トラブルを避けるための形見分けをする時の適切な時期と頂いた時のマナーとは




亡くなった方が使っていた物などを分けて頂く形見分け。何気なく貰ったりあげたりしているようですが、実はきちんと覚えておいた方がいい常識やマナーがあるのです。

そこで今回は、いつか自分もするかもしれないし頂くかもしれない形見分けの事についていろいろとお話ししていきたいと思います。

引用:photo-AC

形見分けとは

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形見分けとは、亡くなってしまった方が常日頃から愛用していた装飾品、衣類、アクセサリー、着物などを生前親しかった方、ご縁のあった方、親族などに分ける事を言います。

故人の代わりに使ってもらう、また故人と同じように愛用してもらうという意味合いもあり、片身分けという書き方をする事もあります。

形見分けの品

実は、形見分けの品物に「これはダメ」「あれはダメ」という事はありません。故人にまつわる物であればどんな物でも形見の品となります。ただ、受け取って頂く人の事はきちんと考えて選ぶ必要があります。

  • 生前に愛用していた時計や貴金属
  • 故人が趣味で作っていた手芸用品
  • 定年退職後にやっていた盆栽
  • 仕事で使っていた万年筆など
  • 好きだったスポーツで使用していた道具類
  • 故人が大切にしていた着物や帯類
  • 趣味で収集していた骨董品や美術品

その他にもスーツやネクタイ、礼服、コートなどの衣類や小さな雑貨類まで、あげればキリがありません。また、ガーデニングが趣味だった方が育てていた花の種や球根などを形見分けとして配る方もいらっしゃいます。

形見分けの品物は、「受け取る側が嬉しいと思える物」、「受け取る側に縁のある物」、また実用的な物などを選ぶようにするのが好ましいといえます。

貰った人が困るような物は避けるべきなのです。したがって、上記のように亡くなった方が育てていた花の種や球根などをあげる場合は、貰っても困るだろうと推測される人にはあげないようにすべきです。

庭などが無いマンション住まいの方、たとえ庭があっても1人暮らしで高齢の男性、そしてガーデニングには興味のない人などには迷惑でしかありませんので、どうしてもあげたいのであれば別の物を考えてあげるようにします。

形見分けの時期

形見分けを行うのは、葬儀が終わって少し落ち着いた頃にするのが一般的ですが、葬儀から何日後にしなければならないとか、いつまでに済ませなければならないなどという決まりは特にありません。

また、宗派によっても若干の違いがあるようで、仏式だと四十九日の忌が明けた頃、神式では五十日祭の頃、キリスト教の場合は故人が亡くなってから1ヶ月後に開催される追悼ミサや記念会の頃が形見分けをする時期のおおよその目安となっているようです。

形見分けをする側のマナー

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ここからは、形見分けをする立場になった時のマナーや注意点を詳しく見てみたいと思います。形見分けというのは人生の中でそう度々あることではありませんが、万が一のために知っておいた方がいいと思う事をまとめてお話ししていきたいと思います。

遺品整理

葬儀が済んで気持ちも落ち着いてきた頃になると少しずつ遺品の整理をしなくてはなりませんが、その際に形見分けの事を考えながら整理するというのが大切なポイントとなります。

1つづつ故人が使用していた時の光景を思い浮かべると悲しみがよみがえってしまうかもしれません。しかし、大切な家族と永遠のお別れをする事になってしまったのはとても悲しい事ですが、いつまでも悲しみから抜け出せずにいると故人が心配して成仏できないと言われています。

また、どれもこれも故人の思い出があるとは思いますが、すべての遺品を形見分けとして貰って頂くわけにはいきませんので、遺品整理の際に処分する物と形見分けをする物とにきっちり分けるようにします。

その後で、どんな方にどのような物を貰って頂くのが良いのか、どのようにお渡ししたら良いのかなどを考えながらさらに分けていくと良いでしょう。

形見分けに適さない物

  • 年代物で現在は使用できない電化製品(レコードプレーヤー、ビデオデッキ、蓄音機など)
  • とても高価であっても損傷の激しい物や壊れている物(虫食いのある着物や帯類、止まったまま何年も放置されていた時計、手入れされないままになっていたオートバイや車など)
  • 着古した衣類

上記の物は、親族などで「欲しい」という人がいればあげても構いませんが、通常の遺品整理では処分する物となります。また、急死してしまったお母様が倒れる直前に作っていた煮物やお漬物があるという時も、近しい親族などで食す分には問題ありません。

また、故人と親しくしていたお友達やご近所の方が、「生前〇〇さんが使っていた〇〇を形見として頂きたい」と、具体的に欲しい物を指定してくる場合があります。その際は、あげても差し支えない物であればもちろん快くあげても構いません。

