世帯年収の平均は550万!?ライフプランと一緒に考える今後の生き方

突然ですが、皆さんは”世帯年収”について考えたことがありますか?大学を卒業し、至って普通のサラリーマンとして働いてきた時の私は、正直あまり意識をしたことがありませんでした。しかし会社を辞め、専業の在宅ライターとして活動するようになってから、生活にかかるお金、税金など公的なお金について意識するようになりました。

今回は、人間らしい豊かな生活を送るために切っても切り離せない”世帯年収”の平均値や中央値に着目して、お話をしていきます。

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世帯年収について

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豊かな生活を送る上で、気になってくるのが”お金の問題”です。生活する上で、何かしら必要になってくるお金の存在を考える中で、よくキーワードとして登場するのが”世帯年収”です。まず”世帯年収”とは何か、ご紹介していきます。

世帯年収とは

世帯年収というのは、端的に説明すると1世帯全員の総支給額を指します。税金や社会保険税等々公的にかかるお金を引く前の金額を指します。

例えば子供を含めた4人家族の中で、働いている人が1人の場合の”世帯年収”はどうなるのでしょうか。世帯年収は”その人1人の総額=4人家族の世帯年収”という認識となります。私達夫婦の場合、子供がおらず、2人で働いていますが、私達の”世帯年収”は2人分の総額、ということになります。

”世帯年収”が税金などを差し引く前の金額である理由ですが、税金の額や差し引かれる金額が人それぞれ違うことが挙げられます。収入の高低を把握するためには、差し引く前の金額である”世帯年収”が重要となってくる訳です。

手取りとの違い

世帯年収についてよく問われるのが”手取りとの違い”です。手取り、手取り金額というのは、その名前にもある通り、給与として支払われた金額(交通費なども含む)から税金や社会保険が差し引かれ、手元に残る金額のことを指します。

 

年収は?と聞かれた時には

追記しておくと「手取り=年収」ではないんですよね。例えば「年収はいくらか」という質問に対して、自分の口座に振り込まれているお給料を計算する人がいるのですが、これはあくまで”手取り”金額なんですよね。

なので年収は、税金や控除で差し引かれる前の収入の1年分の合算と、賞与で得られた金額の合算が年収、ということになります。

より正しい年収を確認する場合には、年に1回勤め先から発行される「給与所得の源泉徴収票」を確認しましょう。企業勤めであれば、受け取ることができるでしょう。退職した場合にも、忘れずに受け取りましょう。

この源泉徴収票の「支払い金額」に記載されている項目が”年収”となります。「額面」と呼ばれる場合もありますね。ここに記載されている金額は、先にも説明している公的に差し引かれる金額等々が引かれる前の金額です。

参考文献:「年収」と「手取り」の違いをご存知ですか?源泉徴収票の読み方を理解して、自分のお給料のことを知ろう!

世帯年収の平均は?

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昨今のニュースや経済状況の話を見ていると、激しい貧富の差とまではいきませんが、少々お金がある人とない人の差が広まっているように思えます。世帯年収について理解が深まったところで、気になる世帯年収の平均について調べてみました。世帯年収の平均を知り、今後の生活のために、お金に対する考え方を深めていきましょう。

平均はどのくらい?

少々情報が古いのですが、平成22年国民生活基礎調査の概況というもので、世帯年収について厚生労働省による調査が行われています。そこで出されている全国全ての世帯年収平均は549.6万円とされています。相対的な分布を見ていきましょう。

  • 100万円~150万円 約6.3%
  • 300万円~350万円 約6.6%
  • 350万円~400万円 約6.5%
  • 400万円~500万円 約6.0%
  • 600万円~700万円 約7.5%
  • 900万円~1,000万円 約3.7%

ちなみに世帯1人あたりの平均年収は約207万円と言われています。世帯別に世帯年収平均を確認すると、

  • 29歳以下の世帯平均 約301万円
  • 30代の世帯平均 約551万円
  • 40代の世帯平均 約678万円
  • 50代の世帯平均 約731万円
  • 60代の世帯平均 約540万円
  • 70歳以上の世帯平均 約406万円

となっています。

参考文献:平成22年度国民生活基礎調査の概況 世帯別所得の状況

平均的な暮らしを送るためには

世帯年収の平均について調べていたところ、日本の首都である東京都において、東京都民が送っている平均的な暮らしを送るためには、どれほどの年収が必要になってくるのかをテーマに、レポートを行っているブログがありました。

そのブログで東京都に特化した理由については、日本全体の平均値で考えると、都道府県という地域差が生じてしまい、世帯年収の平均値と実際の生活への影響の参考にならないと考えたからとありました。

