僕は今2018年11月16日にこの記事を書いているわけですが、仮想通貨業界は中々盛り上がりの兆候を見せてはくれません。
この閉塞感を打開するための要因として、いくつか上げられますが、その中に「機関投資家の資金流入」があると言われています。
今回の記事では皆さんと一緒に「機関投資家」について考えていきたいと思います!
「機関投資家って誰?」って方もいると思うので、まずは機関投資家が何者なのかについて見ていきましょう!
目次
機関投資家とは?
機関投資家とは、「巨額の資金を使って投資を行う金融機関」のことです。
大口投資家とも呼ばれます。
例えば、投資信託という金融商品がありますよね。
証券会社や銀行が、一般の個人投資家からお金を預かって代わりに運用し、利益がでたら預かったお金の分だけの配当を得られますよ、というものです。
こうして一般の個人投資家から出資を募ると、有名な証券会社や銀行は何億・何千億という巨額のお金を運用することができるのです。
その他にもとにかく、「巨額のお金を運用できる組織・団体」のことを大抵の場合「機関投資家」あるいは「大口投資家」と言います。
投資信託についての詳しい解説はこちらです!
投資信託とは?手数料やリスクはあるの?初心者向けに解説します!
機関投資家の運用方法
機関投資家の運用スタイルには、大きく分けて2つあります。
1つ目は、安定的で長期の投資をメインとするスタイルです。
このスタイルを採用する機関投資家をして、絶対に損を出せないという使命を持った、保険会社や年金基金などが考えられますね。
彼らは主として、国債や債券など比較的に値動きが安定した金融商品を好みます。
2つ目は、短期的な売買を繰り返して高い運用実績を狙いに行くスタイルです。
このスタイルを採用する機関投資家は、投資信託をなどを運営する企業などが考えられますね。
仮想通貨関連の投資に参入してくるとしたら、こちらの機関投資家ですね。
特に海外の機関投資家には、規模も大きく運営スタイルも様々で、大きな影響力を持っていることが多いです。
以下では、大まかに運用スタイルを紹介していきます!
1.ファンド
投資信託を運用し、中長期の取引によって利益を出していくスタイルの機関投資家です。
有名なところでは、アメリカのJPモルガン、アセット、マネジメント、イギリスのフィディリティ証券などがあります。
2.年金基金
日本にも年金を運用する機関(年金積立金管理運用独立行政法)がありますが、海外にも年金を運用する団体がいくつもあります。
彼らは超長期での運用が基本です。
投資した企業の経営に株主提案する「モノを言う」株主として有名なカルパース(カルフォルニア州職員退職金年金基金)などが有名です。
3.政府系ファンド
各国政府が自国の資金運用として設立した投資ファンドです。このファンドを組むのは石油や天然ガスなどの豊富な天然資源を持つ国が多く、次世代へ向けた貯えや財政赤字の穴埋めなどの目的で行います。
ノルウェー政府年金基金、アブダビ投資庁、CIC(中国投資有限責任公司)などが有名です。
4.ヘッジファンド
ヘッジファンドでは様々な取引手法を駆使して、市場がどういう状況かに関係なく利益を追求するより積極的なファンドです。
海外のファンドの場合は資金力がかなり大きく市場の影響力も絶大です。
ハンガリーのソロス・ファンド・マネジメント等が有名です。
機関投資家が仮想通貨に投資したら?
仮想通貨業界の市場規模は2018年11月の時点で30兆円と言われていますが、世界の機関投資家の運用資産をすべて合計すると、なんと数百兆円とも数千兆円とも言われています。
ビットコインの価格と時価総額は2018年11月16日現在で約63万円と約11兆円。
ビットコインは時価総額約11兆円で価格が63万円なわけです。
ここにもし、機関投資家の資金が10兆円流入してきたらどうでしょうか。
あるいは、ほんの数%流入してきただけでも、価格の上昇は大いに期待できます。
仮想通貨の中で一番時価総額が高いビットコインでさえこうなのですから、その他の仮想通貨は言わずもがなですね。
機関投資家が仮想通貨をやらない理由
しかし、ことはそう上手くいきません。
機関投資家は中々仮想通貨に投資しようという動きを見せません。
なぜ機関投資家は仮想通貨市場に参入してこないのでしょうか。
理由1:市場に安定性が無い
仮想通貨というと、2017年12月から2018年1月にかけてものすごい盛り上がりを見せた「仮想通貨ブーム」を思い浮かべる方もいるでしょう。
たった1日で何十%も上昇下落し、一夜にして億万長者になった人などが現れて話題になりましたよね。
しかし、こういった状況を機関投資家は好みません。
機関投資家にはまず第一に「顧客の財産を危険にさらしてはいけない」という、絶対に守らなければいけないルールがあるからです。
安定的に、長期的に利益を増加させていくことが目的である彼らにとっては、現状の仮想通貨市場は未成熟な市場という認識で一致しています。
理由2:市場に流動性がない
流動性とは、「どれだけ活発に取引が行われているか」という意味で使います。
仮想通貨には2018年1月の「仮想通貨ブーム」以来、この流動性が大幅に落ち込んでいます。
流動性がない市場を機関投資家は嫌います。
なぜなら、流動性が低いと、買いたいときに売り手が見つからず、売りたいときに買い手が見つからないからです。
彼らは常に大きな資金を動かすので、もし市場が暴落して、「今すぐ売らないと損をしてしまう!」という時に、売れないとなったら損失が絶望的な速度で増えていく、となる可能性があるというだけで、機関投資家はその市場から離れていくのです。
理由3:取引所を信頼できない
2018年1月にはコインチェックのネム流出事件、9月にはZaifのハッキング事件など、仮想通貨は誕生してからこれまでずっとこういったサイバー犯罪者の餌食になり続けてきました。
仮想通貨を根底から支える「ブロックチェーン技術」というものには問題ありません。
なので、仮想通貨自体が悪いというわけではないのです。絶対に改ざんできない仕組みを構築していますから。
しかし、仮想通貨を預けている「仮想通貨取引所」のセキュリティが脆弱だと、そこからハッカーによって情報を盗み出され、仮想通貨の盗難が起こってしまします。
各国の政府は、各仮想通貨取引所に業務改善命令を出していますが、中々改善しないのが現状です。
何度も言いますが、機関投資家は「顧客の財産を危険にさらさないこと」が至上命題です。
ですから、仮想通貨取引所がそのセキュリティに関する信頼を取り戻さない限り、機関投資家の仮想通貨市場の流入は見込めないでしょう。
ブロックチェーンについての詳しい説明はこちら!
ブロックチェーンやマイニング、フィンテックなどを分かりやすく解説!
まとめ
2018年10月にニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所が新しい取引所「Bakkt」を設立し、そこでビットコイン先物を2018年12月12日から開始することを発表しました。
また、アメリカの証券取引委員会(SEC)が2019年2月にビットコインETFを承認する可能性があるとのニュースも流れています。
もし、このような動きが本格化すれば、先ほどご紹介した「機関投資家が仮想通貨をやらない理由」の1と2が消えるので、「仮想通貨ブーム再来」をより一層期待できる展開となるでしょう。
理由3はどうでしょうか。こればっかりは時間が解決するしかないのかもしれません。
今後もビットコイン関連のニュースに注目していきましょう。