日中家で過ごしている際に、家に訪問販売や新聞の勧誘がきて、毎回断るのがとても苦手で困っている。このような経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
今回は、実際にこのような訪問販売でお金に困ることになってしまった、女性の実例をもとに、お金の問題を引き起こしてしまう人の、よくある特徴をご紹介いたします。
お金に困るようになった女の子の話
はじめての一人暮らし
彼女をAさんとしておきます。Aさんは中流家庭の次女に生まれて、普通の暮らしをしてきました。毎月父親の給料日にはお小遣いをもらい、日用品や学校で必要なものは母親に伝えればすぐに用意をしてくれていました。お祭りに行くときは、「お小遣い、ちょうだい」と手を出せば100円玉を5、6個入れてくれる優しい母親でした。そんなAさんも大人になり、一人暮らしを始めました。
一人暮らしのアパートには、いろんな勧誘や営業の人が訪れます。ある日、Aさんがたまたま会社の創立記念日で休みになり家にいた平日の昼間、ピンポーンとチャイムがなりました。実家に居たときは、母親が誰よりも早くインターホンに出て、丁寧に応対していたことを思い出していました。インターホンもないので、「はーい」と大きな返事をしてドアを開けました。すると、とても人の良さそうな上品な40代の女性が一人立っていました。
「こんにちは、△△の〇〇と申します。お休みのところ、申し訳ございません」
「いいえ」
「まぁ、お若いのですね。今、ちょうどこの地区の女性の方に補整下着を試していただくキャンペーンをしているんですよ」
「そうなんですか」
「お嬢さんはスタイルも抜群ですから、まだご興味はないでしょうね」
「はい」
「でも、お若いうちにこうしたものをお付けになられると、少し歳を重ねて行かれたときにグッと差がでるんです」
Aさんは困ったなと思いました。まだ朝からご飯を食べていないのでお腹は減っているし、話が長くなるのはいやだなと思いました。そういう顔色をすばやくキャッチした上品な40代の女性は、控えめに言いました。
「ごめんなさいね、お昼どきに。近くに来たとき、また寄らせていただいてもいいですか」
Aさんは申し訳ない気持ちになり、「すみません、はい、また」と言ってしまいました。
再度の訪問
二度目に上品な40代の女性が訪問した日は、日曜日でした。朝の10時頃、Aさんの家のチャイムがなり、女性がAさんの家にあがりこんで補正下着を鞄から取り出してAさんに見せるまでの時間は、ものの5分も経っていませんでした。Aさんも一人暮らしの寂しさから、人懐っこい優しげな笑顔の女性を見て、懐かしさすら覚えてすぐに部屋に招き入れたのです。
補正下着はとても丈夫そうな繊維で作られた、美しい紫色のボディスーツでした。
「まあ、きれい」
思わずAさんはそう口走っていました。
「いかがですか。色的にもとても好評なんですよ」
女性は穏やかな口調で返事を促します。
Aさんは考えました。補整下着は美しいけど、今は必要としていない。でも、せっかく来ていただいているのだから、断るのも気が引ける。もし、すぐに買えそうな金額なら、損をするわけでもないから買っておこうか。
「おいくらですか」とAさんは聞きました。すると、「この頃は金利もお安いので12回払いでしたら、この金額ですよ」とファイルから値段表を取り出して見せてくれました。その金額は学生時代に月々のおこずかいとほぼ同額でした。Aさんは、これくらいなら払えないこともないなと、ホッとしました。
「ありがとうございました。また近くに来た時に、つけ心地など伺いますね」
Aさんは、紫色の美しいボディスーツを手にしたまま、曖昧に頷きました。
それから
補整下着を購入してから、何故かAさんの家を訪れる営業職の人が増えました。着物の着付け教室の誘い、鍋のセット販売、宗教の勧誘、これは営業ではありませんが。
着物の着付けは、Aさんもいずれは母親のように自分で気軽に着物を着れるようになりたいと常日頃思っていたので、即日即答しました。わざわざAさんの暇な時間を選んで、着付けの講師が家に来て教えてくれるのです。これほど恵まれたことはありません。後に、着物の展示会に講師の先生と一緒に観に行き、高額な着物と帯を購入しましたが、それはとてもAさんの趣味にあった美しい織物で、満足していました。
鍋のセット販売は、料理に興味がないAさんは、すぐにお断りしました。同じく宗教の勧誘も、長い時間かけて話を聞いた後、お断りしました。
Aさんはわずか1年の間に、給料の半分をクレジット会社の返金にあてるようになりました。その残りで家賃と光熱費、携帯電話、インターネットのプロバイダ代金などを払うと、わずかなお金しか食費にあてられません。会社で飲み会などある月には、食事を抜くしか方法はありません。
原因からわかるお金に困る人の特徴
世間知らず
営業のカモにされてしまったAさんの最大の原因は、世間知らずだったということです。一人暮らしをはじめて、大人になったつもりのAさんは、営業職の人と自分は対等だと思っていました。そこが間違いだったのです。営業職の人は、話巧みに穏やかに客の心理を手玉にとります。Aさんは補整下着を買う前に、誰かに相談するべきでした。
優柔不断
現在必要ではないと思いつつ、Aさんは補整下着を購入してしまいました。それは、購入を断る勇気がなかったからです。それはAさんの優しさ、育ちの良さと言い換えれば聞こえはいいのですが、優柔不断だということです。
無設計
Aさんには決まった収入があります。月々の給料で、一人暮らしでも十分に生活できる金額です。それにも関わらず、クレジット払いのおかげで食費にも困る生活になってしまいました。これはAさんの生活設計がまったくなされていないということです。まず、自分の収入から必要経費を引いた分、余分ができれば貯金をしたり、好きな物を買ったりしますが、その順番が逆だったのです。一人暮らしに入る前に、必ず、生活設計を確実に立てるべきでした。
まとめ
女の子がお金に困るようになるきっかけは、本当に些細なことです。あの時こうしていれば、あの時こうしていなければ、と後悔してもお金の問題は覆水盆に返らず、あとの祭りです。これから春になり、新社会人として一人暮らしをする女の子も多くいることでしょう。学生時代に成績がよくても、性格が良くても、生活には関係ありません。しっかりとした金銭感覚をまず培ってから、実家を後にしましょう。世間を知り、交友関係を広め、いろんな情報に耳を傾けましょう。そして、本当に大人になったとき、お金に困りそうな方にアドバイスしてあげましょう。