2017年は仮想通貨元年とも呼ばれ、特にビットコイン(BTC)の価格が急上昇したことは記憶に新しいと思います。
しかし、一時1BTC=223万円(2017年12月17日)を記録しましたがその後暴落し、現在は1BTC=70万円台あたりに落ち着いています。
果たして、仮想通貨バブルはもう終了してしまったのでしょうか?
今回は、仮想通貨業界の将来性について解説していきたいと思います。
なぜ仮想通貨は突然人気がでたのか
今後の展望を考える前に、なぜ日本で仮想通貨は突然人気がでるようになったのか考えていきましょう。
そもそも、人類初の仮想通貨であるビットコインは2009年に誕生しました。
実際に商取引が行われたのは2010年なので、7年の時を経て世界でブームを巻き起こしたということになります。
大きく考えられる理由として以下のものが挙げられます。
- 仮想通貨関連の法整備が進んだ
- 決済対応店舗の増加
- 大手メガバンクの参入
- 大手企業の参入
実際にどのような出来事があったのか、詳しく解説していきます!
仮想通貨関連の法整備が進んだ
社会に仮想通貨が受け入れられていることを踏まえ、2017年4月に資金決済に関する法律(資金決済法)が改正され新たに仮想通貨に関する記述がされるようになりました。
この法改正により、新たに「仮想通貨法」と呼ばれる法律が制定されそれまで不透明であった仮想通貨に対する法整備が進んだのです。
実体のよく分からないモノとして考えられていた仮想通貨が、正式に「現金・クレジットカード」に並ぶ公的な決済手段として認められことは大きな成果といってよいでしょう。
また同時に、安全に取引を行うために国内取引所は国の登録が必要となりました。
このように国がさまざまな点で法整備を進めた結果、仮想通貨に対する信頼性がさらに大きくなったのです。
決済対応店舗の増加
仮想通貨と電子マネーはキャッシュレスという点で同じ役割を果たしますが、電子マネーとは違い仮想通貨への理解はなかなか進まず一般的には受け入れられてきませんでした。
しかし、2017年を境に仮想通貨も電子マネーと同様キャッシュレスな決済方法として徐々に受け入れられています。
2017年6月には日本経済新聞社がビットコイン決済対応店舗がどれほど増加しているのか報じています。
このように、今まで実体がよく分からないモノとされていた仮想通貨が社会的に受け入れられたことは大きな要因の一つといえるでしょう。
大手メガバンクの参入
仮想通貨が大きな広がりをみせるなか、日本のメガバンクである三菱UFJ銀行が自社開発の仮想通貨「MUFGコイン」を発行する考えを明らかにしました。
World’s Fourth Largest Bank is Testing its Own Cryptocurrency
MUFGコインは仮想通貨の特性を活かしレストランやコンビニなどに限らず、あらゆる商品やサービスの購入、口座から口座へのスムーズな移動を目的としています。
さらに、みずほ・ゆうちょ・地銀から構成される連合で「Jコイン(仮称)」を発行する構想が打ち出されています。
このように、大手メガバンクの参入は仮想通貨に対する信頼性向上に一役買っています。
信頼性の高い大手メガバンクが仮想通貨を発行することは、仮想通貨にマイナスイメージを抱いている層に対して大きなアピールとなりました。
この一連の出来事により、仮想通貨に対する認知度がさらに高まったのではないかと考えられています。
大手企業の参入
先ほど紹介した大手メガバンクの参入と同様に、大手企業の参入も仮想通貨に対するイメージを大きく変える役目を果たしています。
日本で仮想通貨交換業へ届け出済みの取引所は全部で12社ありますが、取引所の中にはDMMやGMOといった大手企業が参入しています。
取引所で仮想通貨を売買する際には、現金を使うので本当に安全なのかどうか心配になりますよね。
実績のある大手企業などが運営しているという点も、信頼性の向上に大きな役目を果たしています。
※ハッキングなどによって仮想通貨が流出する危険性もあるのでその点は留意する必要があります
仮想通貨への認識が改められた
仮想通貨=危ないモノという認識が、さまざまな要因が重なり合ったことで危ないモノから安全モノへと改められました。
さらに、実際に仮想通貨で1億円以上稼いだ人が「億り人」と呼ばれるなど大きな注目を浴びました。
このような経緯があり、日本をはじめ世界では2017年に仮想通貨が大きな盛り上がりをみせたのです。
仮想通貨の今後の動き
