皆さんはアトミックスワップという言葉を聞いたことはありますか?
アトミックスワップとは、第三者(取引所など)を介さずに仮想通貨の取引が可能になる技術です。
一般的に、個人間の取引は通貨の持ち逃げなど不正が横行することから取引所を使うのが当たり前となっています。
しかし、アトミックスワップによってそのような不正もなく個人間で取引を行えるようになるのです。
文面だけ見たらとても不思議な技術ですよね。
今回は、アトミックスワップの特徴や仕組みについて詳しく解説していきます!
目次
アトミックスワップとは?
アトミックスワップとは、先ほども解説した通り第三者を介さずに仮想通貨を他の仮想通貨に交換できる技術です。
例えば、私が持っているビットコインをモナコインと交換したいとしましょう。
従来であれば、交換をする際には真ん中にある取引所を介する必要がありました。
取引所を利用すると手数料が掛かる上に、取引所が倒産やハッキング被害に遭った場合には通貨が消えてしまう恐れがあります。
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↑過去には実際に取引所がハッキングされ甚大な被害が発生しました。
そのような事態を避けるため、アトミックスワップを使い安全に個人間でやり取りを行えるようにします。
アトミックスワップの仕組み
アトミックスワップの仕組みは、専門用語が入り交じるなど理解するのがなかなか難しいです。
そこで今回は、専門的な用語はなるべく省きかつ大枠を理解できるよう解説していきます。
実際に取引をする際にどのような手順を踏むのか、同じくfincle専属ライターのアヤネちゃんと一緒に説明していきます!
この時に、僕はビットコインを送るため暗号が入っているボックスを作ります。
さらにこのボックスをアヤネちゃんが開けるために、アヤネちゃんの署名と暗号もセットで入れます。
同様にアヤネちゃんも僕にモナコインを送るために、暗号が入っているボックスを作ります。
この時の暗号は僕が作った暗号と同じ番号の物を入れる必要があります。
そして、アヤネちゃんがこのボックスを開けられるようにアヤネちゃんの署名と暗号を入れます。
僕がボックスを開けモナコインを取り出した瞬間に、アヤネちゃんにも暗号が送られます。
以上のように2人の取引が同時に行われるため、両者ともに通貨を持ち逃げされるという事態は発生しません。
このような仕組みはすべてブロックチェーンのおかげで成り立っています。
アトミックスワップのメリット
アトミックスワップがどのような特徴を持っているか分かったところで、まずはメリットについて確認していきましょう。
第三者による仲介が必要無い
アトミックスワップ最大のメリットとも言っていいのが、第三者(取引所)による仲介が必要無いという点です。
先ほども説明した通り、取引所を介する必要がないので取引所を介したことによるハッキング・倒産リスクを防ぐことができます。
仲介手数料が不要になる
第三者による仲介が必要ないので、同時に仲介手数料も不要になります。
匿名性が高い
仮想通貨取引所に登録をする際には、住所や氏名などの個人情報はもちろんのこと本人確認書類を提出するケースが多いです。
もちろん、各取引所は利用者の個人情報を厳重に扱っていますが時には個人情報が流出する危険性もあります。
アトミックスワップでは仲介業者を介す必要がないので個人情報も提供する必要が殆どありません。
アトミックスワップのデメリット
アトミックスワップにはメリットがあればもちろんデメリットも存在します。
詳しく確認していきましょう。
送金に時間がかかる
アトミックスワップを使った取引は送金速度が遅く、取引所と比較して大幅な時間がかかります。
例えばビットコインの場合、取引承認を行うためのブロック生成1個につき10分かかるとされています。
さらに完全に取引を終えるまでに6個作成する必要があるので、一つの取引を終えるのに1時間もの時間がかかる計算に。
取引所を利用した場合と比べ取引に時間が掛かるのは大きなデメリットといえそうです。
手数料がかかる
とツッコミを入れたくなるデメリットですね。
取引自体は個人間で行えるものの、取引をするためにはマイナーによる承認が必要になってきます。
そのマイナーに対し手数料を支払う必要があるのと、ビットコインを利用してアトミックスワップを行う場合はスケーラビリティ問題が発生します。
送金速度を少しでも速くしたい場合には、さらに多くの手数料を支払う必要があり手数料が更にかかってしまいます。
限られた通貨間でのみ取引可能
アトミックスワップはすべての通貨間で取引が可能なわけではありません。
取引を行う際には、同じハッシュ関数の通貨間でのみ取引が可能となっています。
アトミックスワップに対応可能な仮想通貨一覧
先ほども解説したとおり、アトミックスワップは全ての通貨で取引可能なわけでは有りません。
ここでは、実際にアトミックスワップ対応が可能な仮想通貨をご紹介します。
ビットコイン(BTC)
ビットコインは2008年にサトシ・ナカモトという方が匿名で発表した論文の検証をするために、2009年オープンソースでの研究がなされ生み出されました。
2010年には、初の取引所が開設され取引が開始されています。
また、アトミックスワップを行っているユーザーの殆どがビットコインを利用しています。
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ライトコイン(LTC)
ライトコインは元Googleエンジニアのチャーリー・リー氏が考案した仮想通貨で、Github上に2011年10月7日にリリースされました。
この通貨はビットコインの仕組みをもとにより流通や取引がしやすいように、また『ビットコインを金とするなら、ライトコインは銀を目指す』という理念のもと開発されました。
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イーサリアム(ETH)
イーサリアムは2013年に当時19歳だったヴィタリック・ブテリン氏によって考案されました。
1000種類以上あるといわれる仮想通貨のなかで、時価総額はビットコインに次ぐ第2位にランクインしています。
現在もビットコインが仮想通貨の主流ではありますが、今後イーサリアムがビットコインを追い抜く可能性も十分高いと考えられています。
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モナコイン(MONA)
モナコインは、ビットコインやリップルと同じ仮想通貨の一種です。
仮想通貨の採掘プールである「2chpool」を運営していたワタナベという方によって2013年に発行されました。
Litecoinと呼ばれるビットコインの欠点を解消した仮想通貨の仕組みをベースとしているため、発行当初はLitecoinと仕組みはほとんど同じものでしたが、バージョンアップが行われたことにより現在は独自の仮想通貨として成り立っています。
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主にこれらの通貨でアトミックスワップが可能となっています!
アトミックスワップの将来性
ここまでアトミックスワップの特徴や対応可能な通貨について解説してきました。
まだまだ課題も多いアトミックスワップですが、個人間で取引可能・セキュリティ性が高いのは大きなメリットです。
今後も開発が進むことは間違いなく、アトミックスワップが当たり前になる日もそう遠くないと考えて良いでしょう。
特にアルトコインの一種であるKomodo(KMD)は分散型取引を行えるプラットフォームを採用しており、取引所を必要としない仮想通貨取引が実現しようとしています。
おわりに
今回はアトミックスワップについて詳しく解説しました!
最後に、アトミックスワップのメリットについて確認していきましょう。
- 第三者による仲介が必要ない
- 仲介手数料が不要になる
- 匿名性が高い
以上のようになっています。
まだまだ仮想通貨業界においてアトミックスワップは馴染みがありませんが、今後アトミックスワップを利用した取引が当たり前になる日も近いかもしれません。
今後ますます注目を集めるであろうアトミックスワップから目が離せませんね!