近年、仮想通貨の知名度は急速に広まり、今や世界規模で取引や決済が行われるようになっています。
世界屈指の証券会社が仮想通貨をファンドとして取り入れるよう検討したり、ビットコインATMが登場するなど、仮想通貨市場は今後ますます拡大していくことが期待されています。
2008年にビットコインが誕生してから、この10年間でたくさんの仮想通貨も作られるようになって、現在ではなんと1700を超える数の仮想通貨が誕生しました。
さて、ビットコインの次に知名度が高い仮想通貨には『イーサリアム』という仮想通貨があります。またイーサリアムとよく似た名前の『イーサリアムクラシック(EthereumClassic/ETC)』という通貨があります。
イーサリアムという名前が付くから、「イーサリアムと何か関係があるのはわかるんだけど、具体的には何が違うの?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
この記事を読めばイーサリアムクラシックがどのような通貨なのかすべて分かるようになるので、一緒に学んでいきましょう!
目次
イーサリアムクラシック/Ethereum Classic(ETC)とは?
イーサリアムクラシックはイーサリアムから派生したものであり、ハードフォークと呼ばれるアップデートによって生まれた仮想通貨になっています。そのため基本的な機能はイーサリアムとさほど変わりません。
ハードフォークは簡単に言うと、『システム(ルール)の変更』のことです。従来のシステムから、新たなシステムへと移行するということを指します。アップデートとも言い換えることも出来ます!
さてハードフォークについて少し分かったところで、イーサリアムクラシックが生まれた背景について振り返ってみましょう♪
イーサリアムはスマートコントラクトをはじめ、優れた機能が評価されており、将来性に期待を寄せている投資家も多くいました。しかしながら、その分だけサイバー攻撃の標的にもなりやすくなっていました。人気者は標的にされやすいですよね?仮想通貨の世界でも同じことが起こってしまうのです。
そしてついに2016年、THE DAOというイーサリアム上で展開されるプロジェクトのスマートコントラクトの穴を狙われてしまい、集まった資金の多くが盗まれるという事件が発生しました。通称『The DAO事件』と呼ばれるこの事件の被害総額は60億を超えました。
これに対してどのように解決するのかを議論した結果、
派閥A:The DAO事件はなかったことにしよう
派閥B:ハッキングされたことは残すべきだ
という2つの意見に分かれてしましました。
事件はハッカーにイーサリアムの脆弱性を突かれたのではなく、DAOのプロジェクトの脆弱性を突かれて起こっているため、
「イーサリアムには問題はない。イーサリアムが悪いわけではない」という意見がほとんどでした。結果「ハッキングはなかったことにしましょう」という派閥Aが全体の9割に及びました。
その結果、全体の9割の開発者たち(=派閥A)は『(新)イーサリアム』を作り、残った1割(=派閥B)が『イーサリアムクラシック』を組織することになりました。
そのため、現在『イーサリアム』」『イーサリアムクラシック』という2つの通貨が存在するのです。
こうして誕生した仮想通貨が、イーサリアムクラシックです。イーサリアムと基本的な構造はかわりません。ですが『The DAO事件』の経験を経験していることから、イーサリアム以上にセキュリティの性能は上がっていると考えられています。
以下、イーサリアムクラシックに関する表をまとめてみました♪ご参考までに…
通貨名(通貨単位) | イーサリアムクラシック/Ethreum Classic(ETC) |
公開日 | 2016年7月20日 |
最大発行枚数 | 2億1000万 |
現在の発行枚数 | 1億ETC |
時価総額(ランキング) | 1720億円 |
公式サイト | https://ethereumclassic.github.io/ |
公式Twitter | https://twitter.com/eth_classic |
ホワイトペーパー | https://coss.io/documents/white-papers/ethereum-classic.pdf |
(2018年8月9日現在)
イーサリアムクラシック/Ethereum Classic(ETC)の特徴
The DAO事件を踏まえ、セキュリティ面が強化されたイーサリアムクラシック。果たしてどのような特徴を持っているのでしょうか?以下詳しく見ていきたいと思います。
非中央集権
上述したように、イーサリアムクラシックはTheDAO事件でいう所の全体の1割側「ハッキングの記録をデータとして残しておくべきだ」という派閥により作られました。
それはそうなんですが…
そもそも多くの仮想通貨が採用しているブロックチェーンは、誰にも管理されない(=非中央集権)という考え方が前提としてあります。
