定年後の余生を楽しく送るために必要な老後資金の金額と準備方法




皆さんは老後の事をきちんと考えていますか?公的年金の金額が減らされたり、年金を受給できる年齢が引き上げられたりしている中で、私たちは定年後の生活を安定させるための資金である「老後資金」を自主的に準備する必要があります。

その老後資金をどのように準備したら良いのか、一体どれぐらいあれば良いのかなど、今回は「老後資金」をテーマに、様々なお話しをしていきたいと思います。

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老後を想像してみる

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人は誰でも年を取ります。誰にだって平等に老後がやって来るのです。まず、老後の自分を想像してみてください。子供たちは独立していたり結婚して新たな家庭を築いています。たまにやって来る孫に会うのがとても楽しみな夫婦2人だけの老後生活でしょうか。

はたまた家族三世代で毎日とても賑やかな老後になっているのでしょうか。それとも、子供を授かることができず夫や妻が先に他界してしまって天涯孤独な老後という方だって少なくありませんね。

共通して老後資金は必要

どんな老後になるのかは人によって様々ですが、どんな方にも共通して言えるのは老後資金は絶対に必要だという事です。もしも公的年金だけの生活だと日々の生活費でさえ不足となって、可愛い孫の誕生や節目のお祝い事、入学や卒業の際にもお祝いをあげる事も出来なくなってしまいます。

それどころか、同居・別居に限らず逆に子供たちに援助してもらわなければ生活できないという最悪の状況だってあり得るのです。天涯孤独の方にしても、ある程度の蓄えがなければ最悪の場合頼れる子供も居ないわけです。

健康で元気があればマイナス分だけでもパートやアルバイトなどで稼ぐことも出来ますが、持病があったり足腰が思うように動かないという場合は働くこともできないのです。

老後って何歳から?

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老後という言葉はよく耳にしますし、日常会話の中でもよく口にしていますよね。でも一体いつから(何歳から)が老後なのでしょうか。というか、ハッキリと「○○歳からが老後」という設定や法律上の決まりなどはあるのでしょうか。

世代別に見る考え方の違い

実は、厚生労働省のホームページに「何歳からを老後と考えるか」というアンケート結果が公表されています。これを見てみると、65歳からというのが28.5%、70歳からというのが32.8%だそうで、どちらも大差ないことが分かります。

しかし、世代別に分けて見てみると、若い世代は60歳からと考えてる人が多いのに対して、ある程度の年齢になると75歳から、80歳からと考える方が多いのです。

若い時は60代ぐらいの方を老人と思っていても、自分が高齢になってくると「60なんてまだまだ若い」という方が多くいらっしゃいますのが、それと同じなんですね。

参考サイト:厚生労働省 老後とは何歳からか

「老後は○○歳からです」という決まりなどは実はどこにもないのです。もちろん、法律で定められているような事もありません。実は老後が何歳からかという考え方が人それぞれ違うように、実際の老後生活に入る年齢も人それぞれ異なるのです。

老後生活が始まるとき

そうなんです。その人が老後生活を開始する時からが老後であり、一般的には「公的年金がスタートする時から」、また「定年退職したら」と考える方が多いようです。

その時のために準備するのが今回のテーマ「老後資金」です。老後の不安についてのアンケート結果も同じように公表されていますのでご覧ください。

参考サイト:厚生労働省 老後の不安

上記サイトを見てみると、一番の不安は健康面、次いで二番目が「生活費の問題」となっていて、多くの方が老後資金に不安を抱いているという現実が見て取れます。

老後資金の目安

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老後資金といっても具体的にどれだけあればいいのか、いくらぐらいをどうやって準備したらいいのかは実際の老後生活が始まった時点での家族構成によっても異なりますし、どんな生活スタイルになるのかでも違ってきます。

それまでの貯蓄が重要

定年退職したあと別の仕事をする方は別として、一般的には公的年金が収入源となります。ただし、年金だけでは生活できないという状況の方がたくさんいらっしゃいます。

「毎年届くねんきん定期便を見るたびに老後が不安になる」という方も多く、とても年金だけで生活することはできない時代になってきているのが現状です。そこで現役時代にコツコツと頑張って貯めてきた貯蓄が必要不可欠となるのです。

老後資金のシミュレーション

平成28年度に行われた総務省の家計調査報告によると、60歳以上の夫婦のみ世帯の平均収入は約213,000円、そして平均支出はというと約268,000円だそうです。つまり毎月55,000円の赤字ということになります。

