今更聞けない三大疾病保険を解説!そのメリットとデメリットとは

保険に加入すべきか悩んでいるという人は少なくありません。病気や事故といった不測の事態に備えることができる保険は、いざ自分や家族がそのような事態に追い込まれた時に大変役立ちます。しかし、どの保険を選ぶべきなのか、どのようなプランが自分に合っているのかを、数多くの保険商品の中から自力で把握するのは大変難しいと思います。

そこで今回は”三大疾病”と呼ばれる、日本人の死亡順位ワースト3に対する保険である「三大疾病保険」について詳しくお話していきます。

引用元:photoAC

 

三大疾病保険について

引用元:photoAC

まず始めに三大疾病保険の基礎的な部分についてお話していきます。保険には様々な種類がありますが、三大疾病保険はその名の通り”三大疾病”に特化した保険内容となっています。

三代疾病とは

日本人の死亡順位ワースト3を占めている”三大疾病”は「がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中」の3つのことを指しています。日本人の死亡順位上位を占めていることもあり”国民病”という別称も持っています。

これら3つの病気の発症や進行は、普段の生活習慣が大きく関わっていると考えられています。不規則な生活や栄養バランスの偏った食事、運動不足やストレス過多、過度な喫煙やアルコール摂取など、体に害をもたらすような事象の積み重ねによって、そのリスクは高まると言えます。

これらは自覚症状が少なく、ある程度進行してから症状が現れるというのが厄介です。年齢が上がることによって三大疾病の割合が高まり、年齢が下がれば割合は下がりますが、誰にでもあり得る病気だということをお伝えします。というのも、私は20歳の頃「悪性リンパ腫」という血液のがんと診断されたからです。

自分自身が血液のがんになったのをきっかけに、三大疾病はいつ・だれにでも起こりうる病気なのだと知りました。身近なものとして感じたくはありませんでしたが、病気は本当にいつ起こるものか分かりません。

三大疾病保険とは

今回ご紹介する三大疾病保険は、これらの病気に対して用意されている保険であり、発病してから数十日後に300万円ほどの保険料が支払われるものとなっています。この保険は条件に値すると一時金が受け取れる保険だと認識して良いでしょう。そのため病気になった際、一度に大きな金額が受け取れる保険として利用できます。

後半でも紹介しますが、この保険に加入するための条件は少々厳しめに設定されているものの、入ったから損をする、という保険ではないと考えています。

というのも三大疾病のみならず、病気は症状が軽いものから重いものまで様々です。幸い私ががんになった時には年齢が若かったこともあり、通院で抗がん剤治療と放射線治療を受けることができ、大学にも通っていましたが、症状が重い場合には通勤・通学もままならないことがあります。

仕事をしていた人が、仕事ができないほどの重い症状になってしまったら、収入も当然減り、治療費にかかる負担は大きくなりますよね。家族がいる場合にも、家族を支えるだけの備えがなければ負担になるはずです。そのような場合に備えて、大きな額を一度に受け取れる「三大疾病保険」は備えとしては十分な保険となることでしょう。

参考文献:保険の教科書

保険の定義

もちろん正直に言うと、保険の種類とあなたの今の年代によっては、保険が必要ないと思われる場合もあります。例えばよくある話で「20代で生命保険に入る」というのはあまり現実的ではありません。なぜなら20代の人が病気やケガで亡くなる確率は4.3〜8.1%と低く、加えて保険の受け取り人も一体誰が受け取るの?という話になってしまいます。

何のために、誰のために、保険に加入するのかがはっきりしていないうちは、それでも不測の事態はいつ起こるか分かりませんから、堅実に貯金で固めておいた方がいいと考えています。

元々保険は、病気やケガだけでなく、不慮の事故による死亡、台風や地震といった自然災害等、想定できない様々なリスクから身を守るために用意されたものです。同じような悩みを抱えている人が一定の保険料を支払い、その資金の中から保険を必要とする方に支払う、といった制度なのです。

加入目的が定まっているのであれば、「保険に入るのは損」という回答にはならないことでしょう。

参考文献:20代で生命保険に入るのは、やめなさい保険ってなんだろう 東京海上日動

提供している会社は?

三大疾病に関する保険を提供している会社には、アフラック、メットライフ生命、チューリッヒ生命などが用意しています。後半にも各社が紹介している保険の内容をいくつかご紹介いたします。

加入について

引用元:photoAC

さてここからは実際に三大疾病保険に加入するために必要な知識をご紹介していきます。加入するための目的や条件をご紹介しますが、支払要件が少々厳しめだと評判の保険となっています。

加入する目的にはどんなものがある?

