賃貸でも入れる?家財保険の保険料や補償対象をしっかり解説!

家財保険は知名度が低く、あまり認知されていない保険です。しかし、災害や事故に遭い、家財が使えなくなってしまった時、家財保険に加入していれば再購入の負担を大きく軽減することができます。

家庭で使用する電化製品・家具をはじめとした家財の総額は意外と高額です。突然生じる災害・火災・事故ですべての家財を購入し直さなければならない場合、家計に大きな負担がかかってしまいます。このような緊急事態にも備え、家財保険への加入は是非検討しておきたいところです。

今回は、家財保険について、そのメリット・デメリット、保険料についてご紹介して行きます。

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目次

家財保険とは

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家財保険は比較的マイナーな保険であり、認知度も低いのが現状です。そのため、初めて耳にするという方も多いでしょう。この項目では、家財保険について把握できるように、基本的なことについて確認します。まずは、家財保険がどのような保険であるかについて見て行きましょう。

家財保険とは

家財保険とは、火災・水害・盗難・水漏れ事故などに遭い、家で使う「家財」が使えなくなってしまった場合に、その再購入費用を負担(補償)してくれる保険です。火災保険の特約として扱われることが多く、火災保険の補償対象である「建物」と「家財」のうち、「家財」の方にかける保険のことを指します。

天災のみならず、盗難被害や火災、子供が原因で家財が損傷を受けた場合も補償の対象となります。このように、家財保険は補償の対象となる範囲が広い点が大きな特徴といえるでしょう。

ちなみに家財とは、電化製品・家具をはじめとした生活関連の動産全般のことを指します。家財保険で補償の対象となる家財については、<補償範囲の物は>の項目で詳しくお伝えします。

家財にかかる費用

家財保険に加入するのであれば、保険料を決める際の目安として、自宅にあるすべての家財の費用について把握しておく必要があります。今家にあるすべての家財を自分で計算するのは難しいですが、保険会社が目安の費用を出しています。ここでは、損保ジャパン日本興亜の表を参考にします。

引用:損保ジャパン日本興亜

この表から分かることは、子供を持つ家庭であればほとんどの場合、家財にかかる費用が1000万円を超えるということです。万が一の事態で家財が駄目になってしまった場合には、1000万円以上の費用をかけて家財を再購入しなければなりません。一気に1000万円の貯蓄を使ってしまうのは、家計に大きな負担となりますよね。

しかし、家財保険に入っておけば、その負担は随分と減ります。保険会社のプランによっては、自己負担なしで家財を再購入することも可能です。毎月保険料を支払ってでも、万が一の非常事態には備えておきたいものです。

家財保険と火災保険の違い

多くの場合、家財保険は火災保険の特約として提供されます。つまり、家財保険は火災保険の一部であると言うことができます。火災保険の補償は3種類あり、「建物のみの補償」「家財のみの補償」「建物と家財の両方」となっています。ご自身が一戸建に住んでいるか、賃貸に住んでいるかでこの3つのうちどれを選択するのかは異なります。

ご自身に持ち家がある場合(つまり、戸建あるいはマンションを所有している場合)には、建物も家財も自分の所有物なので、建物と家財の両方に補償が必要です。その一方で、賃貸にお住いの場合は、家を所有しておらず、家財のみが自分の所有物となるので、家財保険のみに加入し、家財を補償できるようにします。

保険料の相場

家財保険の保険料は、ご自身が所有している家財、そして自分で設定する保険金額によって異なります。しかし、大体の相場は1年につき1万円程度です。

賃貸住宅に住んでいるか、持ち家に住んでいるかによっても、保険料の相場が変わります。たいてい、賃貸住宅にお住いの場合は1万円以下、持ち家がある場合には1万円以上であることが多いです。保険料の相場についての情報は、<加入する際のポイントは?>で詳しく説明しているので、そちらをご確認ください。

補償の対象となる家財は?

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家財保険について考える際には、「家財」と呼ばれるものについて理解している必要があります。ここでは「家財」が何を指すのか、また、「家財」に含まれないものについて確認していきましょう。

家財保険の補償対象となるもの

家財とは「生活関連の動産」だ、と多くのサイトで説明されています。「生活関連の動産」とは、日常生活において家の中で使用している家具や電化製品のことを意味します。具体的には以下のようなものが、家財保険の補償対象となる家財に当てはまります。

自転車、仏壇、ストーブ、扇風機、乾燥機、ステレオ、洗濯機、楽器(ピアノ・エレクトーンなど)、冷蔵庫、テレビ、パソコン、システムキッチン、こたつ、浴槽、洋服、タンス、布団、和タンス、ベッド、ドレッサー、本棚、ソファ、机、テーブル、収納家具など