ただし、その物が壊れていたり使い物にならなくなっていた場合は、「こんな状態なのですが..」と品物の状態をきちんと伝え、それでも「欲しい」という意思を確認してからお渡ししてください。

故人が大切にしていた物、愛用していた物を形見分けとして人に貰って頂く事、そして個人に代わってその人が使ってくれたりする事は供養にもなります。親しかったお友達などには毎日身に着けてもらえるような物を選ぶと良いでしょう。

年代や趣味・嗜好、性別などに分けてリストを作成しておくと、全ての形見分けを終えた後で「あの人にも何かあげるべきだったのに」などという事にならなくて済みますね。

形見分けの注意点

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形見分けをする際の注意点はいくつかありますので、よく覚えておいてください。まず最初に、遺品はプレゼントではありませんので、上の画像のように梱包したり包装したりしてはいけません。

どうしてもという場合は、きっちり包んだり梱包したりせず風呂敷などに包むか、小さな物であれば奉書紙や半紙など薄くて白い紙を使って軽く「くるむ」程度にしましょう。

しかし、故人が趣味で収集していた骨董品などの割れ物をあげる場合は、届けるまでの間に割れてしまわないようにクッション材などで軽く包むなどの対策をましょう。

高価な品物には要注意

形見分けの際に最も注意すべきなのは税金の事です。実は遺品の中には相続税や贈与税がかかってしまうものがあるのです。親族の方や親しい人に形見分けをした事で税金がかかってしまうと大変なことになってしまいます。実際に形見分けの品物で親族同士が揉めてしまうことも少なくありませんので注意が必要です。

目上の人にはNG

形見分けというのは目上の人から目下の人へするのが一般的です。しかし、仕事関係などでとてもお世話になった目上の方にどうしても貰って頂きたいという場合もあります。

例えば亡くなった方が学生だった場合などは、お世話になった担任の先生に何か遺品を、と考える方もいらっしゃいます。その場合は、いきなり届けたりせずに「大変失礼ですが..」などの一言を必ず添えて、事前に形見分けを貰って頂けるかどうかを確認してからにしましょう。

基本は手渡し

形見分けの品物は基本的に手渡しすることになっています。いつまでに終わらせなければならないという決まりがないので、遺品整理の時に誰に何を貰ってもらうのかを考えて分けた品物を、1つ1つお届けするようにします。ただ、遠方に住んでいて直接届ける事が不可能な場合に限っては宅配便などを利用しても構いません。

その場合も、必ず事前に電話をするなり手紙を送るなり、何かしら連絡を入れて貰って頂けるどうかをきちんと確認してからにします。生前どんなに親しい方だったとしても、くれぐれもいきなり送り付けるような事をしてはいけません。

形見分けをする人の選定

これはとても大事な事です。遺品整理をしている中で「ああ、この人とは本当に仲が良かったんだな」と確実に分かる方や、生前よく故人の口から名前が出ていた方などは形見分けをする方としてほぼ問題はないと言えます。

問題なのは関係性が不明な方です。葬儀に来て頂いたからといって全員が親友レベルとは限りませんし、自営業の方などに多いのですが、もしかしたら顔を合わせたのは数回程度という取引先の方かもしれません。

いくら形見分けが供養でも、そんな方に形見分けをするのは完全に間違っていますし失礼にあたりますので、よく調べて選定する事が必要です。しかし、関係性が分からない方を一人一人調べるのは手間も時間もかかりますので、迷った場合は形見分けをしないでください。

それでも、遺族が知らなかっただけで実は大親友だったという事が後から判明した場合は、「存じませんで失礼致しました」などのお詫びと、「もしよろしければ」と何かもらって頂くようにしましょう。

形見分けのトラブル

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実は、形見分けが原因で家族が揉めてしまうという事は意外に多いようです。特に多いのは、「私が欲しかったのに何故あなたがコレを貰うの?」とか、「〇〇が貰った物は私のよりも高価だ」などという言い合いから発展するいざこざだそうです。

まずは血族

親兄弟、子供、孫など、まずは血族から形見分けをする事は当たり前のように思えますが、これをしなかったばっかりに親族間で揉め事になったというケースが少なくないのです。

例えば、祖母が生前「おばあちゃんが死んだら〇〇ちゃんにこのネックレスあげるからね」などと孫に高価なネックレスをあげる口約束をしていたとします。いざ形見分けの時になって、そのネックレスが形見の中で一番高価な品物だったりすると、言い合いが始まってしまいます。

孫が小さな子供だった場合は「ただの口約束だから無効だ」と言われたり、「この子にあげても結局は母親である〇〇の物になるだろう」とまで言われ、成人していれば「うまく取り入った」とか「欲しいから嘘を言っているのだろう」などと言われてしまう事もあります。

