ペット保険は高齢でも入れる? 必要性やおすすめの保険とは

家族の一員であるペットも、いつ病気や怪我になるか分かりません。最近はペットも長生きするようになり、その分病気・怪我のリスクが高まっています。

そして、意外にもペットにかかる医療費は高額です。人間よりも小さなペットであれ、万が一の場合には経済的な負担は避けられないのです。

そこでペット保険が大きな助けとなります。今回はペット保険の補償内容や注意点、各社の保険について確認していきましょう。

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ペット保険とは

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ペットにも人間の「医療保険」と同じように、「ペット保険」というようなものが存在します。このペット保険とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、ペット保険についての基本を確認してみましょう。

ペット保険とは?

ペット保険とは、ペットが糖尿病やがん、白内障などの大きな病気を患ってしまった時にかかる高額な医療費の負担をカバーする保険のことです。最近では飼育環境・医療技術の向上により、日本においても犬や猫が長生きするようになりました。

飼い主にとってはとても嬉しいことではありますが、ペットの高齢化が進むにつれて、大きな病気にかかるケースも増え、それに伴って医療費も高額になりつつあるのです。また、ペットには「健康保険」のような公的医療保険が無いため、大きな怪我や病気にかかってしまった時には、全額自己負担しなければなりません。

しかしペット保険に加入していれば、補償により医療費の何割かをカバーしてくれるので、このような高額な医療費の負担を少しでも軽くすることが可能です。

ペットの医療費、どれくらいかかる?

ペットの医療費は実際のところどの程度かかるのでしょうか。年間の医療費を確認してみましょう。

ペットとして代表的な犬・猫のケースについて見てみると、犬を飼っている場合は60%以上の方が年間3万円の医療費を支払い、10万円を超える方は16%となっています。

一方で猫の場合には、30%の方が年間3万円以上、8%の方が年間10万円を超える医療費を支払っていることが分かります。それ以上、20万、50万かかかる場合もあり、飼い主にとっても、ペットの医療費は大きな負担になっていることが分かります。

加入することができるペットは?

ペット保険は、ペットであればすべての動物が保険に加入することができるわけではありません。ほとんどのペット保険において、加入対象は犬と猫に限定されていることが多いのが現状です。

犬の場合は、犬種により保険料が異なります。大型犬は体が大きいために治療費も高くなり、その分保険料も高くなります。一方で小型犬であれば、体が小さい分、中型犬や大型犬に比べると保険料も安く済みます。猫の場合は、大きさにそれほど大きな違いがなく治療費にも差がないため、どのような種類であっても一律の保険料となっています。

このように、大半のペット保険においては犬や猫が加入することのできる動物となりますが、闘犬や興行用の犬・猫は加入の対象外となっています。ただし、介助犬や盲導犬、聴導犬などの身体障害者補助犬は加入の対象となります。

また、保険会社によっても加入できるペットが異なります。その他加入が可能なペットとしては鳥・フェレット・うさぎ・ハムスター・爬虫類などを挙げることができます。

犬・猫以外のペットは、保険会社によって加入することができるかどうか異なるので、適切な保険を選ぶことが大切です。また、年齢や既往症に関する加入制限を設けている保険もあるので、加入条件についてもしっかりと確認した上で加入しましょう。

加入条件については、<加入条件>の項目で詳しくご紹介しますね。

ペット保険の種類

ペット保険には「終身型」の保険と、そうではない保険の2つのタイプの保険があります。

終身型のペット保険は一度加入をしてしまえば一生涯保険を継続することができる保険です。最近はペットの高齢化が進んでいるため、歳を取ってから病気にかかるリスクが高くなっています。「終身型」のペット保険であれば、そのリスクに一生涯対応してくれるので非常に心強いものです。

その一方で「終身型」ではない保険の場合には、「満期年齢」というものが設定されています。このタイプの保険の仕組みは、この「満期年齢」を達したら保険の契約が終了するという仕組みになっています。

「満期年齢」は保険によって異なりますが、大体の場合14歳~16歳に設定されていることが多いです。しかし、最近はこの年齢よりも長く生きるペットが増えており、「満期年齢」を満たした後は、無保険状態になってしまいます。

そこで、新しく他社の保険に加入し直そうとしても、やはり年齢制限が設けられているために、高齢でのペット保険の加入は非常に困難となります。

告知義務と通知義務

ペット保険には「告知義務」と「通知義務」という義務が被保険者に課されます。「告知義務」についてはのちほど<加入条件>の項目で詳しくお伝えしますが、加入条件を満たしているかどうか確認を取るために、ペットの健康状態などについて保険会社の質問に答える必要があります。

