一言で自動車保険といっても、その補償は多岐にわたっています。様々な補償が組み合わさって成り立っている自動車保険。一体どの補償ががどのような点をカバーしてくれるのでしょうか?そしてどのくらいの金額をかけておけばいいのでしょうか。
今回は自動車保険の補償について細かく見ていきます!
※あくまで一般的な場合でお伝えしています。
保険会社ごとで多少の差異がありますので、ご注意ください。
また他の記事でも、自動車保険についてご紹介しておりますので御覧ください。
自動車保険加入前に押さえておきたい、強制保険と任意保険の違いとは?
目次
保険の用語を覚えよう!
保険の話には専門用語がたくさんでてきます。
まずはその専門用語を押さえましょう。
似たような言葉も多くてややこしいですが、押さえておくと保険のことがぐっと理解できるようになりますよ!
・保険契約者:保険を契約する人のことを言います
・被保険者:保険を受ける人のことを言います。記名被保険者は証券に記載される被保険者で、その車に主に乗る人にあたります。
・被保険自動車:保険の対象となる車のことを言います
・車両所有者:被保険自動車の所有者のことを言います
・保険料:保険を受けるために保険契約者が保険会社に支払うお金のことを言います
・保険金:事故によって保険を使う時に、保険会社が支払うお金のことを言います
・保険金額:保険をかけるときに決める補償の限度額のことを言います
保険金と保険金額、言葉が似ていてややこしいですよね。
保険金は何かあった時に保険会社から受け取るお金のこと、保険金額は何かあった時に補償される限度額を定めたものを言います。
ちょっと難しいかもしれませんが、このあともたくさん出てくる言葉なのでぜひ押さえておいてくださいね。
ベースの補償1:対人賠償責任保険
自分の運転が原因で人に被害を加えてしまったときに使うのが対人賠償責任保険。
自動車事故で一番怖いのは人を傷つけてしまったときですよね。
軽いケガで済めば良いですが、大きな事故だと長期入院を必要としたり後遺障害が残ったり、最悪の場合は命を落とすこともあります。
人に害を与えた場合、多額の損害賠償が発生します。
それをカバーするための保険がこの対人賠償責任保険です。
もし事故で人に害を与えてしまった場合は、その治療費はもちろん、慰謝料や遺失利益(事故がなければ将来得られたはずの利益)、後遺障害により発生する介護費用なども賠償しなければいけません。
それらを保険でカバーするために対人賠償責任保険があります。
対人賠償責任保険は自動車保険の中で基本中の基本の補償です。
自動的に付帯される自動車保険も多くあります。
保険金が支払われない場合は?
条件によっては保険金が支払われない場合があります。
保険金支払い対象外になる主な理由はこちらです。
・運転者の故意によるもの
・地震や噴火、それに伴う津波
・台風、洪水、高潮
・戦争、武力行使、内乱などの事変や暴動
・競技や曲技、試験のために使用する場合や、それを行うことを目的とする場所で使用する場合
・被害者が記名被保険者である場合
・被害者が被保険者の父母、配偶者または子どもである場合
・被害者が被保険自動車を運転中の人やその父母、配偶者または子どもである場合
逃れられないような自然災害や、故意による事故、道路を走るといったような一般的な使い方から外れる場合は保険金が支払われないと覚えておけばOKです。
ただ注意しなければいけないのは、運転者の親や子ども、配偶者が被害者の場合。
その場合は対人賠償責任保険は支払われませんので注意しましょう。
では飲酒運転の場合はどうなのでしょうか?
この場合は、実は保険金が支払われます!
これは被害者保護の観点によるものです。
飲酒運転は法令違反ですから、保険はおりないと思われがちです。
しかしケガをした方からしたら、事故に巻き込まれた被害者であることに変わりはありません。
そのため、運転者が飲酒運転や薬物などの法令違反を行っていたとしても、被害者保護の観点から保険金が支払われるのです。
ただし、それは保険契約上の被保険者に該当する場合だけ。
年齢条件や運転者範囲に当てはまらない場合や、記名被保険者の許可なく運転している場合は補償外になります。
補償の厚さはどのくらい?