不測の事態に備えるといった点では、どの保険でもそうだと思いますが、万が一働けなくなった時のことを考えて加入を考える人が多いようですね。重い症状になると、自分では治療しながら働きたいと思っていても、思い通りに体が動かないことがあります。そうなればその分、収入も減ってしまいますよね。治療費がかかり、収入が減ってしまえば、家族の暮らしを支えることも難しくなってきます。

三大疾病保険に加入していて、支払い要件が満たされていれば、一時的に300万円程度の保険金を得ることができますから、治療費として利用でき、暮らしを支えることにつながります。

加入条件はあるの?

加入条件に関しては、「三大疾病保険」を提供している会社によって細かく異なりますが、まだ病気を経験したことのない、健康な人であれば加入はしやすいはずです。今回のお話から「三大疾病保険」に興味を抱いたのであれば、一度保険の窓口へ足を運び、自分が支払える保険料の予算を伝えて、加入できる保険を紹介してもらうと良いでしょう。

終身タイプと定期タイプの選び方

また保険には「終身タイプ」と「定期タイプ」が用意されていることがほとんどです。これは不安を一生涯軽減したいか、一定期間だけ軽減したいかという希望によって異なります。

例えば遺伝子検査や身内で「三大疾病」により亡くなった人が多く、生涯その不安を軽減したいと考えている場合には、どうしても保険料はかかりますが「終身タイプ」を選んだ方が安心感が得られるかと思います。

一方で、自分からコツコツとお金を貯めて万が一に備えている、今はローン返済もありお金がない、突然「三大疾病」になるのが不安、といった人には保険料が抑えられるという点からも「定期タイプ」が好ましいと言えます。

保険の加入、保険料の支払いは、自分の置かれている立場に合ったものを選ぶのが最適です。

 

メリットとデメリットについて

引用元:photoAC

さて気になるのが「三大疾病保険」のメリットとデメリットです。この部分はどうしても重要ですよね。今回紹介するメリット・デメリットの中で、自分にとってデメリットが大きかったり、メリットに感じる部分が少ないという場合には、万が一に備え貯金をしっかり行いつつ、健康に気を遣った生活を送ることをおすすめします。

メリット

「三大疾病保険」はその名の通り”三大疾病”に対して保障があります。この保険とよく比較される保険に「がん保険」がありますが、これもその名の通り”がん”に対しての保障であり、言うなれば”がん”以外の病気には適応されません。

現段階で自分の死因が100%”がん”であると特定できませんよね。死亡順位ワースト3を網羅しているということは、それだけ保障の対象が幅広いということです。これは一つ最大のメリットと言えるでしょう。

積立型が多い

また保険には「掛け捨て型」と「積み立て型」という区分もあります。「三大疾病保険」の場合には「積み立て型」の保険となっていることが多く、一定期間保険料を支払い続ければ、三大疾病になってもならなくてもお金が戻ってきます。支払って間もない段階で解約すると返戻率は低くなりますが、一定期間の払込が追われば、返戻率は上がります。

「三大疾病保険」に加入したものの、長生きすることができれば、支払った金額が戻ってくるため安心です。比較で紹介した「がん保険」の場合、「掛け捨て型」となれば解約返戻金がないため、がんにならなかったら何も返ってこない保険とも言えてしまいます。その点「積み立て型」の多い「三大疾病保険」は金銭面に関しても安心感がありますよね。

支払い額にも差がある

もちろん月々の保険料を決めるのはあなたですから、支払い額の設定はあなた自身で決めることになります。しかし「積み立て型」という点や、返戻率が上がるという点から考えても、「三大疾病保険」の方が同条件の「がん保険」に比べると、平均寿命まで健康に長生きできた場合の支払総額に差が出ることが分かっています。

デメリット

先にも紹介しましたが、「三大疾病保険」は一時的に出る金額が大きいこともあってか、支払い要件が厳しいことで有名です。保険会社に問い合わせたところ、対象の病気になったと思っていても、要件を満たすことができず支払われなかったというケースもあります。

例えばがんの場合には、生まれて初めてがんに罹り、医師によって診断確定された時のみ対象となります。ただし”三大疾病”の内容に「がん(悪性新生物)」とあるように、”上皮内がん”と呼ばれるがん(例えば大腸の粘膜に生じたがん)や悪性黒色腫以外の皮膚がん、保険金や給付金の支払いを開始した日である責任開始日から90日以内に罹ってしまった乳がんは、対象外となります!

