がん保険の必要性って?加入するメリットとデメリットとは

日本人の死因原因は、上から「がん」「心疾患」「脳血管疾患」となっています。1980年頃までは「脳血管疾患」がトップだったのですが、それ以降は「がん」がトップを保ち続けています。私も20歳の頃、がんになった経験がありますが、経験してみると”いつ、誰がなってもおかしくない病気”だと実感できました。

そんな死因順位第1位のがんから、経済的に身を守るために用意されているのが「がん保険」です。名前の通り、がんに特化した保険であることは一目瞭然だと思いますが、今健康な方にとっては、一体それがどのような保険で、どのようなメリットがあるのかは、あまり馴染みのないことだと思います。

そこで今回は、今更聞けない「がん保険」のことについて徹底解説いたします。メリットやデメリット、どのようなプランが各保険会社で用意されているのかを見て、ご加入の参考になれば幸いです。

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がん保険について

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がん保険の基礎知識から固めていきましょう。結論から申し上げますと、がん保険はその名の通り、がんに特化した保険のため、その他の病気になった際には、給付金は支払われません。ただしがん専門の保険のため、がんに罹ってしまった時の保証はかなり手厚いです。

がん保険とは

がんになった時にしか給付金が出ないという点に関して、デメリットに感じる方もいるかと思います。しかし、がんの治療は他の病気と比べて治療法が多く、それに際してお金がかかります。治療時間が長引くことも考えられますが、がんに特化した保険だけあって、医療保険などにはない特徴も用意されています。

保障が手厚い

がんになったときに限定はされますが、

  • 診断給付金
  • 入院給付金
  • 手術給付金
  • 通院給付金

が一般的に保障として用意されていることが多いです。もちろん保険会社によって商品特徴は異なりますが、例えば診断給付金は、生命保険会社が定めている”がん”と診断されることで給付される一時金です。目的はがんの診断により、今後の検査、治療等にかかる経済的不安を緩和するためです。

入院給付金は名前の通り、がん治療のために入院しなければならなくなった際、入院日数に応じて、一日あたりの給付を行います。各がん保険プランの主契約であることが多いので、がん保険を検討すると、まず始めに目に入る内容なのではないでしょうか。

その他、手術給付、通院給付と、保険会社の要件を満たしている必要はあるものの、手術や通院でも保障を受けることができますから、ご自身は安心して治療に専念することができるでしょう。

もちろん給付要件を幅広くすればするほど、支払う保険料の額も高くなりますから、健康な状態での生活を圧迫しすぎないことも大切です。

「入院給付金」の上限日数について

各会社が用意しているがん保険の主契約のほとんどが「入院給付金」かと思います。後述しますが、がん保険とよく比較される医療保険は対象が「すべての病気・ケガ」であり、それによる「入院・手術」が保障対象となります。

しかし医療保険には「1回の入院限度日数」等、支払い日数への制限がかけられていることが多くあります。そのため、繰り返し入院した場合でも、所定日数などの条件により「1回の入院」と認定されてしまい、給付金が受け取れないケースもあります。

一方で、がん保険に用意されている「入院給付金」は入院日数が無制限となっているのです。これはなかなかにありがたいですよね。実際がんを経験した時、検査入院で1泊した経験や初めの抗がん剤治療の際には経過を調べる必要があったようで、3週間ほど入院しました。入院日程をまとめることは、こちらの都合でできることではないので、入院日数が無制限に設定されている方が、備えとしては非常に安心だと思いました。

診断一時金が大きい

がん保険は、がんと診断された段階で高額な一時金を受け取れることがほとんどです。がんを経験して思いましたが、抗がん剤治療が通院で受けることができると言っても、治療中は思うように動けないことがほとんどです。

私が治療していた時、私は学生だったので、副作用で気持ち悪くなりながらも授業を受けられることができましたが、会社に勤めている方はどうしても仕事に支障が出る可能性があるでしょう。収入面での不安、生活面での不安が大きくなる時に、一度大きな一時金が出てくれれば、そこからやりくりできますよね。

デメリットもある

メリット・デメリットの項目でもご紹介しますが、がん保険ならではのデメリットもあります。それが「免責期間」です。がん保険というのは、契約してから3ヶ月の間にがんになってしまった場合、保障を受けることができないのです。詳しくは後述のデメリットでご紹介します。