対人賠償保険の保険金額は無制限が基本です。
中には自動的に無制限に設定されている保険もあります。
先ほども書いたように、自動車事故による賠償は治療費だけではありません。
遺失利益や慰謝料も踏まえると、その賠償額は1億円を優に超えることも珍しくありません。
【対人事故の事例】
認定総損害額 | 判決年月日 | 被害者性年齢 | 被害者職業 | 被害態様 |
---|---|---|---|---|
5億2,853万円 | 2011年11月1日 | 男性 41歳 | 眼科開業医 | 死亡 |
3億9,725万円 | 2011年12月27日 | 男性 21歳 | 大学生 | 後遺障害 |
3億9,510万円 | 2011年2月18日 | 男性 20歳 | 大学生 | 後遺障害 |
相手のケガを補償する保険として、強制保険である自賠責保険があります。
しかし、自賠責保険でカバーできるのは
・死亡:3000万円まで
・後遺障害:程度に応じて最大4000万円まで
・傷害:120万円まで
とかなり低め。これでは上記のような賠償はとてもカバーしきれません。
そこで、自賠責保険の保険金額を超えた部分を補償するのが対人賠償損害保険なのです。
事故の規模やケガの程度は多種多様です。
どんなに気を付けていても、いつ加害者になるとも限りません。
もしもの時のご自身を守るためにも、対人賠償責任は無制限にしておきましょう。
ベースの補償2:対物賠償責任保険
対人賠償責任保険と並んで基本となる補償の対物賠償責任保険。
この保険では自分が起こした自動車事故により、人のものを壊してしまった場合の賠償責任を補償します。
車同士の事故であれば相手の車の修理代を過失割合に応じて負担しなければいけませんし、営業用の車や店舗に害を加えれば、事故による休業損失やダメになった商品まで補償しなければならず、その賠償額は高額になることがあります。
時に生活を一変させかねない対物事故。
それをカバーする保険です。
保険金が支払われない場合は?
対物賠償責任保険にも、保険金が支払われない場合があります。
条件は対人賠償責任保険と似ていますが、主な理由を見ていきましょう。
・運転者の故意によるもの
・地震や噴火、それに伴う津波
・台風、洪水、高潮
・戦争、武力行使、内乱などの事変や暴動
・競技や曲技、試験のために使用する場合や、それを行うことを目的とする場所で使用する場合
・記名被保険者が所有・使用しているものが被害にあった場合
・被保険者の父母、配偶者または子どもが所有・使用しているものが被害にあった場合
・被保険自動車を運転中の人やその父母、配偶者または子どもが所有・使用しているものが被害にあった場合
対人賠償責任保険と同様、逃れられないような自然災害や、故意による事故、道路を走るといったような一般的な使い方から外れる場合は保険金が支払われないと覚えておけばOKです。
そして、運転者の親や子ども、配偶者が所有・使用しているものが被害にあった場合も対物賠償責任保険は支払われません。
また対物賠償責任保険も「被害者保護の観点」から、飲酒運転による事故も補償されます。
補償の厚さはどのくらい?
対物賠償責任保険の保険金額は、対人賠償責任保険と同様に無制限が基本です。
対物事故も、被害の規模や被害対象によって大きく損害賠償額は変わります。
事故事例を見てみましょう。
【対物事故の事例】
認定総損害額 | 判決年月日 | 被害物件 |
---|---|---|
2億6,135万円 | 1994年7月19日 | 積荷(呉服・洋服・毛皮) |
1億3,580万円 | 1996年7月17日 | 店舗(パチンコ店) |
1億2,036万円 | 1980年7月18日 | 電車・線路・家屋 |
このように、被害物件によっては億単位の損害賠償が発生します。
営業用のいわゆる「緑ナンバー」のトラックとの事故や、店舗への損害が発生した場合、損害額が多くなる傾向があります。
被害を受けたものを直すための修理費はもちろん、車であればレッカー費用や代車費用、廃車になるなら廃車手続きにかかる費用も負担する必要があります。
このような直接的な損害以外にも、お店や営業に使用するものに被害があれば、営業損失や休業損害も発生します。
電車との事故であれば遅延による損害も発生しますよね。
もし、万が一競走馬を輸送中のトラックと事故を起こしてしまったら大変です。
G1で何度も勝っている馬がケガでもしたら、その損害額は計り知れませんね。
そのような事故は決して起こしたくはありませんが、自動車を運転する限り可能性はゼロではありません。
大きな損害を起こしたとしてもしっかりとカバーできるように、対物賠償責任保険も無制限にしておきましょう。
ベースの補償3:人身傷害保険
人身傷害保険は今までの2つとは大きく違います。
それは、自分のケガを補償するところです。
今まで紹介してきた対人賠償責任保険や対物賠償責任保険は、ケガをした相手、壊してしまったものに対しての補償でした。
しかし人身傷害保険は、自分が運転中にケガをした、一緒に乗っている人がケガをした場合に支払われます。
相手をカバーするものではなく、自分自身をカバーするもの。それが人身傷害保険です。
対人賠償責任保険や対物賠償責任保険は過失割合に応じて支払われる保険金が決まりますが、人身傷害は過失割合に関係なく支払われます。
そのため、相手との交渉が難航している場合であっても保険金を受け取ることができるという大変嬉しい特徴があります。
補償の幅は?
