金融庁から業務停止や業務改善を受けた仮想通貨取引所とその内容を詳しく解説!

2018年3月8日に、金融庁が仮想通貨交換業(仮想通貨の取引所や販売所等事業を行っている会社)に対し、行政処分を発表いたしました。

本記事ではそちらをいち早く紹介していきたいと思います。

金融庁からの発表内容

2018年3月8日の午前中に、金融庁から仮想通貨の交換業を行っている7社に対して一斉に行政処分をする発表が行われました。

この発表により行政処分を受けることになった会社は下記です。

  • テックビューロ(≒Zaif)
  • GMOコイン
  • バイク理メンツ
  • ミスターエクスチェンジ
  • コインチェック
  • FSHO(≒HIGHSPEED EXCHANGE)
  • ビットステーション

 

え!?じゃあこの会社が運営する取引所で仮想通貨を持っている人は危ないの!?

と思われる方も多いかと思いますが、焦らないようにしましょう。行政処分といっても、業務改善命令業務停止命令の2種類があり、会社が倒産するなどといったことではありません。

でも、業務停止命令が出された企業の方は倒産するんじゃ・・・?

こちらについても、安心こそできませんが、金融庁から提示された一定期間のみの業務停止であり、またその期間中に金融庁からだされる業務改善命令への措置を行うことを一定期間以内に提示できれば問題はありません。

とはいえ、今回の内容からするとかなり短い期間で業務改善を行わなければいけないのでリスクはあります。

では、業務改善命令と業務停止命令の簡単な説明と、それぞれの企業がどちらの処分となったのか説明していきます。

業務停止命令と業務改善命令の両方を受けた取引所は?

今回業務停止命令を受けた企業は、FSHOとビットステーションの2社です。

どちらも2018年3月8日から4月7日までの間、仮想通貨交換業に関連するすべての業務を停止する必要があり、また金融庁から提示された業務改善命令に対して2018年3月22日までに今後どういった措置をとっていくかの内容を書面にて提出する必要があります。

では、各会社が提示された業務改善命令の内容を詳しく見てみましょう。

FSHOに提示された業務改善命令

(1) 業務停止命令
平成30年3月8日から平成30年4月7日までの間、仮想通貨交換業に係る全ての業務を停止(仮想通貨の交換等に関し利用者に対して負担する債務の履行等を除く)
(2) 業務改善命令
適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
  1.  これまでの取引に関する取引時確認の実施及び疑わしい取引の届出の実行
  2.  上記i.を確実に行うための態勢構築
  3.  利用者情報の安全管理を図るための態勢構築
  4.  法定帳簿の記載の適切な実施のための態勢構築
上記i.からiv.までの事項について、講じた措置の内容を平成30年3月22日までに書面で提出
これを受けて、FSHO社からは下記リリースが報告されています。

今回の命令を踏まえ、業務体制の整備改善を行うにあたり、2018年3月8日(木)~2018年4月7日(土)の期間、仮想通貨業務のサービスを一時停止させていただきます。

今後新着等御座いました際には、弊社HPに随時UPして参ります。

期間中、皆様には何かとご不便をお掛け致しますが、

これまで同様変わらぬご愛顧を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

ビットステーションに提示された業務改善命令

1)業務停止命令
平成30年3月8日から平成30年4月7日までの間、仮想通貨交換業に係る全ての業務を停止(利用者財産の返還のための業務等を除く)
(2)業務改善命令
適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
1)利用者財産の残高確認・照合等を適切に実施するための態勢整備
2)利用者財産の移動及び処分を適切に実施するための態勢整備
3)利用者財産を適切に管理するための態勢整備
上記1)から3)の対応・実施状況について、講じた措置の内容を平成30年3月22日までに、書面で提出
現在この業務停止命令と業務改善命令を受けてビットステーション株式会社からの報告などは提示されておりません。
ちなみに、同社の経営企画部長により、ユーザーから預かった仮想通貨を私的に流用されていたことも報じられており、その方は懲戒解雇される方針とのことです。
ビットステーション株式会社へのリンクはこちら

業務改善命令のみを受けた取引所は?

こちらは、業務停止命令と異なり会社の事業停止などを行う必要はないですが、提示された業務改善命令に対して2018年3月22日までに今後どういった措置をとっていくかの内容を書面にて提出する必要があります。

コインチェックに提示された業務改善命令

(1) 適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応

  1.  経営体制の抜本的な見直し
  2.  経営戦略を見直し、顧客保護を徹底
  3.  取締役会による各種態勢の整備
  4.  取り扱う仮想通貨について、各種リスクの洗出し
  5.  マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る対策
  6.  現在停止中の取引再開及び新規顧客のアカウント開設に先立ち、各種態勢の抜本的な見直し、実効性の確保
    (2) 顧客との取引及び顧客に対する補償に関し、当局に対し適切な報告
    (3) 上記(1)に関する業務改善計画を平成30年3月22日までに、書面で提出
    (4) 業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに、書面で報告

出所:関東財務局『コインチェック株式会社に対する行政処分について』

コインチェックの改善命令内容については、他社に比べて1月に起きたネムのハッキング事件のこともあり、運営に関して事細かな支持が出されていたり、事件により被害を受けている顧客(ユーザー)に対して、今後どのような補償を行っていくかをしっかりと説明する必要があるようです。

また、これに対してコインチェック社からも下記報告が出されています。

コインチェック株式会社は、このほど発生した不正アクセスによる仮想通貨NEMの不正送金に関連し、本日、金融庁から資金決済に関する法律第63条の16に基づく業務改善命令を受けました。

