最近では「がん」は見つかったらもう手遅れというばかりではなく、早期発見によって早い治療により完治できるものや、完治しないまでも寛解(かんかい)状態で長く生きることができるようになってきました。
喜ばしいことですが、そうなると長期間、高額の医療費がかかっているのに、公的な補助がないというのが現状です。血液がんにかかって寛解している私もその1人。
そこで、私が実際に実践して去年15万円ほど節約できた、医療費を節約する方法をご紹介します。
目次
病院へ直接行かず近所の診療所で紹介状をもらう
私の場合は職場での健康診断でがんが見つかりました。びっくりしてすぐにでも、大きな病院で検査を受けてみたいと思いますよね?しかしいきなり大きな病院へ行くと「紹介状なし」の初診料は数千円高いのです。
大病院受診時には紹介状がなければ診察料とは別に5,000円以上の特別料金が必要
以前から紹介状なしで大きな病院へ行くと数千円余分な費用がかかっていましたが、平成28年4月からは緊急ややむをえない場合を除いて5,000円以上(病院が決めた金額)必要となりました。
参考:政府広報オンライン
まずは紹介状を手にいれなくてはいけません。今まで持病もなくかかりつけ医を持っていなかったのですが、子どもの予防接種で行ったことのある近所の内科を健康診断の結果を持って受診しました。
そして、予想どおり治療をすることが可能な大きい病院を紹介されることになり、紹介状を持って病院で受診。
特別な料金はかからないで済みました。
高額療養費制度を活用する
私のケースは即治療するわけではなく、何か不具合が起きてくるまで、月に一度の血液検査で様子を見るものでした。
骨を丈夫にする点滴を打つようになってきましたが、薬は痛み止めと胃薬の2錠だけが約1年続き、当時は医療費は月に1万円程度。
そしていよいよ治療開始というときになって、高額療養費制度を使うことになります。まず限度額適用認定を申請しました。
これは、医療費が高額になりそうなときに前もって申請しておけば、限度額以上の金額を支払わなくても大丈夫な制度です。
今回はこの高額療養費制度と限度額認定についてご説明していきます。
高額療養費制度を使うときには限度額認定証の利用が便利
健康保険に加入していれば、高額療養費制度が利用できるので、収入に応じて限度額が違うのですが、どんなに高額な医療費であっても限度額以上の支払い分は返金されるのです。
以前は治療によっては100万円以上の大金を一時的とはいえ用意しなければいけませんでしたが、限度額適用認定証を提示することで、これが必要なくなり、ずいぶん楽になりました。
限度額認定証は「協会けんぽ」など、自分が加入している健康保険に申請することでもらえます。
70歳未満限度額適用の所得区分はア~オの5つある
高額療養費制度を利用するときには70歳未満の場合、所得区分は平成27年1月診療分より区分が3つから5つに変更になりました。
標準報酬月額というのは、サラリーマンであれば毎月のお給料のことで、年に3回までのボーナスや臨時収入は含めません。
①区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)(報酬月額81万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
②区分イ
(標準報酬月額53万円~79万円の方)(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
③区分ウ
(標準報酬月額28万円~50万円の方)
(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
④区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)
57,600円
⑤区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円
がん治療など、高額な医療費がかかるようになって3回まではこの計算式の金額が限度額です。1年のうち3回この金額を支払うと、4回目からは多数回該当といって減額されます。
ア 140,100円 イ 93,000円 ウ44,400円 エ 44,400円 オ24,600円
そして、これは入院と通院で別の扱いになるので、月のはじめに入院して治療をはじめ、半ばごろ退院して翌週から通院で抗がん剤治療を受けるなどすると、同じ月で入院も通院も高額になります。
区分でいう真ん中ウを例に挙げると、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%で、およそ90,000円近くかかり、入院の場合はそれに食費やパジャマ代などが加わるので、だいたい10万円の費用がかかります。
よく「医療費は限度額があって戻ってくるのでしょう?」と質問されることがありますが、確かに戻るには戻ります。しかし平均的な真ん中のこのケースでは1ヶ月に19万円の支払いはあるということ。
お給料が30万円の世帯で19万円が医療費って・・・こんなにかかるとは正直思っていませんでした。
あとの月がしばらく通院だけで治療できたとしたら毎月9万円ほど、間で体調を崩してしまって入院が入ってしまうと、更に追加・・・というかなりな出費が必要なのですよ。
服薬をまとめてもらえるよう医師に相談する
私は抗がん剤以外にも、自家移植や同種移植など、入院して無菌室に入っての治療も行ってきました。その頃の医療費は限度額がなければ、1,000万円を超える支払いになっています。健康保険には本当に感謝したものでした。
入院しているときには、医療費を節約する方法はあまりありません。医療以外の生活でまめに節約するしかないのですが、それはまたの機会にして、唯一少し節約できる方法をご紹介します。
入院のときに使える唯一節約の鍵は「退院処方」にある
唯一入院のときに少し使える節約法は「退院処方」のお薬を多めにもらうこと。入院の日数や治療内容で限度額までいかない場合は使えない技ですが・・・。
私が入院する病院では、以前から服薬している薬がある場合、自宅から持ってきて続けて服用していきますが、足りなくなると1週間ずつ入院中に処方してもらいます。
そして退院のときに1週間後に来るように言われたとしたら「少し多めに出してください。」と頼んでみるのです。
常備飲んでいるものの他に、予備で持っているものがある場合(便秘を解消する薬や吐き気止め、睡眠薬、うがい薬、湿布など)もこの機会にまとめてお願いするのです。
もちろん全く関係のない薬は処方してもらえませんが、以前から時々もらっていて継続して無くなった頃に頼んでいたものは、処方してもらえ、医療費は入院だけで限度額を超えているため、余分にもらう薬の分の費用の節約になります。
外来で1ヶ月にもらう薬が高額な場合はまとめてもらえるか相談
退院してから外来で薬を処方してもらうようになっても、はじめのうちは免疫抑制剤やステロイドなど量の加減が難しい、様子を見て少しずつ減らしていくものがあったので、月に一度の診察ごとに処方してもらい、服薬していました。
毎月限度額まで費用がかかっていましたが仕方がありません。何年かして、飲む薬の量がだんだん減ってきて固定したきたものの、合併症による薬がかなり高価なため、薬だけで毎月多数回該当で4,4400円の支払がありました。
そこで家計が厳しいことを主治医に訴えると、約3ヶ月分の薬を出してくれるようになったのです!
これで、去年は4月から行ったため、限度額に到達しない月が5ヶ月分増えました。診察と血液検査だけなら5000円程度で済む月もあり、15万円以上節約することができました。
まとめ
がんの治療にはお金がかかります。治療に成功して命が助かったのだから、お金のことなんて言っていられない・・・としばらくは支払い続けたものの、元気になったらなったで、生活もあるのでやはり高額に医療費をかけ続けることは厳しいです。
毎月限度額まで支払うようになってしまうと、金銭感覚が麻痺してしまい、高額な医療費が当然になってしまっている方も多いと思います。
でも、抗がん剤治療が終了したものの服薬に高額な費用がかかっているという方は、ぜひ医師と相談してまとめて処方してもらえるようにすることをおすすめします。少しでも医療費を減らすことができますよ。