10人に1人が経験あり!?連帯保証人の全てと上手な断り方




皆さんは連帯保証人になって欲しいと頼まれたことがあるでしょうか。今回お話しするのは連帯保証人についてです。わかりやすい事例も交えて、ご紹介しますので、最後まで読んで頂ければ連帯保証人がどういうものなのか理解できるはずです。

また、fincleで女性200人に連帯保証人になったことがあるかというアンケートを行ったところ、なんと全体の約10%が、連帯保証人になったことがあるという結果が得られました。

このことからもわかるように、だれでも依頼される可能性のある連帯保証人についての知識をしっかりと身につけることで、突然の依頼に戸惑うこともなくなることが大切です!

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連帯保証人と保証人

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まずは保証人についてです。保証人には、①保証人と②連帯保証人というものがあります。この2つはどちらも「契約者を保証する人」、「万が一の時は債務者の肩代わりをする」という同じ意味があります。では両者の何が違うのか、という点をはじめにお話ししたいと思います。

どんな時に必要なのか

社会人であれば一度は保証人が必要になった経験があるのではないでしょうか。賃貸の物件を借りる時、車やマイホームの購入でローンを組む時の他に、お勤め先によっては入社時の書類に保証人の記入欄を設けているところもあります。特に、個人情報を扱う会社では保証人を必要とする傾向にあるようです。

保証人を簡単に説明するなら、もしも本人が支払い(返済)ができなくなった場合に、一緒に責任を負うというようなイメージですね。入社時に記入する保証人の場合は、会社に損害を与えた時の賠償責任を負うということになります。他にも保証人が必要となる場面はたくさんあります。

金融機関や消費者金融などからお金を借りる時はもちろん、学校の入学時、老人ホーム入所時、生活保護の申請時など様々な場面で保証人が必要になります。保証人というとお金を借りる時というイメージが強いですが、その人の身元を保証するというのも保証人です。

保証人と連帯保証人の違い

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「連帯」というのが付くと付かないではどのような違いがあるのでしょうか。

事例ごとにみる保証人と連帯保証人の違い

まずは、一番分かりやすい借金の事例を見ながら解説していきます。

事例①

自営業のAさんは数年前から資金繰りが立ち行かなくなり消費者金融会社に借金をしました。ところが状況がどんどん悪化、月々の返済が滞り本人との連絡も取れなくなりました。困った消費者金融会社が保証人であるBさんに返済を迫りました。

【保証人の場合】上記のような状況で消費者金融会社から連絡が来ても、Bさんには直接の返済義務はないので、「まずは本人を探して本人から回収してください」と言うことができます。

【連帯保証人の場合】お金を借りた本人と同等の返済義務があるので、本人と連絡が取れる取れないは関係なく借金したAさんの代わりに請求されるままの金額を返済しなくてはなりません。

事例②

Aさんは賃貸マンションの家賃を2ヶ月間わざと支払わずに生活していました。わざと、というのはAさんはギリギリの生活で家賃が払えなかった訳ではないからです。収入は人並み以上で預貯金もありました。それなのにAさんは家賃の支払いをしなかったのです。

【保証人の場合】事例①と同様で、「本人は蓄えもあるし家賃の支払いはできる状態だ」、「財産を差し押さえるよう強制執行して欲しい」という事もできますし、本人から徴収してくださいと主張することができます。

【連帯保証人の場合】本人に蓄えがあると知っていても、保証人の場合のように本人から徴収してくれと言う権利はなく、請求されれば滞っているAさんの家賃を支払う必要があります。

たった2つの事例ですが、これだけでも保証人と連帯保証人の違いが大きいことが分かりますね。つまり、「連帯保証人」になるという事はそれだけ重要な事なのです。たとえ自分の借金ではなくても、借りた本人に貯蓄があろうとなかろうと、督促にも応じず支払いもしなくなれば自分が肩代わりしなくてはならないのです。

3つの権利

繰り返しになりますが、保証人も連帯保証人も本人が支払いなどをしなかった場合に一緒に責任を負うという点は同じでも、上記のように「連帯」が付くのと付かないでは責任の重さが大きく異なります。そしてもう一つの大きな違いとして3つの権利というものがあります。

①催告の抗弁権

上記の事例①でBさんが「本人から回収してください」と言いましたが、まさにそれが催告の抗弁権(さいこくのこうべんけん)です。保証人になっていることは間違いないので、決して支払わなくても良いという事ではなく「自分よりもまずは本人に督促すべき」という主張ができるという権利です。

②検索の抗弁権

この検索の抗弁権(けんさくのこうべんけん)は事例②に当てはまります。本人に預貯金や土地・建物などの資産があれば差し押さえの執行も請求できますし、とにかく本人に対してやる事を先にやって回収してくださいという主張ができるのです。