なぜ仮想通貨が突然人気になったのか理解できたところで、いよいよメインテーマである将来性について考えていきましょう。
仮想通貨は投機的意味合いが強いですが、本来は投機目的ではなく人々の生活をより良くするために作られています。
なので、今回は投機と生活それぞれの観点から今後の動きを考えていきたいと思います。
仮想通貨の今後の動き(投機編)
仮想通貨バブルも終息し、今後仮想通貨で儲けることは難しいのではないかと考える人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、バブル期に発生していたような「コイン価格が100万倍に上昇」といった現象は今後起きにくいと考えられています。
理由は大きく分けて3つあると考えられています。
- 価格が大きく上がりきっているため
- 参加ユーザーの増加
- 仮想通貨に対する規制が強まっている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
価格が大きく上がりきっているため
人気のある仮想通貨は既に価格が大きく上がりきっています。
例えばビットコインの場合、登場(2009年)から最高値を記録した2017年12月までに140万倍も価値が上昇しています。
一度急激に価格が上がった仮想通貨が今後再び同じように価格を上げると考えるのは難しいでしょう。
参加ユーザーの増加
通貨の参加ユーザーが少なかった時代は、流通している仮想通貨の数も少ないため高値が付きやすい傾向にありました。
参加ユーザーが増加するにつれ、マイニングされる量もどんどんと増えていき少しずつ通貨の価値(希少性)は下落していくと考えられます。
それによって、ビットコインの価格も以前より安定するのでこれまでのような急激な価格の上がり下がりは発生しづらくなると考えて差し支えないでしょう。
仮想通貨アナリストによると、2024年には仮想通貨ユーザーの数は2億人に到達すると予測されています。
Exponential Growth: Number of Bitcoin Users to Reach 200 Million by 2024
ユーザーの増加にはもちろんメリットもあります。
ユーザーが増加することにより業界全体に安定性が生まれ仮想通貨にありがちな価格の暴落が発生しづらくなります。
一方で、当然価格が急上昇する可能性も低くなってしまいます。
仮想通貨に対する規制が強まっている
バブルを境に各国政府は仮想通貨に対してより厳しい規制をかけるようになっています。
仮想通貨の規制が厳しい国としてまず思い浮かぶのが中国ではないでしょうか。
中国は2017年9月に国内におけるICO・仮想通貨取引を禁止し、2018年に入ってからも仮想通貨に関する広告を禁止するなど猛威を振るっています。
日本は世界的にみても仮想通貨に対する規制が緩い国と捉えられていますが、コインチェックのNEM流失事件を皮切りに徐々に規制が強まっています。
大手取引所Coincheckの取引が一時中止、一体何が起こっている?
このように、規制が今後さらに強まると投資家の投資意欲が低下し価格があまり伸びないと考えられます。
以上の理由から、仮想通貨が今後急上昇する可能性は低いと考えられます。
マイナー通貨なら億万長者の可能性も!?
仮想通貨を運用して一気に億万長者になることは難しいと先ほど書きましたが、それは主要通貨(ビットコインやイーサリアムなど)に限ります。
つまり、まだあまり有名ではないマイナー通貨なら一気に価格が上昇する可能性も十分考えられるでしょう。
どのような通貨が今後一気に伸びるのか予測することはかなり難しいです。
だからこそ、仮想通貨には夢とロマンがあるともいえますね。
仮想通貨で一山築きたいと考えている方は、日頃から投資したい通貨に関する情報をキャッチしていきましょう!
仮想通貨の今後の動き(生活編)
現時点で仮想通貨は投機的意味合いが強いですが、本来は人々の生活をより良くするために開発されています。
このように仮想通貨の本来の目的を知らなかったという方もいるのではないでしょうか。
実は、仮想通貨は世界を大きく変える可能性を秘めたモノなのです!
仮想通貨で生活を良くする、なんとなく分かりそうで分かりませんよね…。
そこで、過去にfincleで紹介した仮想通貨に関する記事と併せて仮想通貨がどのように世界を変えていくのか紹介していきたいと思います!
ビットコイン(BTC)
どこよりもわかりやすくビットコインを説明!ブロックチェーンやP2Pなどの仕組みをご紹介!