補償の幅という点でいうと、「誰の」「どの状況での」ケガか、この2点がポイントになります。
まず「誰の」ケガが補償されるのでしょうか。
・記名被保険者
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者もしくはその配偶者の同居親族
・記名被保険者の別居の未婚の子
・被保険自動車に乗っている人
ざっくり言えば家族と、契約している車に乗っている人のケガを補償します、ということです。
では次に「どの状況での」ケガが補償されるのでしょうか。
これは保険会社によって標準となる範囲がマチマチです。
本来、人身傷害保険は「歩行中の自動車事故もしくは交通上用具を使用中のケガ」を補償するものです。
被保険自動車に乗っていなくとも、道路を歩いている最中に自動車事故に遭った場合、自転車でケガをした場合、電車のホームでのケガも補償の対象です。
また、建物からの落下物などによるケガも補償される場合があります。
しかし最近は「被保険自動車に搭乗中の自動車事故によるケガ」に限定する形を基本としている保険が増えています。
そこに「道路の歩行中もカバーする」「自転車に乗っている時もカバーする」といった特約というオプションを付けて補償の幅を広げる形をよく目にするようになりました。
補償の範囲の基準をどこに置いているかは保険会社ごとで異なるので、その点は十分な確認が必要です。
ちなみに、複数の車を所有している家庭の場合は、1台だけ補償の幅を広げておくことがポイントです。
歩行中の事故や自動車以外の交通上用具による事故の補償は複数の保険にかけてしまうと補償がかぶってしまいます。
その分保険料を多く払うことになりますので、1台だけ広い補償にしておき、他の車は「被保険自動車に乗っている時のみ」の補償にしておきましょう。
保険金が支払われない場合は?
人身傷害保険にも保険金が支払われない場合が当然あります。
対人賠償責任保険や対物賠償責任保険と異なる点もありますのでチェックしましょう。
・被保険者の故意または重大な過失による場合
・異常かつ危険な方法で自動車に乗車中に生じた場合
・正当な権利を持つ方の承諾を得ないで自動車に乗車した場合
・無免許運転の場合
・麻薬等の影響で正常な運転ができない可能性がある状態で運転している場合
・酒気帯び運転の場合
・自殺行為や犯罪行為による場合
・保険金を受け取るべき人の故意または重大な過失による場合
対人賠償責任保険や対物賠償責任保険と大きく異なる点は、「被害者保護の観点」ではないところ。
そのため飲酒運転や無免許運転といった違法運転は補償対象外です。
また、所有者の許可なく車を運転した場合も対象外になります。
田舎の方ではよく見る、軽トラックの荷台に人を載せて運転している場合も「異常かつ危険な方法」での乗車と判断されれば補償対象外になりますので注意しましょう。
補償の厚さはどのくらい?
