お葬式でも出来る節約のヒント

突然のお葬式、誰もが慌てふためくのも無理はありません。予期していたとしても現実に家族の最期を迎えることは非日常的なことで、冷静な判断がつきにくいものです。

以前から決めていた葬祭業社の言われるがままにお葬式をすすめた私の知り合いのAさんが、請求書の金額にビックリしたという話を聞かせてくれました。Aさんの体験談からお葬式でも出来る節約のヒントを探ってみましょう。

Aさんの体験談から、お葬式にかかる費用についても、こちらの記事で紹介しているので、気になった方はこちらも御覧ください。

お葬式にかかる費用は? 実体験から学ぶ、後悔しないお葬式とは

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葬祭業社との契約内容の確認

Aさんのお姑さんが、生前に入会していた葬祭業社の契約内容は『葬儀プラン』というものだったそうです。Aさんはそのパンフレットを見せてくれました。『豊かな経験で、お葬式のすべてを真心をこめてお世話いたします』と副題が書かれてありました。これだけを読めば、お葬式の心配など吹き飛んでしまいます。何もかも葬祭業社にまかせて安心だとお姑さんも思われたに違いありません。

『葬儀プラン』は総額30万円はお姑さんによって、すでに積み立てられていたそうです。Aさんはそのセット内容の写真を私に見せながら、「ほら、すごいでしょ? これだけで全てお葬式が出来そうな感じがしない?」 と苦笑しました。

豪華な白木の祭壇に置かれた黒リボン付き額に遺影さえ入れれば、今にもお葬式が執り行なわれそうな立派で厳かな雰囲気の写真でした。その隣りのページにセット内容と名付けられた表があり、細かな字がたくさん書かれていました。Aさんは「読み上げてみるわ」とパンフレットに顔を近づけました。

「祭壇・霊柩車・棺桶・旅装具・骨壷・骨箱・遺影写真・額縁・祭壇生花一対・霊前回転燈籠・通夜司会・立花一対・祭壇用盛物・ドライアイス・脱臭剤・枕飾り・焼香セット・受付所・門標・幕張り・告別式司会進行・放送設備・役所手続き・記録帳・後祭壇セットで終わり!! 」その中の祭壇生花一対・霊前回転燈籠と通夜司会はどちらか一つ選ぶようなっているそうです。

読み上げている間に、何度か「これは何て読むのだったかしら? 」とつかえながらも、Aさんは読み終えました。そして「このセット内容の言葉だけでも、わからないことだらけでしょ? 」

Aさんは、自分がどれほどお葬式に対して無知だったか、思い知ったそうです。

セット内容に含まれていなかったもの

Aさんはセット内容の表に書かれているものが、通夜に必要なもの、告別式に必要なもの、葬儀が終わってから必要なものなど区別されて当然なのに、一緒に書かれていることに対して不信感を持ったそうです。「パッと見て、すべてお葬式にいるものが網羅されていると勘違いしても不思議ではないでしょ!?  少なくとも親切な書き方ではないわ」と。

まず葬祭業社の式場を会員は無料で使えるものだと、Aさんは思い込んでいたそうです。けれども、セット内容には含まれていなかったそうです。会員割引にはなっていたそうですが。

それから、係の女性に「湯灌式」を行うことを知らされて、それが何かも知らずに立ち会ったそうです。Aさんはお姑さんと離れて暮らしていたので、あまり裸の付き合いとかしたことがありません。温泉旅行にいったことはありますが、亡くなったお姑さんを洗い清めているスタッフの人に対して、頭が下がる思いがしたそうです。もちろん、これもセット内容には含まれていなかったそうです。

Aさんが一番、腑に落ちなかったことは、契約していたセット内容30万円とはかけ離れた金額の請求書だったことだそうです。

通夜の準備で式場にいたとき、係の女性に、祭壇について聞かれたことを思い出したそうです。ファイルからいくつかの祭壇の写真を見せられて、どれになさいますかと声をかけられたそうです。

