皆さんがこのページをご覧になっているという事は、ご自身や家族のために何かしらの保険に加入したいと考えている方が大半ではないでしょうか。
近年は様々な保険商品が販売されていて、どの会社のどの商品にすればよいのか分からないし、全ての商品を1つ1つ調べるのも面倒という理由から、安易にテレビコマーシャルなどで見かけるものに加入して後悔する方も少なくありません。
そこで今回は、意外と多い保険種類の説明と生命保険加入の目的別に合わせた選び方をご紹介したいと思います。
引用: pakutaso
どうやって保険を決めるのか
保険と一口に言っても沢山思いつくと思いますが、ここでお話しするのは「生命保険」です。ケガや病気はもちろん、万が一の時に備えるものまで色々な種類があります。
何を重要視するのか?
まずは、何を目的として保険に加入するのかをきちんと考える事がとても重要です。
- 仕事がらケガのリスクが高いのでケガの保障を充実させたい
- ガン家系なのでガンの保障を手厚くしたい
- 自分に万が一の事があったら残された家族が困らないだけの保険金を準備したい
- 持病があるけど入れる保険があるなら今後のために加入したい
- 病気などで働けなくなった時の無収入をカバーしてくれるものがいい
- 医療の保障と貯蓄が一緒にできるものがいい
など、他にもたくさんありますが加入目的は人それぞれで、それによって加入する保険商品も変わってきます。面倒くさいからと適当に加入してしまって、実際に病気などで入院したとします。退院して給付金請求をしてみたら対象外の病気だったため1円も給付されなかったという事例も少なくありません。
そうなってから解約して新しい保険に加入しようと思っても、その時点で病歴が付いてしまっているので新たな加入は難しくなります。ですから保険選びはとても大切なのです。
一般的な保険の考え方
前述のように、様々な保険会社から目的に応じた保険商品が数多く販売されていますが、「生命保険てどんなもの?」と聞かれたら何と答えますか?
「入院したら1日○○円、手術したら1回○○円、死亡したら保険金がもらえる」という回答がほとんどのようです。確かにこれも正解ですがそれだけではないのです。
保険商品には「特約」というものがあって、目的に合わせて特約を付けたり外したりしながら予算も視野に入れて設計していきます。ですから「保険なんてどれも同じ」という考えをお持ちなら大きな間違いです。
支払方法は月々払い、半年払い、年1回まとめて支払う年払いなど、商品や保険会社によって様々な方法があります。また保険料は年齢や性別によっても異なりますし、特約の種類などでも変わってきます。
保険の種類
名前は聞いたことがあるけどよく分からないのが保険ですよね。できるだけ分かりやすくまとめてみたいと思います。
学資保険
これは生命保険の中でも加入率の高い保険です。妊娠中や出産後に誰もが加入を検討するもので、お子様の成長に合わせてお祝い金が貰える積立保険です。
父親が契約者になるのが一般的で、契約者に万が一の事があれば以後の保険料は免除されます(払わなくてよいのです)が、保障は継続になるので契約通りのお祝い金を貰うことができます。
また、ほとんどの商品が中途解約をしない限り原価割れもないことから、お子様の貯蓄商品としては金融機関に現金を積み立てるよりもお得ともいえますが、保険会社によってもいろいろと違いがあります。
小・中・高・大学など、それぞれの入学時期に合わせてお祝い金が受け取れるもの、あらかじめ決まった年数ごとに受け取れるものなど様々です。
医療保険
生命保険として真っ先に思い浮かぶのが医療保険ではないでしょうか。これは文字通り病気やケガなどでかかった医療費(治療費)の負担を軽くするために加入する保険です。
古いタイプのものだと、入院5日目から、20日目からといったものが多いのですが医療は日々進化していて数年前までは一週間程度の入院が必要だった虫垂炎も、現在は3日程度と短くなっており逆に長期入院は少なくなっていてます。
それに合わせて、最近は入院初日から保障されるタイプに変わってきていますし、1日○○円という日額給付タイプではなく病院に支払った全額が返ってくるという実額給付タイプもあります。
ただし、実額給付タイプは請求書の額面通りではなく、もともと実費負担の差額ベット代や入院中の食事代は含まれません。
また、医療保険は健康な人向けの一般的なものと、持病があって通院しているような方向けの緩和型がありますが、緩和型は保険料も健康な人より割高で加入から一定の期間は給付金が半額だったりというハンデのようなものがあります。
ガン保険
これも読んで字のごとく「癌」になった時に備える保険です。様々な種類があって、上皮内の癌(内部まで浸透していない癌)は給付対象外だったり、癌が出来た部位によって給付金額が違う商品もあります。
また、癌の怖いところは再発ですが、商品によっては再発の保障がなかったり、あっても同じ部位は対象外となっていたりするものもあります。更に再発の保障は無制限だったり回数制限があったりと実に様々です。
