近年日本では「給料が上がらないけど、物価だけが上昇していて、なかなか貯金ができない」「税金ばかり取られて手元にはほとんどお金が残らない」という人が増えているといわれています。
貯金をしたとしても、金利はほとんどつきません。子どもが生まれたときの資金、旅行に使うお金、老後のための預金…どうやって賄えばいいの?と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
そのような人にとって、とても役立つ制度があるんです。もしかするとニュースで見聞きしたことがあるかもしれませんが『積立NISA』という制度です!
今日は『積立NISA』の仕組みについてわかりやすく解説していきたいと思います。
積立NISAとは?
積立NISAとは、税制優遇を受けながら少額からの積立投資ができる制度です。
日本では、投資から得られた利益には約20%もの税金(所得税+住民税+復興特別所得税)が課されてしまいます。
例えば、投資信託を運用して10万円の利益が出た場合を考えます。この時、約20000円(=10万円×20%)の税金を支払うことになり、実際手元に残るのは8万円程度です。
金額に直して考えてみると、結構大きいのがわかりますよね。積立NISAを利用した場合、この税金がゼロになるのです!
「投資してお金を貯めたい「効率よくお金を貯めたい」という方にはとても画期的な制度かと思います。
一般NISAと積み立てNISAの違いとは?
積立NISAは比較的新しい制度です。積立NISAが登場する前からNISA(以後、一般NISAと呼びます)と呼ばれる制度があったのですが、両者の違いは一体どこにあるのでしょうか?
それぞれの特徴をきちんと理解しておきましょう♪
積立NISAは積立投資のみ可能
一般NISAでは、まとまった金額を一括で投資することも、積立で投資することもできます。
これに対し積立NISAでは、定期的で継続的な方法による積立投資のみが認められています。
例えば購入の頻度は、「毎月」「2ヵ月に1回」「年2回のボーナスのみ」などです。
※金融機関によって、積み立て頻度の選択肢が異なることがあります。事前に確認しておきましょう。
非課税で投資できる期間と上限額が異なる
非課税で投資できる期間は、一般NISAの5年間に対し、積立NISAは20年間となっています。
また、一般NISAの場合、年間120万円までの投資額が非課税となります。
一方で積立NISAは年間40万円です。一般NISAは短期投資向け、積立NISAの方は長期投資向けの制度であるといえます!
投資対象となる金融商品が異なる
一般NISAでは、上場株式、ETF、REIT、投資信託が対象です。
一方で積立NISAは金融庁が「長期」「積立」「分散」投資に適していると判断した投資信託・ETFに限定されています。
それだけ厳しく判断されているんですね!
FincleではETFや投資信託についても詳しく解説しています!是非チェックしてみてください!
投資信託とは?手数料やリスクはあるの?初心者向けに解説します!
まとめ
上記で挙げてきた特徴をまとめると、
一般NISA
- 年間の投資上限額が多く一括で投資ができる
- 投資対象商品が幅広い
という点を踏まえると投資経験者にメリットが大きい制度であると言えるでしょう。
積立NISA
- 年間の投資上限額が小さい
- 非課税期間が長い
- 値動きと上手く付き合うための「長期」「積立」「分散」投資に向いている
ということを踏まえると投資初心者にとって画期的な制度であると言えるでしょう!
また、積立NISAは金融庁が厳選した投資信託・ETFのみ投資対象となっています。
現在販売されている投資信託は約6000本もあるとわれています。投資初心者がその中から自分にあった商品を選ぶのはかなり難易度が高いと考えられます。
この点、積立NISAでは金融庁の厳しい基準をクリアした158本(2018年9月28日現在)に限定されているので、投資初心者も選びやすくなっています。
※積立NISAの対象商品については下記のURLをご参照ください。
(金融庁 つみたて商品の内訳:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/28.pdf)
金融庁が厳選しているとはいえ、利益が出ることを保証しているわけではありません。その点は留意しておいてくださいね!
下記に一般NISAと積立NISAの特徴について簡単にまとめておきました!参考にしてみてください♪
一般NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
利用できる人 | 日本に住む20歳以上なら誰でも | |
新規に投資できる期間 | 10年間 (2014年~2023年) | 20年間 (2018年~2037年) |
非課税となる期間 | 投資した年から最長5年間 (ロールオーバーを利用して最大10年間) | 投資した年から最長20年間 |
年間投資上限額 | 120万円 | 40万円 |
累計非課税投資上限額 | 600万円 | 800万円 |
投資対象商品 | 上場株式(ETF、REIT含む)、投資信託 | 金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETF |
投資方法 | 一括買付、積立 | 定期かつ継続的方法による積立のみ |
資産の引き出し | いつでも引き出せる | |
損益通算、繰越控除 | できない | |
金融機関の変更 | 年単位であれば可能 |
iDeCoと積立NISAは何が違うの?