一方で、「通知義務」とはペット保険加入時に申告した情報に変更が生じた場合に、保険会社に変更内容を伝える義務のことです。ペットを他の人に譲った時、契約時の住所が変更された時、ペットが亡くなってしまった時に「通知義務」が発生します。「通知義務」を行なわなかった場合、保険金を返金しなければならない場合もあるので、通知は忘れずに行いましょう。

加入目的

加入の目的としては、どのようなものがあげられるのでしょうか。その目的はペット保険の補償内容について確認することで理解できます。ここではペット保険の補償について確認して行きましょう。

補償の内容

ペット保険の補償の対象は主に3種類あります。その3種類とは「通院」「入院」「手術」です。具体的な補償内容は次の通りです。

通院

これは、動物病院などの医療機関を利用した時に、医療費をカバーしてくれる補償です。診療費や処方してもらった処方薬代、そして処置費などについて補償を受けることができます。

入院

ペットが入院した時に、入院費用を補償してくれます。

手術

手術時にかかる費用や、手術の際に使用する麻酔費用を補償します。

さらに、ペット保険では「通院」「入院」「手術」の他に特約と呼ばれるものを付けることができます。特約を付けることによって、補償の範囲が広がり、補償をさらに手厚くすることができるのです。

特約には自分で自由に選択できる任意のものと、はじめから保険のプランに組み込まれているものがあります。最初からプランの一部に組み込まれている場合には、その特約を外すことはできません。それでは1つずつ確認してまいりましょう。

ペットセレモニー

ペットが亡くなった時にかかる、火葬費用や仏具の購入費用などを補償してくれます。保険によって支払限度額が設定されており、特約としてではなく、既に保険に付帯されている場合もあります。

車イス作成費用

事故や怪我により、足が使えなくなってしまった時に利用する車いすの作成費用を補償します。通常、飼い主の方が必要だと判断した場合に、特約として保険に追加しますが、保険会社によっては既に保険に付帯されていることもあります。車いす作成費用に関しては、保険会社によって支払限度額が設けられています。

賠償責任

ペットが人や人のペットに噛みついて怪我を負わせてしまうこともあるでしょう。そのような時に、相手や相手のペットへの賠償の負担を補助してくれます。また、噛みつきだけでなく人の所有物を壊してしまった時にも、賠償額が補償されます。猫を飼っている方は、ものを壊すことが多いので非常に助かる補償です。

また、示談交渉を引き受けてくれる保険もあるので、賠償の話し合いなど専門知識が問われる複雑な交渉について保険会社の専門担当者に任せてもらえる点が魅力的です。ただし、保険会社によっては扱っていない場合もあるので、ペット保険に加入する際には補償の内容をしっかりと確認しましょう。

また、支払限度額も会社によって異なり、300万円から1000万円など非常にばらつきがあります。

 がん追加補償特約

ペットががんを患ったときに受けることのできる特約です。この特約には2種類ありそれぞれ次のようになります。

  • がんの手術・入院費用を補償する特約
  • がんの診断が下された場合、一律金額が診断給付金として補償される特約

診断書費用補償特約

会社に保険金を請求する際、獣医師の診断書が必要な場合もあります。その場合に、診断書費用補償特約に加入していれば、診断書をカバーしてもらうことが可能です。

ペット保険の補償について注意したいことは、健康診断・予防接種・去勢避妊手術などは補償の対象外であるということです。これらの医療サービスを受けた時には、保険金を受け取ることができないということを頭に入れた上で加入を検討しましょう。

また、「入院」「手術」「通院」以外に特約についてもご紹介しましたが、特約は無料で付けられるわけではなく追加には数百円から数千円かかるという点、自分ですべて自由に選べるわけではないという点にも注意する必要があります。

加入条件

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ペット保険は全てのペットが加入できるわけではありません。人間の医療保険のように加入の条件が設けられており、それを満たす必要があります。ここでは、ペット保険の加入条件について確認して行きましょう。

年齢制限

ペット保険の加入には年齢制限が設けられています。多くの保険商品においては8歳から10歳が加入の上限となっていますが、上限も保険商品によって異なります。中には終身で加入することのできるペット保険や、20歳くらいが上限になっている保険も存在します。

保険の加入は高齢になればなるほど加入条件が厳しくなり、加入の際には獣医師から発行してもらう健康診断書が必要となるケースも見られます。

高齢になってしまうと既に病気を患っていることもあり、加入前に病気を持っていると加入の対象外となってしまいます。そのため、ペット保険にはペットが若く元気な頃に加入しておく方が、リスクを減らすことができるのです。

