障保険です。ネット販売は行っていないため、ソニー生命の専任アドバイザーを通して契約することになります。その分納得いくまでとことん質問や相談ができるというメリットもあります。

参考サイト:ソニー生命

【メットライフ生命

商品名収入保障保険 マイディアレスト
保険金範囲5万円から
契約可能年齢20歳~55歳
保険期間60歳満了、65歳満了
保険料払込期間保険期間と同一
最低保証期間5年
特徴
  • 三大疾病特約の付加あり
  • 所定の身体障害の状態になった時の払込み免除あり
  • 過去2年以内に喫煙していなければ保険料が割安
  • 余命6か月以内と判断されたときのリビングニーズ特約あり

※ポイント※

メットライフ生命で以前販売されていた収入保障保険は、所定の状態になると保険料の払込が免除になるというオーソドックスなものでしたが、マイディアレストになってから保険料が免除されたうえで2年間は「三大疾病月払給付金」というものも受け取れるようになりました。

参考サイト:メットライフ生命

5つの商品を比較すると、いろいろと条件などが異なることがわかりますね。それぞれのサイト内で資料を請求できる他、年齢や特約を選択して保険料のシミュレーションをする事ができるようになっていますのでお試しください。

収入保障保険の保険料

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次は、毎月の保険料を具体的に見てみたいと思います。年齢や性別によって異なるのはどの保険商品も同じですが、具体的な金額を見てみると収入保障保険は保険商品の中でも保険料が比較的安価である事がお分かりいただけると思います。

例として、35歳と40歳の男女それぞれの保険料を比較してみました。条件を揃えるため各種特約の付加はなしとします。

35歳男性35歳女性
メディケア生命3,381円2,848円
アクサダイレクト生命2,970円1,930円
メットライフ生命3,730円2,580円
チューリッヒ保険2,540円2,220円
ネオファースト生命3,794円3,197円
オリックス生命2,990円1,940円

 

40歳男性40歳女性
メディケア生命3,670円3,210円
アクサダイレクト生命3,150円1,970円
メットライフ生命4,120円2,750円
チューリッヒ保険2,560円2,200円
ネオファースト生命4,060円3,635円
オリックス生命3,160円

保険会社によってその他条件などが異なるりますので、ハッキリとしたシミュレーションはできませんが、おおよその保険料はほぼ分かります。

収入保障保険は解約返戻金のない掛け捨てタイプなので保障内容のわりに保険料は安いのです。また、医療保険などでもそうですが、年齢が上がれば保険料も当然上がることになります。そして年齢が上がると逆に下がるのが保険金です。三角の図を思い出してください。

もっと具体的に受取金額や保険金額の推移までを見てみましょう。35歳の既婚男性が毎月4,780円で加入して、60歳まで25年間の契約とします。この時の家族構成は妻と子供2人(10歳と15歳)、万が一の時に受け取れる保険金は月々20万円と仮定します。

加入した35歳の時点の死亡保険金は分割を選択すれば毎月20万円×25年間、一括ならそのまま6000万円が受け取れます。働き盛りの35歳で亡くなってしまって、これら2人の子供の教育費もかかるので月5,000円弱でここまで保障されるのはとてもありがたいですね。

同じ方が10年後(45歳)に亡くなった場合は、60歳まで残り15年ですので毎月20万円×15年間となりますので、3600万円となります。いきなり下がった印象を受けますが、10年後ですと子供たちはそれぞれ20歳と25歳ですのでそこまで大きな保障は必要なくなるのです。

そして、更に10年後(55歳)に亡くなった場合を見てみると、60歳まで残り5年になっていますので毎月20万円×5年で総額は1200万円となります。この年齢になると子供たちは独立していると想定されますので、夫婦2人だけの生活となっているはずですので十分というわけです。

収入保障保険の必要性

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医療保険や将来のための貯蓄としての生命保険、そして車やバイクなどの乗り物、事故に遭ったり起こしたりした際の賠償のために加入する損害保険などは、お守り的な存在として何かしら加入しておくのがベストといえます。では、収入保障保険は本当に必要な保険でしょうか。

ネット上でも収入保障保険の必要性については様々な記事でいろいろな意見を見ることができます。考え方は人それぞれですし、もちろんメリットもデメリットもあります。

個人的な見解で収入保障保険は不要だと言い切っている方もいらっしゃいますし、逆に絶対に加入すべきだと言う方も少なくありません。収入保障保険に持つイメージはどのようなものなのかは分かりません。ただ言えるのは、当たり前ですがその保障があった方が良い人には必要ですし、そうでない方には不要です。

