遺言書の書き方はコレ!基本を押さえてバッチリ準備




みなさん、遺言書は用意していますか?

「そんなの、まだ用意しなくてもいい」
「今から用意するなんて縁起でもない…」

と思っている人も多いはず。
でも、いつ何があるかわからないのも事実。
親戚も家族もいないけど、もしもの時資産はどうなるんだろう?
事実婚の状態だけど、相手に相続はされるのかな?
ほとんど縁のない親族にまで相続されるのはちょっと…

よくよく自分が置かれている状態を考えてみると、何かしら抱えていることも多いものです。
そうなると、予め自分の気持ちを整理して準備しておく必要があります。

今回はそんな「もしも」の時に備える遺言書の基本的な書き方をご紹介します。
すぐに書く必要がある人も、将来用意が必要かもと思っている人も、ぜひチェックしてみてください!

 

遺言書が必要な人って?

自分の気持ちを残された人に伝えることができるのが遺言書です。
備えておくにこしたことはありませんが、まだ必要のないと感じる方も多いと思います。
ですが、備えておいた方がいい人、備えておくべき人もいるのです。

そもそも遺言書はだれが残すことができるのか。
どんな人が遺言書を用意しておく必要があるのか。

まずはそこを押さえましょう。

遺言書が残せる人は?

遺言書を残す人、つまり遺言人は「遺言できる意思能力がある人」です。
民法961条で、満15歳以上とされています。
例えば高校生くらいの子が授業のノートに書いたようなものであっても、要件を満たせば立派な遺言書になるのです。

遺言書が必要な人は?

遺言書がない場合、基本的に遺産は法定相続人に決まった割合で相続されます。
ですが、様々な理由からトラブルになったり相続が進まない場合が発生します。
そのようなトラブルを回避するため、以下に当てはまる人は遺言書を用意しておくと良いでしょう。

・子どもがいない夫婦
家族が夫婦二人だけの場合、例えば夫が亡くなりその夫の親が存命していると、親にも相続権が発生します。
親にわたる財産は夫の財産の3分の1。もし夫に兄弟姉妹がいれば4分の1が渡ることになります。
もし夫に、もしくは妻に財産をすべて相続したい場合は遺言書を用意した方がいいでしょう。

・内縁関係の場合
いわゆる事実婚といわれる状態の場合です。
この場合、たとえ20年30年連れ添った関係だとしても、籍を入れていなければ残念ながら相続権は発生しません。
パートナーに遺産を残したければ、遺言書は必須です。

・仕事や生活でお世話になった人など、本来相続権のない人に残したい場合
「会社を興す時に特にお世話になった人がいる」「介護状態になった時に身の回りの世話をしてくれた」など、相続権はないものの特にお世話になった方に残したいということもあります。
そのようなときも遺言書を用意しましょう。遺言書がないと、後に相続人ともめる原因となってしまいます。

・相続人が誰もいない
家族も親戚もいないなら、別に遺言書なんて必要ないと思いませんか?
相続人が誰ひとりいなければ、特別な理由がない限り遺産は国庫=国に帰属してしまいます。
「それでもいい」という人は遺言書は必要ありませんが、「国庫にいくならお世話になった人に残したい」と思う場合は遺言書を残しておきましょう。

・行方不明や音信不通の子どもがいる
特定の相続人を除いて他の相続人だけで遺産分割協議はできません。
相続人全員で行う必要があるため、このような場合なかなか話が進まなくなってしまいます。
そのような方がいる場合は予め遺言書を残しておく必要があります。

・別居中の配偶者がいる
別居して事実上の離婚状態だったとしても、戸籍上婚姻関係にあれば相手に相続権は残ります。
配偶者の相続権は2分の1と大きな割合を占めています。
配偶者には残さず他の人に遺産を残したい場合は遺言書を用意しましょう。

