今回の投稿では、伝統的な金融・経済と距離感があり市場の変化が激しい仮想通貨に対する日本政府の今後の方向性に関して語っていきたいと思います。
仮想通貨は既に主流になった
仮想通貨の人気は急上昇傾向
皆さんもご存知の通り、現在全世界的に仮想通貨に注目が集まっています。2009年に誕生したビットコインを筆頭に世界中には1600種類を超す仮想通貨があると把握されてます。
仮想通貨の特徴としては、非中央集権型であり、伝統的な金融機関を経由せずに取引を行うことが可能であるため、送金手数料が安くインターネット上で手軽に取引できるのが1番の特徴であると言えます。
仮想通貨は人々の日常に溶け込んで来た
今日では、学校や職場での会話で仮想通貨・ブロックチェーンといった言葉を耳にすることはすでに日常ごとになってきました。しかし、ビットコイン(BTC)をはじめとした仮想通貨そのものに対し、投資ではなく投機に近いイメージを持っている方も少なくはないと思われます。
そのため、仮想通貨に関して抵抗感を感じることも珍しくはないと言えます。特に、仮想通貨に関する情報自体は溢れているものの、精密かつ正確な情報を見極めることはなかなか難しいのではと思われます。
ここでfincleの役割は仮想通貨が皆さんの生活の中へ違和感なく溶け込むことができるよう情報提供をすることです。
仮想通貨の透明化へ
G7、仮想通貨に対する規制導入で合意
民間主導で進む仮想通貨取引に当局も監視を強めている。主要7カ国(G7)は15年の首脳会議で、仮想通貨が資金洗浄(マネーロンダリング)などに悪用されることを防ぐための規制導入で合意しました。
G7サミットが日本の政策へも影響を?
日本もこれを受けて法改正に動き、仮想通貨の取引所に登録を義務付ける改正資金決済法が施行することになりました。
日本では昨年の4月に施行された「改正資金決済法」で仮想通貨の取引所に当局への登録を義務付けました。改正資金決済法で仮想通貨取引所は1千万円の最低資本金が義務付けられました。それとともに、顧客から預かった資金と仮想通貨を分別管理するといった条件を全て満たさなければなりません。
ただ、その後広がった仮想通貨技術を使った資金調達(ICO: Initial Coin Offering)をどのように扱うかなど、新たな課題も浮かんできました。
[初心者向け] ICOとは? 概要からメリット・デメリットまで徹底解説!
仮想通貨に関する制度が徐々に整備される傾向
経営の透明化へ向けた自己資本や経営管理体制などの最低限のルールが整備されることへの期待が高まってきましたが、課題も今後増えていく見込みです。
定期的に金融庁の立ち入り検査を受け、運営状況に不備があれば業務改善命令の対象になる。ただ締め付けすぎると民主導の技術革新や市場の成長性を損なう恐れもあり、今回の登録要件も最低ラインの規制という位置づけだ。今回、登録を見送った業者でも「審査を進めていれば10月以降も取引所の運営は続けられる」(金融庁)。
消費者としての不安点
仮想通貨市場の動きは激しい
最近は値上がり益を期待した投資資産の流入で取引が活発になっています。日本では14年にBTC取引所で巨額のコインが消失する事件が発覚し、仮想通貨の取引は一時その勢いが縮まりました。しかし、海外ではその後も、新規参入や取引拡大が続いていました。
BTCは最近中国からの取引が多かったが、中国当局の規制強化に伴い取引は急減しましたが、逆に、日本からの取引が急増し、BTC取引額の3割を超える水準まで致りました。
仮想通貨には不安要素が多い?
現段階では、BTCの購入の大半が値上がりなどを狙った投機に近い投資目的で、実際に送金や決済手段として使うための購入はそれほど多くないとみられているのが現状です。
最近ではBTCの取引量拡大で、システムの処理能力を高める手法について関係者間の意見がまとまらず、BTCが分裂し、新しい仮想通貨ができる出来事が生じました。
利用者からすると、手持ちの仮想通貨の価値が急激に変動するなどが「通貨」として認識するにあたっての妨げとなります。
しかし、リスクがあるからといって、規制で物事が全て解決できるとは言えません。仮想通貨をはじめブロックチェーン技術をうまく活用することで、新たな産業を生み出すこともでき、技術革新へ繋がるのではないでしょうか。
規制にはバランスが必要
多くのメディアで取り上げられているように、この勢いで仮想通貨が市場へ普及して行く場合、中央銀行の金融政策にも何らかの影響を及ぼす可能性があることは明らかであります。
他国の中央銀行の中では、法定通貨をネット上で取引できるようにするデジタル法定通貨の導入の検討も始まっている、スウェーデンや中国が実験へ取り組み、国際決済銀行でも調査・研究が進んでいる状況です。日銀も欧州中央銀行などとブロックチェーンの共同研究を進めています。
欧州連合(EU)、仮想通貨は取引を禁じる対象ではない
EUは仮想通貨市場のポテンシャルを高く評価
欧州連合(EU)は「仮想通貨と中央銀行の金融政策:その課題」という報告書を公表しました。報告書では、貨幣調節手段としての仮想通貨の機能や、政府や中央銀行の予期しない問題などが中心に書かれています。
当報告書の結論として、政策及び規制当局の仮想通貨への偏見であり規制を強化しようという傾向へ反論を出しました。要するに、仮想通貨は他の金融商品と同様に扱われるべきであり市場の自由度を尊重すべきであると訴えました。
利用者数や取引の量に基き、将来的に仮想通貨が既存の通貨の代替として役割を果たすことも可能性があると述べました。また、EUは仮想通貨の将来性つまり市場価値としてのポテンシャルを高く評価していることが明らかになりました。
仮想通貨と従来の金融商品を平等に!