人身傷害保険は最低保険金額が決まっています。
一般的には3000万円が最低保険金額になっており、多くの方は3000万円、あるいは少し多めの5000万円に設定しているのではないでしょうか。
医療保険に入っていればケガでの入院はそちらで補償されますし、生命保険に入っていれば死亡・後遺障害の場合も大丈夫、という考え方もありますよね。
一方で、入院を伴わないケガや家族への補償、同乗者への補償も考えると話は変わってきます。
一般的に医療保険は通院のみの場合は保険金がおりません。
また、小さい子どもに何千万円もの生命保険をかけている方はあまりいないのではないでしょうか。
先ほど述べたように、人身傷害保険は契約の車に乗っている時以外も補償することが可能です。
小さな子どもやケガへのリスクを考えた場合は、その補償は厚めに取っておくことをオススメします。
人身傷害保険はケガの治療費や精神的損害はもちろん、遺失利益や仕事を休んでしまった場合は休業損害も支払われます。
仮に障害が残りバリアフリーの住居へリフォームが必要になればその費用も支払われます。
誰のケガまでカバーするのか、その人の保険はどうなのかまで考えて設定するのがベストです。
ちなみに、保険金額を大きく上げてもそこまで保険料は上がりません。
私の知っている保険会社であれば、10等級で人身傷害保険を3000万円から7000万円に上げた場合、その保険料の差額は年かな約1400円。
1億円まで保険金額を上げても年間2,000円ほどしか変わりません。
月々170円程度で補償を大きくすることが可能であれば、大きめの補償にしておいた方が安心かもしれませんね。
ベースの補償4:車両保険
車両保険も自動車保険を考えるうえで欠かせない保険です。
これは契約の車が事故によって修理が必要になった場合などに支払われるものです。
補償される事故の要件は
・偶然によるもの
・突発的なもの
・外来によるもの
のすべてを満たすものになります。
例えば電柱にぶつかった、塀にこすってしまった、といったものは対象になります。
一方で長年使い続けたことによるサビが原因で故障した、といった経年劣化によるものは対象外です。
他にも補償される場合・されない場合があるので詳しく見ていきましょう。
保険金が支払われない場合は?
車両保険が支払われない場合は、人身傷害保険に近いものがあります。
主な理由はこちらです。
・契約者、被保険者または保険金を受け取るべき人のの故意または重大な過失による場合
・無免許運転の場合
・麻薬等の影響で正常な運転ができない可能性がある状態で運転している場合
・酒気帯び運転の場合
・詐欺または横領による場合
・故障損害
・タイヤの単独損害(火災・盗難は除く)
・車に定着されていない不足品の単独損害(火災は除く)
・車の欠陥、摩滅、腐しょく、その他自然消耗
・法令で禁止されている改造を行った部分品または付属品に生じた損害
人身傷害保険と同様、飲酒運転や無免許運転といった違法運転は対象外です。
そして注意すべきところは「タイヤの単独損害」は対象外になるということ。
一時期、車のタイヤがパンクさせられる事案が多発していましたが、タイヤだけの損害の場合は補償されません。
また備え付きのカーナビなども、車内に固定していなければ補償されませんので注意しましょう。
補償の幅は?
車両保険は、損害が発生した事由によって補償される・されないが決まります。
その事由は多くの場合「一般補償」と「限定補償」に分かれます。
一般補償とは、自動車事故全般をカバーするものです。
車両保険の補償範囲の事故は、保険会社によっても異なりますが、大きく9つに分類されます。
1.車と車の事故
2.盗難
3.火災・爆発
4.台風・洪水・高潮
5.落書き・いたずら・窓ガラスの破損
6.飛来中・落下中の他物との衝突
7.車以外の物との接触
8.当て逃げ
9.転覆・墜落
これらすべてをカバーしてくれるものが「一般補償」と呼ばれるものです。
一方、この中で1~7だけに限定しているものが「限定補償」と呼ばれるものです。
ほとんど全ての事故をカバーするものが一般補償。
単独事故や相手がわからない自動車事故がカバーされないものが限定補償。
と覚えておけば大丈夫です。
補償の厚さは?
保険金額は自動車の車種や年式によって大きく異なってきます。
保険会社では「自動車保険車両標準価格表(車価表)」という表を使用してその自動車の価値を判断します。
型式と初度登録年で検索すると該当の自動車の車両価格がわかるというものです。
その価格帯にはまるように車両保険の保険金額は設定します。
これは、車両保険は時価額以上の補償は受けられないからです。
仮に価格帯を超えて保険金額を設定したとしても、保険金は時価額までしかおりません。
そのため価格帯に収まるように保険金額を設定するのです。
ただ年式が古いものだと車価表に記載されていない場合もあります。
その場合は中古販売価格を基準に設定することもあります。
契約を更新するときは、更新前の保険金額の80%ほどに設定することが多いです。
自動車保険の世界では、普通乗用車の場合初度登録から6年でその価値は購入金額の10%になるともいわれています。
300万円で買った車だからと言って毎年300万円の保険金額を設定するというわけではありませんのでご注意ください。
必ずつけるもの?