急性心筋梗塞の場合には、保険期間中に発病し、医師の診察を初めて受けた時からその日を含めた”60日以上”、かつ労働の制限が必要だと医師に診断された場合が対象です。

脳卒中の場合は、心筋梗塞と同様の条件下で、言語障害や運動失調などの後遺症が継続していると医師が診断した場合が対象となり、「くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞」のみが対象です。

最後にあまり好ましくありませんが、死亡ないしは高度障害状態となった時が対象です。この条件を見る限りだと、自己判断がかなり難しいということが分かる上、急性心筋梗塞と脳卒中の場合には”60日”という条件が加わり、すぐに一時金を受け取れないことが分かります。

この条件があまりにも厳しいと現段階で思うのであれば、他に用意されている医療保険に考え直すことをおすすめします。

入院・通院日額はない

先にも説明した通り、一度に大きな額を支払われるこの保険は、入院や通院にかかる保障はありません。簡単に言えば、例えば”がん”になってしまった場合には、「がんです」と診断された時点で保険金が発生し、それ以降は入院や治療が長引こうと保障はないということです。継続した治療における保障の方が好ましいという場合にはその他の医療保険の加入を考えた方が、あなたに合っているかもしれません。

 

どんな人におすすめか

”三大疾病”に手厚い保険ではありますから、がん以外の日本人の死因上位を占める病気も心配だ、という人はこの「三大疾病保険」も加入する保険の候補に入れていいかと思います。もちろん生活習慣の乱れと関係が高いと考えられていますから、自分で生活習慣を整えることから始めるのが第一ですが。

ただどうしても現段階で生活習慣に乱れを感じていて、生活習慣を整えようとしているけれど、もしもの備えをしておきたい!と考えている人は視野に入れてもいいのではないでしょうか。

また金銭面でも、保険の「掛け捨て型」にもったいなさを感じる人は、「積み立て型」の多い「三大疾病保険」は向いています。月々に支払う保険料の額を下げるのか、保障を受けつつ貯蓄していき、健康だった場合に解約返戻金を受け取るのを重視するか、自分の生活スタイルやお財布とも相談した上で決めると良いでしょう。

三大疾病になってしまったら

引用元:photoAC

「三大疾病保険」についてご紹介してきましたが、なんだかんだ言って気になるのは、実際に”三大疾病”に罹ってしまった時にかかるお金のことなのではないでしょうか。保険に加入することで多少保障されると分かっていても、実際突然の入院や治療でどれだけ罹るのか知りたいですよね。また私が血液のがんになった時、お世話になった公的制度も一緒にご紹介します。

治療日数はどれくらい?

三大疾病は治療が長期化しやすい特徴があります。私の場合は治療終了に半年かかりました。これでも短い方だとは思います。毎週1回の抗がん剤治療、放射線治療に至っては1ヶ月間平日は毎日通うというスケジュールがこなせたのも、年齢が若かったので”がん”の進行も早い分、薬が効きやすかった、というのも理由だと思います。

”がん”は、私が経験した話にもあるように、抗がん剤や放射線治療の多くが通院で行えるようになっています。ただ心疾患であれば、定期的に薬が必要になるでしょうし、どの病気も経過観察のために必ず病院へ通うことになります。脳卒中の場合にはリハビリの必要性が生じることが多く、リハビリが生涯続くことも人によってはあります。

入院日数で見ると

厚生労働省が出した『平成26年患者調査の概況』のデータを見ると、入院日数はがんの場合20日前後、心疾患の場合は25〜30日前後、脳梗塞の場合は80日〜90日前後とされています。脳梗塞はやはり体の機能を支える脳の病気ですから、どうしても入院日数は長期化してしまうようですね。

ちなみにこの入院日数のデータは、決して病気が完治するまでの入院日数ではありませんのでご了承ください。病気別で単純に平均化したものなので、全員が全員同じくらいの入院期間になるわけではありません。私の場合は、初めての抗がん剤治療の際には3週間入院しましたが、1週間目は検査、2週間目に初めて抗がん剤を投与、3週間目は抗がん剤治療経過の様子見と言った形の入院でした。

医療・治療費について

私もお世話になりましたが、公的な制度として医療費で家計が圧迫されないよう、医療機関や薬局での支払いにかかった金額が1ヶ月の上限額を超えた場合に、超えてしまった額を受け取ることができる「高額療養費制度」というものがあります。各世帯の所得ごとに上限額は定められていますが、それのおかげで家計の負担を支えることはできます。

収入によって医療費の上限は変動します。

  • 収入81万円以上の場合、252,600円+(医療費-842.000円)*1%)
  • 収入51.5万円~81万円の場合、167.400円+(医療費-558.000円)*1%
  • 収入27万円~51.5万円の場合、80.100円+(医療費-267.000円)*1%
  • 収入26万円以下の場合、576.000円
  • 住民税非課税の場合、35.400円

