奨学金返済に悩まないために、奨学金の制度について振り返ろう

私が大学院へ進学した際、お世話になった奨学金は、毎月しっかり返還しています。しかし学業のために用意された奨学金によって、苦しめられている若者について、テレビや新聞などの報道で見たことある人も多いのではないでしょうか。

「奨学金返済が大変」とよく話題にあがりますが、現在どのような問題が生じているのか、調べてみました。もし将来お子さんが進学される際、奨学金制度を利用する場合に備えて、今一度奨学金制度について見直してみましょう。

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奨学金返済の現状

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メディアで報道される奨学金の話題は、どうしてもネガティブになってしまいます。学業や学校へ通っている間の生活費を補うために利用する奨学金ですが、返還ができずに大変な苦労をしている若者が増えています。奨学金返済の現状について調べてみました。

奨学金を返済できない割合

今回記事後半でも紹介しますが、私もお世話になった主流の奨学金制度である「日本学生支援機構」では、平均的な借入額が約300万円となっています。返還額はおおよそ月1万7千円ほどになります。しかし現在返済している人の約4割が、普段の経済状況が圧迫されるほど返済が厳しい状態に置かれていると言います。

また返済できず滞納している人の数は、300万人近くの利用者のうち、約19万人と言われています。

 

返済できない理由

専門家が、返済できない理由の1つとしてあげているのは、現代社会における雇用形態の変化です。かつてのように終身雇用制で正規雇用されている人であれば、安定した収入を確実に得ることができる環境下で返還を続けることができましたが、昨今、非正規雇用の数が増えています。非正規雇用として働く人が安定した収入を得ることができず、返済ができない場合があるのです。

自己破産に追い込まれるケースも

経済的な余裕のない学生が学費や生活費を補うために借りる奨学金ですが、近年大学の授業料は年々あがり続けている上、世帯年収は減っているのが現状です。親からの仕送りで学生生活を送っている人もいますが、その仕送り額も年々減っています。

奨学金に頼りたくなくても、2人に1人が頼らざるを得ない状況になってしまった上、上記のような理由も含め返済することが叶わず、自己破産に追い込まれるケースが1万件にも上っている現状があります。自己破産の中でも、親が保証人になっていたため、定年退職後に一括返還の書類が届き、親が支払わなければならないというケースも起きています。

参考文献:”奨学金破産”の衝撃 若者が・・・家族が・・・ クローズアップ現代

 

奨学金制度についておさらいしよう

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私は「奨学金=借金」という意識を持った上で奨学金を借りました。また下記で紹介する利子なしの奨学金を得られるように必死になって申請書を記入した記憶があります。返還された奨学金は、奨学金を得て学業に専念しようとする学生に渡ります。しっかりとその意義を理解した上で申請しましょう。

日本学生支援機構の奨学金は3種類

主流とされている「日本学生支援機構」の奨学金は「貸与型」と呼ばれる”返済義務のある”制度です。そのため借りる時点で返さなければならない意識を持たなければなりません。

「日本学生支援機構」で用意されている奨学金は3種類あります。利息のつかない「第一種」と利息のつく「第二種」、また入学初年度のみ借りることのできる「入学時特別増額貸与」があります。また他の奨学金との併用も可能なので、他の奨学金側が併用を認めれば、複数の制度を利用することができます。

が、はじめにも言った通り「貸与型」であれば返済義務が生じますから、返せる額がどうかをしっかり把握した上で申請する必要があります。

私も借りていた「第一種」は選抜型の奨学金と呼ばれ、成績や通学形態、家庭の収入などの審査によって決められます。全員が得られるわけではありませんので、よく確認してから申請しましょう。

「第二種」は希望する金額を、家庭の収入基準さえ規定範囲であれば誰でも得ることができます。ただし返済の際には、上限3%利息がつきます。少量とは言え、利息がつくことを考えた上で、返還できるかどうか事前にシミュレーションしてから申請することをおすすめします。

返済できない場合の救済措置もあるが

どうしても返済できない場合の救済措置が、2014年4月から新たにとられています。これはあまりにも延滞者が多いため、追加されたものです。返還期限の猶予を延長したり、減額の基準を緩和したり、返還に関する書類申請を簡略化、などが挙げられます。

参考文献:奨学金なるほど相談所

まとめ

奨学金制度に関する知識をより広めるために、「日本学生支援機構」では学校と連携して、奨学金制度に関する説明会や動画を利用した周知活動を積極的に行っています。しかし、とにかく聞こえは悪いかもしれませんが「貸与型」は返還義務がある、すなわち「借金」と捉えることを忘れずにいてほしいと考えています。

将来の不安ばかり抱えるのも良いことではありませんが、返還義務を理解せずに借りることだけは避けたいところです。