2017年3月1日に厚生労働省が公表した日本人の平均寿命は、男性が80.75歳、女性が86.99歳ということです。これをふまえて上記の金額をもとに計算してみましょう。

ご主人は現在60歳、奥様は58歳、定年退職した後すぐに年金の受給開始(年金生活スタート)となり、お二人とも平均寿命まで存命だったと仮定します。

ご主人が亡くなるまでの年数=あと20.75年、奥様が亡くなるまでの年数=あと28.99年です。ご主人が亡くなった後、奥様が亡くなるまでの年数は6.24年あります。

単純に赤字の部分だけを計算してみると、毎月の赤字が55,000円ですので、ご主人が亡くなるまでの20.75年間で13,695,000円、ご主人が亡くなった後は奥様1人なので赤字も半分として毎月27,500円、奥様が亡くなるまでの6.24年間で2,059,200円、合計金額は15,754,200円となります。

ただし、これはあくまでもデータをもとにした数字で計算した結果です。赤字が55,000円より多ければその分必要額は増えますし、赤字が無いようならもちろん改めて老後資金を準備する必要もないという事になります。

受給できる年金額

そもそも老後資金の1つとして受け取れる公的年金は一体どれぐらいの金額になるのでしょうか。下記サイトでおおよその金額を簡単に算出できますので、一般的なケースをもとに算出してみましょう。

例.20歳から60歳まで会社勤めをする予定で現在50歳、残り10年間の平均月収は20万円と仮定

この場合は老齢基礎年金が66,025円、老齢厚生年金が102,000円となりますので合計168,025円となります。

参考サイト:社会福祉法人静清会 みらいの収入シミュレーション

この計算だと、老後の平均支出額が268,000円ですので、毎月99,975円も赤字という事になります。さらに、このままいくと2025年には年金そのものが危うい状況になる(※2025年問題)とまで言われていますので、老後資金はますます自分で準備する必要性が出てくるとも言えます。

※2025年問題とは、現在約1500万人の後期高齢者が2025年には約2200万人まで膨れ上がり、全人口の4人に1人後期高齢者という超高齢化社会となるため、様々な社会問題が起きると予測されている事です。

収入と支出の把握

上記を見て分かるように、平均213,000円の収入でも55,000円の赤字です。もちろんこの213,000円の中には支給される年金も含まれているのですが、一般的なサラリーマン家庭がこの金額の収入を得ているのでしょうか。

また、自営業の方などは厚生年金の上乗せ分がありませんので、更に年金の受給額は低くなります。そこで、自分の老後資金を知るために、今後どれぐらいの収入があって、どれだけの支出が想定されるのかをきちんと把握する必要があるのです。

ここで、上記の計算で算出した赤字の金額15,754,200円に話を戻します。この赤字を貯蓄で賄うことになりますので、定年退職までの現役時代に貯めておく必要があるという事になりますね。

未来のプランを作ってみる

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とにかく大切なのは収入と支出のバランスです。そこで、現在の自分の年齢から先に起こるであろうライフイベントはもちろん、どれだけの収入が見込めてどれだけの支出が想定されるのかを書き出してみると分かりやすいです。

この作業はなかなか根気のいるものですし、過去の事ならともかく未来の出来事なんて分かるはずがないのですから、色々と想定して作り上げることになります。

キャッシュフロー表

現在の収入や支出、将来想定されるライフイベントなどを考えながら作成することで、老後生活がどのような状況になっていくのかが分かるキャッシュフロー表をご存知でしょうか。

参考サイト:日本FP協会 キャッシュフロー表

様々なサイトで無料ダウンロード可能なキャッシュフロー表が用意されています。上の図も無料ダウンロードしたものです。こちらはExcelでダウンロードできますので、家族構成や年齢などをパソコンで入力すればいいだけです。関数の数式も予め入っていますので、面倒な計算は必要ありません。

ただし、物価の上昇なども考慮する必要がありますので、あまり何十年も先までのものを作成しない方が良いかもしれません。現在の年齢が若い方や最後まで作りたい方は老後までの表を一応作って、定期的に物価などを考慮して入力し直すメンテをすれば長期で見る事ができますね。

生活水準のこと

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例えば、現在の収入が月額(手取り額)250,000円だとします。貯蓄はせずに全額を使い果たしていたとして、年金額もほぼ同じ金額だった場合は「今までやって来れたのだからこのまま同じ生活ができる」と単純に考えがちですね。

分かりやすいようにとても極端な例にしましたが、実際の金額こそ違っても例のような状況になる方が居ないとは限りません。もし自分がそのような状況だったらどうするべきかを考えてみたいと思います。

