最近株について調べていて考えたことですが、「前もって企業の情報を仕入れているマスコミって有利!」と思ってしまいました。
しかしながら世間一般に公開されていない企業の情報をもとに株を売買すると「インサイダー取引」に引っかかってしまうんです。
いやでも、「少額ならばれないでしょう。」と思っていましたがかなり監視が厳しいことも記事を書いていくとわかりました。
そしてインサイダー取引として引っかかる情報が意外と多いのです!気付かないうちにインサイダー取引に関わってるなんてこともあるかもしれません。
さて、今日はインサイダー取引について詳しく見ていきたいと思います!
目次
インサイダー取引とは?
今回は株式の取引でよく聞くインサイダー取引について詳しく解説します!
インサイダー取引とは、会社内部の情報を知る人間が、重要事実についての情報公表前に株式の売買等を行うことを指します。
行為による損得自体は問わないため、もしインサイダー取引を行って損をした場合も該当します。
インサイダー取引を行った場合は金融商品取引法で規制されている違法行為に相当します。
そうですよね!ではまずは誰がインサイダー取引の対象者になる可能性のある人についてお話します。
誰がインサイダー取引の対象者に?
対象者は会社関係者の人と情報を受け取る人の2つに分かれます。
まずは会社関係者について詳しく解説します!
会社関係者
インサイダー取引規制によると、会社関係者には、上場企業の取締役や社員だけでなく、パートやアルバイトなども含まれます。
さらに、法令に基づく権限を有する者やその会社と契約を締結している者も含まれます。
簡単に説明すると、許認可権限を有する公務員であったり、上場企業のコンサルティング業務を行うコンサルタントなども会社関係者に含まれます。
下記にインサイダー取引に引っかかる可能性のある人についてまとめてみました!
➀上場企業の役員等 | 役員、社員、契約社員、派遣社員、アルバイト、パートなど |
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②上場企業の帳簿が閲覧できる者 | 総株主の議決権、発行済み株式の3%以上保有する株主など |
③上場企業に法令上の権限がある者 | 許認可権限を有する公務員など |
④上場企業と契約、契約交渉をする者 | 会計監査を行う公認会計士、顧問弁護士、コンサルタント業者など |
⑤2又は4の会社関係者が法人だった場合 | 銀行の融資部門から伝達を受けた投資部門の役員など |
情報を受け取る人
ここでいう情報を取る人とは、会社関係者を通して、会社の株価に関わるような情報について知った人のことを表します。
従業員の家族やマスコミ関係者など、会社内部の人間でない場合も該当します。
さてどのような人がインサイダー取引の対象者になるかわかりましたでしょうか?
次に重要事実(どのような情報を所持して株取引を行うことがインサイダー取引に引っかかるのか)という決まりについて詳しく見ていきたいと思います。
どのような情報が重要事実として引っかかるの?
先ほども少し説明したように、インサイダー取引における重要事実とは、会社の株価変動にかかわるような情報のことを指します。またの名をインサイダー情報とも言います。
重要事実は、【決定事実】、【発生事実】、【決算情報】、【バスケット条項(その他)】などに分類されます。
大丈夫です!これからわかりやすく解説していきます。
決定事実(金融商品取引法第166条2項1号)
決定事実とは、会社が新商品の開発・発売や他企業との提携など『行うことについて決定』したこと、または公表されている決定に係る事項を『行わないことを決定』した事項が当てはまります。
発生事実(金融商品取引法第166条2項2号)
発生事実とは、会社側の意思に関係なく発生した事実が該当します。
例えば、災害に起因する損害や主要株主がいなくなった、上場を取りやめたなどがこれに該当します。
決算情報(金融商品取引法第166条2項3号)
決算情報とは、直近で公表された予想値と比べて一定の差異が生じた際の決算数値が相当します。
具体例としては、予想値と一定程度乖離した売上高や営業利益、純利益などが該当します。
バスケット条項(その他)(金融商品取引法第166条2項4号)
バスケット条項とは、上記の3つには該当しないものの、会社の株価変動上場会社の運営、業務または財産に関する重要な事実であって、投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす情報のことを指します。
具体例としては、株主優待制度の廃止などが該当します。
子会社に関する重要事実(金融商品取引法第166条2項5号から8号)
上場会社だけでなく、上場していない子会社の重要事実についても、同様に該当します。
さて今までどういった情報がインサイダー情報となってしまうのかについて見ていきました。
ここで気になるのは、いつからインサイダー情報ではなくなるの?ということでしょう!
