立ち上げた事業が上手くいかなかった、また投資に失敗して借金がふくらんでしまった…そんなときの解決法の一つとして、自己破産があります。
「借金が帳消しになる!」と多くの人がしたことでニュースにもなったことのある自己破産。
それは本当に大丈夫な解決方法なのか、詳しくご紹介します。
目次
自己破産とは?
自己破産とは、裁判所に申し立てて免責許可をもらい、借金を免除してもらうための一連の手続きのことをいいます。
つまり、裁判所に「この人には、借金を返済することは不可能である」ことを認めてもらい、支払い義務を免除してもらう「免責」の許可を得て、はじめて借金が帳消しになるということです。
しかし「自己破産をすれば借金がなくなる」といったメリットばかりがよく語られていますが、実はそう簡単に許可が下りないことの方が多いのです。
裁判所から破産宣言が認められるには条件がある
自己破産の申し立てをすると、裁判所は申立人である債務者の話を聞き、収入や財産などから、支払いができない状態なのかどうかを判断します。
この際に、
・支払いの能力がない(無職である、怪我や病気などで仕事ができない)
・財産がない
・借金を返済するための金銭を調達できない
・返済日をすぎている借金の返済ができていない
・申立人に返済をする能力がない
といった項目に当てはまれば、認められますが、これが簡単ではないのです。
裁判所から許可が下りない場合もある
誰でも申告はできますが、簡単に許可が下りないことの方が実は多いのです。
許可が下りないケースとしては、
・返済不能にもかかわらず、金銭を新たに借り入れした
・浪費やギャンブルなど債務者自身に落ち度がある場合
・クレジットカードで購入した商品を換金した
・一部の債務者への返済をした
・財産を隠したり名義を換えたりした
といったものがあります。また10年以内に免責を申し立てていた場合にも、許可は下りません。
自己破産の場合、持っている財産を全て没収されるわけではなく、生活するために必要なものについては、そのまま使い続けることができます。
そのなかに現金があり、99万円までは残すことができることになっています。
そのため、現金を増やすためにカードで購入し、その商品を換金しようとする人もいるのです。
しかし自己破産は、お金を貸している側にとっては不利益な行為ですから、このように自己保身のための行動は許されません。
自己破産によるメリット、デメリットとは?
それでは自己破産をおこなう際の、メリット、デメリットについて見ていきましょう。
自己破産のメリットとは
自己破産の一番大きなメリットとしては、「借金の返済義務がなくなる」ことにつきます。
借金のために極端な選択をすると、最悪の状況に陥ることもありえます。
また借金の取り立てなどで、生活に支障が出ている場合などはこれがなくなるわけですから、新たに人生をやり直すためにも、必要な選択肢の一つです。
また全ての財産が没収されるわけではないので、転居する必要はなく、生活していくために必要な財産も残すことができます。
自己破産のデメリットとは
自己破産によるデメリットは、自分自身への影響だけでなく、周りの人にも及ぶことがあります。
家族が連帯保証人の場合は取り立てられる
借金が払えないと認められた場合でも、連帯保証人にはその影響は及びません。
そのため連帯保証人に取り立てが行くことになります。家族以外の人に連帯保証人をお願いしているなら、裁判所に申し立てる前に連絡する必要があります。
クレジットカードが使えなくなる
個人信用機関のリスト、いわゆるブラックリストに名前が載るため、クレジットカードの使用、新たなローンや借金の申し込みが全てできなくなります。
リストから名前が削除されるまでは、5年から7年はかかります。
就ける仕事が制限される
破産の手続きから、免責の許可が下りるまで、就くことができない職業があります。警備員や生命保険外交員など、その仕事に就いていたら続けることはできません。
ただし免責の許可が下りれば復職は可能です。
財産が没収される
預金や不動産など、資産は没収されます。
現金であれば99万円までは所持できますが、車や不動産などは没収されます。
また資産として見なす基準は、裁判所によって違いがあり、申し立てによっては、所持を許可されることもあります。
官報に名前が載る
官報を読む人はそれほどいませんが、金融関係者などで、これを見て借金の勧誘などをしてくるところもあります。
自己破産により、自宅や車を所持できなくなることもあるため、自己破産がなにもかも解決してくれる魔法の方法と考えるのは危険です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
自己破産といっても、実際にその許可が下りるまで時間がかかります。
個人でも申し立ては可能ですが、専門家に相談し、自己破産以外にも解決方法があれば、そちらを選ぶことも可能です。
借金の返済に悩んでいるなら、自分で判断せず、少しでも無理なく返済する方法などをアドバイスしてくれる、信用できる専門家を探すことが必要です。