「告知義務」

ペット保険には人間の医療保険と同じように、加入の際には現在・過去の健康状態やワクチンの接種状況、そして体重などを加入前に保険会社に対して告知する必要があります。これは「告知義務」と呼ばれており、ペットの健康状態について確認することで加入を許可するかどうか保険会社が審査するのです。

告知を通して、健康に問題があった場合には、ペット保険への加入を断られてしまうことがあります。何らかのサポートが必要なはずなのに、なぜ保険に加入することができないのでしょうか。

ペット保険は、人間の保険と同じように保険に加入している人々が保険料を出しあうことで、お互いに扶助し合う仕組みとなっています。

したがって、最初から病気にかかっていて多額の費用を必要とするペットを無条件に引き受けてしまうと、健康なペットを飼っている飼い主はお金を出すばかりとなり、保険加入者同士の公平性が保たれなくなってしまいます。公平性を保つためにも、告知を通して審査を受ける必要があるのです

告知する内容は保険会社によって異なります。どのようなことを告知する必要があるか、例として挙げてみると以下のようになります。

  • 避妊・去勢手術を受けたか
  • 過去半年以内に動物病院で治療を受けたか
  • ワクチン接種が済んでいるか
  • 先天性・遺伝性あるいは発達異常だとの診断を受けたことがあるか

この他にも様々な質問が行なわれますが、大体このように過去の病気や健康状態について質問されます。

また、告知においては嘘をついて、事実と異なる内容を伝えることができません。仮に告知義務に違反した場合には、「保険金を支払ってもらえない」、「契約を解除される」、「法的措置を取られる」、「特定傷病除外特約が始期日に遡って適用される」などの措置が取られます。

加入前に告知を行う際には、必ず事実を伝えるようにしましょう。

ちなみに、保険によっては加入する際、告知と一緒に獣医の診断書を提出するよう求められることもあります。加入する必要があっても、ある年齢までは提出する必要のない保険もあるので、この点についても各社の保険を比較してみましょう。

注意点

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ペットが病気・怪我をしてしまった時には、金銭的な負担を補償してくれるペット保険ですが、もちろん注意点すべき点もあります。加入前には是非、注意点についても抑えておきたいところです。早速、一つずつ確認してみましょう。

加入後の怪我・病気のみ補償される

ペット保険は、動物病院などのペット専門の医療機関に医療費を支払った場合であれば、どんな時でも補償を受け取ることができるというわけではありません。注意しておきたいことは、加入前から患っている病気・怪我については補償を受け取ることができないという点です。

つまり、ペット保険とは「加入後に発症した怪我や病気の治療費を補償してくれるもの」であるのです。この点をしっかりとおさえておく必要があります。

また、ペット保険には予防接種や健康診断、そして去勢・避妊手術などには対応していないという欠点もあります。これらの医療サービスは多くの方がペットに受けさせるものですが、それがペット保険の対象となっておらす、「通院・入院・手術」の場合にしか補償を受け取ることができないのです。

高齢になるほど保険料が高くなる

ペット保険も人間の保険と同じように、高齢になればなるほど保険料が高額になります。そのため、保険会社によって保険料の差が開いてしまうので、ペットの年齢と将来の保険料を見据えて、長期的な計画を立てた上で、最も適切なペット保険に加入する必要があります。

特約を追加するごとに保険料が上がる

ペット保険にはいくつかの特約が設けられています。「万が一のためにも必要そうな特約は付けておこう」と思い、たくさん選んでしまうと、意外と保険料が高額になってしまいます。

というのも、特約の追加には数百円から数千円が必要で、これを毎月払い続けると特約の分だけでも年間数万円になってしまうからです。したがって、必要最低限の特約を見極めて選ぶことが大切になります。

提供している会社

 

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一口にペット保険と言っても、いくつかの保険が存在します。いざ選ぶ際には、どの保険にしようか迷ってしまいますいよね。

ここでは人気の高いペット保険についてご紹介します。それぞれプランや特徴は異なるので、ご自身の希望に沿った保険を見極めてみてくださいね。

アニコム損害保険株式会社

アニコム損害保険株式会社では「どうぶつ健保ふぁみりぃ」を提供しています。こちらのペット保険には2つのプランがあり、それぞれ保険金を50%支払ってくれる「ふぁみりぃ50%プラン」、70%を補償してくれる「ふぁみりぃ70%プラン」となっています。加入条件は7歳11か月までの犬と猫となっています。