参考文献:保険の教科書

知っておきたい病気と保険のこと

がん保険の基礎知識としてご紹介してきましたが、がん保険の中で登場した単語についても一部抜粋してまとめてみました。もう十分存じ上げている人もいるかもしれませんが、「がん」と「保険」への興味のきっかけになれば幸いです。

”がん”とは

人の身体は数えきれないほどの細胞から成り立っています。細胞が分裂したり増殖したりする遺伝子をもっており、正常な細胞であれば、その遺伝子は23,000種類とも言われています。死因としてトップを飾ってしまっている「がん」の遺伝子も766種類(2008年時点)で存在すると言われています。

がん遺伝子が存在していると聞くと、ぞっとするかもしれませんが、通常身体には、がんが増殖を促してしまう遺伝子だけでなく、がんの増殖を抑制する遺伝子も存在しています。両方が備わっているからこそ、発症しない人は発症しないし、その均衡が崩れてしまうと、抑制するものがなくなり、がんは増殖していきます。

がんの発症原因は、加齢、喫煙、過度な飲酒、ストレス、生活習慣の乱れ、ウイルス感染など、とにかく様々です。成人のがんにおいては、様々な要因が蓄積することで発症しているのではないかと考えられています。

参考文献 がんを学ぶ ひとりのがんに、みんなの力を。

保険の役割

保険の役割についてご紹介します。私達の身の回りには、不測の事態が起こるかもしれないという不安が常に存在します。病気やケガはもちろんのこと、事故や天災等々、様々なリスクが、本当にいつ起こってもおかしくない状況にあるのです。不安を煽って申し訳ないですが、私は自身のがんの経験上、そう思っています。

ただそのような状態におかれても、生活は続けなくてはなりません。でも経済的にはどうしても厳しくなりますよね。そのような不安を解消するために「保険」が存在します。不安を抱えている人から保険料として集めたお金を、万が一の事態に遭ってしまった人へ保険金として渡す制度なのです。

参考文献:保険ってなんだろう 保険を学ぼう 東京海上日動

医療保険とは

今回着目する「がん保険」との違いから見た「医療保険」について説明します。医療保険はがん保険とは違い、すべての病気・ケガに対応しています。そのため、がん保険のみ加入していて、がん以外の病気になってしまった場合には給付金は支払われません。すべての病気・ケガに対してを考えているのであれば、医療保険の方が利用しやすい場合もあるでしょう。

ただ保険は「リスクへの備え」ですから、まずは貯蓄で用意しておくことも大切だと考えています。がん保険においては、がんの治療にかかる費用が大きかったり、治療期間が長引くことを考えても、保障があった方が安心だと考えていますが、普通の病気やケガにおいては、自身の貯蓄で備えておくだけで事足りる場合もあります。

参考文献:保険の教科書

加入を考える時

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「がん保険にいざ加入!」となったときに気になる加入条件について見ていきましょう。前半では、がん保険に加入する目的についても調べてみましたので、どのような考えで、皆さんががん保険に加入しているのか、参考にしてみてくださいね。

加入する目的にはどんなものがある?

保険についての説明でも書きましたが、保険の目的は「リスクへの備え」「いざというときのため」のものです。がん保険の場合、加入目的としては、がんになるリスクに備えて、というのが最大のポイントですね。

がん保険加入に妥当な年齢は、各保険会社のがん保険内容やコラムを調べていくと、平均で男性は40歳前後、女性は30歳前後とされています。この年齢というのは、がんにかかる確率が上がる年代なのです。とはいえ、確率は確率です。50歳までにがんにかかる確率は、男性で6%、女性で5%とされているにも関わらず、私は20歳で経験してしまいましたから・・・。

とはいえ、がんにかかる率が高まると、支払う保険料も高くなることを考えると、私のような年代から加入を検討しても問題はないと思います。加えて、現在貯蓄が少ない方や自営業の方、教育費や住宅ローンを抱えている家庭などは、万が一の時、貯蓄だけでまかなえない可能性もありますから、若いうちの加入は本当に”備え”となるはずです。

女性の場合、女性特有のがん(子宮がん、乳がん)は若い年齢で発症することも多いので、気になる人は早めに検討しておきましょう。後半でもお話しますが、がんになってしまってからでは遅いです。加入を考えているのであれば、あまり先延ばしにしない方が好ましいです。

参考文献:国立がん研究センターがん対策情報センター

加入条件はある?