全ての情報を偏った見方で鵜呑みにせず、いろいろな保険会社から販売されている商品を自分の目で見て自分で判断するようにしましょう。

収入保障保険のメリット・デメリット

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とても良い保険のように思いますが、どんな保険にもメリットやデメリットはあります。人それぞれ状況が異なりますので、AさんにとってはメリットでもBさんにとってはデメリットという事だってあります。

メリット

  • 万が一の時に、残された家族が困らないだけの収入を準備できる
  • 保障内容が良いのに保険料がとても安い
  • 商品によって受け取り方法の選択肢がいろいろある
  • 非喫煙者や健康状態が良好な場合は更に保険料が安くなる
  • 商品によっては三大疾病などの特約を付加することができる

ここまでお話しした事のまとめのようになっていますが、これらが収入保障保険のメリットです。

デメリット

  • 解約返戻金が無い
  • 喫煙者や健康状態が良くない場合は保険料が高い、最悪の場合は加入できない
  • 万が一の時に毎月受け取る保険金は一時所得となるので課税対象となる

などです。また特約を付加した場合ですが、年齢や加入条件などによっては一気に1,000円以上アップする商品も少なくありません。もしも収入保障保険の他に医療保険などに加入している方は特約として既に付加されている可能性があります。

特約を付加したいと考えている方は、現在加入している保険の内容をよく確認して必要か否かを判断する必要があります。重複すればどちらからも給付金は支払われますが、同じ保障は1つで十分ですので保険料の無駄にならないようきちんと覚えておいてください。

団体信用生命保険と収入保障保険

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皆さんは「団体信用生命保険」をご存知でしょうか。これはフラット35などの住宅ローンを利用する人が金融機関を通じて加入する生命保険の事です。

この保険は収入保障保険ととてもよく似ていて、2009年4月に団体信用生命保険の保険料が約3割値上がりしたことも受けて、それまで加入していた団体信用生命保険を解約して収入保障保険に加入する方がとても増えているようです。

団体信用生命保険の大切さ

収入保障保険と団体信用生命保険が似ていると言いましたが、せっかく加入した団体信用生命保険を止めて収入保障保険に加入してメリットとなる場合とそうでない場合があります。

メリットやデメリットが誰にとっても同じでないように、団体信用生命保険から収入保障保険に替えてしまう事は、その人の状況によってメリットにもデメリットにもなり得るのです。

マイホームを購入した人が、「もし万が一の事があっても、その後のローンは支払わなくても大丈夫だから」的な話をしているのを聞いた事はありませんか?それが団体信用生命保険の一番大きなメリットなのです。

団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ人(お金を借りた人)が亡くなってしまったり、高度障害になった場合、本人に代わって金融機関が残りの住宅ローンを支払ってくれるというものです。また、三大疾病やガンにも対応した保障が付いているものもあります。

収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになる?

よく考えてみると分かるのですが、団体信用生命保険は「万が一の事になった時に残りのローンを支払わなくてもいい」というものなので、マイホームを購入したばかりの若い世代であればメリットを最大限に生かせるのは確かです。

しかし、若い世代の方が突然亡くなってしまうなんて事は、突発の事故やよほどの大病にでもかからない限り、平均余命的に見ても想定範囲外ですよね。

また、もしも万が一の事になってしまったとしても、ローン返済は無くなりますが残された家族の生活費はどうですか?逆にローン返済があと少しで終わるという場合は、極端に言ってしまうと3割もアップしてしまった団体信用生命保険はもう無くても良いのかもしれません。

全ての保険に言えることですが、このように人それぞれの状況によって必要な保障は異なるのです。ですから一概に「これがいい」とは言えないのです。つまり、収入保障保険は団体信用生命保険の完全な身代わりにはならないという事が言えるのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回はたくさんある保険商品の中から「収入保障保険」にスポットを当ててみましたが、1つ1つの商品にはそれぞれ特徴があり、保険会社によっていろいろと異なる事もわかりましたね。

これから収入保障保険に加入しようと考えている方は、いろいろな商品をよく比較検討して自分に最も合っていると思われるものを選ぶようにしてください。