この記事では、仮想通貨を利用してお金を送金すると、従来の送金手段と比べてどんなメリットがあるのかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います!
目次
従来の送金手段って何?
かつては海外にお金を送金したいと思っても、国が異なるごとに銀行間の送金する際の基準や指示の仕方が違い、送金トラブルが頻発していました。
これを解決するために、今からおよそ45年前の1973年、SWIFT(スウィフト)と呼ばれる会社が誕生しました。
日本では、「国際銀行間通信協会」などと訳されますが、この会社が国際的な銀行間のやり取りをスムーズにするために、世界共通の「送金のための規格」を定め、コンピュータよる自動決済を導入したため、送金手続きの効率も大幅に改善しました。
SWIFTの何がいけないの?
しかし、それでも当初から完全なシステムとは言えませんでした。
例えば日本国内だけでお金のやり取りが済む場合、日本の中央銀行である「日銀」が銀行間のやりとりを仕切ってくれるので、何も問題は起きません。
しかし国際送金の場合には、日銀のような中央で仕切ってくれる「世界の中央銀行が存在しない」のです。
ですので、
「日本からスウェーデンにお金を送りたい!」
と思っても、
「いやー、日本から直接スウェーデンへお金を送る送金網は作られてないんですよね。スイスの銀行なら送ってくれるんですけど、そことも直接やり取りできないので・・・。そうだ!アメリカの銀行ならスイスの銀行へ送れるので、まずアメリカの銀行へお金を送って、その後アメリカの銀行にスイスの銀行へ送ってもらって、さらにスイスの銀行からスウェーデンの銀行へ送ってもらいましょう!」
なんてことがザラにあります。
しかも、その中継した銀行1つ1つに手数料を払わなければないので送金手数料も高くなるし、送金手続きとして各種資料の提出もあり、そういったデータをすべて人間が処理するので時間がかかります。情報が不足していたりすると送ったお金が戻ってきたりすることもあります。
そんな中もし、送金にトラブルが発生したりすると、「お金の出所をイチから調査する」なんてことも少なからず起こります。
そうなると長い場合だと送金が完了されるまで1週間近く待たされることもあり得るのです。
ハッキングのリスクまである
さらにまずいことにSWIFTでは不正送金が多発しています。
金額が大きいものですと、
2016年4月、バングラデシュ中央銀行から不正送金90億円
2018年2月、ロシアでSWIFTにハッキング、約6億5千万円の不正送金
2018年2月、インドシティユニオン銀行がSWIFTハッキングにより2億円超を流出
などが起こっています。
グローバル化が進む現代社会では、世界規模で経済活動が行われるため、当然国際間送金もどんどん活発になっていきます。
こうした時代の流れを考えると、確かに世界共通の送金の規格がなかった昔と比べればSWIFTは便利なシステムだったかもしれませんが、やはり時代遅れの感が否めなくなっていきます。
しかし、それでもこのシステムを使って国際送金を行っていました。
これ以外に、海外へお金を送る手段がなかったからです。
仮想通貨を使えば海外送金がもっと便利に!
この状況を打破したのが「仮想通貨」です。
例えば、仮想通貨であるビットコインを使えば、「日本からアメリカに送って、アメリカからスイスへ送って、スイスからスウェーデンに・・・」なんてことをしなくても、お金を動かすことができるようになりました。
もし、日本からスウェーデンにお金を送りたい場合、
1.日本円をビットコインに変える
2.ビットコインをスウェーデンにいる人のビットコインアドレスに送る
3.ビットコインを受けとったスウェーデンの人が、ビットコインをスウェーデンの通貨に換金
これだけで済みます。この間延べ数十分です。
本当に安全なの?
しかし、こんなに簡単にお金のやり取りして、本当に安全なのと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
もし従来のように銀行に送金を頼んだとしたら考えなくてもいいことを考えてしまうかもしれません。
送金記録は誰がどこで管理してるの?
口座残高以上の多額の送金をされたりしないの?
変なところに送金されたりするんじゃないの?
そもそも銀行みたいに信用できるの?