実は重要事実が公表された後はインサイダー取引として処罰されません。
実は「公表」の定義が決まっているんです。早速見ていきましょう。
重要事実の「公表」の定義
情報が公に開示された後なら、証券市場の公平性が担保されますから、重要事実を知りえる会社関係者でも株を売買することができます。
・2つ以上のテレビや日刊新聞などの報道機関に公開し、12時間が経過したこと
・会社情報が電磁的方法(TDnet)で通知され、公衆の縦覧に供されたこと
・重要事実を記した有価証券報告書などが公衆の縦覧に供されたこと
(引用:金融庁 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/insider/siryou/20110708/03.pdf)
これらのいずれかに当てはまっていれば、重要事実は公表されたとみなされ、インサイダー取引による処罰の対象にはなりません。
インサイダー取引の罰則
さて、インサイダー取引について分かったところで、インサイダー取引によって課される罰則についても確認しておきましょう!
インサイダー取引における刑事罰
下記はインサイダー取引で刑事罰を課された場合です。
・5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科(金融商品取引法第百九十七条の二)
(参照:金融商品取引法 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1#6454)
・犯罪によって得た財産は没収(同法第百九十八条の二)
(参照:金融商品取引法 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1#6686)
・法人の代表者や従業員などが法人の業務としてインサイダー取引を行った場合は、法人も処罰の対象となり、5億円以下の罰金(同法第二百七条)
(参照:金融商品取引法 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1#6499)
インサイダー取引で得た財産が没収されるだけでなく、500万円以下の罰金や懲役も課されるって、全くいいことはありませんね。
インサイダー取引違反による課徴金
まず初めに課徴金について簡単に説明しておきます。
課徴金は国が司法権、行政権に基づいて国民から徴収するお金のことを言います。
インサイダー取引においても違反者には金銭的負担を課す課徴金制度が適用されることになっています。
インサイダー取引の場合、「重要事実公表後2週間の最高値×買付等数量」から「重要事実公表前に買付け等した株券等の価格×買付等数」を控除して算出します。
つまり、結局儲かった分は没収されるどころか、マイナスになります。
実際に起こったインサイダー取引の事例
最も有名なのは村上ファンド事件ではないでしょうか。
ここで村上ファンド事件について簡単に説明しておきます。
村上ファンド事件とは
ニッポン放送の株を大量に保有していた村上ファンドの村上世彰氏は、ライブドアの堀江貴文氏にニッポン放送株の大量取得を働きかけ、ニッポン放送の株が高騰するとともに売却、高値で売り抜けました。
村上世彰氏は証券取引法(現在の金融商品取引法)違反で起訴され、懲役2年、執行猶予3年、罰金300万円、追徴金約11億4900万6,326円の有罪が確定しました。
利益が出ていなくても処罰される?
事例と共に紹介しますね!
2017年2月、証券取引等監視委員会は<3653>モルフォの社員7名に2~11万円の課徴金命令を出しました。
この社員7名は、モルフォが大手自動車部品会社デンソーと業務提携することを知り、その情報が発表される前に会社の持ち株会に加入したり、月々の拠出額を増やしたりしたため、その行為がインサイダー取引違反に該当した模様です。
業務提携の公表後2週間で、株価は4千円台から最高7千円台まで急騰。7人はいずれも株を売ってはいませんでしたが、増額の金額分の課徴命令を受けました。
(参照:https://www.sankei.com/affairs/news/170224/afr1702240040-n1.html)
ここで押さえておいてほしい点が、「株は買ったけれど、売って利益にはしていない」ことでしょう。
利益が出ていないからといってインサイダー取引にはならないなんて甘い考えは通らないことがこの事例からわかりますね。
どうしてインサイダー取引はばれるのか?
1つは「内部告発」でしょう。例えば知人、同僚によって告発されることがあげられます。
家族にも誰にも口外しないでやったのにばれた!というケースもよく見受けられます。
実はインサイダー取引をしていないか監視する機関が存在しています。
一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、証券取引監視等委員会によって日本の株式市場は監視されています。
証券取引等監視等委員会(SESC)とは
国会の同意を得て内閣総理大臣により任命された委員長1名、委員2名から構成されている行政機関です。
インターネットを使ったオンラインでの株取引が主流になったため、「不正な取引の摘発が以前より容易になった」といいます。
例えばIPアドレスにより簡単に個人を特定することが出来るようになります。また取引履歴もオンラインで記録されているため筒抜けです。
そのためインサイダー取引は以前にも増して摘発されやすい環境になっているそうです。
証券取引等監視委員会がどういった方法でインサイダー取引を調査するのかはわかっていませんが(分かってしまうと、裏をかいくぐる悪い人が出てくるからでしょう)、不正な売買を自動で検索できる仕組みを作っているそうですよ!
まとめ
今回はインサイダー取引について説明していきました。インサイダー取引について理解を深めることはできましたでしょうか。
ここで最後にもう一度要点をおさらいしておきましょう!
➀情報を持っている人はインサイダー取引の対象者になることも
②会社の株価に影響を与えるような情報は重要事実になる
③インサイダー取引の罰則は重く、発覚すると社会的な信用も失う
④オンラインでの取引によって、簡単にばれてしまう
でしたね!
インサイダー取引の対象者にならないためにも、今回学んだことをきちんと押さえておきましょう!