加入条件は、各保険会社で設定している要件が異なる場合もあります。しかし現在健康な方で、将来の不安に備えてという方であれば、大抵の場合満20歳〜満85歳の方であれば加入は可能でしょう。

ただし、先にも紹介しましたが、がん保険には特有の「免責期間」という制度があります。保険を契約したとしても、保険会社が保障をしない期間というのが設けられています。この期間内にがんになってしまった場合には給付金は支払われません。

免責期間や保障が開始される期間等々は、保険会社によって呼び方が違う場合もあるので、そこも確認する必要がありますが、いずれにせよ加入を検討する際には「加入して、いつから保障を受けられるのか?」聞くことをおすすめします。免責期間のない保険もあるようですからね。

免責期間がある理由

初めてがん保険について調べた時、なんて厄介な制度なんだ!と思ってしまいましたが、保険は不安に対する備えをしようと考えている人からお金を集め、そのお金から、万が一の事態に陥った人を支える制度です。そのため他の方との公平性を維持しなければなりません。

言葉は悪いですが、がんの可能性の高い病状を持っている方、診断前からがん発症の不安がある方が沢山加入してしまうと、健康な状態で加入してくれた方との公平性が保てなくなってしまうのです。実際そのような方々ががんになってしまった場合を考えましょう。確かに保障する制度自体は大切ですが、支払いばかりが過多になってしまっては、将来のために支払っている健康な方への負担が大きくなってしまいますよね。

公平性を保つために、がんの疑いが高い方の加入を少なくする役割を果たしているのです。

加入できない場合もあるので確認を!

免責期間の項目で書いた通り、がんの疑いが高い人は入りづらくなっているがん保険ですが、入りづらいだけでなく加入できないという場合もあるので、注意が必要です。例えば、

・契約前にがんが発症していた
・告知事項に書いた病歴などが事実と異なっているなど、告知義務違反があった

が分かりやすい”加入できない”例です。もちろん保険会社によって、加入条件は異なるため、前もって気になっている保険会社に自分の条件で加入できるかどうか確認する必要はあります。

例えば私の場合、20歳でがんを経験してしまったが故に、がん保険への加入の間口はかなり狭まっています。過去の罹患経験や、今後がん化する可能性のある病気を抱えている場合にも、加入できない場合があるのです。ただし保険会社の審査によって加入できるか否かは決まりますから、過去に経験があったとしてもあきらめず、加入できる保険を探していきましょう。

がん保険のメリット・デメリット

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がん保険についてご紹介してきましたが、メリットとデメリットを知ることはとても重要です。もちろん紹介した項目を、自分にとってメリットととるかデメリットととるかは人それぞれではあります。今回は一般的ながん保険のメリットとされていること、デメリットとされていることをご紹介しますので、自身の健康状態や経済状態をふまえてご覧頂けると幸いです。

メリット

まず「がん」と診断された時、がんによる入院が決まった時の手厚い給付一時金がメリットと言えます。例えば診断給付金は、がん保険の内容にもよりますが、1回限りのものもあれば、再発時でも一定期間経過していれば複数回支払われるものもあります。加えて診断されてから早い段階で支払われるため、公的な保険ではまかなえない最新医療の治療費に回す方もいるようです。

また先にも紹介した通り、入院給付金の支払いに制限がありません。私は通院での抗がん剤治療だったので、長い入院経験はせずに済みましたが、長期治療には変わりありませんでした。治療中に長い期間の入院を要する場合もあれば、再発による入院など、長い期間病気と向き合うことになりますから、制限のない入院給付金はとても役立ちます。

デメリット

ただし、がん保険はがんにしか適用されないのが特徴です。がん以外の病気に罹った場合には対象外となります。もちろん保険商品の中には、がん以外の病気に備える特約が用意されているものもありますが、基本的にはがんに特化している保険だと考えた方が良いでしょう。

また万が一の事態がないことが一番ですが、死亡リスクに対する備えはありません。基本的には治療に専念するためのものなので、死亡保険金は少ない、または全くないということが多いです。

保険に加入しても約3ヶ月の免責期間が生じるため、この間にがんに罹ってしまうと保障を受けることができないので注意してください。健康なうちに加入しておくことが大切です。

どんなプランがあるの?