家財保険の補償対象にならないもの

一方で、家の中にあるものすべてが家財保険の補償の対象となるとは限りません。家財保険の補償対象にならないものは、具体的に以下のようになります。

有価証券、電子マネー、プリペイドカード、データ、プログラム、ソフトウエア、自動車、建物外に持ち出している家財、オートバイ(総排気量125㏄以上)、動物、植物、1個1組30万円を超える貴金属・美術品・宝石などの家宝、帳簿、模型、証書、設計書、稿本など

これらの所有物が家財保険の補償対象とならないのですね。ここで注目したいのが、30万円を超える貴金属・美術品・宝石などの家宝です。とても貴重なものであるにもかかわらず、家財保険の対象とならないのであれば、他にどのような手段を取って保険をかければ良いのでしょうか。

1個1組30万円を超える家宝は「明記物件」

30万円を超える貴金属や宝石、骨董品や絵画などの高価なものの場合には、家財保険の契約時に「明記物件」として別途明記する必要があります。ただし、保険によっては100万円以内のものであれば、特に明記する必要が無い場合もあります。

さらに、1個1組100万円を超えるような高価な家財については、「明記物件」としての特約でなく、別の特約を加える必要があります。

補償してもらえるケースとは?

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家財保険で補償してもらうことのできる場合とはどのような時なのでしょうか。「この程度の場合にも補償してもらえるのか」ということもあるので、家財保険に加入する際には是非、前もって確認し、頭の片隅に置いておきましょう。

子供が電化製品を壊したとき

お子さんのいる家庭では、物が壊れるのは日常茶飯事のことでしょう。お子さんが遊んでいる時には、ものが倒されたり、落ちたり、ぶつかったりと、大変ですよね。このように、お子さんが遊んでいる最中に物が壊れて、それが機能しなくなってしまった場合には、家財保険を適用することが可能です。ただ、傷や汚れ程度で済み、肝心の機能が失われていないのであれば、家財保険の補償の対象とはなりません。

着用中のスーツが破けてしまった場合

「こんな場合も補償が付くのか!」と驚かされるばかりですが、着用中のスーツを破いてしまった場合にも補償の対象となります。歩いている最中に、スーツを何かに引っかけて裂けてしまった時には利用しましょう。ただし、スーツ自体の機能に支障がなく、擦り傷や汚れ程度で済んだのであれば、補償の対象にはなりません。

日常的に使用するものが災害に遭ったとき

豪雨による浸水などにより、ベッド・タンス・家電がその機能を果たさなくなってしまった時、家財保険を利用することができます。また、災害のみならず、水道管が破裂するなど不測の事態によって、家財が浸水したり家電製品が使えなくなってしまった場合にも、家財保険に加入していれば再購入する際に負担が減ります。

自宅から持ち出した家電が壊れたとき

これは保険会社によって、補償の対象となるかどうかは異なります。自宅から持ち出したパソコンなどを外で落としてしまったり、浸水させてしまったりする場合もあるでしょう。このような事態に遭遇した時には、家財保険に入っておくと助かりますね。

落雷により家電が故障したとき

雷が自分の家に落ちた場合、テレビや冷蔵庫などの電化製品は故障してしまいます。被害を受けた家財は、全て新しく購入する必要が出てきてしまいますが、落雷の場合には補償の対象となるので自己負担も軽くなります。

盗難に遭ったとき

泥棒が入り、家財や自転車が盗まれてしまった場合にも補償の対象となります。家財保険は、家の中にある家財のみならず、敷地内であれば自転車の盗難も補償の対象となります。しかし、空き巣に一番狙われる現金・収入用紙・切手などは対象とならないので注意しましょう。あくまでも補償の対象は「家財」に限定されるのですね。

 加入する際のポイントは?

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さて、家財保険は保険料がかかるものの、加入しておくと非常に本当に助かる保険ですが、いざ加入を検討するとなると、確認しなければならないこともたくさんあります

ここでは、加入の際に知っておきたいことについてご紹介します。

本当に必要かどうか再確認

家財保険は保険なので、万が一のことが起こらない限り、保険料金を支払うだけです。つまり、損得に注目してみると、毎年1万円ほど度損をしているということにもなります。しかし、いつ何が起るか分かりません。思わぬ事故・災害の被害に遭った時には、家財を購入し直す自己負担を大きく減らすことができ、大変心強い思いをするでしょう。

そのため、やはり保険料を支払い「安心」を保障して、万全を期すのが良いでしょう。始めの方でもご紹介したように、改めて計算してみると、家財には多額の費用がかかってしまいます。特に、家族が多ければ多いほどその費用も大きくなるので、家族の多い方は加入しておくと安心です。