ですから、揉め事になると思われる遺品は喪主になっている方がまずは管理して、親族の中でも血縁の近い人から順にあげるようにしましょう。残っている衣類(着物など高価なものは除く)や雑貨類などは、使う(欲しい)という方がいれば持ち帰ってもらうようにします。

親族以外にあげる形見

生前特に親しかった方などに形見分けをしたいと思う方は、上記の通り親族への形見分けが全て終わった後にしましょう。盆正月も顔を見せない親族よりもその人を信頼していたり、家族以上の付き合いをしていたと誰もが認めるほど親しかったとしても親族から見れば他人なのです。

そのような、生前とてもお世話になった方にも嫌な思いをさせてしまう事になってしまいますので、後で親族にバレたら揉めごとになってしまうような品物は親族間で貰ってもらいましょう。

また、形見分けをすると絶対に取り合いになったり揉め事になると予測される物があるのであれば、必ずしも誰かにあげる必要はありませんので、「生前とても気に入っていた物だから」という理由を付けて棺の中へ入れてしまいましょう。後々もめて嫌な思いをするぐらいなら、こうした究極の決断もあって良いと私は思います。

知らない人からの申し出

もしも、同居していた家族はもちろん、親族も誰も知らない人が急に現れて「生前〇〇さんから形見分けをもらう約束をしていた」などと言われたらどうしたら良いのでしょうか。その場合は「申し訳ありませんが私たちで決めさせて頂きます」などと言って丁重にお断りしましょう。

もしかしたら皆が知らなかっただけで本当に仲良しだった方かもしれません。しかし、中には悪質なリサイクル業者が知人を装ってお金になりそうな物を貰っていくというケースだってあるのです。

遺品整理ができない時

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離れて暮らしている場合、葬儀までは滞りなく無事に済ませて帰宅したものの、遺品整理のために帰省する事ができない、時間がなかなか取れないという場合はどうしたら良いのでしょうか。

プロに依頼する

そんな時は遺品整理のプロにお任せしましょう。もちろんお金はかかりますが、自身が帰省する場合も交通費がかかりますよね。高齢化社会の現代ですから遺品整理の業者さんは全国各地にどんどん増えていますし、良心的な料金設定のところも多いので安心してお任せできます。

例えば下記の業者さんの場合は、間取りが1Kで作業員1名なら35,000円から、1DKで作業員2名なら55,000円から、1LDKで作業員3名なら70,000円からという料金設定となっています。

参考サイト:遺品整理ネクスト

他にも数件調べてみましたが、ほぼ大差はないようです。上記は基本料金ですが、こちらの業者さんの基本料金には遺品を仕分けるだけではなく、梱包や搬出、処分代金の他に共同供養の代金まで含まれています。

業者さんの中には、価値が分からないような品物の査定もしてくれるところもありますので、遠く離れていて頼める親族などもいない場合は業者さんに依頼するというのも一つの方法として覚えておいてくといいですね。

形見分けを貰った側のマナー

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では次に、形見分けを貰った側のマナーや注意点をお話しします。私も20歳の時に学生時代の友人を亡くし、形見としてたくさんの遺品を頂いた経験がありますが、その時の事を思い出すとマナー違反だったと感じる事もあります。

若かったとはいえ、きちんとしたマナーを知っていたら..と恥ずかしい限りです。皆さんがそんな事にならないように、形見分けを頂いた時にしなければならない事などをお話ししていきたいと思います。

故人との関係

もしも、亡くなった方の家族から「形見分けをするので貰って欲しい」と連絡が来たら貴方ならどうしますか?ここで「是非とも頂きたい」となるのか、「どうして私に?」となるのかは故人との関係性がどうだったのかによって決まりますね。

私の場合は親友だったので、彼女のお母さんから連絡を頂いて「是非」と即答しましたが、もしも亡くなった彼女が単なる同級生だったり知人レベルだった場合は戸惑ったに違いありません。もしも、「どうして私に?」と思うような方の遺族から形見分けをしたいと言われたら断わるべきか否か。

上手な断り方

断る事そのものはもちろん失礼にはなりません。しかし、断り方に気を付けないと相手を傷つけてしまう事にもなり兼ねません。そして決して「どうして私に形見分けをくれるのですか?」などと聞かないようにしましょう。

遺族の方によっても考え方はいろいろです。面識のあった方全員に何かしら受け取って欲しいと思って、故人が趣味で作っていた手芸用品や、余っていた生地を使って作ったポケットティッシュケースなどをなどを「供養のために」と言って配ったりする方もいらっしゃいます。

ただ、そんなに親しくない方の形見を頂いても、好みでなかったり必要ない物だったりすると、遺品だけに簡単に捨てるわけにもいかず正直困ってしまいますね。そんな時は上手にお断りすればいいのです。