死亡保険
ご自身もしくはご家族に万が一の事があった時に備える保険で、こちらも色々な種類があります。企業の社長さんや一家の大黒柱の方が加入する場合は、残された従業員や家族のためにかなりの金額を設定することが多く、逆に小さなお子さんなどであれば少額にする傾向にあるようです。
年金保険
老後の生活費として一定の年齢に達すると国から年金が支給されますが、実際それだけでは生活できないのが現状ですね。そこで将来のために個人的に準備するのが年金保険です。
予め設定しておいた年齢に達した時から年金と同じように年1回給付されますが、年金としてだけでなく一括で全額を受け取ることも可能ですので、一括で受け取って旅行などを計画する方も多くいらっしゃるようですが、一括で受け取る場合は毎年受け取る金額の総額よりも少なくなります。
それでも金融機関よりも利率が良いので、年金保険に限らず保険会社の貯蓄商品は最近特に人気があるようです。少額から始められる商品もあるので、保険に興味のなかった比較的若い世代にも受け入れられています。
介護保険
「介護」という言葉だけを聞くと高齢者をイメージする方が多いのですが、事故などで半身不随になったりすれば年齢に関係なく介護が必要な状態(要介護状態)となり、そうなった時にありがたいのが介護保険です。
半身不随という極端な例を挙げましたが、絶対にならないと保証はありませんよね。私の友人は20代の時にスキーで転倒し、様々な病院を転々としましたが、20年以上経った現在も下半身不随で車椅子の生活を余儀なくされています。
歩行者に車が突っ込むという事故もここ数年とても多いです。自分がどんなに注意していても防ぎようのない事故はありますので、介護保障は付加していて損はないと思います。
「終身保険」と「更新型保険」
次に「終身保険」と「更新型保険」について考えてみましょう。それぞれにメリット・デメリットがありますので、どちらが良いとは言えませんが、加入のしかたでお得になる事もあるようです。
終身保険
保険料が変わらず一生涯(生きている限り)保障が続くのが終身保険です。保障が一生続くという事は例え100歳になっても保険料を払い続けるの?
終身保険には、①一生払い続けるタイプと②ある年齢(60歳や65歳というのが一般的)まで支払えばその後は保障だけが継続するというタイプがあります。だったら②の終身保険が断然お得と思いがちですが、若い方の場合は一概にそうとも言えません。
年齢が若いという事はそれだけ支払い年数が長いですね。20代の人が50年も先のことを予測できますか?その時の物価に合わせて医療費も変わります。加入時に十分と考えて設定した給付金額が、50年先も同じように十分な金額であるかどうかは誰にも分かりません。
更新型保険
5年ごと、10年ごと、15年ごとなど、決まった年数ごとに更新する保険です。更新の際に見直しができるので、保障を増やしたり削減したりと、その時の生活状況に合わせて自分に合った保障内容に変えることができます。
契約時は独身だった方が更新時に結婚していれば死亡給付金を多めにしたり、逆に更新時には子供たちが独立して巣立ったから死亡保障の部分を減額するかわりに自分の医療をもっと充実させようとか、その都度いろいろと内容を見直せるのです。
では更新型がベストかというと、必ずしもそうとは言い切れません。終身保険は契約時から保険料が一生上がらないのに対して、更新型は更新時の保険料で設計します。更新時は年齢も上がっていますので、全く同じ内容で更新するとなると保険料も当然上がることになります。
ただ、色々な特約を付加している場合は不要な特約を外したり給付される金額を下げることで保険料も調整は可能ですし、時代に合わせた保障内容の保険として継続できますのでメリットの1つと言えます。
生命保険の「主契約」と「特約」
生命保険の「主契約」というのはメインとなる契約のことです。例えば、万が一の保障を重視していて医療費などは貯蓄で賄いたいという場合は死亡保障が主契約となり、この主契約にガンや重度疾病の保障をプラスしたいとなれば、そのプラスする保障が「特約」となるのです。
ほとんどの生命保険には特約を付けることができますが、主契約は単体でそれだけを契約することが可能なのに対して特約のみ単体では契約できず、あくまでもオプションという考え方です。
主契約の種類
- 死亡保険 死亡した際に給付金が支払われます
- 医療保険 ケガや病気に対する保障
- ガン保険 ガンになった時のためのガン専用の保険
- 生活保障 収入がなくなった時の保障
- 養老保険 死亡給付金と満期保険金が同額
- 介護保険 介護状態に備える保険
- 年金保険 将来の年金を準備 など
特約の種類
- ガン特約 ガンのための特約
- 女性疾病特約 女性特有の疾病に備える
- 重度疾病特約 心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの重い病気に備える