万が一のことが合った場合には、家計への負担を軽減してくれるありがたい保険だということを考慮に入れれば、毎年1万円程度の金額を支払うのも単なる損ではないかもしれません。ただ、家財保険は絶対に入らなければならないものではないので、ご自身の経済状況を踏まえ、1年につき1万円支払うことが負担にならないかどうか見極めた上で決断しましょう。

 家財の補償額を決める

家財保険に加入する際には、あらかじめ家財の補償額について考えておく必要があります。家財の補償額は、今自宅にある全ての家財を買い戻せる額となります。つまり、家財の補償額とは家財にかかる費用なのです。したがって、現在所有している全ての家財を計算する必要がありますが、あらゆる家財を挙げて計算するのは至難の業です。厳密な計算はほとんど不可能でしょう。

それでは、どのようして家財の補償額を決めれば良いのでしょうか。

家財の補償額を決める際には、保険会社が設定している目安金額を参考にするのが一番確実です。目安の金額についての表は、先ほどご紹介した「家財保険とは」の項目の<家財にかかる費用>をご参照ください。

このように、補償額の目安は保険会社から提示されていますが、提示された目安の金額通り設定しなければならないということではありません。補償額はあくまでもご自身で決定することが可能です。後ほど<メリット>の項目でもご紹介しますが、家財保険の補償額は途中から変更することが可能です。したがって、加入時は最低限の保険料を支払い、生活に余裕ができたり、家族が増えたりした時に、補償額を設定し直し、保険料を変更することができます。

保険料を確認しよう

家財保険に加入する際には、保険料について検討しましょう。多くの会社が様々な金額のプランを用意しているので、ご自身の家庭の状況に一番適切なプランを選択することが大切です。

保険料は、家族の人数に応じた家の広さ、住んでいる地域、マンションか一戸建てかといった条件により異なります。

たいていどの保険会社の家財保険に加入したとしても、年間1万円程度の保険料がかかります。

例として、ここでは損保ジャパン日本興亜と日新火災の家財保険料について見てみましょう。4人家族のマンション住まいの場合について考えてみます。

損保ジャパン日本興亜の場合

東京の3LDKのマンションに住まう4人家族の場合、家財保険にかかる費用は次のようになります。

引用:損保ジャパン日本興亜

損保ジャパンの家財保険を利用した場合、地震保険を付加しなければ、どのプランであっても月々1万円以内の保険料で済みます。ただし、地震保険を付けた場合は毎月3万円前後の保険料がかかります。

それぞれのプランの違いは、「自己負担額」と「補償に含まれるもの」に見られます。「自己負担額」とは実際に事故が起った場合、「損害額のうち、自分が負担する分の金額」のことを指します。「おすすめプラン」であれば、自己負担はかかりません。つまり、再購入の時に全額補償してくれるということです。一方で「標準プラン」では5万円の自己負担、「エコノミープラン」では10万円の自己負担がかかります。

親日火災の場合

一方で、日新火災の家財保険を見てみると、4人家族でマンション住まいの場合、年間保険料は1万5000円前後となります。損保ジャパンよりもかなり高めですが、追加保険料なしで「借家賠償責任2,000万円分の補償」「修理費用300万円の補償」「個人賠償責任1億円の補償」「被害事故法律相談費用等30万円の補償」がセットで付いています。

このように、保険会社により保険料や付加される補償が異なるので、「どのくらいの保険料であれば支払っても良いか」「付加したい補償は何か」という点について、あらかじめ熟考してから保険を選ぶのが良いでしょう。

家財保険に加入する時に気を付けたいこと

家財保険に加入する際には確認しておきたい項目があります。これらを見落としてしまうと万が一の事態が起きたときに、自分に大きな負担や損失がかかってきてしまうので注意が必要です。それでは確認していきましょう。

明記物件に該当するものがあるか確認しよう

家財保険では、1個1組30万円を超える家宝(貴金属・美術品・宝石)は補償の対象となりません。これらは「明記物件」として扱われ、家財保険の補償とは別に補償を付ける必要があります。「明記物件」についての詳しい情報は<補償範囲の物は>の項目をご参照ください。

借家人賠償責任保険に加入しよう

賃貸住宅に住む予定がある場合には、家財保険とセットで借家人賠償責任保険に加入するようにしましょう。マンションやアパートは大家のものであるので、借家人が部屋に損害を与えた場合には、修理するなどして元通りにする必要があります。しかし、自力で修理費数千万を出すのは到底無理ですよね。そこで借家人賠償責任制度に入っておくことで、修理費にかかる費用を賄うことができます。

このように、万が一のことを考え、借家人賠償責任保険に入る必要がありますが、賃貸住宅を借りる際に不動産や大家から加入するように指示されない場合もあります。そのような場合には、忘れずに自分から加入する必要があるということを頭に入れておきましょう。