物価は変わる

消費者物価指数推移グラフを見てみると、1950年から上昇し続けている物価は1974年あたりから急上昇となり、その後一旦落ち着いたように見えているものの、2013年頃から再び上昇を続けているようです。この物価指数というのは、一気に下がることはなくても一気に上がる事はあり得ます。

まだまだ先の老後は一体どうなっているかなんて想像もつきませんが、今よりも上昇している事だけは確かだと言えます。ですから上記のように「今までやってこれたから大丈夫」というのは根拠のない言い分でしかないのです。そして、物価が上がったからといって年金額がそれに伴って増えることもありません。

という事は現在の生活水準を維持することはできないのです。毎週末は外食を楽しんでいる方は月に1度に減らしてみたり、趣味の習い事などにも通えなくなって辞めざるを得ない、子供や孫にかかる費用だって捻出できなくなってしまうのです。

かといって、これまで長年続けてきた生活スタイルもレベルもいきなり変えることは困難です。生活水準を低くしたくないと思っても統計上このままの情勢が続くはずはないのです。

だから、老後資金が絶対に必要になりますし、早いうちに始める必要があるのです。具体的にピンとこない方のために、老後資金の準備が出来ていないと一体どうなってしまうのかを少しお話ししたいと思います。

老後資金のない生活

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老後のことなんてまだ本気で考えていないであろう若い世代の人や、年金が貰えるんだからそれで十分だなんて思っている方も少なくないようなので、老後資金を準備していないとどんな事になるのかを考えてみたいと思います。決して脅すわけではありませんし、かといって他人事でもありません。

老後資金の準備がないと

会社員の方が何の準備もしておらず、貯金もゼロのまま老後生活をスタートしたとします。この場合は上記でお話しました平均収入を用いたとすると、年金を含む月額213,000円だけの生活となりますね。ここから、貴方が家賃や光熱費など最低限必要だと金額を引いてみましょう。

もしも自宅が賃貸ではなく持家ならば家賃は必要ありませんが、ローンが残っていればその分もマイナスです。そして食費や携帯電話、趣味、日用品、電化製品の故障、衣類など、様々な場面を想像して全てを引いてみてください。そして忘れてはいけないのが医療費です。

どれだけ健康面に自信があっても、年齢とともに体が老化していくことは誰にも止められません。大きな病気だけではなく、老化とともにお世話になる可能性の高い眼科や歯科の受診もあります。

高額医療費制度というものがあって自己負担限度額を超えた分は戻ってくるのですが(病院によっては最初から支払わなくて良いところもあります)、その限度額をギリギリ超えなかった場合は痛い出費となります。さらに、そもそも保険のきかない自己負担治療に関しては適用外ですので全額自己負担となります。

子供の世話になる?

もしも生活ができないような状況になれば子供たちが何とかしてくれるだろう、なんて考えている方が実は急増しているそうです。子供が親の面倒を見るというのは道理ではあるのですが、自分で出来たはずの対策を何もせずに初めから子供の世話になろうなんて虫が良すぎます。

子供にも子供の生活がありますし、お孫さんだって学費やら何やらでお金がかかるのは子育てしてきたのですから分かりますよね。子供に迷惑はかけたくありませんよね。

生活保護を受ける?

生活費が少し赤字というだけならこの方法を選択する方はいらっしゃらないと思います。しかし、貯蓄どころか年金そのものを受給できない人は生活保護を受ければいいと簡単に考えているようです。年金をもらえない人なんて居るのでしょうか?

実はそのような方も増え続けているようで、「無年金者」と呼びます。事情は様々ですが、その多くは金銭的な問題で国民年金の支払いが出来なかった方のようです。

法改正で、無年金者でも最低10年の加入実績があれば年金を受け取れるようにはなりましたが、10年かけて月々受け取れる年金の金額は16,000円です。この支給分を差引いた金額で生活保護を受給するという生活になるようです。

ただ、生活保護はそう簡単に受給できるものではありませんし、親戚などにも「援助してあげる事はできませんか?」という内容の通知が届きますので、誰にも知られず受給したいと思っても不可能、親戚中に生活保護を申請した事実が知られてしまいます。

老後も働き続ける?

