今回は、Vechainというコインをご紹介します。聞いたことのある方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?だいぶ少ないと思います。ですので、本記事ではVechainを知っていただけたらと思っております。最後までお付き合いくださいませ。
目次
Vechainとは?
VechainはVechain財団の基金です。Vechain財団は、2017年7月にシンガポールに設立された非営利団体のようです。CEOはサニー・ルー。彼はルイヴィトンチャイナの最高責任者を務めていたこともある実力者です。ほかの社員も有能な人材ばかり。頭の切れる方々が集まった企業ということですね。
Vechainの公開日は2017年8月15日。かなり新しいコインですね。通貨単位はVEN。PoA(proof of authority)という取引認証システムを用いていて、イーサリアムのプラットフォームを用いているERC20の1つです。
詳しくは以下で説明していきます。
*イーサリアムについては次の記事を参照のこと
イーサリアム(Ethereum:ETH)とは?特徴や仕組みなど徹底解説!
Vechainの歴史
Vechain財団は、企業に製品や情報をBlook as a serviceとして提供するブロックチェーンプラットフォームです。先述の通り2017年7月に設立された財団で、この財団はVechainのスポンサー企業として活動し、Vechainの開発、建設、ガバナンス(あらゆる統治のプロセス)に取り組み、透明性と安全性をかねそなえたオープンソースコミュニティーの開発をしているようです。
財団設立後すぐにVechainの運用を開始しています。ブロックチェーンともの(企業)を結ぶコインを開発しています。
Vechainの特徴―ビットコインとVechainの違いとは?
①PoAを採用
②ERC20のうちの一つ
③NFCチップ・RFIDトラッカー・QRコード
④スマートコントラクトを採用
の4点があげられそうです。では以下で詳しく見ていきましょう。
PoAとは?
ではここで簡単なおさらいをしておきましょう。
①PoWとは、プルーフ・オブ・ワークの略称で一番最初のコインであるビットコインで採用されていたシステムでした。このシステムではASICBOOSTという大量にマイニングを行える仕組みを持っていない人たちは承認レースで勝つことができず、大富豪しかマイニングを行えないことが問題でした。
②この問題を解決するために開発されたのが、PoSでした。PoSというのは、当該コインの所有数と保有期間に応じて承認権を与えられる可能性が高まるというものでした。しかし、このシステムも実質的には富裕層しか行えないものでした。(お金がないと当該コインを大量に保有することはできないため)
③PoIはこれらの不平等を解消するために開発されました。PoIでは、当該コインの使用頻度に応じて承認権を与えるというシステムです。PoIはNEMというコインに搭載されたシステムでしたね。
NEMについてはこちらから→噂のNEM(ネム)とは?メリット・デメリット・Catapultについて簡単に解説!
④PoRとは、上記3つの問題とは無関係のものです。当該企業には元手(資金)があるから支払い能力があることの証明になるよねというものでした。これはTetherというコインに搭載されているものです。
Tetherについてはこちらから→Tether(テザー)って何?テザー疑惑・オムニ(omni)などを簡単に解説!
そして今回のものがPoAです。PoAとは、Authorityというのは権限のような意味です。したがって権限の証明という意味になりますね。これは権限を持っている人しか取引承認レースには参加できないということを示唆しています。
VechainではこのPoAというシステムを使用しているという点でビットコインとは異なっています。
ERC20とは?
ごく簡単にいてしまえば、ERC20とはイーサリアムベースで作られるトークンのこと。ベースとなるプラットフォームにイーサリアムの仕組みを用いたものということですね。
この考え方自体はTetherとomniの関係に似ていますね。プラットフォームを一から開発するのではなくて既存のプラットフォームを使ったコインも多いようです。
という疑問が浮かび上がってくるのも当然ですよね。ここで少し寄り道をしてERC20 について詳しく見ていきましょう。
ERC20 の歴史
ICOとは?
まずICOについて知る必要があります。ICOというのは、initial coin offeringの略称で企業がプロジェクトを行うために仮想通貨を使用して行う資金調達のことです。クラウドファンディングの一種ととらえて問題なさそうですね。
このような図をイメージするとよいかと思います。
この時に企業側から発行されたトークンが、企業ごとに異なっていたとしたら受け取る側の対応が大変ですよね。さらに、トークンには規則がなくそのトークンは本当に使えるのか、安全なのかの判断も難しいものでした。
ERC20 の登場
そこで考え出されたのがERC20 です。これはすべてのトークンの技術面を統一したもので正式名称はEthereum Request for Comments:Token Standard というそうです。これは統一のルールができたということにもなるので安全性の確保にもつながりますね。
NFCチップとは?RFIDトラッカーって何?
NFCチップとは、Near Field Communicationの略で日本語訳に落とし込むと近距離無線通信というようですね。卑近な例でいうと、スマートフォンやPASMO・スイカ等にも取り入れられている技術でワンタッチで機器認証ができ、無線通信ができるというもの。
RFIDトラッカーとは、Radio Frequency Identificationの略で日本語では電子タグ・ICカードなどと呼ばれているものです。
RFIDトラッカーもNFCチップもICタグの一種ととらえておけばよいでしょう。
Wi-Fiは使う前にパスワードをいれたりしないといけないですよね。これがないのがNFCです。本当にワンタッチでできるのです。
このチップを埋め込んだ商品を想像してみましょう。原産地や加工過程、卸売り業者に至るまですべて記録されているので不正をすることができなくなります。最近はあまり聞かなくなりましたが、少し前までは食品の衛生管理の問題やブランドの偽物の流通問題などが世間を騒がせていたこともありましたね。NFCチップを組み込めば、このような不正は行えなくなるということです。
スマートコントラクトを採用
もうおなじみになりましたが、Vechainもスマートコントラクトを採用しています。イーサリアムのプラットフォームを用いているので当たり前といえば当たり前ですが。
*スマートコントラクトについては以下の記事を参照のこと
イーサリアム(Ethereum:ETH)とは?特徴や仕組みなど徹底解説!
