ビットコインバブルが起きて以来、世間的にも仮想通貨という言葉が馴染みのあるものとなりました。
しかし、それと共に発生しているのが仮想通貨に関連した詐欺事件です。
「稼げる」という心理を突いた案件が、蓋を開けてみたら実は詐欺だった…という事態が頻繁に発生しています。
そこで今回は、実際にどのような詐欺が発生しているのか事例と共に紹介していきます。
ここで紹介した事例を参考に、詐欺に巻き込まれないように注意して見ていきましょう。
目次
仮想通貨詐欺の手口
仮想通貨詐欺と一口にいえど、実際にどのような手口があるのでしょうか。
ここでは、実際に過去何度も発生している事例をピックアップしてご紹介します。
詐欺コイン
仮想通貨詐欺でよく行われる手口の一つとして、詐欺コインというものがあります。
詐欺コインとは、簡単にいうと「お金儲けを目的とした、実態のないコイン」です。
一般的に仮想通貨というのは、開発者側のビジョンや目的があって開発されていくものですよね。
一方で、詐欺コインの場合は表面上のみ将来性の高いビジョンを語り、開発などはロクに行われないということがほとんどです。
このコインは、もともとリップル(XRP)と価値を連動させている通貨という触れ込みで、投資家からの購入を募りました。
また、取引所などを介さず運営側から一口3万円で購入するシステムを採用していたことも特徴です。
さらに、投資家が他の投資家にクローバーコインを紹介して売れば紹介料として60%が支払われるという「ネズミ講」のようなシステムをとっていました。
しかし、後に運営側はリップルとの互換性は無いと公式発表し、詐欺コインであることがほぼ確定。
このような事態を受け、国税庁などがクローバーコインを開発している48ホールディングスに立ち入り調査を実施しました。
同社はクーリングオフを実施することを決定しましたが、一年以上経過した現在でも未だに返金は完了していないとのことです。
ICO詐欺
仮想通貨絡みの詐欺でもっともポピュラーなのが、ICOにおける詐欺でしょう。
ICOとは、Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)の略で、日本語では新規仮想通貨公開という名前で知られています。
人気のあるICOでは100億円以上の出資が集まる場合もあるため、多くのICO詐欺が発生しています。
ICO詐欺で有名なのが、Dircoin(ディールコイン)という仮想通貨のICOです。
Dirccoinは、主に中東で石油産出国が原油取引や決済などで使うことを目的に開発された仮想通貨です。
2010年に開発が始まり、2015年には公開がされるという前触れでしたが、実際には開発がまったく行われませんでした。
通貨を開発する企業のホームページは閉鎖され、運営の所在も不明となってしまうという結果に。
このICOでは100億円もの資金が調達されたとのことで、投資家の間では大きな波紋を呼びました。
仮想通貨はまだまだ法律の制定も進んでいないため、このような事態がまかり通ってしまうというわけですね。
ICO詐欺は頻繁に発生しているので、よく注意するようにしましょう。
情報商材詐欺
これは仮想通貨に限った話ではないですが、近年は特に仮想通貨絡みの情報商材詐欺が発生しています。
例えば、「この商材を買えば必ず億り人になれる!」といったような過剰な謳い文句を装う情報商材です。
仮想通貨バブルが終焉したことにより、以前よりも仮想通貨でお金儲けがしづらくなっているという現状があるため、このような商材に騙されてしまう人が増加しています。
このような商材に書かれている仮想通貨の情報というのは、ネットや一般書籍などで簡単に手に入るものがほとんどです。
情報配信詐欺
こちらは先ほどの情報商材詐欺と似たような手口となりますが、月額◯◯円で有益な情報を配信しますといったグループやサロンによる情報配信詐欺です。
このような手口で難しいのが、そもそも詐欺認定をするのが難しいという点にあります。
あくまでサロンに入会しているのは入会者自身であるため、儲けがでなくても返金を求める権利はありませんし、すべて自己責任となってしまいます。
もちろん、なかには本当に有益な情報を流すサロンもあるため、すべて自己責任で入会するかどうか決める必要があるでしょう。
そもそも、投資などをする際には他人任せにするのではなく、自分の頭で考えて投資するという姿勢が重要です。
フィッシング詐欺
こちらも仮想通貨に限らずよくある詐欺ですが、やはり仮想通貨でもフィッシング詐欺の被害が続出しています。
よくある手口としては、実在する仮想通貨取引所を装い偽のサイトに誘導、個人情報を入力させハッキングを行うという手法です。
また、「ビットコインが当選した」などというメールと共にウォレットアドレスの認証番号を打たせるなどといった手口もあるようです。
仮想通貨に関するセミナー
同じように増えているのが、仮想通貨に関するセミナーにおける詐欺です。
もちろん中にはまっとうなセミナーもあるのですが、仮想通貨ブームにつけ込み、主に仮想通貨初心者を狙った悪質なセミナーが増えています。
具体的には、セミナー内で注目通貨として「詐欺コイン」を紹介したり、代理購入として本来ならば必要がない額の手数料を請求するなどといった手口が報告されています。
仮想通貨詐欺の対処法
どのような仮想通貨詐欺があるのか分かったところで、実際にどのように対処すべきか解説していきます。
仮想通貨ないしブロックチェーンは世界を変える可能性を秘める素晴らしいものですが、詐欺などのせいで誤ったイメージが広まるのはとても悲しいことです。