・相続人同士の仲が悪く、揉めることが予想できる
みんな仲良くが理想ですが、現実はそうはいきません。
兄弟姉妹で不仲であったり、特に問題を起こす可能性のある相続人がいる場合は、相続時に揉める可能性が高いものです。
余計なトラブルが起きないように、遺言書を用意した方がいいでしょう。

・土地や不動産など遺産の分割が難しい場合
すべての遺産は分割し相続人に相続されますが、この手続きはなかなか面倒なものです。
さらに相続人全員が合意しなければいけませんので、一人でも反対すれば先に進むこともできません。
スムーズな相続のためにも、遺言書を残して予め分割について決めておくといいでしょう。
他にも、トラブルが予想される場合や親族間で複雑な関係にある場合、事業継承を行う場合などは遺言書は残しておきましょう。

では次からいよいよ遺言書の書き方をチェックしていきます!

 

遺言書を書いてみよう

tookapic / Pixabay

遺言書には大きく分けて2つ種類があります。

・普通方式
一般的にイメージされる、紙に書かれた遺言書。
・特別方式
危急時や伝染病などで隔離された場合に残す遺言書。

今回は一般的な普通方式の遺言書の書き方についてまとめました。

普通方式の遺言書にも3つの方法があります。
今回はその中でも特に一般的に使われている「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つを見ていきましょう。

 

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言とは、全文を自筆すること、つまりすべて自分の手で書く遺言書のことを言います。
この場合、ワープロやパソコン、音声録音での作成は無効になります。当然代筆もNGです。
自筆かどうかを確認するために筆跡鑑定を行うこともあります。
最初から最後まで自分の文字で書くこと、これが自筆証書遺言の最大のポイントです。

それでは他のポイントも見ていきましょう。

ポイント1.遺言書作成の日付を入れる
何年何月何日に作成したのかわかるように記入します。「吉日」など日付を曖昧にする表記はいけません。
遺言書は何度も作り直して良いのですが、優先されるものは最新のものです。
また、遺言者が満15歳以上かを確認する必要もあります。
これらを判断するためにも日付の記載は必須です。

ポイント2.署名・押印をする
署名だけ、押印だけはダメ。必ず署名と押印はセットで残します。
このとき、押印は実印でなく認印でも問題はありません。
しかし、間違いなく本人が作成したことを証明するためにも、実印で押印した方が確実です。
印鑑証明も一緒にしておくとより安心ですね。
また、住所の記載も必要ありませんが、印鑑証明と同じ住所を記載しておくとこちらも信頼度が高まって良いでしょう。

ポイント3.訂正は署名と訂正印で
もし書いている途中で間違えたり、追記したいことが出た場合は署名と訂正印で対応できます。
何行目の何を加筆・削除・訂正したのかを明記し、署名をします。
また、変更箇所にも押印が必要です。
ただ訂正方法については民法968条で厳格に定められていますし、なんとも読みづらい遺言書になってしまいます。
もし書き間違えたら訂正せずに書きなおした方が確実です。

ポイント4.財産は特定できるように明記する
例えば「軽井沢の別荘は長男○○に相続する」とか「○○銀行の預金は妻○○に相続する」といった表記はいけません。
建物であれば所在地、家屋番号、種類、構造、床面積などを登記簿謄本に記載の通り書きます。
預金についても銀行名だけでなく支店名、預金種類、口座番号まで特定します。
曖昧な表記だと無効になりますので注意が必要です。

ポイント5.封筒に入れて封をし、押印に用いた印で封印する
本来、封筒に入れて封印までする義務はありません。
しかし、遺言書の変造を避けるためには封印までした方が確実です。
封筒に入れて封印をしたら、封筒裏面に作成日と署名・押印をしましょう。
また、封印されている遺言書は勝手に開けてはいけません。
そのまま家庭裁判所に持っていく必要がありますので、「封を開けずに家庭裁判所に提出する」旨も記載しておきましょう。

