皆さんはアセアン株式というものをご存じでしょうか?
アセアン株式というのは、ASEAN諸国の株式の総称です。ただし日本の証券会社で取り扱っているのは主にタイ・マレーシア・インドネシア・シンガポール・ベトナムの株式です。
中でも今回はシンガポール株式市場とマレーシア株式市場の2つについてご紹介していきたいと思います!
目次
シンガポール株式市場の特徴
シンガポールとはどのような国なのでしょうか?まずはその概要から見ていきます。
シンガポールってどんな国?
シンガポールはその正式名称を「シンガポール共和国」といい、マレー半島の南端に位置し60以上の小さな島々から構成されています。
そんなシンガポールの国土はなんと719,2㎢で琵琶湖や東京23区より少し大きいくらいの国です。
人口は約570人で公用語は英語や中国語、マレー語などです。多民族国家ですね。
マーライオンやブランドで有名なシンガポールは、こんなに小さな国ながらも、古くから交通の要所であったために貿易業で栄え、ASEANの中で引いてはアジア圏で勢いのある国へと成長しました。
シンガポール証券取引所とは
シンガポールの概要を抑えたところで、ここからはシンガポールの株式市場について見ていきましょう。
シンガポール株式市場の中心となるのは「シンガポール証券取引所」です。日本でいうと東証に相当します。
シンガポール証券取引所は1999年に旧シンガポール証券取引所とシンガポール国際金融取引所が合併して誕生しました。現在上場している企業は746社で、そのうちの4割以上を海外の企業が占めています。
ただし日本の証券会社ではすべての銘柄を取り扱っているわけではないので、投資する際は各証券会社の取り扱い銘柄をよくご確認ください。
また取引時間は現地時間の9時から17時(日本時間10時から18時)で、日本からの決済通貨は日本円またはシンガポールドルと証券会社ごとに異なっています。
シンガポール証券取引所の市場は、メインボードとカタリストの2つで、カタリストは新興企業向けの市場です。
またメインボードにもプライマリー(1部)とセカンダリー(2部)が存在し、同様にカタリストにもプライマリーとセカンダリーの2つの市場が存在します。
上場基準
ここでメインボードとカタリストの上場条件の違いについて確認しておきます。知らなくても問題はないので、読み飛ばしてもらっても構いませんよ!
メインボード(1部) | カタリスト(1部) | |
審査機関 | シンガポール証券取引所 | 認定スポンサー |
利益基準 | 直近3年間の累計が750万シンガポールドル+各年100万シンガポールドル | なし(認定スポンサーの判断) |
時価総額 | 8000万シンガポールドル | 同上 |
株主数 | 500人以上 | 200人以上 |
もちろん、これ以外にいくつかの共通上場条件があります。
- 時価総額が3億シンガポールドル未満の場合は、株式の25%が500人以上の株主に分配されていること
- 時価総額が3億シンガポールドル以上の場合は、株式の12%~20%が500人以上の株主に分配されていること
- 会計基準は、シンガポール株式市場会計基準OR国際会計基準OR米国会計基準のいずれかであること
- 取締役のうち最低2人はシンガポール在住であること
シンガポール株式市場の見通し
シンガポール証券取引所はその地理から、ASEAN諸国やインドなどとの通商航路としての期待が高まっています。
ですので、これから先、東南アジア・ASEAN諸国・インドに販路を拡大したい、多くの海外企業がシンガポール証券取引所に上場する可能性が大いにあります。
しかもシンガポール証券取引所は外国企業の誘致を積極的に行っており、公用語が英語とだけあって、アメリカなどの企業が上場するのは難しくないように思われます。
しかし、メインボードの1部に上場するためには、シンガポール証券取引所の規則にのっとり監査などを行わなくてはなりません。つまり、自国の法律とは異なる手続きを行わなければならないなどとやや煩雑なので、ここに上場している日本の企業はありません。
ちなみに日本の企業、野村ホールディングスやトーセイ株式会社、が上場しているのはシンガポール証券取引所の規則にのっとる必要のない2部です。
マレーシア株式市場の特徴
ここからはマレーシア証券取引所について見ていきましょう。
マレーシアってどんな国?