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最後にがん保険の保険商品を用意している会社をいくつかご紹介します。私のように保険加入前にがんを経験している人でも安心できる保険も1社ご紹介します。ただ不安に備えすぎて、日々の生活を圧迫してしまっては意味がないので、保険内容の充実と同時に、支払う保険料も身の丈に合っているかどうかチェックすることをオススメします。

メットライフ生命

参考文献:ガン保険 ガードエックス

チューリッヒ生命

参考文献:終身ガン治療保険プレミアム チューリッヒ生命

アフラック

私のようながん経験者でも加入ができる保険が、アフラックの生きるためのがん保険・寄りそうDaysです。

がんを経験された方のために登場したがん保険なので、がん最終治療から5年以上経過していて、保険会社の制定する健康状態である等々、条件を満たしていれば加入できます。もちろんがん経験者だからといっても、条件を満たさなければ加入はできませんが、ほとんどのがん保険が、がん経験者の加入が難しい中、大変ありがたい保険商品だと思っています。

参考文献:生きるためのがん保険 寄りそうDays

自分に保険が必要かどうか迷ったら

保険は「リスクの備え」ですから、実際「私は本当に保険必要かな〜?」と迷われる方も多いと思います。私としては、保険について説明してくれる窓口へ相談し、しっかり内容を把握してから加入することをおすすめします。

確かに数あるがん保険を資料請求して、自分の目で比較検討するのも大事ですが、とにかく特約や条件が大量に合うため、一度「私加入できるかな?」と疑わしくなると、理解するのが困難になります。これは私の経験談です笑。加えて、よく分からぬまま加入した結果、保険金がおりない条件だったために、がんになったのに保険金が受け取れなかった!というケースも起きているので、注意が必要です。

窓口へ足を運ぶ際、保険商品の勧誘が強かったり、接客に難があるな〜と感じた場合は、他の窓口を検討することをおすすめします。とはいえ、勧誘への監視は強化されているので、勧誘はほとんどないと言ってもいいでしょう。

ただ商品説明ばかりの窓口では、自分のライフプランに見合った保険内容を紹介してくれる可能性は低いと考えていいかもしれません。具体的な保険料の予算と、自分の抱えている不安を相談した時に、担当してくれた方がそれに見合ったプランを用意してくれるか否かも、保険商品を選ぶ重要ポイントとなってきます。

参考文献:がん保険は必要?保険相談の賢い活用法 がん保険の教科書

公的制度も利用しましょう

日本の医療制度はかなり手厚いです。その恩恵は、がんになったからこそ、とても感じました。公的制度にお世話になったからこそ、健康保険料はしっかり支払せていただきます笑。

その恩恵は、実際にかかった費用で見直してみると、よ〜く分かります。例えば医療費総額40万円(入院費込み)、健康保険適用外(入院中の食費や差額ベッド代です。差額ベッド代、結構します!)が10万円だったとします。私達が支払う医療費の自己負担額は3割ですから、医療費のうち3割分は自分で支払う必要がありますが、残り7割は保険者から支払われるのです。なので実際には、3割分の12万円と適用外の10万円の出費で済みます。

高額療養費制度

加えて、医療費を支払う際の自己負担を軽減する制度として、高額療養費制度があります。所得に応じた自己負担限度額が設けられているのですが、診療や医療費、薬局で支払う額がそれを超えた場合、超えた金額が後から払い戻される制度です。私もお世話になりました。

医療費控除

高額療養費制度だけでなく、医療費控除もあります。これは多額な医療費の支払いを、税務署に確定申告することで、支払っていた所得税が還付されます。所得税の軽減を目的とした制度ではありますが、実質の支払金額が少しでも軽くなるのは、本当に助かります。

参考文献:がん(癌)になると、どんなお金がかかるの?

まとめ

がん保険についてご紹介しました。がんに特化しているという点は、人によっては「がんになるかどうかも分からないのに・・・」とデメリットに捉える方もいることでしょう。しかし、日本人の死因トップであるがんは、本当に誰に起こるか分からない身近な病気でもあると考えています。自分の不安をカバーできそうであれば、ぜひ検討してみてください。

でもまずは、がんにならないためにも、心身ともに健康に、規則正しい生活を心がけてくださいね!