さて、一般NISAと積立NISAの違いが分かったところで、次はiDeCoと積立NISAの違いについて詳しく見ていきたいと思います!
つみたてNISA(積立NISA)と同じく積立投資を行う非課税制度に、「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」があります。
ここからは、積立NISAとiDeCoの違いについてそれぞれの特徴をおさえながら見ていきましょう!
iDeCoは所得控除あり、NISAはなし
iDeCoは積み立てた掛け金の全額が所得控除され、住民税で10%、所得税で15%~55%も税金が安くなります。一方で積立NISAの場合は、所得控除の適用がありません。
iDeCoは年齢制限有、NISAは無
iDeCoは20歳以上60歳未満なら原則誰でも加入することができます(ただし、国民年金保険料未納の人は加入ができません)。
一方、積立NISAは年齢の上限がありません。60歳以降も長期で積立投資を非課税で行いたい方にとって積立NISAは画期的な制度であると言えるでしょう。
iDeCoは運用資産の引き出し不可、積立NISAは可
iDeCoでは、原則60歳になるまで引き出しができません。一方、つみたてNISAではそういった期間に制限はありませんので、いつでも売却して引き出すことができます。
年間の投資上限額、投資対象商品が異なる
iDeCoは、個人事業主(第1号被保険者)なのか、会社員・公務員(第2号被保険者)なのか、専業主婦・主夫(第3号被保険者)なのか、また勤務先の年金制度によって、投資上限額が異なります。
例えば、公務員の場合は年間14万4000円が上限ですが、個人事業主だと年間81万6000円が上限となります。
一方、積立NISAは誰でも一律、年間40万円が上限額です。
また、投資対象商品についても、iDeCoは「定期預金」「保険」「投資信託」、積立NISAは、金融庁が定めた基準を満たす「投資信託」「ETF」と、それぞれ異なります。
iDeCoの口座開設・維持は有料、積立NISAは無料
iDeCoでは、口座開設時に最低でも2777円(税込)の手数料がかかってしまいます。また、金融機関によって異なりますが、年間で2004円〜7000円程度の維持費(口座開設手数料)までかかってしまいます。
一方でつみたてNISAは、口座開設手数料も口座管理手数料も無料です。
まとめ
さて両者の違いを簡単にまとめましょう。
確定拠出年金iDeCo
- 60歳まで投資が可能
- 途中で掛け金の引き出しができない
- 所得から控除される
という点を踏まえると、老後資金を貯めたい人に向いている制度であるといえます。
積立NISA
- 年齢制限がない
- 運用資産を途中で引き出せる
- 投資で得た利益に課税されない
ということを踏まえると、投資をすることで効果的に資金を貯めたい人にとって魅力的な制度であるといえます。
iDeCo | つみたてNISA | ||
---|---|---|---|
利用できる人 | 20歳以上60歳未満なら原則誰でも※1 | 20歳以上なら誰でも | |
税制 | 積立時 | 掛け金全額が所得税額控除 | 所得控除の適用なし |
運用中 | 70歳まで運用益非課税 (積立は60歳まで) | 20年間運用益非課税 | |
払い出し時 | 元本も含めて原則課税 (退職所得控除または公的年金等控除の適用あり) | 非課税 | |
年間投資上限額 | 働き方や勤務先の年金制度により 14万4000円~81万6000円 | 40万円 | |
投資対象商品 | 預金・保険・投資信託 | 金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETF | |
資産の途中引き出し | 原則60歳になるまで不可 | いつでも可能 | |
口座開設手数料 口座管理手数料 | 口座開設手数料:2777円(税込) 口座管理手数料:年間2004円〜7000円程度※2 | 無料 | |
最低加入金額 | 5000円 | なし |
※1 国民年金保険料未納の人は加入不可。企業型DC加入者は「マッチング拠出」がなく、規約に「iDeCoに加入できる」旨の記載、拠出限度額の引き下げを行えばiDeCoに加入可能。
※2 金融機関によって異なる。
Fincleでは確定拠出年金iDeCoについても詳しくまとめています。是非参考にしてみてください。
個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)って?メリット・デメリットは?上限金額についても徹底解説します
おわりに
今回は積立NISAの特徴、積立NISAと一般NISAの違い、確定拠出年金iDeCoとの違いについて詳しく見ていきました!各々の特徴については理解できましたでしょうか?
最後にもう一度今日学んだことを簡単にまとめたいと思います!
- 積立NISAは、税制優遇を受けながら少額からの積立投資ができる制度
- 一般NISAは投資経験者向けで積立NISAは投資初心者向けの制度
- 確定拠出年金iDeCoは老後資金を貯めたい人向け、積立NISAは投資をすることで効果的に資金を貯めたい人向けの制度
でしたね!
この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。