となっています。年収がおよそ600万円台であれば、毎月の医療費上限は8万円台という基準を覚えておくと良いでしょう。ただし医療費としてまかなえない部分、差額ベッド代や入院中の食費、通院にかかる交通費などは実費負担となりますので、ある程度の蓄えは用意しておかないと苦しいかと思います。

参考文献:高額療養費制度を利用される皆様へ 厚生労働省

普通の病気とは訳が違う

さすが・・・とも言いたくありませんが、死亡順位ワースト3を占めるだけあって、風邪やケガなどとは訳が違います。手術入院が終わって「はい、終わり」とはならないのが苦しいところです。通院治療になったとしても、治療が長引く可能性は十分にあります。

私も一度抗がん剤治療で免疫力が下がっている時に、体が雑菌に負けてしまい、ひどい目に遭ったことがあります。微妙に苦しい微熱に1週間悩まされた後、治療のために通院した日の血液検査で白血球の数値が異様に下がっていたことがありました。抗がん剤の量を少し減らすという対処で済んだため、治療が予想以上に長引くことはありませんでしたが、その他の病気にかかってしまい、また入院というケースも少なくありません。

加えて私もそうでしたが、通院治療ができたからと言って、いつも通りの日常生活を送れるとは限りません。副作用で吐き気や口内炎に悩まさながら大学へ通っていました。恐らく働いている人の場合には、症状の重さによっては思うように働けないのも事実です。働けないがために収入が減ってしまうご家庭も少なくないでしょう。でも治療費は継続してかかり続けます。

三大疾病を予防しよう!

skeeze / Pixabay

最後に「三大疾病保険」の加入ではなく、”三大疾病”そのものを予防するための心がけをお話したいと思います。現代社会において、仕事や人間関係におけるストレスを抱えている人や、どうしても生活が不規則になってしまう、栄養バランスを考えて食事できていない・・・など、病気のリスクが高まる要因はあちこちに散らばっています。でもまずは「心身ともに健康に」を意識するところから始めてみませんか?

すぐにできる心がけ

まず行える心がけとしては、適度な運動が挙げられます。運動と聞くと、日頃運動不足気味だったり、運動が苦手な人からは不評かもしれませんが、決して激しいスポーツをしろ!という訳ではありません。通勤時間内に手軽にできる適度な運動には「エスカレーターではなく階段を使う」「一駅分歩く」などが挙げられます。突然急な運動を進められているわけではないので、挑戦しやすいですよね。

歩くなどの有酸素運動には動脈硬化を防ぐ善玉コレステロール値を上げるなどの効果があるため、健康的な体を維持する上でとても重要です。

食生活の改善も

食生活の改善も挑戦しやすいかと思います。三大疾病は日頃の生活習慣と密に関わっていると考えられていますが、特に肥満は、血管を傷つける原因にもなるため、心筋梗塞や脳卒中につながる可能性があります。そのため肥満防止のために、食生活を見直してみませんか?

まず早食いやながら食べはやめて、よく噛んで腹八分目で食事を終える意識をつけましょう。また塩分過多にならないように、スーパーやコンビニで販売されている惣菜等々の摂り過ぎには十分注意してください。その分、野菜や大豆製品など摂るべき栄養素は存分に取り入れましょう!

脂っぽい食事も避けることをおすすめします。もちろん「油=悪」ではありませんが、何事も摂り過ぎは欲ありません。動物性脂質に含まれる飽和脂肪酸には、悪玉コレステロールを上昇させる働きがあると言われていますから摂り過ぎは好ましくありません。油分が多過ぎるかな?と意識できるのであれば、減らす努力をしていきましょう!

またアルコールやタバコも過度に摂りすぎると体に毒です。飲酒の場合、肝機能を低下させるだけでなく、動脈硬化の進行の原因にも上げられますから、やはり休刊日を設けるべきでしょう。またタバコも血圧を上昇させてしまうため、動脈硬化の進行の原因です。ヘビースモーカーの方が突然禁煙すると、ニコチン依存による禁断症状に悩まされるとも聞きますから、徐々に本数を減らしていけるといいですね。

まとめ

「三大疾病保険」についてご紹介しました。日本人の死亡順位ワースト3を保障する保険ですから、万が一の備えとしては十分な効果を発揮するかと思います。もちろん、支払い要件が厳しく、また一時金としてしか支払われない点から、この保険があまり向いていない人がいるのも事実です。

しかし、身内に三大疾病により亡くなった方がいる場合や、遺伝子検査などで三大疾病を発症する可能性が高いなど、自身の体の状態に不安を抱えているのであれば検討しても損はないかと思います。