東京都において、他の都道府県と比較して少々高額であると考えられる、生活費、住宅費、教材費について着目していきます。

生活費の高さが際立つ

ここで紹介されていた生活費の定義ですが、食費や水道光熱費、医療費や通信費、娯楽費や雑費などの出費が挙げられています。ここで挙げられる出費の平均値によると、東京都民がかけている平均的な生活費の額は約27万円であることが分かっています。この金額は他の都道府県と比べて、全国で最も高い金額となっています。

住宅費については

東京都の持ち家比率は約46%であると言われています。およそ半分というところを考えると、住宅を購入すべきか賃貸生活を送るべきか迷いますね・・・。ちなみに東京都の家賃相場は、

  • 2LDK/3K/3DK…15万円
  • 1LDK/2K/2DK…12万4900円

と言われています。私は東京都生まれ東京都育ちではありますが、生まれ育った場所は東京都でもかなり西側に位置する自然豊かな地域でした。東京都の田舎育ちの私からしても、東京都の家賃相場はかなり驚きの価格帯だと考えています。

住宅購入、賃貸生活、どちらを選んでも、東京都での生活には平均して12〜15万円の住宅費が生じると考えてもいいでしょう。

参考文献:統計局ホームページ/統計トピックスNo.86 統計からみた我が国の住宅

教育費については

加えて子供の教育費についてです。東京都内で暮らしていく場合、高校から私立を検討することが一般的と言われています。教育費にかける費用は、他の地域よりもインフレ化していると言われていますし、実際私の知り合いには、幼稚園から私立に通わせている家族もいます。その家族はやはり教育費を最重要視しているとのことです。

 

東京都で暮らしていくのは大変?!

生活費、住宅費、教育費にかける金額が少々高めな東京都ですから、東京都で豊かに暮らしていくのは少々大変だと言われています。今回ご紹介したブログで記載されていた内容で最も驚愕したのは、世帯年収750万円の家族ですら、東京都の平均的な暮らしを実行しようとすると破綻する可能性があるということです。

全国の世帯年収平均が約500万円であるのに、東京都で暮らそうとすると、その平均に200万円上乗せしているにも関わらず破綻の可能性が浮上するんですよ!?恐ろしいですよね・・・。

ちなみに世帯年収800万円でも、ギリギリと考えられています。850万円でようやっと東京都の平均的なレベルで生活できるとのシミュレーション結果でした。なかなか酷だな・・・と私は感じるのですが、皆さんはいかがですか?

参考文献:東京で、平均的な暮らしを実現するために必要な年収をレポート

世帯年収の中央値は

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先に紹介した世帯年収の平均値でも分かると思いますが、全国的に見た世帯年収平均値であっても、生活が苦しくなる可能性というのは十分あり得る話です。厚生労働省が発表した2015年7月の調査結果によれば、これでも平均年収は前年と比べて2.5%アップ、3年ぶりの増加と言われていました。

しかし生活が苦しいと感じている世帯は、全体の60.3%を占めているとも言われています。平均値がアップしているにも関わらず、生活が苦しいと感じる世帯が多いところには、どのようなからくりがあるのでしょうか。

平均値と中央値のからくりを知ろう

厚生労働省によるこの調査によると、例えば平均値では年代別の世帯年収平均値を挙げましたが、世帯の構造自体にも差がありますよね。子供がいる世帯、高齢者世帯、単身世帯といった見方をしていくと、このからくりが簡単に理解できます。

例えば子供がいる世帯がこの調査時には全体の23.5%を占めていました。全世帯の平均年収というのは、高齢者世帯や単身世帯といった、世帯収入の少ない層の増加により、額が下がっている傾向にあるのですが、子供のいる世帯をピックアップしてみてみると、高額所得者の存在により、平均は押し上げられますよね。

平均というのも非常に曖昧なもので、平均を求める全体の設定や、一部の高額所得者の存在によって、額の上下動は激しくなります。そこで注目すべきが”中央値”なのです。平均値と違い、中央値は全体のちょうど真ん中に当たる額を指します。世帯数はその上下に同じ数だけ設定されます。

中央値は、平均値よりもグッと低い数値で表されているのが現状です。

”平均年収”では安心できない実情

加えてどんなに世帯年収が高い場合でも、実際に受け取れる”手取り”とは別物な訳ですから、今後”平均年収”がどんなに上がったとしても、生活が安心して送れるとは限りません。

例えば、昨今よく謳われているのが社会保険料の増額です。社会保険料は年々上昇傾向にありますから、仮に月給が45万円だったとしてもどんどん上昇する公的な差し引き額によって、手取りがどんどん減っていくのではないかという不安もあります。