マレーシアの国土は日本の国土より少し小さく、約33万㎢で、人口は約3200万人で日本の人口は1,2億人程度なので人口密度は低い国であるということがいえますね。
民族はシンガポールに似て、マレー系・中国系・インド系が住んでいます。一番多い民族はマレー系です。
言語はマレー語に加え、中国語・英語が堪能な国です。
クアラルンプール行きの格安航空ができたため、近年日本人の渡航が増えているらしいですね。
マレーシア証券取引所とは?
マレーシア株式市場の中心となるのはマレーシア証券取引所です。設立は1964年で所在地はクアラルンプール。市場はメインマーケットとACEマーケットの2つで、現在(2018年)上場している企業の合計は901社です。
日本やシンガポールの証券所では、2つの市場がある場合、片方は新興企業向けの市場でしたが、マレーシア証券取引所ではどちらも全企業向けに作られているようです。
取引時間は現地時間9時から17時(日本時間では10時から18時)で、取引通貨は証券会社によって日本円またはマレーシアンギットから選べるようです。
上場基準
ここでもメインマーケットとACEマーケットの上場基準の違いを確認していきます。*飛ばしていただいても結構ですよ♪
メインマーケット | ACEマーケット | |
利益基準 | ①直近3年から5年の純利益が20万マレーシアギット以上であること ②直近一年間の純利益が最低6万マレーシアギット以上であること | 要件なし |
流通株式 | ①流通株式数 25%以上 ②最低でも1000人の株主が各々100株以上を保有している | ①流通株式数 25%以上 ②最低でも200人以上の株主が各々100株以上を保有している |
時価総額 | ①最低でも500万マレーシアギット以上 ②直近一年間の営業利益を組み入れた資料を生成すること | 要件なし |
スポンサーの有無 | 無し | ①スポンサーが上場適性を判断する ②上場後3年はスポンサーによるサポートを要する |
事業継続年数 | 同一経営陣による3年以上の経営 (3年未満の場合は時価総額テストを実施) | 同左 (ただし3年以内の場合は、同一経営陣による上場時点までの経営) |
マレーシア証券取引所の見通し
マレーシア政府は最近、経済の活性化に力を入れています。
従来力を入れて取り組んできた工業以外の観光業などに焦点をあて始めたおかげで、第三次産業が伸び、マレーシア経済が追い風を受けています。
シンガポール同様、マレーシアは英語や中国語が得意な国であるので、外国企業も上場しやすいのではないでしょうか?
近年、ASEAN諸国には追い風が吹いているので、マレーシア証券取引所も今後さらに栄えていくことが期待できそうですね。
シンガポールとマレーシアの株価(2018年11月16日現在)
シンガポールの株価は3083.68円なのに対してマレーシアの株価は1705.87円となっていました。(ちなみに日本は21,730.60円でした)
赤丸で囲ってある部分は、ここ一年間の株価の変動を表していますが、どちらも昨年12月から今年の6月にかけて株価が上がっていましたが、現在はやや下降気味であるといえます。
ただどちらも前日と比べると上がっていることがわかります。
シンガポール証券取引所とマレーシア証券取引所のまとめ
最後に2つの取引所の要点を下の表で確認しましょう。
シンガポール証券取引所 | マレーシア証券取引所 | |
設立 | 1999年 | 1964年 |
上場企業数 | 746社 | 901社 |
時価総額 | 合計81兆円 | 合計約50兆円 |
市場 | メインボード(プライマリーとセカンダリー) カタリスト | メインマーケット ACEマーケット |
取引時間 | 9:00~17:00(日本時間10:00~18:00) | 同左 |
最後に
いかがでしたでしょうか?今回はASEAN株式のうちの2つ、シンガポール証券取引所とマレーシア証券取引所について解説していきました。
シンガポールもマレーシアも日本の株価と比較すると、まだまだ低いですがこれからに期待したいですね。