Vechainの特徴―ノード
さてここからは少しだけ専門的な(難しい)話をします。ここは飛ばしていただいても問題ありません。
周知のこととは思いますが、一応ノードを簡単に説明しておくと、ネットワークの節点ことでしたね。
ノードとはごく簡単に言ってしまうと(多少の語弊はありますが)マイニング(取引の承認)をしてくれる人(コンピューター)のことです。
VechainThorも他の仮想通貨と同様にノードが必要です。報酬としてノードはTHORを受け取ります。
またノードには4種類のものがあり、満期と保有VET額によって分かれています。以下に詳細を載せておきます。
Strength Nodes(満期10日・1万VET以上)、Thunder Nodes(満期20日・5万VET以上)、Mjolnir Masternodes(満期30日・15万VET以上)、Thrudheim Masternodes(満期開始日2017年12月21日・25万VET以上)
Vechainが人気の理由
ではここからはVechainが人気の理由を見ていきましょう。
①2018年6月末にVechainが新たなコインへと進化
②新たな技術に業界がどよめいている
③提携を結んでいる企業が多い
の3点があげられそうです。以下で詳しく見ていきましょう。
VechainThor
2018年6月末にVechainがVechainThorへと変化しました。Vechainはサプライチェーンに使われていたのですが、ニーズの拡大によりVechainThorというプラットフォームへと進化を遂げました。これはサプライチェーンという枠組みを超えてDAppsシステムへと移行しました。移行までには2年の歳月がかかっているようですね。愛情を感じます。
サプライチェーンとはサプライチェーンマネジメントの略称で、ある物流システムを1つの企業の内部だけで使用するのではなく複数の企業間で同じシステムを使用するということを意味してます。これの何が特権なのかというと、(仮想通貨の記事でよく出てくる言葉を用いて説明すると)互換性を高めるということですね。
DAppsとは以前、職場の先輩であるマナさんが記事にしていたのでそちらをご覧いただきたいのですが、簡単に言うと、今までの記事で私がブロックチェーンシステムと説明していたものになります。
マナさんの記事はこちらから→DApps(分散型アプリケーション)とは?基本からメリット、デメリットまで徹底解説!
ちなみに私のブロックチェーンの記事はこちらから→どこよりもわかりやすくビットコインを説明!ブロックチェーンやP2Pなどの仕組みをご紹介!
これを使うと物流システムだけでなく、ほかの業界でも応用できるようになるわけですね。具体的に何に使われていくのかはこれからのお楽しみというところでしょうか。今後に期待ですね。
さて、少し話は戻るのですがVechainThorというプラットフォームには2つのトークンが使われています。
Vechainトークン(VET)
通称VETは、ブロックチェーン上で行われる企業の事業活動における支払いに使われる通貨です。多くのVETを保有する企業は、VechainThor上で優位に扱われるという特権を与えられているようです。
ThorPower(THOR)
これはVET保有者に与えられるものです。ブロックチェーン上でスマートコントラクトを行うため、またはアプリケーションを稼働させるために使用することができるようです。
NFCチップ・RFIDトラッカー・QRコードに業界が激震
NFCチップ・RFIDトラッカー・QRコードを取り入れることで商品の真贋判定ができるようになりました。これは先述の通り、すべてを記録しているからですね。この仕組みに期待している企業が多いよう。確かに、昨今はインターネット上での買い物、オンラインショップが盛んですよね。しかし、ここで気になるのが取引をする相手が信用しうるひとであるのか・品物は本物なのか、ということ。ここにNFCという仕組みを持ったVechainThorが使われるようになっていったらさらにインターネット上での取引が盛んになること間違いなしですね。
提携企業が多い
前述の通り、NFC等新たな技術を搭載したVechainThor。多くの企業が注目しています。中でも有名なのはPwCとDNV GLです。
PwCは、オムニバスな会社とは言わないのかもしれませんが様々な事業を行っている会社で、DNV GLはエネルギー関係のことを扱っている会社のようです。どちらも大きな企業のようです。
また、世界に2万4千店舗以上ある某コンビニとも提携したという発表もあったようです。
さらに、Vechainは中国の企業なのですが中国政府と提携を結びました。具体的には、中国のたばこ産業を独占する国営企業との提携ですね。
Vechainの取り扱い取引所
日本国内の取引所はまだ扱っていないようでしたが、海外の取引所の中でも信頼のおける取引所であるBinanceでは取り扱われています。Binanceへはこちらからどうぞ。
ほかにはHuobiという中国の取引所でも取り扱われていました。
Vechainの価格
最後にVechainThorの価格をチェックしておきましょう。今(2018年7月10日現在)は2,41ドルつまり日本円にして約300円ですね。まだまだこれからのコインなので楽しみですね。
ちなみにここ2日間は少し下がっているようでしたが、目くじらを立てるほどではなさそうです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はVechainThorについて紹介しました。Vechainトークンは商品の真贋を見極める道具として使われているものでした。
このコインは今まさに人気に火が付いているコインです。今後どれだけ業界を席巻していくのでしょうか。楽しみですね。
またVechainに関しては日本語で運営されているツイッターを発見したのでURLをいかに記しておきます。ご参考までに。