教育費に注目

加えてよく話題に挙げられるのが教育費です。日本では、子供に十分な教育を受けさせたいのであれば、家計から多くの出費が必要になります。家計の負担が理由で、子供に思うような教育を受けさせられず悩む方も少なくないでしょう。

今回”平均値”で話題にあげた東京都においては、高校のみならず、中学から私立に進学する子供が増えている傾向にあると言います。また受験や勉学によりいっそう励むために熟へ通い始める子供も少なくないでしょう。

マネープランを立てよう

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世帯年収にまつわるお話をする中で、皆さんを不安に落とし入れてしまったかもしれません。しかし現実を憂うだけでは何も変わりません。現状を打破するためには、お金を利用するための優先順位を決め、資金計画をすることが重要だと考えています。

特にマネープランは、生活する上で必要不可欠なお金と向き合う上では重要な計画とも言えます。ライフプランと呼ばれる生き甲斐や結婚観を表すプランも、もちろん生きていく上では大切な計画ですが、より現実味の強いお金に関する生活設計も、今のうちから組み立てていきましょう。

ライフプランを立ててみよう

まずマネープランの基盤とするために、ライフプランを立ててみましょう。計画したものが全て予定通りに進むとは限りませんが、将来待っているであろうライフイベントについて書き出すことは、今後かかるであろうお金を予測する上で重要になってきます。

ライフプランのみなら、夢や希望を書き出すだけで構いませんが、その後のマネープランにつなげるのであれば、出来る限り具体的な予定の書き込みをおすすめします。特にマネープランとして金額を記載する場合には、そのライフイベントに最低でもかかるであろう金額を予めしっかりかき込んでおくことで、不安の解消につながると考えています。

お子さんがいる家庭では、子供の進学時期なども計画内に書き出しておきましょう。

ライフプランの例

例えばの例ですが、結婚にかかる費用として約400万円かかると言われています。私達の場合は、結婚式に大勢の親族を呼んだこともあり、実際にはもっとかかりましたが、この費用を覚悟していたおかげで、貯金の目安にはなりました。

加えて女性のライフイベントとしてよく挙げられる出産費用には約60万円近く、住宅購入費は土地付きの注文住宅で約3700万円と言われています。教育費については、幼稚園から大学まで全て公立の場合には約800万円、全て私立の場合には約2000万円と言われています。

理想と現実のバランスを見て考える

プランを立てる上で、理想と現実のバランスを見て考えるようにしましょう。

例えば、注文住宅を購入しようと考えている時期と車の買い替え時期が重なりそうな場合には、どうしても同時期に多額の出費は厳しいと思いますから、どちらを優先すべきか、現実的に支払いが可能なのはどちらかを考えて、購入時期をずらす等の計画を立てることをおすすめします。

また自身が病気やケガで働けなくなる、リストラや会社の倒産といった起きてほしくない事態によって働けなくなることも考えて、リスク回避のための貯蓄を蓄える必要もあると言えるでしょう。

とはいえ現実味のある計画ばかり立てていては、つらくなってしまう場合もあります。私の場合、現実に目を向けすぎて先行き不安になる性格なので、もう少し理想も抱いた方がいいな、と思っています笑。楽しみを全て制限して、今が苦しくなってしまうのも、ある意味本末転倒な気がしますから、程よいバランスで計画を立てることをオススメします。

資産と負債の確認を

理想と現実のバランスを確認した上で、立てた計画を実行するために必要不可欠なのが、資産と負債を確認することです。例えば銀行預金や自分の家、自動車などは「資産」と当たります。一方住宅ローンやカードローン、クレジットカードの未払い金などは「負債」に当たります。

資産から負債を引くと、自分が本当に所有している財産額が分かります。しかし負債が多い状態は、マネープランを立てたところで、まずは負債をなくすことが目標になります。資産と負債を改めて確認し、計画立てたマネープランが順調に実行できるよう、準備をすることも大切です。

参考文献:今年こそマネープランを立ててみよう

世帯年収300万円未満の生き抜き方

世帯年収が300万円未満の人も、現実には少なくありません。特に30歳未満の若年層において、2人以上の世帯の場合には、その割合が1994年に約10%だったのに対し、2006年には約20%とほぼ倍増しています。世帯年収300万円未満の方が決して少なくない現状、どのように生き抜けば良いのでしょうか。

自己投資と節約のバランスを

若年層の世帯年収が300万円未満という現状は、決して少なくありませんが、だからと言って節約ばかりに力を入れるのは、豊かな生き方を送る上で少々苦しいのでは?と考えています。