 

自筆証書遺言のメリット・デメリット

この自筆遺言証書のメリットは、すぐに書けることが一番です。
紙とペンさえあれば費用もかからず、思い立ったら今すぐにでも書けます。

一方、自分で書くため、遺言書の要件を満たしていなければ無効になってしまうというデメリットもあります。
遺言書の書き方には細かいルールが定められていますので、ルールが守られているかどうか素人だけだと判断できない場合もあります。
また、家庭裁判所での検認を受けなければ相続ができないというのもあります。
その作業が入るため、手続きが遅れてしまいます。

こういった点を解消するために、もう一つの方法として「公正証書遺言」という方法があります。

 

公正証書遺言の書き方

公正証書遺言とは、公証役場で公証人という専門家が作成する遺言です。
この場合の大きな特徴として、2人以上の証人の同席が必要になる点が挙げられます。
この証人の要件を満たすには
・20歳以上であること
・法定相続人でないこと
・財産の贈与をしたことがなく、その予定もない
これらすべてに該当する必要があります(民法974条)。
友人知人などでも良いですし、法律家などに依頼することもあります。

2人以上の証人が決まったら、公正証書遺言の作成ができます。
では公正証書遺言のポイントを見ていきましょう。

ポイント1.公証役場に行く
公正証書遺言は公証役場で作成できます。
最寄りの公証役場に電話をし、訪問日時を決めてから行きましょう。
アポなしで行っても対応してもらえない場合がほとんどです。
また、訪問時は本人確認のため印鑑証明や実印を用意していきます。

ポイント2.遺言者が口頭で遺言を伝える
遺言者が話す内容を公証人が文書にして遺言書を作成していきます。
口頭でといっても内容を整理するのは難しいですよね。
でも、事前に公証人と打ち合わせを行ったり、資産の確認を行ったりしながら原案を作っていけるので大丈夫。
障がいがある場合は筆談や手話を用いての対応も可能です。

ポイント3.遺言書の内容を確認したら遺言者、証人、公証人が署名・押印
公証人が書いた遺言書の内容は読み上げてもらうか閲覧させてもらい、確認をします。
その内容に誤りがないことを確認し、問題がなければ遺言者と証人が署名・押印します。
さらに公証人が、手続きに従って作成した旨を記載し、署名・押印します。

これで公正証書遺言の完成です。
出来上がった公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言者には正本が渡されます。

 

公正証書遺言のメリット・デメリット

公正証書遺言の最大のメリットは2つ。

・無効になる可能性が低い
・紛失、変造の危険性がない

公証人というプロが作成しますので、形式が違っていたり不明確な記載をする恐れがほとんどありません。
また、原本は公証役場にありますので紛失するリスクも変造されるリスクもありません。
公証役場から渡される正本も、もし紛失したとしても再交付してもらえるので大丈夫です。

さらに公正証書遺言の場合は家庭裁判所での検認がふようですので、その分手続きも早く進められます。

一方で時間と費用がかかるのが公正証書遺言のデメリット。
証書の作成費用は遺言書に書かれる財産の額でかわりますが、他にも証人を法律家などに依頼すればその費用もかかります。
さらに預金通帳のコピーや登記簿謄本、印鑑証明書、戸籍謄本などの提出も必要ですし、事前の打ち合わせなどの時間もかかります。
作成の手軽さで言えば自筆証書遺言の方が良いでしょうが、確実な遺言を残すという意味では公正証書遺言の方が良いと思います。

 

まとめ

 

遺言書がないために「相続」が「争続」になるケースも多くあります。
大切な人たちが、自分の残した財産のせいでケンカしたり不仲になったら、悔やんでも悔やみきれませんよね。
大切な財産と大切な人をスムーズにつなげるためにも、遺言書は残しておきましょう。

 

参考(2017年著者調べ):
e-Gov
遺言書の書き方
遺言相続支援センター