Aさんはご主人と相談して、真ん中あたりの祭壇を選んだそうです。Aさん御夫妻は、セット内容の祭壇は一番端っこに写っている最低価格のものだとわかっていたそうです。選んだ祭壇とセット内容の祭壇の差額は、数万円しかちがわなかったし、最低料金のものを選ぶのが雰囲気的に恥ずかしかったからだそうです。

ところが請求書には、選んだ祭壇によって他のものまでが決まっていたそうです。例えば、棺桶・旅装具・骨壷・骨箱・遺影写真・額縁・祭壇生花一対・霊前回転燈籠・通夜司会・立花一対・祭壇用盛物・ドライアイス・脱臭剤・枕飾り・焼香セット・幕張り・後祭壇セットまでが、真ん中レベルの祭壇のセット料金となっており、30万円の契約が67万円と、倍以上の金額になっていたそうです。

また、Aさんの把握できないところで、弔問客への会葬御礼や、親族の食事や飲み物、通夜振る舞い、火葬場までの交通手段の手配、告別式の食事などを葬祭業社はスマートにまとめてくれてたそうです。請求書にはその単価と値段が一つずつ丁寧に書いてあったそうです。けれど、それを見てAさんは疑問を持つことになったようです。

弔問客数よりも会葬御礼の品数が40個以上多く、カウントされていたそうです。もしかすると50個単位でしか注文できないのかもしれないと、Aさんは思ったそうです。会葬御礼はお茶のセットで、500円から1000円までの品物の写真を係の女性に見せられて、真ん中の800円にしたそうです。会葬御礼の配られるはずのない品物が40個、代金にすれば32000円はどうなったのか、今となってはわからないとAさんは首を振りました。きっと他にも、同じように使途不明になっているものがありそうだけど、と残念そうです。

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節約のポイント

Aさんの話によると、実はお葬式の方向性は、お姑さんが病院で亡くなったという知らせを受けたときに、Aさんのご主人が葬祭業社に連絡したときから決まっていたといいます。ご主人が電話で話している様子を隣りで同じ気持ちになって聞いていたそうです。

「〇△葬祭業社さんですか。すみません。実は今、病院で母が亡くなりまして。何をどうしたらいいのか、初めての経験でしてわからないのですが。はい。そちらの入会している身内のものです」と、正直者のAさんのご主人は葬祭業社にすがる思いで電話をかけたそうです。

それからはAさん夫妻の手となり足となり、お葬式を影の主体となって采配を揮ってくれたそうです。「カモにされたとまでは言わないけれど、常識的なことをしてくれたとは思うけれど」とAさんは煮えきりません。

私はAさんの体験談を聞いて、4つの節約するヒントがあると思いました。

4つの節約のヒント

  1.  葬祭業社と契約しているときは、その契約内容を事前に把握しておく。
  2.  お葬式全体の流れを喪主が事前にたてておき、その見積もりをお願いする。
  3.  料金のランクが下から上まである場合、見栄をはらずに予算内ですむように選択する。
  4.  請求書に疑問があるときは、臆せずに即座に連絡をとり明らかにする。

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まとめ

「昔は、地元でお葬式していたわよね。ご近所の人が喪服にエプロンをして、弔問客の接待を担ってくれたり、通夜振舞いの料理や飲み物の手配まで仕切ってくれていたけれど」と、Aさんはご自分のお祖父さんが亡くなったときのことを懐かしそうに話していました。

本当にそうですね。けれども、現代では、外で働く女性が多くなって、隣近所でもほとんど顔を合わすことがなく、お葬式の助け合いを求めることは難しいです。だからこそ、喪主の手足となって働いてくれる葬祭業社との付き合い方を模索することは、今後さらに必要になってくると思います。

今回はAさんのお姑さんが葬祭業社の会員だったので、その契約内容における節約ヒントをご紹介しました。さらに大きな節約が期待できる方法としては、お葬式の規模を縮小することと、複数の葬祭業社の見積もりをとることなどがありそうですが、前者は現役サラリーマンのAさんのご主人の立場では難しい節約方法だといえるでしょう。しかし、後者の複数の葬祭業者の見積りをとることは、大きな節約効果がありそうです。