【断り方①】

「そのような大切な物を私にも分けて頂けるなんて恐縮です。ただ、手元にあるとついつい思い出して悲しくなってしまうので、お気持ちだけありがたく頂戴したいと思います」と、嬉しいけど故人を思い出してツライという気持ちを伝えてお断りします。

【断り方②】

①と同様まずはお礼はきちんと言って、「私は普段使わないので、どなたか使って頂ける方に」と柔らかく断ります。「せっかく頂いた形見でも使わないで置いておくのでは供養にもなりませんので」という言い方も良いです。

「要りません」という気持ちをストレートに伝えてしまうと、大切な家族を亡くして傷心のご遺族を更に傷つけてしまいます。あくまでも「欲しい気持ちはある」というのが相手に伝わるような言い方を選ぶことが重要です。

お返し物について

冠婚葬祭やお見舞いなどを頂いたらお返し物をしますが、先に触れたように形見分けはプレゼントではありませんのでお返し物は不要です。してはいけないという決まりはありませんが、形見分けのお返し物はしないのが一般常識となっています。

亡くなった方が子供の頃から幼なじみだった、無二の親友だったという場合などは遺族としても故人が大切にしていた物の中でも特に良い物を貰って欲しいと、比較的高価な物を差し上げる傾向があります。

そのような大切な物を頂いたら、どうしてもお返しをしたくなるのが心情ですね。その場合は、遺族に対してというよりも仏壇に備えるお花やお線香、お菓子などを買ってお参りに行くようにしましょう。

注意する事

形見分けをしてもらった品物のことはもちろんですが、形見分けをもらった事実そのものも出来るだけ口外しないようにしましょう。口は禍(わざわい)の元と言いますが、まさしくその通りです。

【親族の場合】

親族の場合は、衣類や愛用品などの比較的安価な物であれば問題はないのですが、高価な貴金属などを貰った場合は要注意です。もしも喪主の判断で形見分けが行われたとすると、他の親族が何をもらったのかを知らないケースがほとんどです。

親族が顔を合わせる機会があった時に、「このネックレスは〇〇の形見分けでもらった物なのよ」などと言えば、「なぜ〇〇にだけこんな高価な物をあげたんだ」、「1人だけズルイ」などともめてしまう事も皆無とは言えないのです。

もらった方としてみれば、皆が何かしら貰っていると思って口にしたとしても、喪主の独断で実は自分にだけくれたかもしれないのです。

【親族以外の場合】

仲の良かったお友達が亡くなって形見分けに衣類を頂いたとします。その洋服を着て友達とお出かけした際に「このスカートもブラウスも〇〇ちゃんの形見分けでもらったのよ」と言ったら、その友達は「私だって小学校からずっと同じクラスで仲良しだったけど何も貰ってないよ」となってしまいます。

実はこれ、私がやってしまった事なのです。亡くなった友人はアパレル系のお仕事をしていたので、とてもお洒落で素敵な洋服ばかりでした。彼女のお母さんに「着用することで供養になるから全部もらって欲しい」と言われて、私を含め3人で分けました。

お母さんにしてみたら、面識もあって休日などもしょっちゅう一緒に出かけたりしていた私たち3人に貰って欲しいと考えたようですが、同じ同級生で仲の良かった人たちにとってはショックだったに違いありません。今ならその時の友人の気持ちも分かりますし反省点です。

ですから、親族でも親族以外でも形見分けを頂いたことはめったに口にしないという事がとても大切だという事は、私自身が身をもって経験済みです。

特別な形見分け

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もしも、亡くなったのがこの世に生を受けて間もない赤ちゃんだったり、まだまだ人生これからという子供さんだった場合の形見分けについて最後にお話ししたいと思います。

通常は亡くなったのが小さい子供さんだった場合、その子供さんが大切にしていた物を親族が「思い出に」という気持ちでもらう事はあっても、改まって形見分けという事はしないのが一般的です。

しかし、形見分けとはちょっと違った形で、その子が通っていた保育園や学校などに何かをするとか、特に仲が良かったお友達に何かをあげるという事をされる方はいらっしゃいます。

このような場合も順番を間違えて、思い出の品物などをお友達などにあげてしまうと大変なことになる可能性があります。亡くなったその子の祖父母や親兄弟などがもちろん最優先ですので注意しなければなりません。

弔問に来てくれたクラスメイトなどには、亡くなった子供さんが好きだったお菓子などを学校や保育園に持っていき、先生から配ってもらうようにすると良いです。

まとめ

いかがだったでしょうか。形見分けは必ずするものではありませんが、いつか貰ったりあげたりする機会があるかもしれません。もしも形見分けを頂いた際はこの記事を思い出して、きちんと対応できるように覚えておいてください。