それなのにイーサリアムのように、“一部の人間の総意でハッキング事件をなかったことにするようなコードを打ち込むことは、非中央集権的な前提を壊す”ことに繋がり繋がります。
この前提を壊したくなかった派閥Bの人たち(=ハッキングされてしまったデータは残すべきだといった人たち)は、イーサリアムクラシックを作る際、『code is low』という理念を打ち出しました。「code is low」は直訳すると=「プログラミングコードが法律」という意味になります。要は、「ブロックチェーン上で最も支配権があるのはプログラミングコードである」という考え方になります。
このような理念を大切にしているイーサリアムクラシックはにイーサリアムよりも非中央集権的考えが根強いと言えるでしょう。
スマートコントラクトを採用
イーサリアムクラシックはイーサリアムからハードフォークして生まれた通貨の為、基本的にはイーサリアムと同じ機能を持ち合わせています。代表的なものとしてやはりスマートコントラクトがあります。
通常、ブロックチェーンには金銭のやり取りのみが記録されます。それに加えてスマートコントラクトでは、取引の中で発生する契約の文面もすべて記録するという画期的なシステムです。
取引スピードの速さ
イーサリアムクラシックがイーサリアムと比較して取引が迅速に行われる理由は主に2つあります。以下説明していきます。
利用者が少ない
イーサリアムと比較してイーサリアムクラシックの利用者は少ないです。そのため取引処理速度が速くなっています。
銀行の窓口で手続きをお願いしたいとき、利用者が少なければ早く終わりますよね?逆に混んでいると時間がかかってしまいます。イーサリアムクラシックの取引においても同様のことが言えるのです。
そのため利用者が比較的少ないイーサリアムクラシックは迅速に送金、着金をすることができるのでユーザーにとってとても使いやすい通貨になっています。また、イーサリアムクラシックにもイーサリアム同様に「ブロックチェーンにスマートコントラクトの履行結果を記録する人」=“マイナー(Classic Ether)”がいるのですが、マイナーもすぐに報酬を受け取れるようになっています。
確かに時間かかってしまいそうですね…しかしながらそうならないように、イーサリアムクラシックではサイドチェーンを採用しています。
サイドチェーンを採用
サイドチェーンは簡単にいうと、メインのブロックチェーン以外にもチェーンを作ってそこで処理させていくという技術のことを言います。
例えば一人の人(=メインチェーン)がすべての処理を行おうとすると時間がかかりますよね?しかし人数(=サイドチェーン)を増やせばその分早くなります。そのため送金詰まりなども起こらず迅速な取引が可能になるのです。
イーサリアムよりも人材と資金が少ない
先ほども説明した通り、イーサリアムクラシックはイーサリアムからハードフォークしてできた通貨です。イーサリアムの開発に携わっていた10分の1の人たちによって作られています。
そのため人材という観点からイーサリアムクラシックとイーサリアムを比較すると両者には大きな差があると言えるでしょう。
しかしながら開発者や資金がが少ないということもあり、IoTなどの特にブロックチェーンのメリットが出やすい分野に特化したブロックチェーンを開発するというところに力を入れています。そのため特定の分野においてはイーサリアムよりも優れた機能を持っています。
DApps開発が可能
イーサリアムと同様に、イーサリアムクラシックでもDAppsの開発プラットフォームとして利用することができます。DAppsはDecentralized Applicationsの略で分散型アプリケーションという意味です。このDAppsは、ブロックチェーンを用いた非中央集権的なアプリケーションのことを指します。
しかしながら最近までのイーサリアムクラシックのDApps開発環境は共通のフレームワークがありませんでした。言い換えれば開発者は一から全てを書かなければならない不便な環境でした。
このDAppsの開発環境に大きく貢献したのが『エメラルドプロジェクト(Emerald project)』と呼ばれるフレームワークです。このエメラルドプロジェクトは、共通のフレームワークがを提供することに成功しました。結果としてDAppsプラットフォームとしての性能を上げることができています。
開発者の参入しやすい環境を構築できれば、イーサリアムクラシックもイーサリアムやリスクと並びDAppsプラットフォームで多く利用されるようになる可能性があります。
また、このエメラルドプロジェクトはエメラルドウォレットと呼ばれるイーサリアムクラシックのウォレットも開発しています。これまでは信頼性の高いイーサリアムクラシックのウォレットがなかったため、このエメラルドウォレットはコミュニティーでも多く利用されるウォレットになるのではないかと期待されているのです!
※FincleではDAppsについてもわかりやすく解説しています。気になった方は下記のリンクよりアクセスしてみてください♪
DApps(分散型アプリケーション)とは?基本からメリット、デメリットまで徹底解説!