「どうぶつ健保ふぁみりぃ」は全国の動物病院の診療費の一部を負担してくれます。さらに、この保険に対応した病院を利用した場合には、「どうぶつ健康保険証」を窓口に提示することで保険金の請求ができてしまうので、立て替えや郵送での手続きなどの面倒な手間を省くことができます。

その他、便利なサービスは以下の通りです。

  •  幼いペットの健康・育て方相談を電話やWebで医師・カウンセラーが担当
  • 幼いペットが迷子になった際の捜索相談
  • JTBと提携して選んだ全国のホテルで優待・割引サービス

公式ホームページ:アニコム損害保険株式会社

アイペット損害保険株式会社

アイペット損害保険株式会社は「アイペット」を提供している保険会社です。このペット保険は12歳11か月の犬と猫を対象とした保険であり、「うちの子」「うちの子ライト」の2種類のプランを選ぶことができます。この2つのプランの内容は、それぞれ次のようになります。

  • 「うちの子」

「うちの子」は入院・通院・手術を補償の3本柱とした一般的なプランです。このプランはさらに2つに分かれており、補償割合が50%のプランと70%のプランの2つがあります。保険料は選んだプランによって異なり、補償が手厚くなるほど料金は高くなります。

さらに、アイペットと提携している動物病院を利用した場合には、保険料を請求する必要はなく、窓口で保険証を提示するだけで精算を済ませることができます。保険加入者は医療費から保険でカバーされる補償額を引いた額のみ支払えるため、全額負担する必要がありません。

  • 「うちの子ライト」

こちらのプランは、手術費用への備えに特化したプランとなっています。そのため、手術の際の補償が非常に手厚く、手術費の90%を補償してくれます。これほど手術費用を補償してくれるにもかかわらず、保険料は「うちの子」よりもお手軽な点が魅力です。

公式ホームページ:アイペット損害保険株式会社

アクサ損害保険

アクサダイレクトでは「いぬのきもち保険・ねこのきもち保険」を提供しています。保険の名前の通り、犬と猫が加入対象となっています。インターネットから申し込みをした場合には、初年度の保険料が3000円割引となります。

選べる補償プランは医療費の50%を負担してくれる「プラン50」と70%を補償してくれる「プラン70」の2種類です。補償内容は「入院」「通院」「手術」の基本に加え、ペットが他人に怪我を負わせてしまったり、他人の私物を壊してしまったりした時に利用できる「示談交渉」の特約を付けることが可能です。

また、保険期間中であれば支払限度額内である限り、保険金の支払回数などに上限がないため、安心して医療サービスを受けることが可能です。さらに「ペット健康相談サービス」を通して24時間年中無休で獣医師による怪我やしつけの相談を無料で行うことができます。

公式ホームページ:アクサ損害保険

日本アニマル倶楽部株式会社

日本アニマル倶楽部では「プリズムコール」を提供しています。

保険の対象となるペットの範囲が最も広い保険であり、犬や猫・小動物や鳥類、爬虫類までが対象に含まれています。

他のペット保険では犬・猫のみで鳥類や爬虫類・小動物が加入対象外であることが多いので、犬・猫以外の動物を飼っている方には非常に心強い保険です。

大きな特徴は、各プランの補償限度額まで治療費の実費で支払ってくれるということです。つまり保障割合が100%ということを意味しているので、飼い主にとっては非常に助かりますね。またプランも豊富で、全部で5つのプランが用意されています。それぞれ以下のようになります。

  •  グリーンプラン:入院・手術を手厚く保障
  • プレミアムオレンジプラン:オレンジプランの手術保険金がさらに手厚いプラン
  • オレンジプラン:通院・入院・手術すべてのバランスがとれたプラン
  • ブループラン:通院・入院に重きを置いたプラン
  • ホワイトプラン:入院・手術に重点を置いたプラン

これらのプランの保険料は年齢が上がっても変わらない点が良心的ですね。

また「プリズムコール」には、犬・猫の場合シニア更新年齢というものが設定されており、この年齢に達した時には「犬・猫シニア専用更新プラン」に終身更新することができるので、老齢のペットには大きな安心材料となります。

公式ホームページ:日本アニマル倶楽部株式会社

最後に

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最初の方で確認したように、ペットのために使う医療費は意外と大きな額になります。万が一の時には、急な出費に戸惑ってしまいますよね。しかし、ペット保険に加入しておけば医療費を一部負担してくれるので、すべて自己負担するよりも随分と金銭的に楽になります。

すべてのペットが加入できるというわけではありませんが、条件を満たしている限り、大きな助けとなる保険です。ご自身のペットに合った保険を選んで万全を期しましょう。