- 介護特約 介護が必要になった時のために備える
- 成人病特約 成人病に対する備え
- 家族保障特約 配偶者または家族全員を保障
- 先進医療特約 厚生労働省が認可している先進医療を受けた時のために備える
- 退院後の通院特約 退院後の通院費やお薬代に備える など
通信販売の保険
テレビコマーシャルなどでも見かける保険も多種多様です。自宅に居ながらパソコンやスマホからネット申し込みができ、保険料も比較的お手頃という事もあって若い世代や主婦、高齢者にも人気があります。
ネット保険の魅力
通常、保険を検討した時には保険会社に問い合わせたり見積を依頼するところから始まりますが、ネット保険であれば思い立った時にいつでも何処にいても申し込みできるのが最大の魅力と言えます。
また、保障内容がとてもシンプルなものが多いので、対面して事細かく説明を受けなくても分かりやすいという点で高齢者に好評のようです。そんなネット保険のメリットとデメリットについてお話しします。
メリット
- 24時間、365日いつでも自宅や外出先など何処でも申し込みできる
- 比較的お手頃な保険料での加入が可能
- 営業員などと対面する必要がないので、あれもこれもと不要な特約や別の商品を勧められることがない
- 商品も多種多様で様々な商品から選択できる
デメリット
- 営業員などがいないため不明点や疑問点は都度メールや電話で問い合わせなければならない
- テレビコマーシャルで○歳の方なら○○円という具体的な金額を提示していても実際その金額とは限らない
- 対面ではないため加入審査が厳しくなっている
- ほとんどの商品が掛け捨て
というように、手軽に申し込みできるからと安易に手続きしないことも大切です。自分が加入したいのはどんな保障内容でどんな特約が必要なのかをよく考えてから申し込みましょう。
自分に合った保険を選ぶ
では一体どのように保険を選んだらいいのでしょうか。ここから、いくつか例を挙げてご紹介したいと思います。
独身で一人暮らし
年齢や性別に関係なく、独身で一人暮らしの方は生活のために何かしらのお仕事をしていますね。もしも事故や病気で長期間の入院生活を余儀なくされたらどうでしょうか。収入が途絶えてしまうのに光熱費やローンなどの支払いは毎月必ず発生します。
そこで必ず必要となってくるのは収入保障の特約です。保険会社によって様々ですが、入院日数などの一定条件をクリアすれば契約時に設定した金額が給付されますので、有給休暇を消費しながら給付金も受け取れて支払いなどを気にせず治療に専念できます。
他には、一般的な医療と先進医療特約、退院後の通院も見越して退院後の通院保障特約、事故などで動けなくなり要介護状態になった時のための介護保障特約などもあれば尚良しです。独身の場合、万が一の時の死亡保険金の設定は低めでも大丈夫ですので、医療や収入保障を重視しましょう。
女性の場合は女性疾病の特約も視野に入れてみてください。きちんと定期検診を受けていても安心とは言えませんので、女性特有の病気に備えることは大切です。
既婚者の男性
独身の場合は自分の心配だけで済みますが、既婚者ですと奥様やお子さんを守るという責任があります。万が一の保険金額はもちろん、大きな病気や事故などで無収入となってしまった時のための保障も充実させておく事が大切です。
「奥様やお子様を守るために」と、かなりガッチリした設計内容で提案されると思います。金銭に余裕があれば構いませんが、収入に見合った保険料かどうかを奥様と相談して、削れる特約は削り、保障額を下げても大丈夫なものは下げるというように設計書は時間をかけて細かくチェックしましょう。
収入保障も金額は多めの方が良いのですが、あまり大きくすると保険料も跳ね上がります。また、一時金(一括で1回だけ)を受け取るのか、毎月1回お給料のように受け取るのか、年1回受け取るのかなど、受け取り方もいくつかありますし、一時金と他のを組み合わることもできます。
既婚者の女性
一家の大黒柱であるご主人に比べて、奥様の場合は万が一の保障をさほど大きく設定しないようです。子供の居ない共働き夫婦であればお互い同額の大きな死亡保障にしていたりしますが、専業主婦だと特に死亡保障の金額はご主人の半額以下、もしくは10分の1程度というパターンが多いようです。
ただし、独身の場合と変わらず医療の保障に関しては充実させる必要があります。女性疾病の特約も独身の人より少し大きな保障にしておく方が良いかもしれません。
子供の保険
子供さんの場合は死亡保障を高額に設定する方は少ないようです。逆に、年齢が低くなればなるほどケガや事故に遭いやすいため、医療を充実させておくと良いでしょう。
学資保険によっては医療の特約がセットできたりもともと付いているものもありますが、学資保険はあくまでも積立と考えて、医療保険は別に加入する方が場合によっては保険料がお得だったり解約時に損をすることもあります。
