fincleでは経済や金融に関するさまざまなトピックを取り上げていますが、今回はイタリアの経済危機について解説していきます。
ギリシャをはじめとして、スペインやポルトガルなどヨーロッパでは経済危機に瀕している国が幾つかあります。
今回はその中でも、特に危険性が高いとされているイタリアをピックアップしました。
経済破綻まではいっていませんが、イタリアの経済状況はかなり危険な状態にあると報道されています。
一体なぜこのような状況になってしまったのでしょうか。
今回はイタリアの経済危機の原因や今後の展望などについて詳しく解説していきます!
イタリアの経済危機とは?
イタリアは単一通貨ユーロが導入された年でもある1999年以来、国民一人あたりのGDPが殆ど上昇しておらず国の経済力が鈍化したままの状態が続いています。
2009年に発生したギリシャ危機を発端として、PIIGS(ピーグス)に含まれている各国は国際的に経済破綻を不安視されています。
イタリアもその内の一国として含まれており、2012年には経済危機のピークを迎えました。
その後僅かではありますが、経済は上向きになり危機は脱したかのように思えました。
しかし、2018年に入り再び経済状況は下向きとなり再び経済破綻の危機を迎えています。
そんなイタリアですが、世界で第9位、ヨーロッパでは第4位の経済規模を誇る経済大国でもあります。
それなのに一体なぜ経済危機が発生しているのでしょうか?
イタリアの経済危機の原因
イタリアが経済危機に陥っている原因としてはさまざまあります。
特に、2018年に入って以降進行している赤字財政の原因をまとめました。
楽観的な財政政策
2018年に発表された今後3年間の財政計画によると、イタリアの財政赤字の対GDP比率は2.4%と前政権時と比べ3倍に膨れ上がっています。
現在のイタリアはポピュリズム主義を掲げた「五つ星運動」・「同盟」の両連立政権によって政治運営されていますが、両政権は財政赤字に対し楽観的な姿勢を見せています。
具体的には、元々必要とされていた財政計画の修正を拒否するなどしており財政健全化への道が遠くなっているのが現状です。
現政権は2018年6月に誕生しましたが、元々五つ星運動はEUに対し懐疑的な見方を表明していました。
また、現政権は公約として最低所得保障の導入、フラット税率の導入、年金の支給開始年齢の再引き下げ、付加価値税(VAT)の引き上げ撤回、公共投資の拡大などを掲げており財政上との折り合いがつかないと批判の声が高まっています。
新政権に対する懸念
先ほども書いたとおり、EUと現イタリア政権は折り合いが悪いことで知られています。
というのも、EU側としては財政健全化に向け努力を見せて欲しいところを現政権は真逆の姿勢を見せているためです。
先ほど紹介した公約にもある通り、ポピュリズム(大衆迎合主義)を基本とした政権が財政を無視した政治運営をしていることが大きな要因でしょう。
今後の展望
このように、現政権はイタリアの財政危機に関して真摯に取り組んでいるとはいえずEU内でも懸念の声が高まっています。
前政権時にはわずかながらではありますが、財政健全化に向け歩みを見せていました。
現政権が果たしてどこまで財政健全化に向けて取り組むのか、未知数だけに不安が広がります。
世界的に小国であるギリシャが経済破綻した際も、EUでは大きな影響を及ぼしました。
イタリアの場合は世界第9位の経済規模を誇るだけに、デフォルトなどをした際には世界的に大きな影響を与えることが予想されます。
そのような状況を防ぐためにも、EUをはじめ国際世論がイタリアをしっかりと注視する必要があるといえるでしょう。