節約ももちろん大切です。でも世帯年収300万円未満を生き抜く上で、出費そのものを見直すよりは、「日々の生活で何気なくお金を使っている習慣」そのものを見直すことが重要だと考えています。何気なくお金を使っているという行動を見直し、お金をかけずに生活するアイディアを駆使することで、結果的に出費を抑えることができると考えています。

もちろん全てを倹約するのは精神的に苦しいこともあると思うので、出費するものの優先順位を自分でしっかり設ける事をおすすめします。例えば私の場合、お酒を飲むことが好きなので、夫と2人の外食は土日だけと制限を設けているものの、食べたいものを食べるように意識しています。ただ衣類や化粧品費に関しては、シンプルな着回し等で満足できているので、ほとんど出費していません。

また日々の生活の中で出費する際には、「ほしい・ほしくない」ではなく「必要か否か」を基準に出費するように意識しています。その価値基準でお金の利用法を考えていくと、本当に必要なもののために節約すべきものを明確に把握できる上、どうしたら収入が増えるかを考えるようにもなりました。

加えて収入のうち5〜10%程度は「自己投資」に使いたいですね。いくら世帯年収が300万円未満とはいえ、自分のための投資はやはり経験しておくべきだと考えています。自分のために捻出することで、お金を払う「覚悟」を身につけることにもつながると言います。

参考文献:若年層が世帯年収300万円未満を生き抜く術

老後の不安を解消するために

考えるべき内容として忘れてはならないのは「老後」の生活費です。正直定年退職を迎えた後、どのくらい年金を受け取ることができるのか不透明な昨今、老後資金のシミュレーションを行っておく事は、働けなくなった後の生活を豊かに過ごすためには必要不可欠です。

今までであれば定年後の生活は、家の支払いも、子供を育て上げることも終わり、ホッとできる生活が送れるはずでした。しかし現状は、「破産」など貧困生活へ突入してしまった方も少なくないと言います。

老後資金のシミュレーションでは、2050年時点で予測されている平均寿命、男性93歳・女性98歳をベースに考え、その中間年齢である95歳をベースに考えられています。ここで持ち家を前提に、総務省の家計調査の結果より、夫婦で無職である世帯の1ヶ月支出が約28万円のため、定年から95歳までの約30年で総額は1億80万円となります。

総額で考えるとなかなかの額ですよね。加えて介護費や老体を労ってのリフォーム代などでお金がかかることを考えると、600万円ほど上乗せされるとも考えられています。旅行や趣味などにお金をかける「ゆとりある生活」を送るのであれば、約28万円では足りません。ゆとりある生活のための費用では月35万円は必要とされています。同様に総額を計算すると。1億3200万円となります。

年金の話

年金は、職業によって受け取れる額は変わります。厚生年金と基礎年金では受け取れる金額が変わってきます。夫婦の片方が厚生年金と基礎年金、片方が基礎年金の場合には、世帯で月22万円が受け取れると言われています。が、これは正直現段階で算出されている金額です。今後受け取れる額が万が一1割減となれば、30年で7920万円受け取れるはずだった金額は、7128万円と減少します。

上記で紹介した生活様式には絶妙に足りていません。退職金などが受け取れるのでは?と考える方もいると思いますが、企業毎に異なる金額設定である上、ローン返済費に当ててしまう場合も考えると、シミュレーションの段階で頼りに出来るお金ではないということが分かります。

実践するのは非常に難しいのではないかと考えていますが、今を楽しみながら将来に備えなければならない時代となってしまったと思っています。今現在私の家庭は、世帯年収が有り難いことに平均値である約500万円の世帯ではありますが、確かに起こりうるライフイベントから考えると圧倒的に足りていません。

理想と現実のバランスだけでなく、生きている”今”を楽しみながら、長生きした”未来”の蓄えを考える必要もある、そんな局面に私達は立たされているのだな、と思っています。

参考文献:会社員の老後資金、持ち家なら65歳で3500万円

まとめ

”世帯年収”は、手取りとは違い、公的に差し引かれる金額などが差し引かれる前の総額のことを指します。しかし世帯年収の平均値である500万円であっても、出費が少々高めに設定されている東京都では、生活が苦しく感じるという現状もあります。

そこで、起こりうるライフイベントをある程度計画した上で、マネープランを計画することをおすすめします。計画した全てのイベントが計画通りに進む確証はありませんが、事前計画を立てておくことで、不測の事態にもお金をまわすことができるのではないかと考えています。

世帯年収の額を把握するだけでは安心できない世の中です。計画的にお金と付き合っていきましょう。