当社では、今回の措置を厳粛かつ真摯に受け止め、深く反省するとともに、顧客保護の観点から、適正かつ確実な業務運営を確保するため、内部管理態勢及び経営管理態勢等を抜本的に見直し、顧客保護を徹底した経営戦略の見直し等を進めていく所存です。

改めまして、お客様をはじめとする関係者の皆様に、多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。また、今後、策定する改善策を着実に実施することにより、お客様の信頼回復に向け、最善の努力をしてまいります。

出所:コインチェック『当社に対する金融庁の業務改善命令について』

テックビューロに提示された業務改善命令

適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
(1)実効性あるシステムリスク管理態勢の構築
(2)適切に顧客対応するための態勢の構築
(3)上記(1)及び(2)に関する業務改善計画を、平成30年3月22日まで
に書面で提出
(4)上記(3)の業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況
を翌月10日までに書面で報告

出所:近畿財務局『テックビューロ株式会社に対する行政処分』

テックビューロは、『Zaif』と呼ばれる取引所を運営しており、こちらは金融庁からの仮想通貨交換業者として正式に登録されています。

今回の業務改善では、おもに今後起こりうるリスクに対する管理や運営体制を提示する必要があるようです。

これを受けて、テックビューロ社からの報告はこちら。

弊社では、事態を真摯に受け止め、深く反省するとともに、経営者ならびに従業員一同、実効性あるシステムリスク管理態勢の構築、適切な顧客対応態勢の実現に努め、更なるサービス向上を図る所存でございます。

最後になりましたが、平素から弊社をご利用いただいているお客さま、設立当初から応援いただいている関係者さまには多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。
今後、改善策を全社一丸となって実施し、お客さまの信頼回復に努めてまいりますので何卒よろしくお願い致します。

出所:テックビューロ『近畿財務局からの業務改善命令について』

GMOコインに提示された業務改善命令

適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
(1) 業容の拡大等実態に応じた実効性あるシステムリスク管理態勢の構築
(2) 上記(1)に関する業務改善計画を、平成30年3月22日までに書面で提出
(3) 上記(2)の業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに書面で報告

出所:関東財務局『GMOコイン株式会社に対する行政処分について』

GMOコインもテックビューロ同様に、金融庁から仮想通貨交換業者として正式に登録されており、改善内容もほぼテックビューロとおなじく、リスクに対する管理体制の説明となっております。

これを受けてGMOコインからの報告はこちら

日頃よりご愛顧いただいているお客様、ならびに関係者の皆様にご心配をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。

今回の業務改善命令によるお客様のサービスご利用への影響は一切ございません。
お客様におかれましては、日本円の入出金、仮想通貨の預入・送付、仮想通貨取引を含む全ての機能に関して、通常通りサービスをご利用いただけます。

出所:GMOコイン『当社に対する関東財務局の業務改善命令について』

他社と異なり、しかりとサービス利用においては一切影響がないことを報告しているのが印象的です。

バイクリメンツに提示された業務改善命令

適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
(1) 経営管理態勢の構築
(2) マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る管理態勢の構築
(3) 利用者財産の分別管理態勢及び帳簿書類の管理態勢の構築
(4) システムリスク管理態勢の構築
上記(1)から(4)までの事項について、講じた措置の内容を平成30年3月22日までに、書面で報告

出所:関東財務局『バイクリメンツ株式会社に対する行政処分について』

こちらは、未だみなし業者として仮想通貨交換業者の登録はされていない状態です。

これを受けてのバイクリメンツからの報告はこちら。

今回の命令を真摯に受け止め、これを深く反省するとともに、お客様をはじめとする関係
者の皆様に、多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
今後、経営管理態勢の構築、強化を徹底して行い、皆様からのご期待に応えられるよう、
全役職員一丸となって、全力で取り組む所存です。

出所:バイクリメンツ株式会社『当社に対する関東財務局による業務改善命令について 』

ミスターエクスチェンジに提示された業務改善命令

 適正かつ確実な業務運営を確保するための以下の対応
(1)経営管理態勢の構築
(2)利用者財産の分別管理態勢の構築
(3)システムリスク管理態勢の構築
(4)マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る管理態勢の構築
(5)苦情処理管理態勢の構築
上記(1)から(5)までの事項について、講じた措置の内容を平成30年3月22日までに、書面で報告すること。

出所:財務省福岡財務支局『株式会社ミスターエクスチェンジに対する行政処分について(平成30年3月8日)』

こちらも、バイクリメンツ同様みなし業者の一つです。システム的な面だけでなく経営体制や管理体制、苦情が来た際の運営体制などの報告義務があります。

これを受けてのミスターエクスチェンジからの報告はこちら。

弊社では、今回の措置を厳粛かつ真摯に受け止め、深く反省するとともに、経営管理態勢の整備及び強化、利用者様の財産の保護、弊社財産と利用者様の財産の分別管理の徹底、システム及び情報資産に関する実効性のあるリスクマネジメントシステムの整備及び強化、アンチマネーロンダリング及びテロ資金供与に関わる管理態勢の整備及び強化ならびに、利用者様のサポート態勢の整備、利用者様の声を弊社運営へ反映させる態勢の徹底、強化を早急に進めさせていただく所存です。

なお、お客様からのお預かり資産等につきましては、適切な管理を行うとともに今回の指摘を基にし、更なる管理態勢の向上を目指し、お客様の財産の安全を最優先に措置を講じてまいります。

出所:ミスターエクスチェンジ『当社に対する福岡財務支局の業務改善命令について』

まとめ

本記事では、2018年3月8日に金融庁から発表された仮想通貨取引所への業務停止または業務改善命令について詳しく取り上げました。

また、追加で何か情報があった際にはこちらの記事に追記していきたいと思います。