貯蓄もなく余裕がないとなれば、赤字分を何とかしないといけなくなります。とにかく働いて収入を増やすしかないと考えますよね。実際に60歳を超えて働ける職種ってどんなものがあるでしょうか。

よく見かけるのは、警備員、オフィスビルや病院などの清掃員、タクシー運転手などですが、どの仕事も肉体的・精神的にキツイ仕事で、特に前職がデスクワーク系だったり管理職だった方にはかなり辛いようです。

老後資金の貯め方

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お金を貯める方法というのは色々ありますが、老後資金を目的とするならしっかりと計画的に貯めていくことが必要です。どんな方法でもいいのですが、金融機関の口座に通常の貯金をしても継続できなかったりすぐに引き出して使えるような貯金だとあまり意味がありません。

また、金融機関の利息は2017年5月現在あまり大差はなく、0.01%~0.02%程度がほとんどです。老後資金として蓄えておくという意味では普通貯金でも良いのですが、できるなら少しでも増える方法を選択したいですよね。

そして、やはり重要なのは、バリバリと働いているうちに1日でも早く始めるという事です。下記にご紹介する方法は確実に目標金額を貯める事ができますので個人的にもオススメです。

個人型確定拠出年金

企業年金に加入していない会社にお勤めされている方や個人事業主の方には、毎月5,000円から始めることができる個人型の確定拠出年金への加入がオススメです。

確定拠出年金の掛け金は全額が所得控除の対象で住民税も安くなりますし、増えた利益は非課税なので運用方法さえ間違わなければ効率よく資金を増やすことが可能です。

ただし、運用方法によっては元本割れの危険性もあります。増やすために始めたのに逆に損をしてしまっては困りますので、くれぐれも無理に大きく増やそうなどとは考えず、元本保証されている運用方法を選ぶようにしましょう。

国民年金付加保険料

会社勤めをされていて厚生年金に加入している方は対象外で、国民年金の第1号被保険者が任意で入れる付加年金です。普段払っている国民年金に月たった400円をプラスするだけという簡単なものですが、これを始めることで何がどう変わるのでしょうか。

この「付加保険料を払っていた月数×200円」が通常の年金に上乗せされるのですが、たった200円と思わないでください。例えば、現在40歳の方が60歳まで(20年間)かけ続けたとすると、400円×20年=96,000円となります。

400円ですから20年という長い年月かけても10万円に届かない金額ですね。ここからが凄いところでオススメポイントなのですが、付加保険料を払っていた月数(20年なので240月)×200円=48,000円ですね。

この48,000円が亡くなるまでの間ずっと年金にプラスで支給されるのです。「たった48,000円?」と思った方はよく考えてみて下さい。払った累計金額は96,000円なのに対して、48,000円が生きている限り毎年受け取れるという事です。たった2回もらった時点で元が取れてしまうのです。

保険商品の活用

たくさんある貯蓄型保険商品の中から私が個人的にオススメしたいのは個人年金保険です。保険会社によって異なる部分はありますが、老後資金の準備として始めるならぜひ検討して頂きたいものとなります。

何がそんなに良いのかというと、前述でお話しした通り金融機関の口座に貯金した場合の利息が0.01%~0.02%平均なのに対して0.50%を超える商品があるという事です。大手数社を表にしてみましたのでご覧ください。比較しやすいように、35歳で加入して65歳から年金として受け取り開始したという同一条件です。

保険会社月々の保険料利率返戻率
M 生命12,000円~1.02 %119.7 %
S 生命10,000円~0.82 %118.1 %
D 生命 10,000円~0.63 %113.6 %
A 生命5,000円~0.60 %111.1 %
M 生命10,000円~0.26 %104.8 %

※2017年5月現在のデータです

ご覧のように、金融機関に預けるよりもかなり高い利率であることが一目瞭然ですね。そして、保険商品で準備することでもう一つメリットがあります。それは「生命保険料控除」が適用されるという事です。

生命保険料控除を受けられると、払い込んだ生命保険料に応じて所得税や住民税が軽減されるます。これは医療などの生命保険にしか適用にならないと思われている方も多いようですが、貯蓄商品である個人年金保険でも適用になるのです。

保険商品というと敬遠しがちですが、貯蓄商品に関して言えば金融機関の運用商品よりもお得な商品も多いので、一度ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

老後資金について色々とお話ししましたがいかがだったでしょうか。「まだ早い」なんて思っていた方も、老後資金の大切さや、今から何か対策を考える必要があるという事がお分かり頂けましたでしょうか。

定年退職するまで頑張って働いて老後に貧困生活なんて悲し過ぎます。目一杯働いて定年退職した後は、お金の心配をせずにのんびりと暮らしたいですよね。この記事をご覧頂いたのを機に、是非じっくりと老後資金の事を考える時間を作ってみませんか。