是非このページで、詐欺に遭う可能性を少しでも減らすことができれば幸いです。
詐欺コイン
詐欺コインを買わないようにするためには、日頃から通貨に関する情報をしっかりと把握しておくことが重要です。
また、詐欺コインの多くは取引所では取引されていないというケースが殆どです。
CoinMarketCapやCoinGeckoなど大手マーケット情報サイトを確認し、購入予定の通貨が実際にどれぐらい流通しているかなど確認しましょう。
極端に流通量が少なかったり、時価総額の変動が極端に少ないなど異変がある場合には、通貨の実態性が低い可能性があります。
また、通貨を購入する際には必ず公認の仮想通貨取引所で購入するようにしましょう。
例えば日本ならばBITPoint、海外ならばBinanceに上場している通貨は安全と考えて差し支えありません。
ICO詐欺
続いてICO詐欺に遭わないための方法について解説します。
ICOに関しては、先ほど解説したように8割ほどの案件が詐欺同然であるという報告がされています。
詐欺の定義としては、「ICO投資を開始したものの約束したプロジェクトを実現する意図がなく、コミュニティメンバーに詐欺と認定されたもの」とされています。
そもそもICOは詐欺ではないとしても、成功する案件は5%に満たないとされています。
ICO詐欺かどうか見分ける方法としては、「ホワイトペーパー」と「客観的な情報」が鍵となるでしょう。
一般的に仮想通貨の開発チームは、ホワイトペーパーという通貨の説明書を公表します。
投資家はホワイトペーパーを読むことで、その通貨に将来性があるかどうか判断するのです。
また、ICO案件に関しては自らの主観だけでなくネット上にある情報も確認すると良いでしょう。
人気のあるICOというのは、自然とツイッターなどSNSで情報が出回るので、さまざまな情報を確認することが可能です。
また同時に、開発者チームメンバーの過去の実績などを調べるのも良い方法と考えられます。
情報商材詐欺
情報商材詐欺に遭わない唯一の方法、それは「商品を買わない」に尽きます。
情報商材に載っているような情報というのは何も特別なものではなく、ネット上で転がっているような情報ばかりです。
仮想通貨はまだまだ発展途上とはいえ、数多くのメディアや書籍で仮想通貨に関する情報が発信されています。
情報配信詐欺
情報配信詐欺は、先ほども解説したとおり一概に詐欺とは認定できない難しさがあります。
つまり、仮に情報配信でおすすめされた通貨を購入し、数ヶ月経っても価格が上がらないからといって詐欺認定するのは本質とズレているのです。
そもそも投資は自己責任であり、扇動的な情報に流されるのはよくありません。
必ず自分の目で通貨がどのようなものか確認し、多角的な視点から投資価値があるか判断するようにしましょう。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺に多いのがメールによる誘導や、取引所サイトと酷似した偽サイトで個人情報を入力してしまうというパターンです。
サイトに関しては、URLが公式サイト合っているか確認するよう意識することで被害を防ぐことが可能でしょう。
また、見たこともない情報サイトからリンクされたURLで飛ぶのではなく、しっかりと検索サイトから検索した上で公式サイトへ飛ぶクセをつけることをオススメします。
メールによる誘導に関しては、TwitterなどSNSで同様のメールが届いている人がいないか検索することをオススメします。
また、一般的に多くの企業は安全上の理由から、メールで個人情報を求めるようなことをしません。
そのような事実を認識しておくことで、被害を受ける可能性を減らすことができるのではないでしょうか。
万が一詐欺に遭ってしまった場合には?
残念ではありますが、仮想通貨はそもそも実物が無いものだけに、立件しても補償を受け取ることが出来る可能性が低いとされています。
しかし、騙した相手を野放しにしておくことは許されません。
仮想通貨で詐欺被害に遭った際には、以下の相談先を検討してみるといいでしょう。
消費者ホットライン・国民生活センター
まず相談すると良いのが、消費者庁によって設置されている消費者ホットラインや独立行政法人の国民生活センターです。
詐欺被害に遭った場合に、どのような行動を取ればいいかアドバイスを貰うことができます。
警察
虚偽の情報が記載された仮想通貨やICOに投資した場合には、詐欺罪として立件することができる可能性があります。
ただし、投資先が日本ではなく海外の仮想通貨だったりなど、実態が分かりづらい相手の場合には立件できる可能性は高くないため注意が必要です。
弁護士
状況によっては裁判を起こすことも可能であり、その場合には弁護士に相談するといいでしょう。
参考:仮想通貨詐欺の被害にあったら?相談窓口、返金・予防の方法を弁護士が解説
まとめ
今回は仮想通貨における詐欺の手口や、対処法について解説しました。
細かくみていくと、より複雑な手口で詐欺が行われているケースがありますが、あくまで今回は主流の手口を紹介しました。
残念ながら今後も仮想通貨絡みの詐欺は増えていく一方だと予想しますが、一般的に守るべきルールを守りながら運用すれば詐欺に遭う心配はそうありません。
「簡単に儲かる」などという謳い文句に惑わされず、しっかりと自分の考えで仮想通貨を運用していくようにしましょう。
今回の記事がみなんさんの参考になれば幸いです。