車両保険に関しては「必ずつけなければいけない」とは限りません。
対人賠償責任保険や対物賠償責任保険のように、自分以外の人に害を与える場合のものではありません。
また人身傷害保険のように自分や家族のケガを補償するものでもありません。
かなり古い車で、もし事故を起こしたらそのまま廃車にしようと考えている場合は無理につける必要もありません。
逆に新車の場合や高級車の場合はしっかりと補償を付けておいた方が良いです。
車両保険は保険料の中でも大きなウェイトを占める部分です。
車両保険をつけるかつけないか、一般補償か限定補償課でその保険料は大きく変わります。
修理費に充てる十分な資金が確保できている場合や自動車の時価が低くなっている場合は、保険料カットの第一候補に挙げて問題ないでしょう。
ここまでは自動車保険の基本となる補償についてみてきました。
これ以外にも自動的についてくる補償もありますが、対人賠償責任保険・対物賠償責任保険・人身傷害保険・車両保険が自動車保険のベースとなる補償です。
しかし、これ以外にも補償を厚くしてくれたり自動車事故以外でも活用できる特約があります。
ここからは便利な特約について見ていきます。
ケガの特約:搭乗者傷害特約
最近は「傷害一時金」や「入院一時金」といった類似の特約もあります。
今回は搭乗者傷害特約としてご紹介します。
搭乗者傷害特約は、人身傷害保険と同様に自分のケガを補償するものです。
しかし、大きく異なるのが保険金の支払い方法。
人身傷害保険は損害額が確定してから支払われるのに対し、搭乗者傷害はケガの程度や入通院の日数に応じて支払われます。
保険金の支払い方法は各社様々。
入通院の日数に応じて支払われる保険金が変わるもの。
ケガをした場所やその程度によって一時金の金額が決まるもの。
など、それぞれあります。
搭乗者傷害特約のいいところは、症状ですぐに一時金を受け取れたり、入通院日数が確定すれば保険金が受け取れるところです。
人身傷害保険の場合は治療費以外の損害も算出し、確定したうえで受け取るため、事故発生から保険金受取まで日数がかかります。
一方で搭乗者傷害特約は比較的早い段階でまとまった保険金を受け取ることができるので、当面の治療や生活費に充てることができます。
収入面での不安や生活資金の不安がある場合は非常に心強い特約です。
私が損保会社に在籍していた5,6年前は比較的メジャーな特約でしたが、今はニーズも変化しているのか補償の形もどんどん変わってきているようです。
被害者になった時のために:弁護士費用特約
弁護士費用特約は今やメジャーな特約ですね。
でもなぜ弁護士費用特約があるのか、ご存知の方は少ないのではないでしょうか?
自動車どうしの事故を起こすと、過失割合や保険金の支払いなどの示談交渉でお互いの保険会社がやり取りを行います。
しかし、相手が100%悪く自分が100%被害者の場合は、自分の保険会社は交渉の場に出てこないのです。
そうすると、相手の保険会社と自分自身が交渉することになります。
プロを相手に交渉をするのは難しく、賠償請求も要望通り通すことができないこともあります。
そこで、完全に被害者になったとしても十分な交渉ができるように弁護士に相談する、弁護士を通して交渉をするべくこの特約が存在します。
また、保険会社によっては自動車事故に限らず日常生活で被害者になった場合でもこの特約を使えるところもあります。
いくら自分が運転に気をつけていても、被害者になる可能性は0ではありません。
被害を受けて泣き寝入りしないように、この特約はオススメです。
ちなみに、弁護士費用特約は1契約についていれば本人・配偶者・同居の親族・別居の未婚の子まで補償がききます。
なので複数台車を所有している場合はいずれか1台に特約をつければOKです。
原付に乗るなら!:ファミリーバイク特約
原付にももちろん保険はかけておいた方が安心です。
しかし任意保険に加入するのはコストがかかる…
そんな時にはファミリーバイク特約で家族のバイクを補償できます。
ファミリーバイク特約とはその名の通り家族が所有するバイク(原付)に乗っている時の事故を補償するものです。
補償の範囲は対人賠償責任保険・対物賠償責任保険・無保険車との事故によるケガ・単独事故によるケガ(自損事故)がベースとなり、そこに相手がいる事故でのケガ(人身傷害保険)をつけるかつけないかを選択する形が主流です。
記名被保険者・配偶者・同居親族が所有使用する原付であれば補償の対象になります。
子どもが原付を買った、等という時には使える特約ですね。
ただし、あくまで原付に限られます。
大型二輪や普通二輪は対象外になります。
また車両保険も対象外になっているため、原付にも車両保険をつけたいと考えている場合は別途自動車保険に加入する必要があります。
原付にも最低限の補償でいいから用意をしておきたい、という場合にはファミリーバイク特約を活用しましょう。
車内の荷物もしっかりカバー!:携行品特約
事故でトランクに入れていた荷物が壊れてしまった!