③分別の利益

保証人は一つの契約につき1人とは限りません。例えば、1500万円の借入に対して「保証人を3人付けてください」と言われたとします。その返済が行われなかったとすると、3人で返済すればいいという事です。この場合は1人500万円です。

たとえ自分以外の2人が「支払いできない」と言っても、自分は500万円だけで済むという事になります。これが分別の利益(ぶんべつのりえき)です。

連帯保証人に3つの権利は無い

3つの権利についてはイメージできたでしょうか。「だったら別に騒ぐような事でもないじゃないか」なんて思った方もいるかもしれませんね。しかし、この3つの権利は「保証人」に与えられている権利であって、「連帯保証人」には3つの権利すべてが与えられていないのです。

連帯保証人の義務

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ここまで来れば連帯保証人がどのようなものなのかが更にイメージ出来てきたと思いますが、ここからはもっと詳しく見ていこうと思います。

連帯保証人が負うべき義務

当たり前ですが、お金を借りた本人が返済をする、賃貸の家賃は契約者(住人)が支払うものですよね。しかし、支払うべき債務者が支払い困難になった場合は連帯保証人がその人に代わって支払いをしないといけません。では下記の場合はどうなるのでしょうか。

  • 連帯保証人になったあと徐々に収入が減って預貯金も使い果たした。生活苦(困窮)で肩代わりはできない。
  • 連帯保証人になったあと家庭を持ち、妻にはその件を話していないし知られたくないが家計のやり繰りは妻で預貯金を勝手に引き出すことはできない。
  • 連帯保証人になったあと病気が見つかり入退院を繰り返している。医療費がかさみ自分の事で精一杯。とても代わりに支払いをすることはできない。

など、連帯保証人になった時点と状況が変わってしまった場合の措置して、①その人の生活状況によっては肩代わりしなくて良い、②支払う金額を減額してもらえたり一部のみ支払う事で残りは免除される。答えは①・②どちらの措置もありません。

つまり、連帯保証人の生活状況がどんな状態だろうと心情を汲み取ってくれるような温情的な措置など何もないのです。債務者と連帯保証人はまったく同等となるためその責任はとても重く、支払いの義務もまた債務者と同じなのです。

連帯保証人のリスク

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親しい友人や家族から、連帯保証人になって欲しいと頼まれた時あなたならどうするでしょうか。「家族だし」とか、「この人なら大丈夫だろう」という理由で安易に引き受けると大変な事になってしまうかもしれません。

支払い能力は関係ない

何度も言いますが、連帯保証人というのは実際の債務者と立場が同じで支払い義務も責任も全く同じです。もしも友人を信用して連帯保証人を引き受けたあとに自分に支払いの請求が来たら、どんな理由があろうと貴方が支払いをしなくてはなりません。

たとえ友人に支払い能力があったしてもそんな事は関係なく、貴方に支払いの請求が来れば状況がどうであれ有無を言わさず支払う義務があるのです。

賃貸の連帯保証人

万が一、貴方が連帯保証人を引き受けた人が家賃を何ヶ月も滞納したとします。1度や2度ぐらいならいきなり連帯保証人に請求が来るようなことはありませんが、何度請求しても支払いをしなかったり本人との連絡がとれなくなると貴方に請求が来ます。

数ヶ月分の家賃ならば何とかなると思いがちですが、もしも本人との連絡が取れず友人が天涯孤独な人だったりすると家賃の数ヶ月だけでは済まないこともあります。所在不明で生死も分からないので、とりあえずそれまで滞っていた家賃を支払って連絡待ちのような状態になりますね。

行方不明という事で警察に届出たとしても、契約中の賃貸物件を勝手に解約して荷物を運び出す事もできない(不法行為にあたる)ため、さらに数ヶ月間の家賃を貴方が支払いながらひたすら待ちます。その後もし解約できる事になったとしても本人ではないので裁判などをするケースもあります。

本人が行方不明だという証明が必要ですし、裁判費用ももちろん貴方が負担しなければなりません。金銭的な負担はもちろんですが、精神的にも苦しく、多くの時間も費やす事になるのです。

連帯保証人を引き受ける?