イーサリアムクラシック/Ethereum Classic(ETC)の最新チャート
2016年にイーサリアムクラシックが誕生した当初は、一時的な値上がりはあるものの1ETC=100円程でした。
しかし2017年5月に大きな値上がりが見られました。理由は「コンセンサス2017」というニューヨークで開催されたイベントで中国3大取引所のひとつBTCCがイーサリアムクラシックを取り扱うことが発表され、著名な研究者が「イーサリアムクラシックは過小評価されている。」と発言したためです。この出来事を機に1ETC=1,000円ほどにまで平均価格を引き上げました。
さらにイーサリアムクラシックのサミットが香港で行われるというニュースが流れるやいなや、価格は1500円ほどに上昇しました。2017年11月13・14日に開催されたこのサミットにはイーサリアムの開発に携わった天才数学者チャールズ・ホスキンソン氏と、マイナー王の呼び名を持つBitman社のCEOジハン・ウー氏などの著名人が参加し、話題となりました。
2018年1月には仮想通貨ブームもが起こり、1ETC=4500円程にまで価格は上がりましたが、1月16日前後にビットコインの暴落による一時的な暴落が起き1ETC=2400円前後まで下げていましました。
現在はさらに価格を下げ、1ETC=2000円前後になっています。
イーサリアムクラシック/Ethereum Classic(ETC)の買い方
気になった方も多いかと思います。ここではイーサリアムクラシックの取扱所・買い方についてわかりやすく説明します。
現在は、全世界取引高ナンバーワンの「Binance」をはじめ、「OKEx」でも活発に取引されています。
国内の取引所では、「ビットフライヤー」や「GMOコイン」が取り扱っています。
※Fincleでは「ビットフライヤー」の登録方法についてわかりやすく解説しています!併せてチェックしてみてください。
bitFlyer(ビットフライヤー)の登録方法をわかりやすく解説!
ただ…問題が…日本国内の取引所ではあまり取引されていないのです泣そのため売買にてこずる可能性があります。
そのため海外の取引所を利用することをおすすめします。
海外の取引所でイーサリアムクラシックを買う方法についてまとめてみました!
イーサリアムクラシックを取り扱っている海外の取引所に登録
イーサリアムクラシックを取り扱っている海外の取引所(Binanceなど)で口座開設をしましょう。
※因みに海外の取引所に登録しておくと、様々な通貨の取引ができるようになるため非常に便利です。
利便性や信頼性、安全性という点を考慮に入れると、セキュリティ面もしっかりしているBinance(バイナンス)がおすすめです。
FincleではBinanceについての記事も紹介しています。以下のURLをクリックしてチェックしてみましょう♪
BINANCE(バイナンス)の登録方法から入金、取引方法をわかりやすく図で解説!
国内の取引所に登録してビットコインなどを購入
海外の取引所に登録が完了したら、次に国内の取引所に登録する必要があります。
海外の取引所では日本円が使えないため、ビットコイン(イーサリアムなども可)を使い取引する必要があるためです。
そのためbitbankやzaifに登録してビットコインを購入しましょう。
bitbank(ビットバンク)の登録方法・メリット、デメリットをご紹介!板取引・スプレッドとは?
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国内の取引所からビットコインを海外の取引所に送金
国内の取引所で購入したビットコインを海外の取引所に送金します。
送金が完了すれば、イーサリアムクラシックを購入することが可能となります!
以下、イーサリアムクラシックを取り扱う取引所をまとめてみました。参考にしてみてください。
取引所 | 特徴 | 手数料 |
Binance(香港) | 取引高が世界1位。100種類以上もの仮想通貨を取り扱っています。 少額であれば、個人証明書が必要ではないので簡単に口座を開設できることも魅力です。 | 0.1% |
OKEx(香港) | Binance、Huobiと並ぶ世界最大規模の取引所です。 | -0.01% ~0.2% |
ビットフライヤー(国内) | 国内の取引所と比較すると様々なコインを取り扱っています。しかし、注文が通りにくいようです。 | 0.01% |
GMOコイン(国内) | スマートフォンアプリが使いやすい。スマホで取引を済ませたい人におすすめです。 | 0円 |
イーサリアムクラシック/Ethereum Classic(ETC)の将来性
イーサリアムクラシックはイーサリアムより派生して作られた通貨であるため、イーサリアムと比較すると知名度や価格自体はどうしても低くなってしまします。しかしたった2年で時価総額も15位前後と極めて高く、日々大きな成長を見せています。
またイーサリアムクラシックはIOTの領域でのブロックチェーン活用を活発化させるべく、日々開発されています。既にイーサリアムクラシックとIOTの提携に期待する声も多く、双方が活躍する機会も増えると言われています。
最近では、DApps内での共通フレームワークの開発など、ユーザーが利用しやすいような新たな仕組みも導入されました。開発も滞りなく進んでいることが伺えますね。そのため今後の成長も期待できる通貨であると言えるでしょう。
おわりに
今回は仮想通貨のイーサリアムクラシックについて見ていきました!特徴や仕組みは理解できましたか?最後にイーサリアムクラシックの魅力についてもう一度おさらいしておきますね♪
➀非中央集権を大切にしている
②スマートコントラクトを採用
③イーサリアムよりも人材と資金が少ない
④DApps開発が可能
が大きな特徴でしたね!
この記事を読んで、イーサリアムクラシックはもちろんですが、少しでも仮想通貨に興味を持っていただけたら嬉しい限りです。今後はイーサリアムクラシックに関する新しい情報が入り次第追記していこうと思います。