確かにその通りです。
しかし、こういった疑問は仮想通貨がどんな仕組みを使っているかをしっかり理解すれば解決されます。
仮想通貨の送金の仕組み
例えばビットコインで送金する場合、ブロックチェーンの暗号技術を基にして行います。
まず、送信者と受信者の両方が、「ウォレット」と呼ばれるビットコインをしまっておく財布を用意します。
そしてそのウォレットの中に「ビットコインアドレス」という、銀行でいうところの「口座番号」を作ります。
「自分はこのウォレットでやりとりするよー」と相手に示すためですね。
次に受信者が、「秘密鍵(自分だけが知っている暗号)」と「公開鍵(世界中のすべての人が知ることができる暗号)」を作ります。
これで準備は完了です。
そうすると、受信者が、先ほど作った鍵で「公開鍵」の方だけを公開します。
それを受けて送信者は、「自分のウォレットからAさんのビットコインアドレスに××BTC送る」という情報を、その「公開鍵」で「暗号化」し、受信者がもつ「秘密鍵」でしか解読できないようにしてから、その情報を公開します。
この情報を受けとれる人は世界中に数多いますが、本当に正しくその情報を「解読」できるのは、「秘密鍵」をもっている受信者だけですよね。
こうすることで、確実に不正なく確実に送金が行われていることが証明されますね。
もしこのプロセスを正常に踏んでいない取引があった場合、ブロックチェーンをマイニングしているマイナー達に見つかって、その取引は承認されないことでしょう。
ビットコインでも不十分!?
しかし、こんなに便利なビットコインでさえも不十分だと言われています。
実は、この取引の承認は、「送金手数料をより多く払った送金者の取引方が、より早く承認される」仕組みになっています。
さらに、将来ビットコインの利用者が増えて取引量が増えた時、取引の承認により時間がかかるようになってしまうんじゃないかという心配もされています。
この問題を「スケーラビリティ問題」といいます。
詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
ビットコインキャッシュ(BCH)とは?スケーラビリティ問題・Segwit・リプレイアタックについても解説!
リップルが革命を起こす!
こういったビットコインが抱える問題を克服し、国際間送金の分野で革命を起こそうとしているのが「リップル(ripple)」です。
リップルについての基本的な情報はこちらです!
リップルの特徴その1:トランザクション能力が高い
トランザクションとは、決済や送金などをした際の取引データのことです。
この処理が速いということは、「決済や送金の完了が早い」ことを意味します。
リップルは、ビットコインや他のアルトコインと比べても、トランザクションの処理能力がとてつもなく高いです。
データの処理スピードはビットコインの22倍、送金コストは70,575分の1、一度に処理できるデータの量は約47倍という驚異的な数字を叩き出しています。
リップルの特徴その2:中央集権型
ビットコインはブロックチェーン技術を使っているため、特定の管理者は存在しませんが、リップルにはリップル社という、特定の管理者が存在します。
なので、厳密にいうとリップルは一般に言われているいわゆる「仮想通貨」ではありません。
しかし、だからこそ特徴その1でみたような驚異的なトランザクション処理能力を実現していることも確かです。
リップルの特徴その3:ILP(インタートレジャープロトコル)
リップルの一番すごい特徴です。
このILPというリップル社独自の技術を用いることで、今まで規格が違うために出来なかった資金の移動、送金、決済を、規格の標準化を行うことで可能にするという技術です。
これを行えば、デビットカード、クレジットカード、モバイル決済、銀行、ペイパル、ビットコインなどの決済・送金の手段を標準化し繋ぐことができるようになります。
例えば、「どうしても家賃が払えないけど、銀行口座にお金がない・・・。じゃあビットコインの残高をそのまま銀行の口座に入れて、支払いを済ませよう!」
とか、
「あっ、○○のお店のポイントが貯まったなー。じゃあこれをビットコインに換金して持っていよう!」
なんてことができるようになるということです。
これはものすごいことです。
なぜなら、今までは銀行を通してからでないと送金、振り込み、決済ができなかったのに、リップルのILPが普及したら銀行を通さなくても出来るようになるからです。
つまり、銀行が必要なくなる時代がやってくるかもしれないことを意味するのです。
まとめ
仮想通貨を使うと、より早く、より安く、お金を送金することが可能だということが分かりましたね。
しかし、いきなり銀行や資産家の方が、大きな資金を動かすために仮想通貨を利用するのは抵抗があるかもしれません。
なので、「動かすお金が大きい場合は、SWIFTで送金」、「動かすお金が小さい場合は、仮想通貨を使って送金」というように棲み分けができていくかもしれませんね。
リップルに秘められた可能性についても少し触れさせていただきました。
これからリップルはどこへ向かうのか、今後の動向から目が離せないですね!