メリット・デメリット

引用元:photoAC

家財保険に加入する前にはメリット・デメリットについて確認しておきたいものです。具体的にどのようなメリット・デメリットを挙げることができるのでしょうか。

メリット

補償の対象範囲の広い家財保険ですが、どのようなメリットをあげることができるのでしょうか。1つずつチェックしていきましょう。

補償額の設定は変更可能

家財保険の補償額の設定は、途中から変更することが可能です。したがって、始めのうちは低めの金額に設定し、家族が増えたり、家財保険に回すことのできる資金が増えたりしたタイミングで金額を上げて本来必要とされる補償金額に設定することができます。

賃貸の住まいであれば借家人賠償保険で安心

家財保険は、特約として借家人賠償保険を付けることができます。この特約は賃貸に住んでいるのであれば、是非つけておきたいものです。賃貸は自分の家ではなく、大家から借りている家です。したがって、万が一自分が原因で火事を起こしてしまったり、お風呂の水があふれて階下に漏れてしまったりした場合には、借りている建物自体に被害を及ぼしてしまいます。このような状況に陥った場合、その家を借りている人は大家に対して損害賠償責任を負う必要が生じ、部屋を回復させる義務を負うことになります。その際に、家財保険とセットで、借家人賠償責任特約にも加入していれば、補償の対象となり負担も減るのです。

賃貸住居の入居者は、必ず借家人賠償保険の特約を付加しておくということを覚えておきましょう。

家財の再購入費の負担が減る

火災に遭い、自宅が全焼してしまった場合には、家財を新しく買い揃えなければなりません。しかし、全ての家財を買い揃えるとなると1,000万円以上もかかってしまい、家計にも大きな負担となります。この時に大きな助けとなるのが家財保険です。家財保険に加入していれば、新しく購入する必要のある家財の費用を補うことができます。

たいてい、一戸建てあるいはマンション自体を所有している場合、家財保険は火災保険の特約として加入することになっています。

単体でも契約できる

家財保険はたいてい火災保険の特約として付加する保険ですが、家財保険単体でも加入することが可能です。賃貸住宅にお住いの場合には家財保険のみに加入するケースがほとんどです。

大した火災でなくとも補償の対象となる

火事が発生した場合、大きな被害を受けなくても補償の対象となります。たとえば、ボヤ程度の火事で済み、自宅が全焼しなくても、家財が駄目になってしまうこともあります。その場合には、きちんと補償の対象になるのです。このように大した被害に及ばなかったとしても補償を受けることができる点が魅力的ですね。

盗難に遭ったときも補償してくれる

家財保険が適用されるのは、火災に遭い、家財が被害を受けた場合のみにとどまりません。盗難に遭い、家財が失ってしまった時にも補償の対象となります。

火災の発生場所が自宅でなくとも補償を受けられる

マンションやアパート、集合住宅などに住んでいる場合は、隣の部屋で起きた火災を被ることもあります。隣で起きた火事で家財が被害を受けた場合にも、補償の対象となります。このように、自分の家が原因で起きた火災でなくとも被害が及んだ場合には補償の対象となるのです。

デメリット

加入しておけば、万が一の事態に遭遇しても安心な家財保険ですが、その一方でデメリットも存在するはずです。加入する前に、注意しておきたいデメリットについてしっかりと把握してから家財保険を選びましょう。

保険にかけたお金が役立たないこともある

保険については当然考えられることですが、家財になんらかの被害が及ばない限りは、保険にかけたお金は無駄になってしまいます。万が一の緊急事態に遭った時には、保険に加入していれば非常に助かりますが、何も起こらない場合には、ある意味保険が負担にもなっているのです。私たちは保険料を支払うことで「安心」を買っているのですね。ですから、平時においては保険料を支払っても手元には何も残りません。本当に必要かどうか、熟考した上で加入しましょう。

明記物件は申告が必要

先ほどお伝えしたように、30万円を超える家財には「明記物件」と呼ばれるものが必要です。明記物件では申告を行なわなければならないため、少し手間がかかります。申告には、鑑定書やその家財の金額を証明する資料が必要となります。面倒ではありますが、明記物件の手続きを忘れてしまうと、補償を受けられません。30万円を超える家財がある場合には、明記物件の手続きを忘れないようにくれぐれも注意しましょう。

最後に

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月々保険料がかかるものの、家財の総費用が1000万円以上だと考えると、加入しておいた方が関心ですね。家族構成や年齢、一戸建てか賃貸住まいかで家財保険の保険料は異なります。家財保険を検討する際には、保険として毎月支払っても良い金額、そして付加したい特約について慎重に考えた上で、自分に最も適した保険を選ぶようにしましょう。