まず最初にご紹介するのが、仮想通貨の元祖であるビットコイン(BTC)です。
ビットコイン生まれた理由、それは「第三者を必要としない送金システムの確立」にあります。
例えば、日本からアメリカにいる友達にお金を送金したいという場合に皆さんはどうしますか。
一般的には銀行へ行きお金を預けることになると思いますが、その場合には必ず手数料が発生しますよね。
送金する額にもよりますが、仮に50,000円をアメリカに送金する場合には手数料が約10%かかります。
ただお金を送金するだけなのに、仲介が入ることによってプラスで5,000円も払わなければならないのです。
このような事態を解決するためにビットコインは誕生しました。
ビットコインで送金をすれば、手数料は取引所の手数料のみ(0~3%ほど)なので大幅に手数料を削減できます。
と思うかもしれませんが、そんなビットコインにも欠点があります。
その内の一つ「送金スピードがかなり遅い」という問題です。
どれぐらい遅いのかというと、ビットコインの処理速度は7件/秒といわれています。
クレジットカードが4000~6000件/秒だということを踏まえると、どれほど遅いのか理解できるのではないでしょうか。
このように送金スピードが遅くなる問題を「スケーラビリティ問題」といいます。
このスケーラビリティ問題を解決するために生まれたのが、Zilliqa(ジリカ)という仮想通貨です。
Zilliqa(ジリカ)
Zilliqa(ジリカ)とは?特徴や時価総額、取引所などを徹底解説!
スケーラビリティ問題を解決するために生まれたZilliqa(ジリカ)。
2018年に誕生したばかりのZilliqaは、クレジットカード並みの処理速度(4000~6000件/秒)を目指しています!
ビットコインという素晴らしい仮想通貨の欠点を補うために、Zilliqaが助けてあげていると考えると良いでしょう。
今後Zilliqaがクレジットカード並みの処理速度を達成した際には、「海外送金=ビットコインを利用する」が当たり前になる日もそう遠くないかもしれません。
イーサリアム(Ethreaum)
イーサリアム(Ethereum:ETH)とは?特徴や仕組みなど徹底解説!
処理スピードの問題も解決できたことだし、もうこれで問題なし!といいたいところですがまだ欠点があります。
その欠点を解決するのが、イーサリアム(Ethreaum)です。
お金を送金する際には、必ず「〇〇が××に〇万円送金をした。」という契約を証明する必要があります。
しかし、ビットコインは送金をするのみでこの契約を証明する機能がついていません。
せっかく送金を安い手数料で出来るのに、この契約を証明するためにまた仲介が必要となってしまします。
このような問題を解決するのが、イーサリアムの「スマートコントラクト」という機能です。
スマートコントラクトは、送金をした際自動的に「〇〇が××に〇万円送金をした。」という契約内容を記載してくれるのです。
これにより、わざわざ人の手を介さなくても送金できるのでその分のコストがかかりません。
トロン(TRON)
続いて紹介するトロン(TRON)は、先ほどまでの仮想通貨とは一風違います。
トロンは一言で言うと、エンタメ業界を活性化させるために誕生した仮想通貨です。
具体的には、現状の歪な報酬体系をクリエイター目線の報酬体系へ変えようとビジョンを掲げています。
今後採用される報酬体系としては以下の3つが挙げられます。
- クリエイター自身によるICO
- 視聴者が好きな配信者にお金を払う投げ銭システム
- 作品などを発表する代わりに資金調達
また、トロンが採用している分散型プラットフォームを展開することでクリエイターは自由にデータや作品を公開することができるのです。
例えば現在クリエイターにとってYoutubeはとてもアツいプラットフォームです。
ですが、現状クリエイターがYoutubeで収益を上げる場合は動画内で再生される広告を視聴者に観てもらう必要があります。
この仕組みの場合だと動画ではなく広告を観てもらうことが重要になってしまいますよね。
本来であればコンテンツが重視されるべきところが、広告を観てもらうことが目的となってしまうのです。
そのような歪みを改善するために、トロンが今後活用されていきます。
おわりに ― 仮想通貨は世界を変える?
今回は仮想通貨が今後どのような発展をみせるのか投機と生活の観点から考えてみました。
本来仮想通貨は、投機目的ではなく人々の生活をより良くするために誕生しました。
しかし、仮想通貨は現状まだ投機目的として利用されておりこの状況はしばらく続くでしょう。
いずれにせよ、最終的に仮想通貨は投機ではなく社会的利益をもたらすモノとして世界を変えることは間違いありません。
そのような点からみれば、仮想通貨の未来は明るいといって差し支えないでしょう。
投機目的以外にも仮想通貨がどのような役目を果たすのか注目してみると、より仮想通貨の運用が楽しくなるのではないでしょうか。
仮に仮想通貨を投機目的で使うにしても、「世の中にどれだけのインパクトを与えるか」という点を重視して投資するとイイかもしれませんね!