持病がある・服薬している
ケガや病気になった時のために加入する保険ですから、すでに持病があったり通院していたりする方は保険に加入できないというわけではありません。
医療保険のところで書いている通り「緩和型」という保険があります。保険会社によって決まっているいくつかの項目に該当しなければ加入できますが、加入して1年間は給付金が設定金額の半分だったり、死亡保険金に関してもごく少額となります。それでも持病のある方にとってはとてもありがたい保険と言えますね。
積立てをしたい
保険会社も金融会社ですから積立商品も数多く販売しています。しかも銀行などに預けておくよりも利率が高い商品も多いので、将来のために貯蓄をお考えなら保険商品での積立ても良いですね。
しかし、銀行に積み立てるのではなく保険商品になることでのデメリットもあります。銀行の預貯金は好きな時に出し入れができるのに対して保険商品はそれができません。
しかも早期(数年以内)に解約してしまうと、返ってくる金額は実際に積立ててきた累計金額よりも少なく、場合によっては半額以下になってしまう事もありますので、満期まで無理なく継続できる金額設定にすることが重要です。
将来まとまったお金が欲しい
定年退職後に海外でバカンスを楽しみたいなどとお考えなら「養老保険」はいかがでしょうか。これは単なる将来のための積立てではなく、設定された一定期間(保険期間)が終わった時に満期保険金が受け取れるのはもちろん、保険期間中に亡くなってしまった場合は満期保険金と同額が死亡保険金として受け取れます。
もちろん掛け捨てではありませんので、保険期間中に何らかの事情で解約せざるをえない状況になれば解約返戻金もあります。ただし支払う保険料もそれなりですので、じっくりと検討してからの加入をオススメします。
預貯金を子や孫に残したい
税金のお話しになりますが、現在の預貯金を名義変更などでそのまま子や孫に与えてしまうと贈与税が発生してしまいます。そこで、保険を活用して税金がかからないように残してあげる事ができます。
年間110万円までなら非課税となりますので、子や孫を契約者や被保険者にして積立保険や年金保険に加入します。財産を生きている間に少しずつ減らすことで、ご自身の税金対策にもなりますので活用される方が増えています。これを「暦年贈与」といいます。
社会保障制度と生命保険
いろいろと保険のお話しをしましたが、皆さんは社会保障制度についてどの程度ご存知でしょうか。社会保障制度の中には保険に関係してくるものがありますので、最後にお話ししたいと思います。これを知れば更に保険商品を絞り込めると思います。
医療保険制度
保険会社の医療保険ではなく、社会保障制度の中にも医療保険制度があります。皆さんが病院で支払う自己負担額は年齢に応じて1~3割というのはご存知ですね。残りの9~7割を負担してくれているのが医療保険制度なのです。
高額療養費制度
保険加入を検討する際に直接関わってくるのが高額療養費制度です。前述で「日額タイプ」と「実額タイプ」のお話しをしましたが、この制度を知っている方の多くは実額タイプは必要ないとお考えのようです。
高額療養費制度とは
まずは高額療養費制度について知る必要がありますね。この制度は1ヶ月間の医療費が高額になった時に、その自己負担分(1~3割)の上限を超えた分が戻ってくるというありがたいもので、収入などによってあらかじめ自己負担の限度額が設定されているのです。
平成27年1月に改定された区分で例を挙げてみます。標準報酬月額26万円以下、報酬月額27万円未満の方ですと、自己負担の限度額は57,600円です。長期で入院治療をしていて病院から数十万の請求が来ても限度額の57,600円だけで良いという事になります。
ですから「実額タイプは必要ない」という方が多いのです。では、全く同じ病気での実額タイプと日額タイプを比較してみたいと思います。5日間の入院、日額給付金は5,000円、かかった療養費(請求額)は50,000円とします。
請求金額が50,000円ですから実額タイプは全額の50,000円、日額タイプは5,000円×5日間で25,000円です。高額療養費制度の限度額は57,600円ですから、それよりも低い50,000円は全額自己負担となりますね。
給付金は25,000円ですので、残りの25,000円は貯蓄などで賄うことになります。ただし、これはあくまでも請求額が低かった場合の極端な例です。請求額が数十万ともなればもちろん高額療養費制度が使えますので、そういった事も踏まえて慎重に保険選びをする必要があるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。保険は何かあった時のための御守りです。その御守りが家計を圧迫しては困りますので、色々な商品をじっくりと見比べて検討することが大切です。
病気やケガだけでなく貯蓄も兼ね備えた保険商品も沢山ありますので、ぜひご自身にピッタリの保険商品を見つけてください。