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ここまで読み進めて頂いた方の多くは、連帯保証人を引き受けるとどんな事になるのかを理解頂けたかと思いますが、では実際にお願いされたらキッパリと断ることができるでしょうか。ある企業が実施した連帯保証人に関するアンケート結果をご覧ください。

「あなたは連帯保証人がどのようなものなのか理解していますか?」

回答者の約40%が「だいたい理解している」、約20%が「あまり詳しくは理解していない」、約30%が「実際に連帯保証人になった事がある」、残りの約10%が「正しく理解している」だったそうです。この結果で驚くのは、正しく理解している人の少なさと連帯保証人になった事がある人の多さです。

100人のうち正しく理解している人が10人なのに、30人が連帯保証人の経験者という事になります。という事は、連帯保証人を引き受ける重大さを理解していないのに引き受けたという事です。

「あなたは連帯保証人になった事がありますか?」

また、別の企業が主婦200人を対象に行った下記のアンケート結果にも驚きます。200人中なんと22人が「YES」と回答しています。主婦という事はご主人や子供さんと一緒に生活しています。もしも債務者が支払いをしなくなれば、家族のためにコツコツと節約しながら蓄えてきた大切な貯蓄や生活費を一瞬にして失うことにもなりかねないのです。

回答者の中には、主婦になる前(結婚前)に引き受けたという方も居たかもしれませんが、どうして引き受ける事を決めたのでしょうか。万が一その人が支払いを止めてしまったら?というような事は考えなかったのでしょうか。

実例で見る連帯保証人

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連帯保証人になって人生が狂ってしまった、積み上げてきたものが何もかも無くなってしまったなどとという話し耳にした事はありませんか?ここで一つ、私の友人が実際に経験した実話をご紹介します。実名だと差し障りがありますので、私の友人(連帯保証人)を花子、債務者を太郎とします。

始まりはたった2分の電話

太郎と花子は交際していたわけではなく地元の同級生(私も同級生)で、たまに食事や飲みに行くという程度の付き合いでした。ある日、太郎から花子に電話があり「起業することになったから事務員として働かないか?」という内容で花子はそれを引き受けました。

立ち上げた会社はとても順調で、従業員もどんどん増えていきました。そこで太郎はそれまで賃貸で借りていた事務所兼住居を出て、1階に広い事務所、2階が住居となる戸建てを新築することにしたのです。そのため太郎は銀行でお金を借りるのですが、その連帯保証人を花子に依頼したのです。

ご主人に内緒の連帯保証人

花子は自分が経理の一切をしていて会社の収益がうなぎ登りなのを知っていましたので、連帯保証人になること自体は特に何も思わなかったそうですが、ご主人には反対されると考えたため相談することもせずOKしてしまったのです。私は何度も断るよう説得しましたが聞き入れませんでした。

ご主人に相談すれば反対されると思ったという事は、花子は連帯保証人がどのような責任を負うのか、いかに重大な決断なのかをもちろん知っていましたし知識もありました。ただ「この会社なら太郎が支払いできなくなるような事はない」という何の根拠もない思い込みから安易に引き受けたのです。

一気に転落

新しい事務所での業務が始まって2年が経った頃、太郎が交通事故を起こしました。小さな子供を死亡させてしまい、自分も後遺症が残るほどの大怪我でした。そこから状況が一変し、金銭的にどんどん苦しくなっていきました。

そんな中、従業員が会社の行く末を案じて次々と退社してしまい仕事さえできなくなり規模を縮小するのですが、それでは収入が減る一方です。精神的に不安定になった太郎はある日突然いなくなってしまったのです。

その後の花子

その後はもちろん花子のところに支払い請求が来るようになりましたが、莫大な金額を支払う事はできませんしご主人にもバレてしまいました。実は連帯保証人は花子の他にもう1人いて太郎の弟さんでした。前述のように、ただの保証人であれば「分別の利益」で弟さんと折半です。

しかし、連帯保証人の場合は債権者がどちらか一方だけに請求しても良いのです。弟さんは預貯金もない上に勤めていた会社を自己都合で退職したというタイミングだったため支払いどころではありませんでした。それを知ってか知らずか債権者は花子に全額の支払い請求をしてきたのです。

太郎のご両親などにもお願いしましたが「年金生活で余裕がない。あなたが決めてした事だから責任はあなたにある」と言われたそうです。冷たいとは思いましたが、ご両親はご両親で死なせてしまった子供の賠償金などで大変な苦労をしていたそうです。

花子は子供もいなかったためすぐに離婚を言い渡され、自己破産という結果になりました。そして現在は私も連絡が取れない状態です。自分の借金ではないのに自己破産に追い込まれるのは辛すぎます。安易に連帯保証人を引き受けるというのがどんなに危険な事なのかを痛感した出来事でした。

支払いをしないとどうなる?