規制に関しては、他国との協力が求められうと語りつつ、仮想通貨と既存の金融商品との平等な捉えかたとして課税に関しても同様に政策を実行するべきであると強調しました。
EUの経済金融委員会は6月26日、「仮想通貨と中央銀行」というレポートも発表しました。同レポートでは、ポーランドに拠点を置く非営利研究機関、社会経済研究所(CASE)による分析に基づいた内容で構成されております。
仮想通貨が安全・透明・簡単な取引をグローバルで実現できるものとして、今後世界経済においてポジティブな影響を与えるだろうとの見解が見られました。
仮想通貨による中央銀行への脅威はない
法定通貨の時価総額が2017年末の時点で約14兆ドルであるのに対し、仮想通貨の時価総額が2018年4月の時点で3,000億ドルに過ぎないことも述べました。
それで、法定通貨と比較した際の時価総額の規模からして、仮想通貨が将来的に既存の金融政策を脅かす存在であるという不安点を否定しました。
仮想通貨の活用しより健全な市場作りへ貢献
また、EUではEU理事会が、マネーロンダリングとテロ資金供与の防止に向けた規制の導入に合意しました。それで、その施策の一環として、取引所と仮想通貨を保管・管理できる「ウォレット」の提供企業に対し、金融機関と同様の顧客確認が義務付けられました。
同規制は仮想通貨自体へ対することではなく、主に犯罪対策が目的となります。EUではいまだに仮想通貨に対する包括的な規制が整っていないため、今後の規制当局の動きを注目するべきだと思われます。
デジタル化に向けた海外の事例
国ごとに異なる規制
米国ではBTCの先物取引が始まったが、韓国は仮想通貨取引所の禁止を検討、またブラジルではファンドの仮想通貨への投資を禁じるなど国によってかなり異なる風景を見ることができます。
情報共有が今後の肝心なポイント
確かに技術革新を促進し、新規参入を促すことを考えると過度な規制は妨げになるのではないでしょうか。ただ、今後世界で仮想通貨の取引が広がる中、監視や規制を行う上で金融当局間の国際協調が必要になって行くのだろうと認識されております。
だからと言って、同じ規制を一斉に入れる必要はないと思われます。規制の統一化よりは、今後仮想通貨市場を健全な方向へリードして行くための相互情報交換の役割に近いと言えるでしょう。また、仮想通貨はマネーロンダリングに悪用される恐れもあるということから、今後国際協力が不可欠であると言えます。
デジタル化必要な国は先進国だけではない
国が発行するデジタル法定通貨にも新たな動きがありました。スウェーデンなどの先進国が先行している状況ですが、最近目立つのは新興国・途上国の動きであります。代表的に中国がインド、アフリカ諸国、ロシアなどとの協力でデジタル法定通貨の研究を始めたということです。
比較的銀行制度が発展していないアフリカでは、個人が現金を持ち運ぶより安全なデジタル通貨への需要が今後高まって行くだろうと予想されております。中南米ではエクアドル、ウルグアイのほか、ベネズエラで政府がデジタル通貨発行を提案しました。
最後に
日本当局の仮想通貨に対する政策及び海外の動きなどを述べて見ましたが、いかがでしたか?私自身も以前は「仮想通貨」なんて自分とは関係のない話だと思っていました。
しかし、日々仮想通貨の影響力が高まってきていることに気付き、時代遅れにならないようリサーチを続けています。
各個人の努力も求めれるのですが、国レベルで仮想通貨・ブロックチェーンなどの技術変革に乗り遅れないように対策をしっかり取る必要があるでしょう。
非常に複雑であり難しいことでもありますが、規制と技術発展のバランスをうまくとるべきだと思われます。既存の金融サービス・市場と新技術との調和が今後経済社会の未来像を決める肝心な要素でしょう。