等という場合に使えるのが携行品特約です。
保険会社によっては車内積載物特約や車内携行品特約などとも言います。
この特約に関しては保険会社によってカバーできる範囲が様々なので、加入している保険会社に確認するのがベストです。
自動車事故で破損した場合に限っているところや、一時的に車から持ち出している時の事故もカバーできるもの。
また、車に限らず、しかも国内外に限らず外で携行しているものが破損したり盗難された場合も補償されるところもあります。
一般的には車内のものに限定するところが多いようですが、車内に荷物を残しておくことが多い方や壊れ物を運ぶことが多い方にはオススメの特約です。
普段の生活にも大活躍!:日常賠償責任特約
野球をしていたら隣のおうちの窓を割っちゃった!
なんて光景は最近見かけることもなくなってきましたが、普段の生活の中で人のものを壊したりケガをさせてしまうことはよくあります。
そんな時に使えるのが、この日常生活賠償責任特約です。
個人賠償責任特約ともいわれ、日常生活における様々な事故で賠償責任を負った場合に補償されます。
この特約のポイントは、自動車事故に限らず日常生活のあらゆる状況でも使えるところ。
お店の商品を弁償することになった、旅行で宿泊中枕もとにある友人の眼鏡を誤って踏んでしまった、など。
日常で起こりうる事故をカバーしてくれるので非常に心強い特約です。
以前は個人賠償責任保険として単体で売られていましたが、最近はその取扱いも少なくなり、自動車保険や火災保険の特約につけるのが主流となってきました。
こちらも記名被保険者・配偶者・同居親族・別居の未婚の子まで補償されるので、1台に特約をセットしておけばOKです。
自動車保険で自転車事故もカバーできるの⁉
兵庫や大阪では自転車保険の加入が義務化されたり、通勤・通学に自転車を使用する場合は自転車保険に加入していることを届け出なければいけない学校や企業も出始めています。
ロードバイクが流行したときはその危険性も話題になりましたが、自転車による事故も大きな被害を起こしかねません。
自転車に乗っている子どもが加害者となり、その親に多額の損害賠償金を請求された事例もあります。
自転車保険の必要性が高まっていますが、実は自動車保険でも自転車事故をカバーすることが可能です。
それは
日常賠償責任特約+補償範囲を広げた人身傷害保険
に加入すること!
相手のケガや物を壊した場合の損害賠償に対しては日常賠償責任特約でカバーし、自身のケガに対しては人身傷害保険でカバーできるようにするのです。
そうすることで自転車に乗るときのリスクを十分カバーすることができます。
家族に自転車に乗る人が多い場合や小さい子どもが自転車に乗る場合などは、自動車保険を活用して自転車事故もカバーすることでコストも削減でき安心できます。
大切なことは…
自動車保険の基本的な補償は各社共通していますが、細かな部分や特約については取り扱いが大きく異なってきます。
全社比較するのはかなりの手間なのであまりオススメしませんが、大切なことは自分に合った補償だと納得できること。
保険料との兼ね合いを考えつつも、最低限守るべき補償や、自身の生活スタイルに合った補償を作ることが大切です。
そのためにも、ひとつひとつの補償や特約の内容を理解し、十分に納得した形のプランを作って加入するようにしましょう。