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どうしても断れずに連帯保証人になったはいいが、本人が支払いを怠り自分に請求が来てしまった時に肩代わりできる金額ならまだしも、とてつもない金額だった場合は「なんで自分が支払わなければならないんだ」と怒りがこみ上げてしまいます。では、支払いの請求が来ても放置しているとどうなるのでしょうか。

最悪の場合

まさかこんな事になるなんて思ってもみなかったし、古くからの友人だったから引き受けたけど自分には預貯金もないし支払いたくない。などと言ってももちろん「わかりました」なんて事にはなりません。どう頑張って意地を張ろうと支払いをする義務があるのです。

また、何だか様子がおかしいと察知して今のうちに連帯保証人を止めるとか、誰か他の人に変更して欲しいなどという事も、よほどの理由がなければ聞いてはもらえません。例えば、連帯保証人が死亡してしまったような場合がよほどの理由です。原則として連帯保証人の途中放棄や変更などはできないのです。

連帯保証人が「預貯金もない蓄えもない」と主張したところで何も変わりません。意地でも支払いをしたくないと拒絶し続けたと、自宅や土地、積立型の保険商品やお給料など、ありとあらゆるものが差し押さえになってしまいます。

保険商品などは、差押えになった時点で解約して現金化してしまえばいい?いいえ、保険商品などが差押えになった場合、契約者である本人であっても解約することはできないのです。もしも、あと少しで満期となり1000万円が支払われるとします。

通常の満期保険金は契約者が指定している口座へ振り込まれますが、差押えられている場合は満期保険金1000万円は債権者側へ渡ります。それで残りがあれば返してもらえるという流れになります。

支払いの分割

一括返済はできないから分割にして欲しいと思う場合は債権者との話し合いで協議しますが、多くの場合は何が何でも一括返済という強要はしないようです。もし無理やりに強要して自己破産でもされてしまった場合、損をするのは自分たちだと分かっています。

ですから、支払う意思はあるけど一括返済は困難だと言って任意整理をするのが賢明な判断かと思います。

自己破産

分割の支払いでさえ無理だという場合は自己破産しかありません。ただし、資産や預貯金のある人は自己破産できませんし、その後の生活に様々な支障も出てきたりします。自分の借金ではないのに「破産者」として官報に個人情報が一定期間掲載されることにもなります。

依頼に対する上手な断り方

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連帯保証人を頼まれたら出来ればキッパリと断りたいですね。でも、家族ぐるみのお付き合いだったり大親友だったり、家族などは特に断りにくいですし、断わったためにその後が気まずいのも嫌ですよね。

1回で諦めてもらう

【夫が(妻が)絶対に許してくれない】自分は引き受けてあげたいんだけど、という一言も添えれば完璧です。既婚者の場合は夫や妻に秘密で何か大きな事をするとか高額な買い物は出来ないことは誰でも分かりますから、これを言われればしつこくお願いされる事はないでしょう。

【夫(妻)のご両親にきつく言われている】結婚する時に「どんなに仲良しのお友達でも保証人だけは絶対にならないように」ときつく言われた。内緒で引き受けてバレれば即離婚になってしまう。などと言えばまず諦めてくれます。

【僕(私)は保証人になれない】これは絶対に諦めてもらえます。どういう事か聞かれたら「実は多重債務があって審査に通らない」と答えてください。連帯保証人というのは債務者と同じなので、同等の審査があります。これに通らなければいくら本人がなりたいと言っても無理です。

債権者側は実際の債務者が支払い困難になった際に肩代わりできる人でないと連帯保証人として認めることはできないのです。ただ、この断り方だと「やってみないと分からない」とか、「もしダメだったら諦めるからやるだけやってみて」などと言われる可能性もあります。

その場合は、「ブラックリストだから100%無理なんだ」とハッキリ言いましょう。自分がブラックリストだなんて言いたくないと思うかもしれませんが、断り切れず連帯保証人になって他人の債務を返済するような事になるよりマシです。

【既に連帯保証人やってます】学生時代の親友が困ってて連帯保証人になってるから無理、と言われたら諦めるしかありません。もし常識のない人なら「1人も2人も一緒」なんて言うかもしれませんが、実はその人が支払いを怠っていて自分が支払いをしていると言えば大丈夫です。

それでもダメなら

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何を言ってもダメで諦めてくれない、しつこくお願いされて困ってしまった。また、諦めてくれたものの放っておけないような状態になってしまうと「やってあげるしかないのかも」と気持ちが揺らいでしまう可能性もあります。

保証人代行会社の利用をすすめる

保証人、連帯保証人、どちらも代行してくれる会社がたくさんありますので、そういったところを利用してみてはどうかと提案してください。保証人を必要とする方のために様々な場面に合わせた保証人を準備してくれます。

費用はかかりますが、頼める人が居ない方やお願いした人すべてに断わられたという方には最後の砦となるかもしれません。ただし悪徳業者も多いようですから、言葉で言うだけでなく一緒に探してあげるとそれだけでも喜んで貰えるのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。連帯保証人は簡単に引き受けてはいけないという事が伝わったでしょうか。どうしてもという場合は、「この人なら大丈夫」などと安易に引き受けず、万が一の事も十分に考えて慎重に決断してください。